この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
1この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
1 他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
2 自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
3 他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
4 窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「営業秘密不正取得行為」という。)又は営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。次号から第九号まで、第十九条第一項第七号、第二十一条及び附則第四条第一号において同じ。)
5 その営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
6 その取得した後にその営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為
7 営業秘密を保有する事業者(以下「営業秘密保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為
8 その営業秘密について営業秘密不正開示行為(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその営業秘密を開示する行為又は秘密を守る法律上の義務に違反してその営業秘密を開示する行為をいう。以下同じ。)であること若しくはその営業秘密について営業秘密不正開示行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
9 その取得した後にその営業秘密について営業秘密不正開示行為があったこと若しくはその営業秘密について営業秘密不正開示行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為
10 第四号から前号までに掲げる行為(技術上の秘密(営業秘密のうち、技術上の情報であるものをいう。以下同じ。)を使用する行為に限る。以下この号において「不正使用行為」という。)により生じた物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為(当該物を譲り受けた者(その譲り受けた時に当該物が不正使用行為により生じた物であることを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)が当該物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を除く。)
11 窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により限定提供データを取得する行為(以下「限定提供データ不正取得行為」という。)又は限定提供データ不正取得行為により取得した限定提供データを使用し、若しくは開示する行為
12 その限定提供データについて限定提供データ不正取得行為が介在したことを知って限定提供データを取得し、又はその取得した限定提供データを使用し、若しくは開示する行為
13 その取得した後にその限定提供データについて限定提供データ不正取得行為が介在したことを知ってその取得した限定提供データを開示する行為
14 限定提供データを保有する事業者(以下「限定提供データ保有者」という。)からその限定提供データを示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその限定提供データ保有者に損害を加える目的で、その限定提供データを使用する行為(その限定提供データの管理に係る任務に違反して行うものに限る。)又は開示する行為
15 その限定提供データについて限定提供データ不正開示行為(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその限定提供データを開示する行為をいう。以下同じ。)であること若しくはその限定提供データについて限定提供データ不正開示行為が介在したことを知って限定提供データを取得し、又はその取得した限定提供データを使用し、若しくは開示する行為
16 その取得した後にその限定提供データについて限定提供データ不正開示行為があったこと又はその限定提供データについて限定提供データ不正開示行為が介在したことを知ってその取得した限定提供データを開示する行為
17 営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録されたものに限る。以下この号、次号及び第八項において同じ。)の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)、当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号(電子計算機に対する指令であって、当該指令のみによって一の結果を得ることができるものをいう。次号において同じ。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)又は影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為
18 他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために営業上用いている技術的制限手段により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)、当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を当該特定の者以外の者に譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)又は影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為
19 不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為
20 商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
21 競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
22 パリ条約(商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第四条第一項第二号に規定するパリ条約をいう。)の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。以下この号において単に「権利」という。)を有する者の代理人若しくは代表者又はその行為の日前一年以内に代理人若しくは代表者であった者が、正当な理由がないのに、その権利を有する者の承諾を得ないでその権利に係る商標と同一若しくは類似の商標をその権利に係る商品若しくは役務と同一若しくは類似の商品若しくは役務に使用し、又は当該商標を使用したその権利に係る商品と同一若しくは類似の商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは当該商標を使用してその権利に係る役務と同一若しくは類似の役務を提供する行為
2この法律において「商標」とは、商標法第二条第一項に規定する商標をいう。
3この法律において「標章」とは、商標法第二条第一項に規定する標章をいう。
4この法律において「商品の形態」とは、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感をいう。
5この法律において「模倣する」とは、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう。
6この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
7この法律において「限定提供データ」とは、業として特定の者に提供する情報として電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によっては認識することができない方法をいう。次項において同じ。)により相当量蓄積され、及び管理されている技術上又は営業上の情報(営業秘密を除く。)をいう。
8この法律において「技術的制限手段」とは、電磁的方法により影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録を制限する手段であって、視聴等機器(影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録のために用いられる機器をいう。以下この項において同じ。)が特定の反応をする信号を記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とするよう影像、音、プログラムその他の情報を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。
9この法律において「プログラム」とは、電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。
10この法律において「ドメイン名」とは、インターネットにおいて、個々の電子計算機を識別するために割り当てられる番号、記号又は文字の組合せに対応する文字、番号、記号その他の符号又はこれらの結合をいう。
11この法律にいう「物」には、プログラムを含むものとする。
この条文が問われた枝 201問
正しい。不正競争防止法にいう商標は商標法2条1項に規定する商標であり、業として役務を証明する者がその役務について使用をする標章も商標として商品等表示に含まれる。
2条1項1号は、商品等表示を、人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものと定義し、2条2項は、この法律において商標とは商標法2条1項に規定する商標をいうと定める。商標法2条1項2号は、業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするものを商標に含めているから、役務を証明する者が使う標章も不正競争防止法上の商標である。商品等表示の保護は、表示に化体した業務上の信用を混同や冒用から守るためのものであり、商品の出所だけでなく営業を表示するものまで広く対象としているから、役務の証明という業務に係る表示を除く理由はない。したがって、業として役務を証明する者がその役務について使用をする標章は、需要者の間に広く認識されていれば1号、著名であれば2号の商品等表示として保護を受けることができる。本枝はそのとおりである。

この法律において「商標」とは、商標法第二条第一項に規定する商標をいう。
誤り。違うのは「商品等表示に係る不正競争に該当する」の部分である。実機を忠実に再現した模型上の商標は、模型の出所を示す商品等表示として使用されているとはいえず、1号にも2号にも当たらない。
2条1項1号は、他人の周知な商品等表示と同一又は類似の商品等表示を使用して他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為を、2条1項2号は、自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一又は類似のものを使用する行為を不正競争とする。いずれも、他人の表示を自己の商品の出所を示す表示として使うことが前提であり、2号は条文上も自己の商品等表示としての使用に限っている。航空機の忠実な模型に付された商標は、実機の外観を忠実に再現した結果としてそこに現れているものであり、需要者もそれを実機の外観の一部として見るのであって、模型の製造者や販売者を示す表示として認識するわけではない。したがって模型の販売者は他人の商標を自己の商品等表示として使用していない。本枝は著名な商標が模型に付されていることだけで商品等表示に係る不正競争に当たるとしており、使用の態様を見る条文の構造と食い違う。

自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
| 1号 | 2号 | |
|---|---|---|
| 表示の知られ方 | 周知(需要者の間に広く認識。一地方で足りる) | 著名(全国的に知られていること) |
| 混同 | 要る(広義の混同を含む) | 要らない |
| 使用の態様 | 商品等表示の使用(自己の出所を示す使用) | 「自己の商品等表示として」の使用に限る |
| 先使用の適用除外 | 19条1項4号。混同防止表示を請求できる(19条2項) | 19条1項5号。混同防止表示の請求はない |
正しい。商品等表示は商品の出所又は営業の主体を示す表示であり、単発の劇場用映画の題名は映画という著作物を特定するものであって、配給事業者の営業主体を識別する表示とは認識されない。
2条1項1号の商品等表示の定義の核は、商品の出所又は営業の主体を示す機能であり、ある表示が商品等表示に当たるかどうかは、需要者がその表示を見て特定の出所や主体を思い浮かべるかどうかで決まる。劇場用映画の題名は、その映画という著作物の内容を特定し、他の映画と区別するために付けられるものであり、需要者は題名から作品を識別するのであって、その映画を配給する事業者を識別するわけではない。知財高判平17.10.27(マクロス事件)も、映画の題名は著作物を特定するものであって、配給等を行う営業主体の識別標識としては認識されないという考え方を示している。シリーズ作品であれば同じ題名の下に作品が継続して供給されて題名が出所を示すようになる余地があるが、単発の映画にはその事情がない。したがって配給事業者の商品等表示として保護を受けることはできず、本枝はそのとおりである。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)
正しい。2条1項2号の著名表示冒用は混同を要件とせず、ドメイン名も使用態様によっては商品等表示の使用に当たるから、著名なドメイン名に類似するドメイン名の使用は混同のおそれがなくても不正競争に該当する場合がある。
2条1項2号は、自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用する行為を不正競争とし、1号と異なり、他人の商品又は営業と混同を生じさせることを要件としていない。混同がなくても著名な表示の独自性が薄められ名声が傷つくため、冒用そのものを禁じているのである。ドメイン名も、ウェブサイトで営業を示すものとして用いられれば、使用態様によっては商品等表示の使用に当たり得る。東京地判平13.4.24(J-PHONE事件)も、ドメイン名の使用が商品等表示の使用に当たることを認めている。したがって他人の著名なドメイン名と類似するドメイン名を自己の営業を示すものとして使用する行為は、混同のおそれがなくても2号の不正競争に該当する場合がある。19号のドメイン名の類型は不正の利益を得る目的などを要件とする別の規定である。本枝はそのとおりである。

自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
正しい。商品等表示にいう営業は広く経済的対価を得ることを目的とする事業を指し、公立大学の経営もこれに含まれるから、公立大学の名称は商品等表示として保護を受けることができる。
2条1項1号は、商品等表示を、人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は営業を表示するものと定義する。ここにいう営業は、商法上の商人の営業に限られず、広く経済的対価を得ることを目的とする事業を指すと解されており、病院、法律事務所、学校のように営利法人でない主体の事業も含まれる。守ろうとしているのは表示に化体した事業上の信用であり、設置者が地方公共団体であっても信用の有無は変わらないからである。大阪地判令2.8.27(京都芸術大学事件)も、学校経営は私立のみならず公立についても広く経済的対価を得ることを目的とする事業に当たるとして、大学の名称が営業を表示するものであることを認めている。したがって公立大学の名称も、学生から授業料を受けて教育を行う事業の主体を示す表示として商品等表示となり、周知性や著名性があれば1号・2号の保護を受けることができる。本枝はそのとおりである。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
誤り。違うのは「商品形態の模倣に係る不正競争にあたる」の部分である。商品の形態とは需要者が知覚によって認識できる商品の形状とこれに結合した模様、色彩、光沢及び質感をいい、データベースに収録されたデータの内容は形態ではない。
2条1項3号は、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為を不正競争とし、2条4項は、商品の形態を、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感と定義する。この規定は、先行者が資金と労力をかけて開発した商品の外観をそっくり写して市場に出す行為を一定期間止めるものであり、守る対象は目に見える形としての商品の形態に限られる。車両走行データを網羅したデータベースについて乙が複製したのは、収録されたデータという情報の内容であって、形状や模様、色彩といった形態ではない。データの内容をいくら完全に写しても2条4項の意味での商品の形態を模倣したことにはならず、3号の不正競争は成立しないから、甲はこれを理由に3条1項の差止めを請求することができない。データの保護は、著作権法のデータベースの著作物や、営業秘密・限定提供データの規定で別に考えることになる。

この法律において「商品の形態」とは、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感をいう。
誤り。違うのは「そのドメイン名の登録を抹消するように請求することができる」の部分である。19号が保護する特定商品等表示は人の業務に係る氏名等であり、無職の甲の氏名はこれに当たらないから、加害目的があっても19号の不正競争にならない。
2条1項19号は、不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為を不正競争とし、特定商品等表示を、人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものと定義する。この法律は事業者間の公正な競争を確保するものであり、19号が守るのも業務に係る表示に化体した営業上の利益であって、個人の氏名そのものではない。無職である甲の氏名は、人の業務に係る氏名ではなく、商品又は役務を表示するものでもないから、特定商品等表示に当たらない。乙が甲に損害を加える目的でその氏名と同一のドメイン名を取得していても、対象の要件を欠く以上19号の不正競争は成立せず、甲は3条による使用の差止めや登録の抹消を請求することができない。本枝は目的の要件だけを見て、特定商品等表示という対象の要件を落としている点がずれている。

不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為
正しい。商品の形態には形状に結合した模様や色彩も含まれ、立体的な商品に限る文言はないから、カレンダーのような平面的な商品をそっくりそのままコピーして販売する行為も商品形態の模倣に係る不正競争にあたる。
2条1項3号は、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為を不正競争とし、2条4項は、商品の形態を、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感と定義する。定義は形状に結合した模様や色彩を含めており、立体的であることを要件とする文言はない。カレンダーは紙という平面的な商品であるが、その紙の形状と、そこに結合した図柄、文字の配置、配色は、需要者が通常の使用に際して知覚によって認識する商品の形態である。2条5項は、模倣を、他人の商品の形態に依拠してこれと実質的に同一の形態の商品を作り出すことと定義するから、甲のカレンダーをそっくりそのままコピーする行為は依拠と実質的同一の両方を満たし、これを販売する行為は3号の譲渡に当たる。平面的形態であることは3号の適用を妨げず、本枝はそのとおりである。

この法律において「模倣する」とは、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう。
- 商品の形態:通常の用法で知覚できる外部・内部の形状と、結合した模様・色彩・光沢・質感である。機能を確保するために不可欠な形態を除く
- 模倣:依拠して実質的に同一の形態の商品を作り出すことである。独自創作は当たらず、ありふれた形態は保護されない
- 他人の商品:資金・労力を投下して商品化を完了した物である。展示会出展で足り、スケッチは当たらない
- 行為:譲渡・貸渡し・展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じた提供である。製造は含まれない
- 保護期間:日本国内で最初に販売された日から3年である(19条1項6号イ)
誤り。違うのは「ドメイン名に係る不正競争にはあたらない」の部分である。19号はドメイン名を使用する権利の取得・保有・使用を別々の行為として掲げており、登録者から使用許諾を受けることも使用する権利の取得に当たるから、使用開始前でも不正競争になる。
2条1項19号は、不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為を不正競争とする。条文が掲げているのはドメイン名を使用する権利の取得であり、登録機関から登録を受けることに限らず、登録者から使用許諾を受けて使える地位を得ることも含まれる。また取得、保有、使用は並列に置かれた別々の行為であるから、実際に使用を開始していなくても、加害目的で使用する権利を取得した時点で19号の行為は完成する。甲の商号は人の業務に係る商号として特定商品等表示に当たり、丙が甲に損害を加える目的で乙からその商号と同一のドメイン名の使用許諾を受けたのであれば、使用の開始前であっても丙の行為はドメイン名に係る不正競争に当たる。本枝は登録を受けた者だけを取得者と読み、使用開始を要件に加えている点で条文と食い違う。

不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為
- 目的:不正の利益を得る目的又は他人に損害を加える目的のどちらか一つである。20号の誤認惹起表示には目的の要件がない
- 対象:他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するもの)と同一又は類似のドメイン名である。周知・著名は要らない
- 行為:ドメイン名を使用する権利の取得、保有、そのドメイン名の使用である。譲渡は掲げられていない
- 救済:3条の差止めと登録の抹消、5条3項の使用料相当額の損害賠償である。21条の刑事罰はない
誤り。違うのは「商品形態の模倣に係る不正競争にあたる」の部分である。3号の他人の商品とは商品化を完了して取引の対象となし得る状態にした物であり、スケッチを示しただけの甲には模倣の対象となる商品がない。
2条1項3号は、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為を不正競争とする。ここにいう他人の商品は、先行者が資金と労力を投下して商品化を完了し、取引の対象となし得る状態にした物品をいい、知財高判平28.11.30(加湿器事件)は、販売前でも展示会への出展などにより商品として市場に出せる段階にあることが外見から明らかであれば他人の商品に当たるとしつつ、その前の段階は含まれないという考え方を示している。3号は商品の形態という外形に着目して模倣を判断する仕組みであるから、商品がまだ存在しないアイデアや構想の段階まで保護を広げることはできないのである。甲は新しい形のおにぎりのスケッチを示して商品化の検討を促しただけであり、おにぎりを商品化して取引の対象にできる状態にはしていないから、乙が模倣したといえる甲の商品がそもそもない。したがって乙の作成販売は3号の不正競争に当たらず、甲は差止めを請求することができない。

他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
誤り。違うのは「差止めを請求することはできない」の部分である。形態模倣の規制が及ばなくなるのは日本国内において最初に販売された日から3年を経過した商品であり、甲のランプは日本での販売から1年しか経っていない。
2条1項3号の形態模倣には3条1項の差止請求ができるが、19条1項6号イは、日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過した商品について、その形態を模倣した商品を譲渡等する行為には3条から15条までを適用しないと定める。形態模倣の規制は先行者の開発投資の回収を守る趣旨で期間を短く区切り、起算点を日本の市場で売り出された日に置いている。条文が日本国内においてと明記している以上、外国での販売開始日は起算点にならない。甲は米国では4年前から販売しているが、日本国内で最初に販売したのは1年前であるから、3年はまだ経過しておらず、適用除外には当たらない。したがって乙が形のそっくりなランプの販売を始めれば、甲は3条1項の差止めを請求することができる。本枝は米国での販売開始日を起算点にして保護期間が過ぎたかのように扱っている点がずれている。

日本国内において最初に販売された日から起算して三年を経過した商品について、その商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
正しい。営業秘密は秘密として管理されている事業活動に有用な技術上又は営業上の情報で公然と知られていないものをいい、有用でないと判明した化合物のデータも同じ失敗を避ける点で事業活動に有用な情報である。
2条6項は、営業秘密を、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものと定義する。要件は秘密管理性、有用性、非公知性の三つであり、有用性は、その情報が事業活動に役立つかどうかで判断され、成功した成果であることを求めていない。効かなかった化合物のデータも、同じ化合物を再び試す費用と時間を省く手掛かりになるから、研究開発という事業活動に有用な技術上の情報である。製薬会社が試行錯誤のプロセスで得られたデータすべてを秘密として管理しているのであれば秘密管理性も備わり、外部に知られていなければ非公知性も満たすから、糖尿病治療薬に有用でないと判明した化合物についてのデータも営業秘密に該当し得る。本枝はそのとおりである。

この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
- 秘密管理性:秘密として管理されていることである。秘密管理意思が合理的な管理措置によって従業員等に示され、認識できる状態にあることが要る
- 有用性:事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であることである。失敗の記録も含まれ、法令違反や反社会的な行為に関する情報は除かれる
- 非公知性:公然と知られていないことである。保有者の管理下以外では一般に入手できない状態をいう
正しい。営業秘密不正取得行為は窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段による取得であり、手段が刑罰法規に触れることは要件でないから、立入りを許されていない製造ラインに侵入して隠し撮りする行為は該当し得る。
2条1項4号は、窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為を営業秘密不正取得行為とし、これと、不正取得した営業秘密を使用し又は開示する行為を不正競争とする。窃取、詐欺、強迫は例示であり、その他の不正の手段という文言によって、社会通念上これらと同じ程度に公正な競争秩序に反する手段を広く含めている。刑罰法規に該当することは要件とされておらず、犯罪が成立するかどうかとは別に判断される。工場見学者が見学の許可されていない製造ラインに入り込み、秘密として管理されている作業工程をスマートフォンで隠し撮りして記録する行為は、保有者の管理を潜り抜けて秘密に接する手段であり、侵入が直ちに犯罪に当たらなくても不正の手段による取得に当たり得る。取得した内容を自社の製造工程に反映させる行為は、不正取得した営業秘密の使用として同じく4号の不正競争になる。本枝はそのとおりである。

窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「営業秘密不正取得行為」という。)又は営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。次号から第九号まで、第十九条第一項第七号、第二十一条及び附則第四条第一号において同じ。)
正しい。2条1項7号の要件は、営業秘密保有者から営業秘密を示されたことと、不正の利益を得る目的又は保有者に損害を加える目的での使用・開示であり、契約上の明示的な秘密保持義務は求められていない。
2条1項7号は、営業秘密を保有する事業者からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為を不正競争とする。従業員や取引先のように保有者から正当に営業秘密を示された者は、取得自体は適法であるから、取得を不正競争とすることはできず、その代わりに、示された信頼を裏切る図利加害目的での使用・開示を捉えて不正競争としたのが7号である。条文の要件は示されたことと目的だけであり、契約や就業規則で秘密保持義務を明示的に負っていることは要件になっていない。秘密として管理された情報を示された者は、契約の有無にかかわらず図利加害目的で使えば信頼関係を破るからである。したがって明示的な秘密保持義務を負っていない者でも、図利加害目的で使用・開示すれば7号に該当し得る。本枝はそのとおりである。

営業秘密を保有する事業者(以下「営業秘密保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為
正しい。2条1項4号は不正取得の手段として詐欺を明示しており、業務に利用すると偽って個別承諾を得て複製・持出しをする行為は、アクセス権限があっても詐欺による取得に該当し得る。
2条1項4号は、窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為を営業秘密不正取得行為として不正競争とする。保有者を欺いて複製を許させれば、形の上で承諾があってもそれは欺かれた結果にすぎず、取得は不正の手段によるものである。乙は社内サーバに個別承諾を得てアクセスする権限を持っていたが、それは業務のために個別に承諾を受けた場合に限って営業秘密に触れられるという立場であり、承諾なしに自由に複製できる立場ではない。乙は退職後に利用する意図を隠し、業務に利用すると偽って承諾を得たうえで営業秘密を複製し、私物の記録媒体に保存して持ち出しているから、承諾は欺いて得たものであり、複製と持出しは詐欺による営業秘密の取得に当たり得る。アクセス権限は正当な目的で承諾を得た取得を適法にするにとどまる。本枝はそのとおりである。

窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「営業秘密不正取得行為」という。)又は営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。次号から第九号まで、第十九条第一項第七号、第二十一条及び附則第四条第一号において同じ。)
| 号 | 誰が | 何をすると不正競争か |
|---|---|---|
| 4号 | 不正の手段で取得した者 | 取得すること。取得した営業秘密を使用・開示すること(目的は不要) |
| 5号 | 不正取得の介在を知り、又は重大な過失で知らずに取得した転得者 | 取得すること。使用・開示すること |
| 6号 | 取得した後に不正取得の介在を知り、又は重大な過失で知らないでいる転得者 | 使用・開示すること |
| 7号 | 保有者から営業秘密を示された者 | 不正の利益を得る目的又は保有者に損害を加える目的で使用・開示すること |
| 8号 | 不正開示行為であること又はその介在を知り、又は重大な過失で知らずに取得した転得者 | 取得すること。使用・開示すること |
| 9号 | 取得した後に不正開示行為があったこと又はその介在を知り、又は重大な過失で知らないでいる転得者 | 使用・開示すること |
正しい。原産地誤認惹起は商品の原産地について誤認させるような表示をする行為であり、需要者が「エベレスト」を商品のイメージ表示として理解し原産地と受け取らないのであれば、誤認させる表示にならない。
2条1項20号は、商品若しくはその広告等にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡等する行為を不正競争とする。原産地について誤認させるような表示に当たるかどうかは、地名や外国語が含まれているかという形式ではなく、商品全体を観察して需要者がその表示を原産地の表示として受け取るかどうかで判断される。需要者が原産地と受け取らない表示は、地名を含んでいても誤認を生じさせないためである。エベレストは製造地として通常想定されない場所であり、需要者が「エベレスト」の文字部分を冷たさや高さを連想させる商品のイメージ表示として理解しているのであれば、日本国内で製造したアイスキャンデーにこれを付しても、原産地について誤認させるような表示には当たらない。本枝はそのとおりである。

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
正しい。法律上の守秘義務に違反する開示は営業秘密不正開示行為であり、取得時に善意でも、取得後に不正開示行為があったことを知って使用する行為は2条1項9号の不正競争となる。
2条1項8号は、営業秘密不正開示行為を、7号の図利加害目的での開示又は秘密を守る法律上の義務に違反して営業秘密を開示する行為と定義し、9号は、営業秘密を取得した後にその営業秘密について営業秘密不正開示行為があったこと若しくはその介在を知って、又は重大な過失により知らないで、その取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為を不正競争とする。専門職の乙が負う法律上の守秘義務に違反して技術情報を開示した行為は不正開示行為であり、甲がそれを知らずに取得した時点では、取得も使用も8号の不正競争にならない。しかし営業秘密の規定は取得後の使用・開示の時点でも悪意・重過失を問う構造であり、甲が乙の違反行為を知るに至った後もその情報を自社製品の研究開発に利用し続ける行為は、不正開示行為があったことを知ってその営業秘密を使用する行為として9号に当たる。本枝はそのとおりである。

その取得した後にその営業秘密について営業秘密不正開示行為があったこと若しくはその営業秘密について営業秘密不正開示行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為
正しい。22号は、パリ条約の同盟国等で商標に関する権利を有する者の代理人等が承諾なくその商標を日本で使用する行為を不正競争とし、日本で権利を持たない外国の権利者を保護する点で属地主義の例外である。
2条1項22号は、パリ条約の同盟国等において商標に関する権利を有する者の代理人若しくは代表者又は行為の日前1年以内にそうであった者が、正当な理由がないのに権利者の承諾を得ないでその商標と同一若しくは類似の商標を使用する行為などを不正競争とする。商標権の効力は登録を受けた国の領域内に限られるのが属地主義の原則であり、外国で商標権を持っていても日本で登録していなければ日本での使用を止めることはできないはずである。しかし代理人や代表者が信頼関係に反して無断で商標を使う行為を放置すれば国際的な取引の信頼が損なわれるため、パリ条約6条の7の趣旨を受けて、日本での登録や周知を要件とせずに外国の権利者を保護することにしたのが22号である。したがって本枝のとおり、22号は国際的な不正競争の防止という観点から属地主義の例外として置かれた規定である。

パリ条約(商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第四条第一項第二号に規定するパリ条約をいう。)の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。以下この号において単に「権利」という。)を有する者の代理人若しくは代表者又はその行為の日前一年以内に代理人若しくは代表者であった者が、正当な理由がないのに、その権利を有する者の承諾を得ないでその権利に係る商標と同一若しくは類似の商標をその権利に係る商品若しくは役務と同一若しくは類似の商品若しくは役務に使用し、又は当該商標を使用したその権利に係る商品と同一若しくは類似の商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは当該商標を使用してその権利に係る役務と同一若しくは類似の役務を提供する行為
誤り。違うのは「営業秘密に係る不正競争における営業秘密の開示にはあたらない」の部分である。営業秘密の開示には、秘密を保持しつつ特定の者に示すことが含まれると2条1項4号のかっこ書が明文で定めている。
2条1項4号は、営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為を不正競争としたうえで、かっこ書で、開示には秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含むと定め、この意味が5号から9号まで、19条1項7号及び21条においても同じであるとする。秘密保持を約束させて示した場合でも、保有者の管理が及ばない者の手に情報が渡ったことに変わりはないからである。非公知性の有無は情報がなお営業秘密であるかという別の問題であり、開示に当たるかの要件ではない。乙が甲から秘密保持を条件に受け取った技術情報を、同様の秘密保持を条件として協力会社1社のみに共有した行為は、まさに秘密を保持しつつ特定の者に示す行為であるから、営業秘密の開示に当たる。乙は甲から示された者であるから、図利加害目的があれば7号の不正競争となる。本枝は非公知性が失われていないことを理由に開示を否定しており、かっこ書の定義と食い違う。

窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「営業秘密不正取得行為」という。)又は営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。次号から第九号まで、第十九条第一項第七号、第二十一条及び附則第四条第一号において同じ。)
正しい。大学や国の認定を受けた旨の表示は、需要者に一定の品質が専門的・公的に保証されているとの認識を与えるから、認定が存在しないのにこれを表示することは商品の品質について誤認させるような表示である。
2条1項20号は、商品若しくはその広告等にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量について誤認させるような表示をする行為を不正競争とする。品質について誤認させるような表示とは、商品の品質そのものを直接述べる表示に限らず、需要者が商品の品質について実際と異なる認識を持つような表示を広く含む。大学や公的機関の認定を受けているという表示は、第三者による審査を経て一定の水準が保証された商品であると需要者に受け取られ、その認識が購入の判断に影響するから、品質に関する表示である。実際には当該大学や公的機関による認定が存在しないのに「○○大学認定」「国の認定を受けた製品」と表示すれば、需要者は保証のない商品を保証のある商品と誤認するから、商品の品質について誤認させるような表示に当たる。20号は目的を要件としない。本枝はそのとおりである。

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
- 表示の場所:商品、役務、その広告、取引に用いる書類、通信である
- 商品について:原産地、品質、内容、製造方法、用途、数量である。価格は列挙されていない
- 役務について:質、内容、用途、数量である
- 行為:誤認させるような表示をすること、その表示をした商品の譲渡・引渡し・展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じた提供、その表示をしての役務の提供である
- 目的:要件ではない。19号のドメイン名との違いである
誤り。違うのは「グループが共同で使用している表示は含まれない」の部分である。2条1項1号の他人には、特定の表示の使用許諾者と使用権者が商品化契約で結束したグループも含まれ、そのグループが共同で使用する表示も商品等表示に当たる。
2条1項1号は、他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用して他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為を不正競争とし、商品等表示を人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものと定義する。この規定が守るのは表示に化体した業務上の信用であり、信用の主体が単一の事業者でなければならない理由はない。最高裁は昭和59年5月29日のフットボール・シンボルマーク事件判決で、同号の他人には、特定の表示に関する商品化契約によって結束した使用許諾者、使用権者及び再使用権者のグループのように、その表示の持つ出所識別機能、品質保証機能及び顧客吸引力を保護発展させるという共通の目的のもとに結束しているものと評価できる集団も含まれると判示した。グループが共同で使用する表示も商品等表示として保護され、枝は誤っている。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
誤り。違うのは「商品形態の模倣に係る不正競争となる」の部分である。端末側の端子とかみあう部分の形態は当該商品の機能を確保するために不可欠な形態であり、2条1項3号のかっこ書で模倣の対象から除かれている。
2条1項3号は他人の商品の形態を模倣した商品の譲渡等を不正競争とするが、かっこ書で当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。商品形態模倣の規定は先行者が商品化に投じた資金と労力を模倣者がただ乗りすることを防ぐためのものであり、形態そのものに独占権を与える趣旨ではない。ある機能を果たすためにその形態をとるほかない部分まで保護すると、後発者はその機能を持つ商品を作ることができなくなり、特許や意匠によらずに技術や機能の独占を許す結果になるから、機能に不可欠な形態は保護の外に置かれている。端末機とプリンター等を接続するためのコードのプラグのうち端末側の端子とかみあう部分は、端末に接続するという機能を果たすために端子の形に合わせざるを得ない部分であり、まさに機能を確保するために不可欠な形態である。甲がその部分の形態を模倣して販売しても3号の不正競争とはならず、枝は誤っている。

この法律において「商品の形態」とは、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感をいう。
誤り。違うのは「商品形態の模倣に係る不正競争とはならない」の部分である。2条1項3号は模倣した商品を電気通信回線を通じて提供する行為を含み、デジタル空間上のアバターの衣装の形態の模倣も対象になる。
2条1項3号は、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を不正競争とする。令和5年改正で電気通信回線を通じて提供する行為が加えられたのは、デジタル空間で取引される無体物の商品でも形態の模倣による投資の横取りが起きるからである。この法律の商品は有体物に限られず、2条4項の形態も需要者が知覚によって認識できる形状や模様、色彩を対象とするから、画面上で知覚されるアバターの衣装の形態もこれに当たる。乙がデジタル空間上で販売しているアバターの衣装は資金と労力を投じて商品化された他人の商品であり、甲がその形態に依拠して実質的に同一の衣装を作りデジタル空間上で販売する行為は、模倣した商品を電気通信回線を通じて提供する行為に当たる。したがって3号の不正競争となり得るから、枝は誤っている。

他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
- 商品の形態:通常の用法で知覚できる外部・内部の形状と、結合した模様・色彩・光沢・質感である(2条4項)。機能を確保するために不可欠な形態を除く
- 模倣:依拠して実質的に同一の形態の商品を作り出すことである(2条5項)。独自創作は当たらない
- 他人の商品:資金・労力を投下して商品化を完了した物である。共同開発者は他人にならない
- 行為:譲渡・貸渡し・展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じた提供である。製造は含まない
- 保護期間:日本国内で最初に販売された日から3年である(19条1項6号イ)
- 善意の譲受人:譲り受けた時に善意無重過失なら譲渡等は適用除外である(19条1項6号ロ)
誤り。違うのは「商品の成分を示すための記載が含まれる」の部分である。商品等表示は商品又は営業の出所を表示するものであり、化粧水のラベルの成分の記載は品質や内容を示すにとどまって出所を表示しない。
2条1項1号は、商品等表示を人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものと定義する。氏名、商号、商標、容器や包装という例示に共通するのは、需要者がそれを見て誰の商品か誰の営業かを識別するという働きであり、商品等表示とは商品又は営業の出所を表示するものを指す。同号が出所の混同を生じさせる行為を不正競争とするのも、表示に蓄積した信用が他人に横取りされることを防ぐためであって、出所を示さない記載を独占させる趣旨ではない。化粧水のラベルに表示された成分の記載は、その商品に何が含まれているかという品質や内容を需要者に伝えるものであり、他の事業者の同じ成分の化粧水にも同じ記載が付くから、需要者はそれを出所の目印とは受け取らない。したがって成分を示すための記載は商品等表示に含まれず、枝は誤っている。品質の誤認を招く表示であれば20号の問題になる。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
- 1号・2号:周知な商品等表示との混同惹起と、著名な商品等表示の冒用である
- 3号:他人の商品の形態を模倣した商品の譲渡等である
- 4号〜10号:営業秘密の不正取得・使用・開示と、技術上の秘密の不正使用により生じた物の譲渡等である
- 11号〜16号:限定提供データの不正取得・使用・開示である
- 17号・18号:技術的制限手段の効果を妨げる装置等の提供である
- 19号:図利加害目的でのドメイン名の取得・保有・使用である
- 20号・21号:原産地・品質等の誤認惹起表示と、競争関係にある他人の信用毀損である
- 22号:パリ条約の同盟国等の商標権者の代理人等による商標の冒用である
正しい。15条1項の消滅時効の対象は、2条1項4号から9号までの不正競争のうち営業秘密を使用する行為に対する差止請求権に限られ、行為が継続する場合に保有者が事実及び行為者を知った時から3年で消滅する。
15条1項は、2条1項4号から9号までに掲げる不正競争のうち営業秘密を使用する行為に対する3条1項の差止請求権は、その行為を行う者がその行為を継続する場合において、保有者がその事実及びその行為を行う者を知った時から3年間行わないときは時効によって消滅すると定める。使用行為は日々続くため、保有者が知りながら長く放置した後に差止めを認めると、使用者の事業の基盤が覆されて取引の安全を害するから、継続する使用行為に限って時効を置いたものである。不正取得行為や不正開示行為は取得や開示の時点で完結する一回的な行為であり、継続する行為を前提とする同項の仕組みになじまないため、条文は使用する行為だけを対象とし、取得や開示には時効を定めていない。したがって枝の記述は正しい。同項2号は行為の開始の時から20年を経過したときも消滅すると定め、2項は限定提供データの使用行為に準用する。

第二条第一項第四号から第九号までに掲げる不正競争のうち、営業秘密を使用する行為に対する第三条第一項の規定による侵害の停止又は予防を請求する権利は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
- 対象:営業秘密を使用する行為(2条1項4〜9号)と、限定提供データを使用する行為(2条1項11〜16号)に対する差止請求権である。不正取得・不正開示には時効の定めがない
- 短期:行為が継続する場合に、保有者がその事実及び行為を行う者を知った時から3年間行わないときである
- 長期:行為の開始の時から20年を経過したときである
- 進行の単位:行為を行う者ごとに進行し、一人に対する請求権の消滅は他の者に及ばない
- 時効消滅後の使用による損害は賠償責任を負わない(4条ただし書)
正しい。営業秘密不正取得行為は窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段による取得であり(2条1項4号)、市場で購入した商品を自ら分解研究して情報を得る行為は不正の手段に当たらない。
2条1項4号は、窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為を営業秘密不正取得行為とし、その行為により取得した営業秘密を使用し又は開示する行為とともに不正競争とする。不正の手段とは窃取、詐欺、強迫に準ずる、社会通念上それ自体が違法と評価される手段を指す。市場で正当に購入した商品は買主が自由に処分できる物であり、それを分解し解析して内部の技術を知ることは、製品に化体した技術を自らの努力で読み解く行為であって、他人の管理領域を侵したり欺いたりするものではない。分解研究が容易でなかったとしても、手段の性質が変わるわけではないから、乙社の取得は不正の手段による取得に当たらない。取得が不正でない以上、その情報を用いて自社の新製品を開発し販売する行為も4号の不正競争にならず、5号以下も不正取得や不正開示の介在を前提とするから該当しない。したがって枝の記述は正しい。

窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「営業秘密不正取得行為」という。)又は営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。次号から第九号まで、第十九条第一項第七号、第二十一条及び附則第四条第一号において同じ。)
誤り。違うのは「差止請求及び損害賠償請求をすることができない」の部分である。論文の掲載で公知となった後の使用に対する差止めはできないが、公知となる前に乙が行った不正取得と使用は不正競争であり、その損害の賠償は請求できる。
2条6項は、営業秘密を秘密として管理されている事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって公然と知られていないものと定義する。丙の論文が雑誌に掲載されれば技術情報は公然と知られたものとなり、非公知性を失って営業秘密ではなくなるから、その後の乙の使用は営業秘密に係る不正競争に当たらず、将来に向けた侵害の停止又は予防を求める3条1項の差止めは請求できない。しかし4条は、故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者はこれによって生じた損害を賠償する責めに任ずると定め、損害賠償は過去の不正競争による損害を填補するものである。乙が論文掲載前に行った不正取得とそれに続く使用は、当時は営業秘密であった情報についての2条1項4号の不正競争であり、その間に甲社が受けた損害の賠償請求権は後に情報が公知になっても消えない。差止めと損害賠償の両方ができないとする枝は誤っている。

この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
- 秘密管理性:秘密として管理されていることである。秘密管理意思が合理的な管理措置によって従業員等に示され、認識できる状態にあることが要る
- 有用性:事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であることである。法令違反や反社会的な行為に関する情報は除かれる
- 非公知性:公然と知られていないことである。保有者の管理下以外では一般に入手できない状態をいう
誤り。違うのは「全て不正競争として、差止請求の対象となる」の部分である。取得後に不正取得の介在を知った使用は6号の不正競争になるが、取引によって善意無重過失で取得した者がその取引で取得した権原の範囲内で使用する行為には差止めの規定が適用されない(19条1項7号)。
2条1項6号は、営業秘密を取得した後にその営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその営業秘密を使用し又は開示する行為を不正競争とする。丙は取得の時に不正アクセスの介在を知らなかったが、甲の通知で知った後の使用は6号の不正競争となるのが原則である。しかし19条1項7号は、取引によって営業秘密を取得した者で、取得の時に不正取得行為や不正開示行為の介在を知らず、かつ知らないことについて重大な過失がない者が、その取引によって取得した権原の範囲内で営業秘密を使用し又は開示する行為には、3条から15条までを適用しないと定める。善意で取得した者の事業を後から止めれば取引の安全を害するため、権原の範囲内の使用は差止めの対象から外されている。丙が乙との取引によって取得していれば、悪意となった後でも権原の範囲内の使用は差止めを受けず、全てが差止請求の対象となるとする枝は誤っている。

第二条第一項第四号から第九号までに掲げる不正競争取引によって営業秘密を取得した者(その取得した時にその営業秘密について営業秘密不正開示行為であること又はその営業秘密について営業秘密不正取得行為若しくは営業秘密不正開示行為が介在したことを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)がその取引によって取得した権原の範囲内においてその営業秘密を使用し、又は開示する行為
誤り。違うのは「限定提供データに係る不正競争に該当する」の部分である。保有者から示された限定提供データの開示が14号の不正競争となるのは不正の利益を得る目的又は保有者に損害を加える目的がある場合に限られ、納期に間に合わせるための再委託先への開示はこれを欠く。
2条1項14号は、限定提供データ保有者からその限定提供データを示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、そのデータを使用する行為(管理に係る任務に違反して行うものに限る)又は開示する行為を不正競争とする。限定提供データは営業秘密と違って多数の者に提供されることを前提とするため、示された者の行為まで広く不正競争にすると正常なデータの流通を妨げるので、図利加害目的という主観的要件で絞りをかけている。乙は業務委託契約で第三者への開示と再委託を禁じられており、丙への開示は契約違反であるが、その目的は甲から受託した業務を納期内に仕上げることにあり、乙が不正に利益を得ようとしたものでも甲に損害を加えようとしたものでもない。契約違反の責任は民事上生じるが、図利加害目的を欠く以上は14号の不正競争に該当せず、枝は誤っている。

限定提供データを保有する事業者(以下「限定提供データ保有者」という。)からその限定提供データを示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその限定提供データ保有者に損害を加える目的で、その限定提供データを使用する行為(その限定提供データの管理に係る任務に違反して行うものに限る。)又は開示する行為
| 営業秘密(4〜10号) | 限定提供データ(11〜16号) | |
|---|---|---|
| 転得者の主観 | 知って又は重大な過失により知らないで取得(5号・8号) | 知って取得した場合だけ(12号・15号) |
| 取得後に知った場合 | 使用と開示が不正競争(6号・9号) | 開示だけが不正競争(13号・16号) |
| 示された者の行為 | 図利加害目的の使用・開示(7号) | 図利加害目的の開示と、管理に係る任務に違反する図利加害目的の使用(14号) |
| 生じた物の譲渡等 | 10号がある | 対応する号がない |
| 刑事罰 | 21条1項・2項で処罰 | 刑事罰がない |
誤り。違うのは「その表示の態様の如何にかかわらず、品質の誤認惹起に係る不正競争には該当しない」の部分である。2条1項20号は品質や内容について誤認させるような表示を対象とし、本みりんの文字を目立たせるなど表示の態様によっては本みりんと誤認させる表示になる。
2条1項20号は、商品若しくはその広告等にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量について誤認させるような表示をする行為を不正競争とする。誤認させるような表示に当たるかは、表示の文言だけで決まるのではなく、文字の大きさや配置、色彩、商品全体の外観を需要者がどう受け取るかによって判断される。本みりんタイプ調味料という語は、文字どおり読めばみりんではない調味料を示しているが、本みりんの部分を大きく目立たせ、タイプや調味料の部分を小さく添えるような態様で容器に付せば、需要者は酒税法上のみりんであると受け取りかねず、品質や内容について誤認させるような表示となる。裁判例もこの表示の態様による誤認を認めている。したがって表示の態様の如何にかかわらず該当しないとする枝は誤っている。20号は目的を要件としないから、誤認させる意図がなくても該当する。

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
- 表示の場所:商品、役務、その広告、取引に用いる書類、通信である
- 商品について:原産地、品質、内容、製造方法、用途、数量である。価格は列挙されていない
- 役務について:質、内容、用途、数量である
- 行為:誤認させるような表示をすること、その表示をした商品の譲渡・引渡し・展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じた提供、その表示をしての役務の提供である
- 目的:要件ではない。19号のドメイン名との違いである
誤り。違うのは「誤認させるような表示の対象として明示的に列挙されている」の部分である。2条1項20号が商品について列挙するのは原産地、品質、内容、製造方法、用途、数量であり、価格は列挙されていない。
2条1項20号は、商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信に、その商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量、又はその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をする行為を不正競争とする。列挙されている事項は商品や役務そのものの属性であり、商品がどこで作られ、どのような性質と中身を持ち、どう作られ、何に使え、どれだけあるかという需要者の選択を左右する点が対象である。価格はこれらの属性とは別に取引条件として定まるものであり、条文はそれを列挙していない。不当な価格表示は景品表示法の有利誤認表示として規制され、20号には価格の表示が品質や内容の誤認を伴う場合に解釈上該当し得るにとどまる。したがって価格が明示的に列挙されているとする枝は誤っている。役務についての列挙に原産地と製造方法が無い点も商品との違いである。

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
誤り。違うのは「適格消費者団体を通じることにより、甲に対し、不正競争防止法に基づく差止請求及び損害賠償請求を行うことができる」の部分である。差止めと損害賠償を請求できるのは営業上の利益を侵害された者であり(3条1項・4条)、一般消費者は請求主体にならず、不正競争防止法に適格消費者団体による請求の制度もない。
3条1項は、不正競争によって営業上の利益を侵害され又は侵害されるおそれがある者が侵害の停止又は予防を請求できると定め、4条は故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者がその損害を賠償すると定める。牛肉に鶏肉や豚肉を混ぜたひき肉を牛肉のみを原料とするかのように表示して販売する行為は、商品の品質や内容について誤認させるような表示であり、2条1項20号の不正競争に当たる。しかし請求権を与えられているのは競争上の地位を害された事業者である。誤認して商品を買った一般消費者は営業上の利益を侵害された者ではなく、差止めも損害賠償も請求できない。消費者契約法や景品表示法には適格消費者団体が差止めを請求する制度があるが、不正競争防止法にはその制度がないから、適格消費者団体を通じて請求することもできない。したがって枝は誤っている。

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
正しい。技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる無効化装置の譲渡には3条から15条までの規定が適用されないから(19条1項10号)、甲に過失があっても4条の損害賠償を請求することはできない。
2条1項17号は、営業上用いられている技術的制限手段の効果を妨げることにより影像の視聴等を可能とする機能を有する装置を譲渡する行為を不正競争とする。甲が乙に譲渡した装置は丙の技術的制限手段を無効化する機能を有するから、譲渡は形式的には17号に当たる。しかし19条1項10号は、17号及び18号の不正競争のうち、技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる装置等を譲渡する行為には、3条から15条まで、21条及び22条の規定を適用しないと定める。より優れた手段を開発するには既存の手段を無効化して調べる必要があり、研究のための装置の流通まで止めれば技術の発展を妨げるからである。乙は丙より優れた技術的制限手段を自社事業に用いるために研究しようとしており、甲の譲渡は試験又は研究のために用いられる装置の譲渡に当たるから、4条の損害賠償の規定も適用されない。したがって甲に過失があっても丙は損害賠償を請求できず、枝の記述は正しい。

第二条第一項第十七号及び第十八号に掲げる不正競争技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる同項第十七号及び第十八号に規定する装置、これらの号に規定するプログラム若しくは指令符号を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該プログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為又は技術的制限手段の試験又は研究のために行われるこれらの号に規定する役務を提供する行為
- 1号(1号・2号・20号・22号):普通名称等を普通に用いられる方法で使用・表示する行為である。ぶどうを原料又は材料とする物の原産地の名称は除かれる
- 2号(1号・2号・22号):自己の氏名を不正の目的でなく使用する行為である
- 4号・5号(1号・2号):他人の表示が周知・著名になる前から使用する者とその業務の承継者が、不正の目的でなく使用する行為である
- 6号(3号):日本国内で最初に販売された日から3年を経過した商品の形態模倣品の譲渡等と、譲り受けた時に善意無重過失の譲受人による譲渡等である
- 7号(4号〜9号):取引によって営業秘密を取得した時に善意無重過失の者が、その権原の範囲内で使用・開示する行為である
- 9号(11号〜16号):取引によって限定提供データを取得した時に善意の者が権原の範囲内で開示する行為と、無償で公衆に利用可能な情報と同一の限定提供データの取得・使用・開示である
- 10号(17号・18号):技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる装置等の譲渡等と役務の提供である
誤り。違うのは「原産地の誤認惹起に係る不正競争に該当する」の部分である。原産地は商品に商品価値が付与された地であり、輸入部品を組み立て基準を満たす調整をして完成品にする工程を日本で行っていれば、日本製の表示は原産地を誤認させない。
2条1項20号は、商品の原産地について誤認させるような表示をする行為を不正競争とする。原産地とは商品が生産、製造又は加工されてその商品としての価値を与えられた地をいい、部品や原材料がどこから来たかではなく、需要者が取引の対象とする完成品がどこで作り出されたかで判断される。3つの部品がX国、Y国、Z国で製造されていても、それらは組み立てられる前の部品にすぎず、製品としての商品は日本で組み立てられ、製品に求められる基準を満たす調整を経て初めて完成する。部品を単に箱詰めするだけなら価値の付与とはいえないが、組立てと基準を満たすための調整は製品に完成品としての商品価値を与える実質的な工程であるから、この製品の原産地は日本であり、日本製の表示は需要者の認識と食い違わない。したがって原産地を誤認させるような表示には当たらず、枝は誤っている。

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
誤り。違うのは「虚偽の事実の告知となり、信用毀損に係る不正競争に該当する」の部分である。21号の告知又は流布は他人以外の者に伝える行為であり、侵害者とされた乙自身に警告書を送るだけでは該当しない。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争とする。営業上の信用とは取引先や需要者が抱く営業活動への外部的な評価であり、それが害されるのは、虚偽の事実がその他人以外の第三者に伝わって評価を下げるときである。したがって告知や流布は他人以外の者に伝える行為を意味し、相手方本人に直接告げるだけでは第三者の評価は動かず、信用毀損にならない。甲の警告書は乙自身に宛てて乙の商品の販売中止を求めたものであり、乙の取引先や需要者に向けられていないから、後に甲の敗訴が確定して侵害の主張が誤りであったと判明しても、21号の告知又は流布には当たらない。警告書の送付に伴う損害は民法の不法行為の問題として残るにすぎない。したがって枝は誤っている。乙の取引先に同じ内容を通知していれば、虚偽の事実の告知として該当し得る。

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
- 競争関係:双方の営業につき需要者又は取引者を共通にする可能性があれば足りる。無関係の相手への中傷は民法709条の不法行為である
- 虚偽の事実:客観的真実に反する事実である。真実や、証拠による証明になじまない意見・論評は含まれない
- 営業上の信用:営業活動に関する経済上の外部的評価で、商品・役務の社会的評価や支払能力・営業能力への社会的信頼を含む
- 告知・流布:他人以外の者に伝える行為である。相手方本人に直接告げるだけでは該当しない
- 目的:要件ではない
誤り。違うのは「乙社の会社名を記載していない限り、信用毀損に係る不正競争に該当しない」の部分である。信用を害される他人は名称が明示されていなくても、告知の内容から相手方が誰を指すか理解できれば特定されたといえる。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争とする。信用を害される他人はある程度特定されている必要があるが、それは告知を受けた者がどの事業者の信用に関わる話か分かることを求める趣旨であり、会社名を文字で記載することまでは要しない。靴Aの写真を同封して乙社の取引先である量販店に送れば、量販店は自らが仕入れている靴Aの販売元が乙社であることを知っているから、通知が乙社の商品を侵害品だと述べていることを容易に理解できる。競業する靴メーカー甲社と乙社の間には競争関係があり、乙社が特許権を侵害していないと判断された以上、通知の内容は虚偽の事実であって、乙社の取引先に向けた告知は乙社の営業上の信用を害する。甲社が侵害を信じていたとしても21号に目的や故意の要件はない。したがって会社名の記載がない限り該当しないとする枝は誤っている。

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
誤り。違うのは「信用毀損に係る不正競争に該当する」の部分である。21号は競争関係にある他人の信用を害する場合に限られ、専業の動画配信者である乙と引っ越し業者である甲社の間には需要者や取引者を共通にする競争関係がない。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争とする。不正競争防止法は事業者間の公正な競争を確保する法律であるから、信用毀損についても競争関係にある者の間の行為だけを対象とし、競争関係は双方の営業について需要者又は取引者を共通にする可能性があれば足りると広く解されている。しかし専業の動画配信者である乙の営業は動画の配信であり、引っ越し業者である甲社の営業は引っ越しの役務の提供であって、両者が需要者や取引者を共通にする可能性はない。乙が虚偽の事実を述べる動画を配信して甲社がクレーム対応に追われたとしても、それは顧客としての不満から出た行為であり、競争上の地位を得るための行為ではない。したがって乙の動画配信は21号の不正競争に該当せず、甲社の救済は民法709条の不法行為や名誉毀損の問題として図られることになる。枝は誤っている。

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
正しい。21号の虚偽の事実とは客観的真実に反する事実であり、乙に対して訴訟を提起したという事実は真実であるから、後に甲の敗訴が確定しても掲載行為は信用毀損に係る不正競争に該当しない。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争とする。虚偽の事実とは客観的な真実に反する事実をいい、告知した内容が真実であれば、それによって相手の信用が下がったとしても21号には当たらない。甲がホームページに掲載したのは、乙に対して著作権侵害に基づく損害賠償を求める訴訟を提起したという事実であり、訴訟が現に提起された以上この事実は客観的真実に合致する。乙が著作権を侵害したという甲の主張が後に裁判所で退けられ敗訴が確定しても、それは甲の主張の当否が否定されたということであって、訴訟を提起したという掲載内容が虚偽に変わるわけではない。したがって掲載行為は虚偽の事実の流布に当たらず、信用毀損に係る不正競争に該当しないから、枝の記述は正しい。乙が侵害者であると断定して掲載していれば、虚偽の事実の流布として該当し得る。

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
誤り。違うのは「他人の商品の形態がありふれた形態であったとしても、その形態を模倣した商品を譲渡する行為は不正競争に該当する」の部分である。ありふれた形態は2条1項3号で保護される商品の形態に当たらない。
2条1項3号は、他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を不正競争とする。この規律は、資金や労力を投じて商品化した先行者の成果を、日本国内で最初に販売された日から3年という期間に限って、他人のただ乗りから守るものである(19条1項6号イ)。保護の根拠が先行者の開発の成果にある以上、同種の商品に普通に見られるありふれた形態は、先行者が独自に作り出した成果とはいえず、これを特定の者に独占させれば後発者の自由な商品開発を妨げる。そのため、ありふれた形態は同号の商品の形態に当たらないと解されている。本枝は、規律の目的を正しく述べながら、そこから形態の内容を問わずに保護されるという逆の結論を導いている点で誤っている。

他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
- 当該商品の機能を確保するために不可欠な形態(条文で明示)
- 同種の商品に普通に見られるありふれた形態(解釈による)
- 日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過した商品の形態(19条1項6号イ)
- 商品の形態とは、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感をいう(2条4項)
誤り。違うのは「不正競争防止法第5条の損害の額の算定に係る規定の適用の有無に影響する」の部分である。5条1項の技術上の秘密への限定は令和5年改正で削られ、営業上の秘密でも同条が適用される。
5条1項は、2条1項1号から16号まで又は22号に掲げる不正競争によって営業上の利益を侵害された者が損害賠償を請求する場合に、侵害者が侵害の行為を組成した物を譲渡したときは、譲渡数量に単位数量当たりの利益の額を乗じた額などの合計額を損害の額とすることができると定める。令和5年改正前は、営業秘密に係る4号から9号までの不正競争については技術上の秘密に関するものに限って同項が適用され、顧客名簿のような営業上の秘密には使えなかった。改正により、営業上の秘密を使用して製造した商品の譲渡でも譲渡数量に基づく算定ができるようにこの限定が削られ、現行の5条1項の文言に技術上の秘密と営業上の秘密の区別はない。2項、3項3号にもこの区別はない。したがって、甲の営業秘密が営業上の秘密であったことは5条の各規定の適用の有無に影響せず、本枝は改正前の条文を前提にしている点で誤っている。

第二条第一項第一号から第十六号まで又は第二十二号に掲げる不正競争によって営業上の利益を侵害された者(以下この項において「被侵害者」という。)が故意又は過失により自己の営業上の利益を侵害した者(以下この項において「侵害者」という。)に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、侵害者がその侵害の行為を組成した物(電磁的記録を含む。以下この項において同じ。)を譲渡したとき(侵害の行為により生じた物を譲渡したときを含む。)、又はその侵害の行為により生じた役務を提供したときは、次に掲げる額の合計額を、被侵害者が受けた損害の額とすることができる。
| 規定 | 内容 | 対象となる不正競争 |
|---|---|---|
| 1項 | 譲渡数量×単位数量当たりの利益の額など | 1号〜16号・22号(営業秘密は技術上・営業上を問わない) |
| 2項 | 侵害者の利益の額を損害の額と推定 | すべての不正競争 |
| 3項 | 使用料相当額を損害の額として請求 | 1号〜9号・11号〜16号・19号・22号 |
誤り。違うのは「ドメイン名の取得時に乙が甲に高値で売却する目的を有していたときに限り」の部分である。5条4項は、不正競争があったことを前提とした合意で得られる対価の考慮を、取得時の目的で限定していない。
5条3項5号は、2条1項19号のドメイン名に係る不正競争によって営業上の利益を侵害された者が、当該侵害に係るドメイン名の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額を自己の損害の額として賠償請求できると定める。そして5条4項は、裁判所がこの金額を認定するに当たり、営業上の利益を侵害された者が、当該行為の対価について不正競争があったことを前提として当該不正競争をした者との間で合意をするとしたならば得ることとなる対価を考慮できると定める。通常の許諾の相場で算定すると侵害が割に合う結果になるため、令和5年改正で侵害を前提とした交渉で決まるであろう額を考慮できるとした。この考慮は損害額の算定の問題であり、2条1項19号の図利加害目的の内容や、ドメイン名の取得時に高値で売却する目的があったかどうかとは結び付けられていない。本枝はこの限定を付け加えている点で条文とずれている。

裁判所は、第一項第二号イからホまで及び前項各号に定める行為に対し受けるべき金銭の額を認定するに当たっては、営業上の利益を侵害された者が、当該行為の対価について、不正競争があったことを前提として当該不正競争をした者との間で合意をするとしたならば、当該営業上の利益を侵害された者が得ることとなるその対価を考慮することができる。
- 対象となる不正競争:2条1項1号〜9号、11号〜16号、19号、22号
- 額:各号に定める行為(商品等表示の使用、商品の形態の使用、営業秘密の使用、限定提供データの使用、ドメイン名の使用、商標の使用)に対し受けるべき金銭の額に相当する額
- 認定の際の考慮:不正競争があったことを前提として合意をするとしたならば得ることとなる対価(4項)。取得時の目的による限定はない
- 5条3項の額を超える損害の賠償請求も妨げられない(5項)
正しい。2条10項のドメイン名は「インターネットにおいて」電子計算機を識別するための番号等に対応する文字等であり、特定の者のみがアクセス可能なネットワーク上のサーバを識別する文字列は当たらない。
2条1項19号は、不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為を不正競争とする。そして2条10項は、ドメイン名を、インターネットにおいて、個々の電子計算機を識別するために割り当てられる番号、記号又は文字の組合せに対応する文字、番号、記号その他の符号又はこれらの結合と定義する。この規律はインターネット上で他人の表示を先取りする行為を抑えるものであり、対象は定義のとおりインターネットにおける識別子に限られる。特定の者のみがアクセス可能な社内ネットワークなどの上のサーバを識別するために他人の特定商品等表示と同一又は類似の文字列を使っても、それはインターネットにおいて割り当てられる番号等に対応する文字等ではなく、ドメイン名に当たらない。図利加害目的があっても同号の不正競争には該当しない。

この法律において「ドメイン名」とは、インターネットにおいて、個々の電子計算機を識別するために割り当てられる番号、記号又は文字の組合せに対応する文字、番号、記号その他の符号又はこれらの結合をいう。
- 目的:不正の利益を得る目的、又は他人に損害を加える目的(図利加害目的)
- 対象:他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するもの)と同一若しくは類似のドメイン名
- ドメイン名:インターネットにおいて個々の電子計算機を識別するための番号等に対応する文字等(2条10項)。閉じたネットワーク上の識別子やSNSのアカウント名は当たらない
- 行為:使用する権利の取得、保有、使用のいずれか。周知性や混同のおそれは要件でない
正しい。特定商品等表示は人の業務に係る商品又は役務を表示するものであるから、1号・2号の商品等表示と同じく、自他識別機能又は出所識別機能を備えていることが要る。
2条1項19号は、特定商品等表示を、人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものと定義する。1号・2号の商品等表示とは語が異なるが、人の業務に係る商品又は役務を表示するものという点は共通である。ある表示が商品又は役務を表示するといえるのは、それを見た需要者がその商品又は役務を他のものと区別し、誰の業務に係るものかを認識できる場合であるから、表示には自他識別機能又は出所識別機能が備わっていなければならない。商品の普通名称や取引上普通に用いられる語は、これらの機能を欠くため特定商品等表示に当たらず、その語を含むドメイン名を取得しても同号の不正競争にならない。なお、19号は1号の周知性や2号の著名性を要件としておらず、識別機能があれば足りる点で1号・2号より広い。本枝はこの要件のとおりである。

不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為
| 商品等表示(1号・2号) | 特定商品等表示(19号) | |
|---|---|---|
| 定義 | 人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するもの | 人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するもの |
| 識別機能 | 自他識別機能又は出所識別機能が要る | 同じく要る |
| 周知性・著名性 | 1号は周知、2号は著名であることが要る | 要らない |
| 混同のおそれ | 1号は要る、2号は要らない | 要らない |
誤り。違うのは「SNS のアカウント名として使用する行為は、ドメイン名に係る不正競争に該当する」の部分である。SNSのアカウント名はサービス内で利用者を識別する文字列であって、2条10項のドメイン名ではない。
2条1項19号の対象は、他人の特定商品等表示と同一若しくは類似の「ドメイン名」の取得、保有又は使用である。2条10項によれば、ドメイン名とは、インターネットにおいて個々の電子計算機を識別するために割り当てられる番号、記号又は文字の組合せ、すなわちIPアドレスに対応する文字、番号、記号その他の符号又はこれらの結合をいう。これに対し、SNSのアカウント名は、特定のサービスの中でその利用者を識別するためにサービス事業者が管理する名称であって、電子計算機を識別するための番号等に対応するものではない。したがって、図利加害目的で他人の特定商品等表示と同一又は類似の文字列をアカウント名として使っても、2条1項19号の不正競争には該当しない。本枝はアカウント名をドメイン名と同視している点で定義とずれている。こうした行為は2条1項1号又は2号で問題になり得るにとどまる。

不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為
正しい。2条6項の営業秘密は「事業活動に有用な」情報であることを要し、違法薬物の製造に関する情報のような反社会的な情報は法が保護すべき有用性を欠く。
2条6項は、営業秘密を、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものと定義する。有用性の要件は、その情報が事業活動に客観的に役立つことを求めるものであるが、不正競争防止法が営業秘密を保護するのは、事業者の正当な事業活動の成果を守ることで公正な競争を確保するためである(1条)。違法薬物の製造方法のように、それ自体が犯罪に当たる行為に関する情報や、脱税や有害物質の垂れ流しの情報のような反社会的な情報は、法が保護すべき正当な事業活動に役立つものとはいえず、有用性を欠くと解されている。こうした情報は、秘密として管理され公然と知られていなくても営業秘密に該当せず、持ち出されても不正競争防止法による救済の対象にならない。本枝は有用性の要件の理解のとおりである。

この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
- 秘密管理性:秘密として管理されていること。保有者の秘密管理の意思が従業者等に明確に示されていること
- 有用性:事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること。反社会的な情報は当たらず、失敗の実験データのような消極的な情報は当たる
- 非公知性:公然と知られていないこと。保有者の管理下以外では一般に入手できないこと
正しい。2条1項9号は、営業秘密を取得した後に営業秘密不正開示行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないで、その営業秘密を使用し、又は開示する行為を不正競争とする。
2条1項9号は、その取得した後にその営業秘密について営業秘密不正開示行為があったこと若しくは営業秘密不正開示行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為を不正競争と定める。取得の時には不正開示の介在を知らず重大な過失もなかった者は、取得自体は8号の不正競争にならないが、その後に事情を知った、あるいは重大な過失で知らないままである場合に、なお使用や開示を続けることまで認めると、不正開示によって流出した営業秘密が転得者の手で広がり続けてしまう。そこで法は、取得後の悪意又は重過失の時点から先の使用と開示を不正競争とした。本枝は、取得後に不正開示行為の介在を重大な過失により知らないで使用する行為であり、9号の文言にそのまま当たる。なお、善意無重過失で取引によって取得した者がその権原の範囲内で使用又は開示する行為は、19条1項7号で適用除外となる。

その取得した後にその営業秘密について営業秘密不正開示行為があったこと若しくはその営業秘密について営業秘密不正開示行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為
| 介在した行為 | 取得の時に知って又は重過失で知らないで | 取得した後に知って又は重過失で知らないで |
|---|---|---|
| 営業秘密不正取得行為 | 取得・使用・開示が不正競争(5号) | 使用・開示が不正競争(6号) |
| 営業秘密不正開示行為 | 取得・使用・開示が不正競争(8号) | 使用・開示が不正競争(9号) |
| 共通 | 重大な過失により知らない場合も含む | 取引で取得した権原の範囲内の使用・開示は適用除外(19条1項7号) |
正しい。市販の商品からリバースエンジニアリングによってごく簡単に入手できる情報は、誰でも容易に知り得るから公然と知られていないとはいえず、秘密として管理されていても営業秘密に該当しない。
2条6項の営業秘密は、秘密管理性、有用性、非公知性の三つをすべて満たす情報に限られ、一つでも欠ければ該当しない。非公知性は保有者の管理下以外では一般に入手できないことをいい、市場で誰でも手に入る物から容易に取り出せるかという観点でも判断される。通販サイトで購入できる商品は誰でも入手でき、その商品を分解や分析して構造や成分を調べるリバースエンジニアリングによってごく簡単に得られる情報は、保有者が社内で秘密として管理していたとしても、事実上一般に入手できる状態に置かれている。このような情報を営業秘密として保護すると、商品を買って調べるという正当な競争の手段まで妨げることになるため、非公知性を欠くとして営業秘密に該当しないと解されている。本枝はこの理解のとおりである。これに対し、解析に多大な費用や時間を要し簡単には得られない情報は、なお非公知性を保つ。

この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
誤り。違うのは「秘密として管理されている情報は、限定提供データに該当することはない」の部分である。2条7項が限定提供データから除くのは営業秘密であり、秘密管理されていても営業秘密に当たらない情報は該当し得る。
2条7項は、限定提供データを、業として特定の者に提供する情報として電磁的方法により相当量蓄積され、及び管理されている技術上又は営業上の情報(営業秘密を除く)と定義する。この制度は、秘密ではないが特定の者に限って提供される価値あるデータを保護するもので、営業秘密の保護と重ならないよう営業秘密を除いている。令和5年改正前の条文は「秘密として管理されているものを除く」と定めていたため、秘密として管理されてはいるが公然と知られているなどの理由で営業秘密に当たらない情報は、営業秘密としても限定提供データとしても保護されない隙間が生じていた。改正はこの隙間を埋めるために除外の対象を「営業秘密」に改めたものであり、現行法では、秘密として管理されている情報であっても、非公知性を欠いて営業秘密に該当しないものは、他の要件を満たせば限定提供データに該当し得る。本枝は改正前の条文の枠組みで述べている点で誤っている。

この法律において「限定提供データ」とは、業として特定の者に提供する情報として電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によっては認識することができない方法をいう。次項において同じ。)により相当量蓄積され、及び管理されている技術上又は営業上の情報(営業秘密を除く。)をいう。
- 限定提供性:業として特定の者に提供する情報であること
- 相当蓄積性:電磁的方法により相当量蓄積されていること
- 電磁的管理性:電磁的方法により管理されていること
- 技術上又は営業上の情報であること
- 営業秘密でないこと。令和5年改正前は「秘密として管理されているもの」が除かれていた
正しい。非公知性は保有者の管理下以外では一般に入手できない状態をいい、第三者乙が先に独自に開発していても乙が秘密として管理していれば公然と知られたことにならない。
2条6項は営業秘密の要件の一つとして「公然と知られていないもの」であることを求める。非公知性とは、その情報が刊行物に記載されるなどして保有者の管理下以外では一般に入手できない状態にあることをいう。情報は有体物と違って複数の者が同時に持つことができるから、同じ内容の情報を他の者が持っているというだけでは、公然と知られたことにはならない。問題は、その情報が一般に知られ得る状態に置かれているかどうかである。甲より前に第三者乙が同じ技術情報を独自に開発していても、乙もそれを秘密として管理している限り、その情報は甲と乙の管理下にとどまっており、一般に入手できる状態にはない。したがって甲の保有する技術情報は非公知性を失わず、秘密管理性と有用性を満たせば営業秘密に該当し得る。本枝はこの理解のとおりである。営業秘密の非公知性は、秘密を守っている者が複数いても保たれる。

この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
正しい。2条1項14号は、限定提供データ保有者から示された限定提供データを図利加害目的で使用する行為について、その管理に係る任務に違反して行うものに限って不正競争とする。
2条1項14号は、限定提供データ保有者からその限定提供データを示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその限定提供データ保有者に損害を加える目的で、その限定提供データを使用する行為(その限定提供データの管理に係る任務に違反して行うものに限る)又は開示する行為を不正競争と定める。営業秘密に関する7号が図利加害目的での使用又は開示をそのまま不正競争とするのに対し、14号は使用について任務違反の限定を付けている。限定提供データを示された者がデータを使うこと自体は契約で予定された正常な利用であるから、図利加害目的だけで使用を不正競争にすると許された範囲の利用まで萎縮させる。そこで法は、使用については提供条件などで定まる管理上の任務に違反する場合に限ることにした。本枝は、図利加害目的があっても任務違反がなければ使用は不正競争に当たらないとするもので、条文の括弧書きのとおりである。

限定提供データを保有する事業者(以下「限定提供データ保有者」という。)からその限定提供データを示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその限定提供データ保有者に損害を加える目的で、その限定提供データを使用する行為(その限定提供データの管理に係る任務に違反して行うものに限る。)又は開示する行為
| 営業秘密(7号) | 限定提供データ(14号) | |
|---|---|---|
| 目的 | 図利加害目的 | 図利加害目的 |
| 使用 | 不正競争 | 管理に係る任務に違反して行うものに限って不正競争 |
| 開示 | 不正競争 | 不正競争(任務違反の限定なし) |
誤り。違うのは「その限定提供データを使用する行為は、限定提供データに係る不正競争に該当する」の部分である。16号が取得後に悪意となった者について不正競争とするのは開示する行為だけである。
2条1項16号は、その取得した後にその限定提供データについて限定提供データ不正開示行為があったこと又は限定提供データ不正開示行為が介在したことを知ってその取得した限定提供データを開示する行為を不正競争と定める。営業秘密について同じ場面を定める9号は、取得後に知って「使用し、又は開示する行為」を対象とするが、16号の対象は開示だけであり、使用は含まれていない。取得の時に善意であった者はそのデータを前提に事業を進めているのが通常であり、後から知ったという理由で使用を止めさせると善意の取得者に大きな不利益を与える。他方、不正に流出したデータがさらに広がることは防ぐ必要があるから、開示だけを不正競争とした。したがって、取得後に不正開示行為の介在を知って限定提供データを使用する行為は16号に該当せず、本枝は誤っている。不正取得行為が介在した場合の13号も同じく開示だけを対象とする。

その取得した後にその限定提供データについて限定提供データ不正開示行為があったこと又はその限定提供データについて限定提供データ不正開示行為が介在したことを知ってその取得した限定提供データを開示する行為
誤り。違うのは「重過失により知らないで限定提供データを取得する行為は、限定提供データに係る不正競争に該当する」の部分である。12号は不正取得行為の介在を「知って」取得する行為だけを対象とし、重過失は含まない。
2条1項12号は、その限定提供データについて限定提供データ不正取得行為が介在したことを知って限定提供データを取得し、又はその取得した限定提供データを使用し、若しくは開示する行為を不正競争と定める。営業秘密について同じ場面を定める5号は、不正取得行為の介在を「知って、若しくは重大な過失により知らないで」取得する行為を対象とするが、12号にはこの重大な過失の文言がない。限定提供データは秘密ではなく広く取引されるものであるから、重過失の場合まで不正競争とするとデータ取引の安全を損なう。そのため法は、限定提供データの転得者については悪意の場合に限って不正競争とした。したがって、不正取得行為が介在したことを重過失により知らないで限定提供データを取得する行為は12号に該当せず、本枝は営業秘密の5号と同じ要件を当てはめている点で誤っている。

その限定提供データについて限定提供データ不正取得行為が介在したことを知って限定提供データを取得し、又はその取得した限定提供データを使用し、若しくは開示する行為
誤り。違うのは「その限定提供データを開示する行為は、刑事罰の対象となる」の部分である。13号の不正競争であり民事の救済は受けられるが、21条の罰則は限定提供データに係る不正競争を対象としていない。
2条1項13号は、その取得した後にその限定提供データについて限定提供データ不正取得行為が介在したことを知ってその取得した限定提供データを開示する行為を不正競争と定めるから、本枝の行為は不正競争に当たり、3条の差止請求や4条の損害賠償請求の対象となる。しかし、刑事罰を定める21条は、1項・2項で営業秘密の不正取得・使用・開示などを、3項で周知表示の混同惹起、著名表示の冒用、商品形態模倣、技術的制限手段の無効化、誤認惹起表示、秘密保持命令違反などを処罰の対象に挙げるが、限定提供データに係る11号から16号までの不正競争はどこにも掲げられていない。限定提供データは営業秘密と違って秘密ではなく、取引で広く提供されるデータであるため、制度の導入時に、刑事罰まで科すと萎縮が大きいとして民事の救済に限ることとされた。したがって、本枝の開示行為は不正競争ではあるが刑事罰の対象とはならず、誤りである。

その取得した後にその限定提供データについて限定提供データ不正取得行為が介在したことを知ってその取得した限定提供データを開示する行為
- 不正競争となる行為:2条1項11号から16号まで
- 民事の救済:差止請求(3条)、損害賠償(4条)と損害額の推定(5条)、信用回復措置(14条)
- 刑事罰:21条に規定がなく、科されない
- 適用除外:取引によって取得した時に不正取得・不正開示の介在を知らなかった者がその権原の範囲内で開示する行為、無償で公衆に利用可能となっている情報と同一の限定提供データの取得・使用・開示(19条1項9号)
誤り。違うのは「重過失により知らないで限定提供データを取得する行為は、限定提供データに係る不正競争に該当する」の部分である。15号は不正開示行為の介在を「知って」取得する行為だけを対象とし、重過失は含まない。
2条1項15号は、その限定提供データについて限定提供データ不正開示行為であること若しくは限定提供データ不正開示行為が介在したことを知って限定提供データを取得し、又はその取得した限定提供データを使用し、若しくは開示する行為を不正競争と定める。営業秘密に関する8号が「知って、若しくは重大な過失により知らないで」と定めるのと違い、15号の主観的要件は悪意に限られている。限定提供データは多数の者の間で取引されるから、取得者に調査の義務を課して重過失まで不正競争にするとデータの正常な流通が萎縮する。そのため法は、営業秘密より主観的要件を絞り、悪意の転得者だけを対象にした。したがって、不正開示行為の介在を重大な過失により知らないで限定提供データを取得する行為は、15号の不正競争に該当せず、本枝は営業秘密の8号の要件を限定提供データに持ち込んでいる点で誤っている。

その限定提供データについて限定提供データ不正開示行為(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその限定提供データを開示する行為をいう。以下同じ。)であること若しくはその限定提供データについて限定提供データ不正開示行為が介在したことを知って限定提供データを取得し、又はその取得した限定提供データを使用し、若しくは開示する行為
| 場面 | 営業秘密 | 限定提供データ |
|---|---|---|
| 不正取得行為の介在を知って取得・使用・開示 | 5号。重過失で知らない場合も含む | 12号。悪意に限る |
| 不正開示行為の介在を知って取得・使用・開示 | 8号。重過失で知らない場合も含む | 15号。悪意に限る |
| 取得後に不正取得行為の介在を知った | 6号。使用・開示。重過失も含む | 13号。開示のみ。悪意に限る |
| 取得後に不正開示行為の介在を知った | 9号。使用・開示。重過失も含む | 16号。開示のみ。悪意に限る |
誤り。違うのは「その商品の原産地として明記されているものに限られる」の部分である。20号が規制するのは原産地について「誤認させるような表示」であり、商品全体から需要者が原産地の表示と受け取るものを含む。
2条1項20号は、商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信に、その商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量又はその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡等する行為を不正競争とする。規制の対象は「誤認させるような表示」であり、条文は表示の形式を限定していない。規制の趣旨は需要者の判断を誤らせて競争を歪める行為を防ぐことにあるから、需要者がどう受け取るかで判断する。したがって、「原産地」という語で明記されていなくても、外国の地名や外国語の表記、その国を連想させる図柄などを商品全体として観察したときに需要者又は取引者が原産地の表示と認識するものであれば、原産地の表示に当たると解されている。本枝は明記された表示に限る点で、誤認を基準とする条文の構造とずれている。

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
- 表示の場所:商品若しくは役務、その広告、取引に用いる書類若しくは通信
- 誤認の対象:商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途、数量。役務の質、内容、用途、数量
- 原産地の表示は明記されたものに限らず、商品全体から需要者が原産地の表示と受け取るものを含む
- 行為:表示をすること、表示をした商品の譲渡、引渡し、展示、輸出、輸入、電気通信回線を通じた提供、表示をした役務の提供
- 主観的要件:不要。不正の目的があれば21条3項1号の刑事罰の対象となる
誤り。違うのは「図利加害目的を有することが必要である」の部分である。2条1項21号は競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争と定め、目的を要件としていない。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争と定める。要件は、競争関係、虚偽の事実、営業上の信用を害することの三つであり、不正の利益を得る目的や他人に損害を加える目的は求められていない。虚偽の事実によって競争相手の信用が傷つけば、それ自体が公正な競争を歪める結果を生むから、法は行為者の目的を問わずに客観的な要件で不正競争としている。したがって、競争相手の商品が特許権を侵害していると取引先に告知した場合、告知者に害意がなく自社の権利を守るつもりであっても、後に非侵害と認定されて虚偽の事実に当たれば21号の不正競争となる。図利加害目的を要件に掲げるのは19号のドメイン名に係る不正競争などであり、本枝はその要件を21号に持ち込んでいる点で誤っている。

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
- 競争関係にある他人であること。同種の商品・役務を扱うなど市場で競合する関係
- 営業上の信用を害する事実であること
- 虚偽の事実であること。真実であれば当たらず、意見や論評も当たらない
- 告知(特定の者に伝える)又は流布(不特定又は多数の者に広める)すること
- 図利加害目的は要らない。損害賠償には4条の故意又は過失が要る
正しい。2条1項20号は、誤認させるような表示をした商品を譲渡、引渡し、展示、輸出、輸入するほか「電気通信回線を通じて提供」する行為も不正競争と定めている。
2条1項20号は、商品の品質、内容等について誤認させるような表示をする行為に加え、その表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、又はその表示をして役務を提供する行為を不正競争と定める。表示をする行為だけでなく、その表示が付いた商品を流通に置く行為まで捉えるのは、表示をした者と商品を売る者が違う場合にも、需要者の誤認を生む流通の各段階で差止めができるようにするためである。プログラムやデータのように有体物の形をとらずにインターネット経由で配信される商品が増えたことから、譲渡や引渡しと並んで電気通信回線を通じた提供が行為の類型に加えられている。したがって、品質・内容について誤認させるような表示をした商品を電気通信回線を通じて提供する行為は、同号の不正競争に含まれ、本枝は条文の文言のとおりである。

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
誤り。違うのは「図利加害目的を有することが必要である」の部分である。2条1項20号は誤認させるような表示をする行為等を不正競争と定めるだけで、目的を要件としていない。
2条1項20号は、商品やその広告等に原産地等について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡等する行為を不正競争と定める。条文は行為と表示の内容だけを要件とし、不正の利益を得る目的や他人に損害を加える目的といった主観的要件を置いていない。表示をした者の目的がどうであれ需要者が誤認する状態が生じていれば競争は歪められるから、客観的な表示の内容で判断する仕組みになっている。これに対し、2条1項19号のドメイン名に係る不正競争は「不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で」という図利加害目的を要件に掲げており、両者の条文の構造は異なる。したがって、原産地について誤認させるような表示をすれば、図利加害目的がなくても20号の不正競争に該当し、本枝は19号の要件を20号に持ち込んでいる点で誤っている。目的が意味を持つのは刑事罰の場面であり、不正の目的をもって20号の不正競争を行った者は21条3項1号で処罰される。

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
| 不正競争 | 目的の要件 |
|---|---|
| 営業秘密を示された者の使用・開示(7号) | 不正の利益を得る目的、又は営業秘密保有者に損害を加える目的 |
| 限定提供データを示された者の使用・開示(14号) | 不正の利益を得る目的、又は限定提供データ保有者に損害を加える目的 |
| ドメイン名の不正取得等(19号) | 不正の利益を得る目的、又は他人に損害を加える目的 |
| 誤認惹起表示(20号)・信用毀損(21号) | 要件でない |
誤り。違うのは「目的の如何を問わず刑事罰の対象となる」の部分である。周知表示混同惹起行為が処罰されるのは、21条3項1号により不正の目的をもって行った場合に限られる。出題当時はこの規定が21条2項に置かれていた。
21条3項1号は、不正の目的をもって2条1項1号又は20号に掲げる不正競争を行ったときに、5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すると定める。2条1項1号の周知表示混同惹起行為は、他人の周知の商品等表示と同一又は類似の表示を使用して他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為であり、民事上は目的を問わず差止めや損害賠償の対象になる。しかし混同は結果として生じることもあり、たまたま似た表示を使った者まで刑罰で処罰するのは行き過ぎであるため、刑事罰には不正の目的という主観的要件を加えて処罰の範囲を絞っている。この目的要件は3項1号から4号まで類型ごとに違う形で置かれており、目的を要件としないのは5号の虚偽の表示だけである。枝は民事上の不正競争の成立要件をそのまま刑事罰に持ち込んでおり、不正の目的を欠く混同惹起行為は刑事罰の対象にならない。

不正の目的をもって第二条第一項第一号又は第二十号に掲げる不正競争を行ったとき。
| 不正競争 | 罰則 | 目的の要件 |
|---|---|---|
| 周知表示混同惹起(1号)・誤認惹起(20号) | 3項1号 | 不正の目的 |
| 著名表示冒用(2号) | 3項2号 | 信用若しくは名声を利用して不正の利益を得る目的、又は害する目的 |
| 形態模倣(3号) | 3項3号 | 不正の利益を得る目的 |
| 営業秘密(4号〜10号) | 1項・2項(未遂も) | 不正の利益を得る目的又は保有者に損害を加える目的 |
| 限定提供データ(11号〜16号) | なし | |
| 技術的制限手段(17号・18号) | 3項4号 | 不正の利益を得る目的又は技術的制限手段を用いている者に損害を加える目的 |
| ドメイン名(19号) | なし | |
| 信用毀損(21号) | なし | |
| 代理人等の商標冒用(22号) | なし |
誤り。違うのは「不正の利益を得る目的であっても、刑事罰の対象とはならない」の部分である。21条3項3号は不正の利益を得る目的で2条1項3号の不正競争を行った者を処罰し、模倣商品を譲渡若しくは貸渡しのために展示する行為は同号の不正競争に含まれる。
2条1項3号は、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を不正競争とする。そして21条3項3号は、不正の利益を得る目的で2条1項3号に掲げる不正競争を行ったときに5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すると定める。商品形態の模倣に刑事罰が加わったのは、先行者が資金と労力を投下して開発した商品の形態をそっくり写して市場に出すデッドコピーが、民事の差止めだけでは抑止しきれないためである。処罰の対象は2条1項3号の不正競争の全体であり、譲渡や輸入だけでなく、譲渡若しくは貸渡しのために展示する行為も同号に列挙されている以上、不正の利益を得る目的があれば処罰される。枝は展示行為を刑事罰の対象から外しているが、条文は行為の態様で区別していない。

不正の利益を得る目的で第二条第一項第三号に掲げる不正競争を行ったとき。
誤り。違うのは「目的の如何を問わず刑事罰の対象となる」の部分である。21条3項4号により、技術的制限手段の効果を妨げる装置の譲渡が処罰されるのは、不正の利益を得る目的で、又は営業上技術的制限手段を用いている者に損害を加える目的で行った場合に限られる。
2条1項17号は、営業上用いられている技術的制限手段により制限されている情報の処理などを、その効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置やプログラムを譲渡し、引き渡し、展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を不正競争とする。この行為が刑事罰の対象となるのは21条3項4号によるが、同号は不正の利益を得る目的で、又は営業上技術的制限手段を用いている者に損害を加える目的で行ったときに限って処罰する。無効化装置は技術的制限手段の試験又は研究のために譲渡されることもあり(19条1項10号)、目的を問わずに処罰すると正当な取引まで萎縮させるため、主観的要件で範囲を絞ったものである。枝は17号の文言を正しく引いているが、刑事罰について目的を問わないとしている点が4号と合わない。

不正の利益を得る目的で、又は営業上技術的制限手段を用いている者に損害を加える目的で、第二条第一項第十七号又は第十八号に掲げる不正競争を行ったとき。
誤り。違うのは「原則として損害の額とすることができるとする規定がある」の部分である。5条1項の譲渡数量に単位数量当たりの利益の額を乗じる計算が使えるのは2条1項1号から16号まで又は22号の不正競争に限られ、ドメイン名に係る19号の不正競争は対象に入っていない。
5条1項は、2条1項1号から16号まで又は22号に掲げる不正競争によって営業上の利益を侵害された者が損害の賠償を請求する場合に、侵害者が侵害の行為を組成した物を譲渡したときは、被侵害者の単位数量当たりの利益の額に譲渡等数量を乗じて得た額などの合計額を損害の額とすることができると定める。この計算は、侵害品が売れた分だけ被侵害者の商品が売れなくなったという関係を前提にしており、侵害品が被侵害者の商品と市場で競合する類型に対象を絞っている。ドメイン名の不正取得等である19号は、表示に類似するドメイン名の取得・保有・使用を捉える類型であり、ウェブサイトで商品が売られてもその商品自体が侵害品とはいえないため、1項の列挙から外されている。19号に使えるのは2項の推定と3項の使用料相当額である。

第二条第一項第一号から第十六号まで又は第二十二号に掲げる不正競争によって営業上の利益を侵害された者(以下この項において「被侵害者」という。)が故意又は過失により自己の営業上の利益を侵害した者(以下この項において「侵害者」という。)に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、侵害者がその侵害の行為を組成した物(電磁的記録を含む。以下この項において同じ。)を譲渡したとき(侵害の行為により生じた物を譲渡したときを含む。)、又はその侵害の行為により生じた役務を提供したときは、次に掲げる額の合計額を、被侵害者が受けた損害の額とすることができる。
| 1項(譲渡数量×単位利益) | 2項(侵害者の利益の推定) | 3項(使用料相当額) | |
|---|---|---|---|
| 対象の号 | 1号〜16号・22号 | 限定なし(全類型) | 1号〜9号・11号〜16号・19号・22号 |
| ドメイン名(19号) | 使えない | 使える | 使える |
| 誤認惹起(20号)・信用毀損(21号) | 使えない | 使える | 使えない |
| 効果 | 合計額を損害の額とすることができる | 損害の額と推定する(反証で覆る) | 損害の額として請求できる最低限の額(減額されない) |
正しい。5条3項の使用料相当額を損害の額として請求できる不正競争は2条1項1号から9号まで、11号から16号まで、19号又は22号に限られ、信用毀損行為である21号はこれに含まれていない。
5条3項は、2条1項1号から9号まで、11号から16号まで、19号又は22号に掲げる不正競争によって営業上の利益を侵害された者は、各号に掲げる不正競争の区分に応じて定める行為に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができると定める。各号に定める行為は商品等表示、商品の形態、営業秘密、限定提供データ、ドメイン名、商標の使用であり、いずれも被侵害者が許諾して対価を受け取ることができる利用行為である。使用料相当額は本来なら払うべき対価を最低限の損害として認めるものであるから、許諾の対象になり得る類型にしか当てはまらない。21号の信用毀損行為は、信用を利用する許諾という取引が観念できないため、3項の列挙から外れている。したがって信用の利用に対し受けるべき金銭の額を損害の額とする規定はない。

第二条第一項第一号から第九号まで、第十一号から第十六号まで、第十九号又は第二十二号に掲げる不正競争によって営業上の利益を侵害された者は、故意又は過失により自己の営業上の利益を侵害した者に対し、次の各号に掲げる不正競争の区分に応じて当該各号に定める行為に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
誤り。違うのは「損害の額と推定する旨の規定は、適用の対象ではない」の部分である。5条2項の侵害者の利益の額を損害の額と推定する規定は、対象を特定の号に限らず不正競争によって営業上の利益を侵害された者の全てに適用される。
5条2項は、不正競争によって営業上の利益を侵害された者が故意又は過失により自己の営業上の利益を侵害した者に対し損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額をその営業上の利益を侵害された者が受けた損害の額と推定すると定める。1項と3項が対象の号を列挙して限定しているのに対し、2項は単に「不正競争によって」と書かれており、号の限定がない。侵害者が得た利益を損害と推定する考え方は、不正競争で利益を得た者にその利益を吐き出させるという点で全ての類型に当てはまるからである。外国産の牛肉を国産と表示して販売する行為は2条1項20号の誤認惹起行為であり、20号は1項と3項の対象から外れているが、2項の推定は使える。枝は2項にも号の限定があると誤って読んでいる。

不正競争によって営業上の利益を侵害された者が故意又は過失により自己の営業上の利益を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、その営業上の利益を侵害された者が受けた損害の額と推定する。
正しい。2条1項3号の「他人の商品」は現に販売されていることを要せず、展示会に出展され販売を可能とする段階に至ったことが外見的に明らかな物品であれば、その形態を模倣した商品の譲渡は商品形態模倣の不正競争に当たり得る。
2条1項3号は、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を不正競争とする。先行者の商品化の成果へのただ乗りを抑える規定であるから、「他人の商品」は商品化が完了し取引の対象となり得る物品であれば足り、現に販売されている必要はない。知財高判平成28年11月30日は、展示会に出展された物品について、商品としての本来の機能を発揮できるなど販売を可能とする段階に至り、それが外見的に明らかになっていれば、実際には販売されておらず量産態勢が整っていなくても他人の商品に当たるとした。展示会で形態が公になればその時点から模倣の危険が生じるためである。アイデア段階のスケッチや試作途中の物は商品化が完了していないため対象にならない。

他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
- 商品の形態:通常の用法で知覚できる外部・内部の形状と、結合した模様・色彩・光沢・質感(2条4項)。機能を確保するために不可欠な形態を除く
- 模倣:依拠して実質的に同一の形態の商品を作り出すこと(2条5項)。独自創作は当たらず、ありふれた形態は保護されない
- 他人の商品:資金・労力を投下して商品化を完了した物。展示会出展で足り、スケッチは不可で、共同開発者は他人にならない
- 行為:譲渡、貸渡し、譲渡・貸渡しのための展示、輸出、輸入、電気通信回線を通じた提供。製造は掲げられていない
- 期間:日本国内で最初に販売された日から3年を経過した商品は適用除外(19条1項6号イ)
誤り。違うのは「不正の利益を得る目的で、そのまま持ち続けていても、ドメイン名に係る不正競争にはあたらない」の部分である。2条1項19号はドメイン名を使用する権利を取得する行為だけでなく保有する行為も不正競争とするから、取得後に不正の利益を得る目的で保有を続ければ該当する。
2条1項19号は、不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為を不正競争とする。行為として取得、保有、使用の三つが並べられており、保有は取得後にその権利を持ち続けている状態を指す。規制の狙いは、他人の表示と同じドメイン名を押さえて高値で買い取らせるなどの行為を防ぐことにあり、その弊害は目的をもって保有し続けている間ずっと生じる。したがって取得の時に他人の表示を知らず目的がなくても、後に類似に気付き、不正の利益を得る目的で保有を続ければ、その保有行為が19号に当たる。枝は取得の時の目的だけで判断しているが、条文は保有を独立の行為として掲げており、目的の有無は保有の時点で判断される。

不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為
- 目的:不正の利益を得る目的(転売目的など)又は他人に損害を加える目的(誹謗サイトの開設目的など)のどちらか一つ
- 対象:他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するもの)と同一又は類似のドメイン名。周知・著名は要らない
- 行為:ドメイン名を使用する権利の取得、保有、そのドメイン名の使用。譲渡は掲げられていない
- 刑事罰:21条に定めがなく、民事の差止め・損害賠償だけである
正しい。2条1項1号の商品等表示は出所表示機能を有するものでなければならず、周知性を獲得した商品の形態でも、その後に同種商品が多数販売されて出所表示性が失われれば、商品等表示性が否定されて不正競争にならない場合がある。
2条1項1号は、他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為を不正競争とする。商品の形態そのものは本来は商品等表示でないが、長年の独占的な使用や強力な宣伝の結果として需要者がその形態から特定の出所を認識するに至れば商品等表示に当たる。この出所表示機能は固定的なものではなく、同種の形態の商品が多数販売されて需要者が特定の出所を思い浮かべなくなれば失われる。東京高判平成12年2月24日は、周知性を得たギターの形態について、同種商品の多数の販売により出所表示性が消滅した場合には商品等表示性が否定されるとした。混同惹起行為の成立は判断の時点における出所表示性を前提にするため、枝のような場合には不正競争にならない。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
- 周知:需要者の間に広く認識されていること。一地方で足り、取引業者も需要者に含む
- 商品等表示:出所表示機能を有するものであること。商品の形態も、独占的使用や宣伝で出所を示すに至れば当たるが、同種商品の多数販売で出所表示性を失えば外れる
- 同一・類似の商品等表示:使用、又は使用した商品の譲渡・引渡し・展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じた提供。無償でも該当する
- 混同:需要者を基準に、広義の混同を含めて判断する。商品の同一も競争関係も要らない
正しい。2条1項2号の著名表示冒用行為は他人の著名な商品等表示を「自己の商品等表示として」使用する行為に限られ、飲食店の情報を示すためにその店名を表示する行為は自己の出所を示す使用ではない。
2条1項2号は、自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡等する行為を不正競争とする。1号と違って混同を要件としない代わりに、「自己の商品等表示として」という限定があり、他人の著名表示を自己の商品や営業の出所を示すものとして使う場合だけが対象になる。規制の狙いは顧客吸引力へのただ乗りや希釈化の防止であり、表示が指し示す本来の主体を示すために使う行為にはその弊害がない。札幌地判平成26年9月4日は、飲食店の情報を集めた口コミサイトが掲載対象の店舗を特定するためにその店名を表示する行為について、サイト運営者の営業を表示するものではなく、自己の商品等表示としての使用に当たらないとした。枝のウェブサイトも店名をその店の情報を示すために表示しており、著名表示冒用行為にならない。

自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
誤り。違うのは「その経営能力に期待して引き抜き、自社の役員として採用する行為は、営業秘密に係る不正競争となる」の部分である。2条1項4号から10号までの不正競争は営業秘密の取得、使用又は開示を対象とし、人を採用する行為自体はそのいずれでもない。
2条1項4号から10号までは、不正の手段による営業秘密の取得とその使用・開示、不正取得や不正開示の介在を知り又は重大な過失により知らないでする取得・使用・開示、保有者から示された者による図利加害目的の使用・開示などを不正競争として列挙する。いずれも営業秘密という情報そのものを取得し、使用し、又は開示する行為を捉えたものである。競業他社の社長を経営能力に期待して引き抜き役員として採用する行為は、人材の移動であって、その時点で営業秘密が取得されたわけでも使用・開示されたわけでもない。営業秘密を知る者の採用を不正競争とすれば転職そのものを封じることになる。採用した社長が前の会社の営業秘密を図利加害目的で使用・開示すればその行為が7号に当たり、それを知って取得した会社の行為が8号に当たり得るが、採用行為そのものは不正競争にならない。

営業秘密を保有する事業者(以下「営業秘密保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為
| 号 | 誰が | 何をすると不正競争か |
|---|---|---|
| 4号 | 不正の手段で取得した者 | 取得すること。取得した営業秘密を使用・開示すること(目的は不要) |
| 5号 | 不正取得の介在を知り、又は重大な過失で知らずに取得した転得者 | 取得すること。使用・開示すること |
| 6号 | 取得した後に不正取得の介在を知り、又は重大な過失で知らないでいる転得者 | 使用・開示すること |
| 7号 | 保有者から営業秘密を示された者 | 不正の利益を得る目的又は保有者に損害を加える目的で使用・開示すること |
| 8号 | 不正開示行為であること又はその介在を知り、又は重大な過失で知らずに取得した転得者 | 取得すること。使用・開示すること |
| 9号 | 取得した後に不正開示行為があったこと又はその介在を知り、又は重大な過失で知らないでいる転得者 | 使用・開示すること |
| 10号 | 技術上の秘密の不正使用により生じた物を扱う者 | その物を譲渡・引渡し・展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じて提供すること(譲受時に善意無重過失の譲受人を除く) |
誤り。違うのは「秘密管理がなされていなかった場合でも、保有者に損害を加える目的で当該情報を使用する行為は、営業秘密に係る不正競争となる」の部分である。2条6項の営業秘密は秘密として管理されていることを要件とし、秘密管理のない情報は重要な技術情報でも営業秘密に当たらない。
2条6項は、営業秘密を、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものと定義する。秘密管理性、有用性、非公知性の三つを全て満たして初めて営業秘密となり、2条1項4号から10号までの営業秘密に係る不正競争はこの定義を前提にしている。秘密管理性が要件とされるのは、どの情報が保護の対象かが分からなければ、情報に触れた者が思いがけず差止めや刑事罰の対象になりかねないからである。保有者が秘密として管理する意思を合理的な措置で示していない情報は、どれほど重要な技術であっても営業秘密ではない。2条1項7号は保有者から示された営業秘密を図利加害目的で使用する行為を不正競争とするが、対象が営業秘密でない以上、損害を加える目的があっても7号には当たらない。営業秘密該当性と目的は別の要件であり、目的の悪質さで要件の欠落は埋まらない。

この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
- 秘密管理性:秘密として管理されていること。秘密管理意思が合理的な管理措置によって従業員等に示され、認識できる状態にあることが要る
- 有用性:事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること。法令違反や反社会的な行為に関する情報は除かれる
- 非公知性:公然と知られていないこと。保有者の管理下以外では一般に入手できない状態をいう
正しい。2条1項7号は保有者から営業秘密を示された者の開示を、不正の利益を得る目的又は保有者に損害を加える目的で行った場合に限って不正競争とするから、誤ってセミナー資料に含めて配布した過失による開示は不正競争にならない。
2条1項7号は、営業秘密保有者からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為を不正競争とする。正当に示された従業者や取引先は業務の中で日々その情報を使うのであるから、図利加害目的という主観的要件によって背信的な場合だけを取り出している。4号の不正取得者の使用・開示に目的の要件がないのと対照的であり、取得の経路が正当である者については目的で線を引く構造である。枝の従業員は業務の過程で新製品の営業秘密を示された者であり、書類を誤ってセミナー資料に含めて配布した行為は過失による開示であって、自己や第三者の利益を図る目的も保有者に損害を加える目的も認められない。保有者に対して契約上や不法行為上の責任を負う余地はあるが、不正競争防止法上の不正競争には当たらない。

営業秘密を保有する事業者(以下「営業秘密保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為
誤り。違うのは「虚偽ではない事実を、乙の取引先各社の担当役員に対して言いふらした。この場合、甲の当該行為は、信用毀損に係る不正競争に該当する」の部分である。2条1項21号の信用毀損行為は虚偽の事実の告知・流布に限られ、真実の告知は信用を低下させる意図があっても当たらない。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争とする。要件は競争関係、営業上の信用を害すること、虚偽の事実であること、告知又は流布の四つであり、行為者の目的は要件になっていない。虚偽の事実とは客観的真実に反する事実をいい、告知した内容が真実であれば、たとえ相手の信用を低下させる意図で競争相手の取引先に言いふらしたとしても21号には当たらない。不正競争防止法が守るのは公正な競争秩序であり、競争相手の製品の数値偽装という真実を取引先に伝えることは、需要者や取引者の正しい判断に資するものであって、競争を歪める行為とはいえないからである。枝は甲の目的と告知の態様を悪質に描いているが、事実が虚偽でない以上、信用毀損行為としての不正競争は成立しない。真実の告知が名誉毀損などの一般の不法行為に当たるかは別の問題である。

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
- 競争関係:双方の営業につき需要者又は取引者を共通にする可能性があれば足りる。無関係の相手への中傷は民法709条の不法行為である
- 虚偽の事実:客観的真実に反する事実である。真実や、証拠による証明になじまない意見・論評は含まれない
- 営業上の信用:営業活動に関する経済上の外部的評価で、商品・役務の社会的評価や支払能力・営業能力への社会的信頼を含む
- 告知・流布:他人以外の者に伝える行為である。相手方本人に直接告げるだけでは該当しない
- 目的:要件ではない
正しい。2条1項17号と18号は、技術的制限手段の効果を妨げる装置やプログラムの譲渡等と、効果を妨げる役務の提供を不正競争とするもので、自らコピープロテクションを解除する行為そのものは掲げられていない。
2条1項17号は、営業上用いられている技術的制限手段の効果を妨げる機能を有する装置、プログラム又は指令符号を記録した記録媒体等の譲渡、引渡し、展示、輸出、輸入、電気通信回線を通じた提供と、効果を妨げる役務の提供を不正競争とし、18号は特定の者以外の者に視聴等をさせないために用いる技術的制限手段について同様の行為を掲げる。いずれも回避の手段や役務を他人に提供する行為を捉えたものであり、自分で技術的制限手段を回避する行為は列挙されていない。規制の狙いは回避の手段が市場に出回ることを防ぐ点にあり、個々の回避行為は事業者間の競争の問題として扱われていない。甲がDVDのコピープロテクションを解除して機械学習に用いた行為は、装置等の譲渡でも役務の提供でもないため、不正競争防止法上の不正競争には当たらない。著作権法で技術的保護手段の回避による複製がどう扱われるかは別の問題である。

他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために営業上用いている技術的制限手段により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)、当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を当該特定の者以外の者に譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)又は影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為
誤り。違うのは「無料で少数の親しい友人のみに譲渡したにすぎない場合は、甲の譲渡行為は、技術的制限手段に係る不正競争に該当しない」の部分である。2条1項17号の譲渡は有償であることも相手が多数であることも要件としていない。
2条1項17号は、営業上用いられている技術的制限手段の効果を妨げる機能を有する装置やプログラムを記録した記録媒体を譲渡し、引き渡し、展示し、輸出し、又は輸入する行為などを不正競争とする。地上デジタル放送に付された録画回数の制限は放送事業者が営業上用いている技術的制限手段であり、それを回避することのみを可能とするプログラムを記録したUSBメモリは同号の記録媒体に当たる。譲渡について条文は対価や相手の数を限定しておらず、無料であっても少数の友人に対してであっても譲渡である。回避の手段は一人の手に渡っても複製されて広まるおそれがあるからである。19条1項10号が技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる装置等の譲渡を除外しているが、枝の譲渡はそれにも当たらない。したがって甲の譲渡行為は17号の不正競争に該当する。

この法律において「技術的制限手段」とは、電磁的方法により影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録を制限する手段であって、視聴等機器(影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録のために用いられる機器をいう。以下この項において同じ。)が特定の反応をする信号を記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とするよう影像、音、プログラムその他の情報を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。
- 制限の対象:影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理、影像、音、プログラムその他の情報の記録(2条8項)
- 17号:営業上用いられている技術的制限手段の効果を妨げる装置・プログラム・指令符号の譲渡等と、効果を妨げる役務の提供
- 18号:特定の者以外の者に視聴等をさせないために用いている技術的制限手段について、特定の者以外の者への譲渡等と役務の提供
- 対象外:装置の製造と、自ら回避する行為は列挙されていない。有償・無償、相手の数は問わない
- 適用除外:技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる装置等の譲渡等(19条1項10号)
誤り。違うのは「当該広告の内容を信じて当該商品を購入した甲は、乙の行為は原産地・品質誤認惹起に係る不正競争に該当するとして不正競争防止法に基づく損害賠償を請求できる」の部分である。4条の損害賠償を請求できるのは不正競争によって営業上の利益を侵害された者であり、一般消費者は営業上の利益を有しない。
4条は、故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずると定める。3条1項の差止請求も同じく営業上の利益の侵害を要件とする。1条が事業者間の公正な競争の確保を目的に掲げているとおり、この法律は競争秩序を乱された事業者に救済を与えるものであり、不利益を受けた消費者を請求権者とはしていない。外国産のうなぎを日本産と広告して販売する行為は2条1項20号の原産地・品質誤認惹起行為に当たるが、これによって営業上の利益を侵害されるのは正しく表示して競争している同業者であり、広告を信じて購入した一般消費者である甲は営業上の利益を有しないため4条の請求権者にならない。甲の救済は民法の不法行為や契約上の責任によることになり、消費者団体訴訟の制度も不正競争防止法には置かれていない。

故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、第十五条の規定により同条に規定する権利が消滅した後にその営業秘密又は限定提供データを使用する行為によって生じた損害については、この限りでない。
- 請求権者になる:国・地方公共団体、非営利事業者、特定非営利活動法人、周知表示の使用許諾を受けた者など、不正競争によって営業上の利益を侵害され又はそのおそれがある者
- 請求権者にならない:品質を誤認して買った一般消費者や適格消費者団体。不正競争防止法に消費者団体訴訟の制度はない
- 相手方の主観:差止め(3条)には故意・過失も不正の目的も要らない。損害賠償(4条)には故意又は過失が要る
誤り。違うのは「甲の商品等表示に係る国内における周知性の立証も必要である」の部分である。2条1項1号は周知性の地域を国内に限る文言を持たず、輸出先の外国で混同が生じている場合の輸出行為については、その外国での周知性があれば足りる。
2条1項1号は、他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用した商品を輸出して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為を不正競争とする。周知性について条文は「需要者の間に広く認識されている」とだけ定め、その需要者が国内にいることを要求していない。旧法には周知性を本法施行の地域内に限る文言があったが、平成5年の全面改正でこの限定が削られ、輸出も同号の行為として掲げられた。輸出を掲げたのは、外国で周知な他人の表示を付した商品を日本から送り出して混同を生じさせる行為を日本の裁判所で止めるためであり、混同が生じる市場で周知であれば趣旨は満たされる。したがって輸出先の外国で甲の表示が周知で混同が生じていれば、国内での周知性を重ねて立証する必要はない。枝は周知性の地域を国内に限る旧法の考え方に立っている。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
誤り。違うのは「商品Bを販売する者は、更にその者の商品Bを模倣した商品Cを販売する者に対して」差止請求をすることができるとする部分である。形態模倣について差止めを請求できるのは、模倣された商品を自ら商品化した先行者であり、自らが模倣品を販売する者はこれに当たらない。
3条1項は、不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者が、侵害の停止又は予防を請求できると定める。2条1項3号の形態模倣の規制は、資金と労力を投下して商品を開発し市場に置いた先行者の成果を、模倣品によって奪われることから守る趣旨であり、3号にいう「他人」とはその開発と商品化を行った者を指す。したがって3号の不正競争によって営業上の利益を侵害される者は、模倣の対象とされた商品を自ら商品化した者に限られると解されている。商品Aの形態を模倣した商品Bを販売する者は、自ら開発投資をして商品化したわけではなく、むしろ商品Aについて3号の不正競争を行っている側である。商品Cが商品Bを模倣したものであっても、商品Bの形態は商品Aに由来するから、商品Bの販売者には保護されるべき商品化の成果がなく、商品Cの販売者に差止請求をすることはできない。差止めを請求できるのは商品Aを商品化した者である。したがって枝は誤りである。

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
誤り。違うのは「当該他人とは無関係に独自に創作したうえでそれを譲渡する行為も、商品形態模倣に係る不正競争に該当する」の部分である。模倣とは他人の商品の形態に依拠して実質的に同一の形態の商品を作り出すことであり(2条5項)、独自創作には依拠がない。
2条1項3号は、他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を不正競争とし、2条5項は、模倣するとは、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいうと定める。要件は、他人の形態に依拠したことと、結果が実質的に同一であることの二つである。形態模倣の規制は、先行者が資金と労力を投じて商品化した成果を、後から来た者がそのままなぞって開発費用を免れることを不正とするものであり、意匠権のように形態そのものを独占させる制度ではない。他人とは無関係に独自に創作した商品は、たとえ結果として実質的に同一の形態になっても依拠がないから模倣に当たらず、その譲渡は3号の不正競争にならない。したがって独自創作の商品の譲渡も該当するとする枝は誤りである。

この法律において「模倣する」とは、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう。
- 商品の形態:通常の用法で知覚できる外部・内部の形状と、結合した模様・色彩・光沢・質感である。機能を確保するために不可欠な形態を除く
- 模倣:依拠して実質的に同一の形態の商品を作り出すことである。独自創作は当たらない
- 行為:譲渡・貸渡し・展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じた提供である。製造は含まない
- 保護期間:日本国内で最初に販売された日から3年である(19条1項6号イ)
- 善意の譲受人:譲り受けた時に善意無重過失なら譲渡等は適用除外である(19条1項6号ロ)
正しい。著名表示冒用行為(2条1項2号)は、自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一又は類似のものを使用する行為であり、自己の商品等表示としての使用でなければ該当しない。
2条1項2号は、自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為を不正競争とする。1号の周知表示混同惹起行為と違って混同を要件としないのは、著名な表示には出所を示す機能を超えてそれ自体に顧客吸引力があり、混同が起きなくても表示の希釈化や汚染によって著名表示の主体が損害を受けるからである。その代わりに条文は「自己の商品等表示として」使用することを要件とし、冒用者が自分の商品や営業の出所を示す表示として著名表示を用いる場合に限って規制している。著名表示と同一のものを用いても、商品の説明や装飾、批評や報道の中で言及するなど、自己の商品等表示としての使用でなければ2号の不正競争に当たらない。したがって該当することはないとする枝は正しい。

自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
誤り。違うのは「どのような目的で使用するかにかかわらず」の部分である。自己の氏名の使用が適用除外になるのは不正の目的でなく使用する場合に限られる(19条1項2号)。
19条1項2号は、2条1項1号、2号及び22号の不正競争について、自己の氏名を不正の目的でなく使用し、又は自己の氏名を不正の目的でなく使用した商品を譲渡等する行為には、差止請求から罰則までの規定を適用しないと定める。不正の目的とは、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。人は自分の氏名を営業に使う正当な利益を持つから、たまたま他人の周知又は著名な表示と同じ氏名であっても使用を認めるのが原則であるが、他人の表示の信用にただ乗りする目的や他人を害する目的で氏名を使う者まで保護する理由はない。そこで条文は不正の目的でない使用に限って適用除外とし、不正の目的がある場合は商品等表示に係る不正競争として差止めや損害賠償の対象にしている。したがって目的を問わず規制の対象とならないとする枝は誤りである。

第二条第一項第一号、第二号及び第二十二号に掲げる不正競争自己の氏名を不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)でなく使用し、又は自己の氏名を不正の目的でなく使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為(同号に掲げる不正競争の場合にあっては、自己の氏名を不正の目的でなく使用して役務を提供する行為を含む。)
誤り。違うのは「虚偽の事実を告知する不正競争は、刑事罰の対象である」の部分である。信用毀損行為(2条1項21号)は21条の罰則が掲げる不正競争に含まれておらず、不正の目的があっても不正競争防止法上の刑事罰は科されない。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争とする。この行為に対しては3条の差止請求、4条の損害賠償、14条の信用回復の措置が認められるが、21条は処罰する不正競争を2条1項の号で特定しており、3項に掲げるのは1号・20号、2号、3号、17号・18号であって、21号は含まれていない。21条3項5号は商品や役務の原産地、品質等について誤認させるような虚偽の表示を処罰するが、これは自己の商品等についての虚偽表示であり、他人の信用を害する虚偽の事実の告知とは別の行為である。信用毀損は言論に関わる行為であるため、不正競争防止法は民事上の救済にとどめ、刑事の規制は刑法の信用毀損罪などに委ねている。したがって不正の目的をもって行った信用毀損行為を不正競争防止法の刑事罰の対象とする枝は誤りである。

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
誤り。違うのは「ドメイン名を使用する権利を取得する不正競争は、刑事罰の対象である」の部分である。21条が処罰する不正競争は号で特定されており、ドメイン名の不正取得等(2条1項19号)はどの項にも掲げられていない。
2条1項19号は、不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為を不正競争とする。この行為は3条の差止請求や4条の損害賠償の対象になるが、罰則を定める21条は、処罰する不正競争を2条1項の号を挙げて限定しており、3項では1号・20号(1号)、2号(2号)、3号(3号)、17号・18号(4号)を掲げるにとどまる。刑罰は民事上の救済と違って行為の類型を明確に限定する必要があり、ドメイン名の取得や保有は表示の使用の手前の行為で、民事の差止めと損害賠償で足りるとされたからである。19号に掲げる不正競争が21条のいずれにも含まれていない以上、不正の利益を得る目的があっても不正競争防止法上の刑事罰は科されない。したがって刑事罰の対象とする枝は誤りである。

不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為
- 目的:不正の利益を得る目的又は他人に損害を加える目的のどちらか一つである
- 対象:他人の特定商品等表示と同一又は類似のドメイン名である。周知・著名は要らない
- 行為:ドメイン名を使用する権利の取得、保有、そのドメイン名の使用である
- 救済:差止め(3条)と損害賠償(4条)である。21条の罰則には掲げられていない
正しい。誤認惹起行為(2条1項20号)は商品の内容等について誤認させるような表示をする行為であり、需要者が著名な香水と同一の香りであると考えることがない広告は、内容の誤認を生じさせない。
2条1項20号は、商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信に、その商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡等する行為を不正競争とする。要件は表示が需要者に誤認させるようなものであることであり、表示の文言そのものではなく、需要者がその表示から何を受け取るかで判断される。誤認惹起行為の規制は、商品の内容について需要者に誤った認識を与えて競争上不当に有利になることを防ぐものだからである。自己の商品が著名な香水と香りのタイプが同じであると広告する行為について、両者の香りが同一であると断じているわけではないことが明らかで、需要者が著名な香水と同一の香りであると考えることがないのであれば、商品の内容について需要者を誤認させる表示とはいえない。したがって内容誤認惹起に係る不正競争には該当しないとする枝は正しい。

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
- 表示の場所:商品、役務、その広告、取引に用いる書類、通信である
- 商品について:原産地、品質、内容、製造方法、用途、数量である。価格は列挙されていない
- 役務について:質、内容、用途、数量である
- 行為:誤認させるような表示をすること、その表示をした商品の譲渡等、その表示をしての役務の提供である
- 目的:要件ではない。19号のドメイン名との違いである
誤り。違うのは「商品がフランス製であるという表示はされていない場合は」原産地誤認惹起に係る不正競争に「該当しない」とする部分である。原産地を誤認させるような表示は原産地を直接明記するものに限られず、エッフェル塔の図柄とフランス語のみの包装も需要者にフランス製と認識させ得る。
2条1項20号は、商品にその商品の原産地について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡等する行為を不正競争とする。条文は「誤認させるような表示」と定めており、原産地の名称を文字で明記した表示に限る趣旨ではない。問題は需要者がその表示から原産地をどう受け取るかであり、商品の包装全体を観察して需要者が特定の国で作られた商品だと認識するような図柄や文字の組合せであれば、原産地を誤認させるような表示に当たる。原産地を直接書かなければ規制を免れるとすると、図柄や外国語で外国製の印象を作り出す行為が野放しになり、需要者の選択を守る趣旨が果たせないからである。日本製のクレヨンの包装にエッフェル塔の図柄をあしらい、文字をすべてフランス語にすれば、需要者はフランス製と認識し得るから、フランス製との明示がなくても原産地誤認惹起表示に当たり、その販売は20号の不正競争に該当し得る。したがって枝は誤りである。

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
正しい。需要者が「シテイノトナー」をプリンターメーカーが指定した純正品と理解し、非純正品の装着時にその表示が出ることで指定された商品であると想起させるのであれば、品質・内容について誤認させるような表示に当たる。
2条1項20号は、商品にその商品の品質、内容について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡する行為を不正競争とする。商品を使用したときに機器の画面に現れる文字も、需要者が商品の品質や内容に関する情報として受け取るのであれば表示に当たる。枝の前提では、需要者は「シテイノトナー」をプリンターメーカーが指定した純正品を指す語として理解し、純正品と非純正品には品質、内容の違いがあると理解している。そうすると、非純正品を装着した際に「シテイノトナーガソウチャクサレテイマス」と表示されるように加工することは、メーカーが指定した商品ではないものを指定された商品であると想起させる表示であり、商品の品質・内容について誤認させるような表示に当たる。その表示をするよう加工した非純正品トナーカートリッジを販売する行為は、表示をした商品の譲渡として20号の不正競争に該当する。したがって枝は正しい。

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
正しい。挽き肉の原材料は商品の品質・内容に関する事柄であり、牛肉に鶏肉や豚肉等を混ぜたものに牛肉のみを原料とするかのような表示をして販売する行為は、品質・内容について誤認させるような表示をした商品の譲渡として2条1項20号に当たる。
2条1項20号は、商品にその商品の品質、内容について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示する行為を不正競争とする。食品では何を原材料としているかが商品の品質と内容そのものであり、牛肉のみを原料とする挽き肉と、鶏肉や豚肉等を混ぜた挽き肉とでは、需要者が受け取る品質も価格の相当性も異なる。牛肉に鶏肉や豚肉等を混ぜて製造した挽き肉に牛肉のみを原料とするかのような表示をすれば、需要者は実際とは違う原材料の商品だと誤認するから、品質・内容について誤認させるような表示であり、その表示をした挽き肉を販売する行為は20号の不正競争に該当する。表示をした者の目的は20号の要件ではなく、需要者が誤認するような表示であれば足りる。したがって枝は正しい。不正の目的をもって行えば21条3項1号により刑事罰の対象にもなり、法人には22条の両罰規定が及ぶ。

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
正しい。中古自動車の走行距離数は車の消耗の程度を示す品質に関する表示であり、実際より少なく表示して販売する行為は品質について誤認させるような表示をした商品の譲渡として2条1項20号の不正競争に当たる。
2条1項20号は、商品にその商品の品質について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示する行為を不正競争とする。品質とは商品の性状や程度に関する事柄であり、中古自動車では走行距離数がエンジンや部品の消耗の程度を示す重要な指標として取引の際に必ず確認されるから、走行距離数の表示は品質に関する表示に当たる。誤認惹起行為の規制は、需要者の選択を誤らせる表示によって正しい表示をする同業者の顧客を奪うことを防ぐ趣旨であり、表示をした者に不正の目的があるかどうかは要件になっていない。走行距離数を実際より少なく表示すれば、需要者はその車の消耗の程度を実際より軽いものと受け取るから、品質について誤認させるような表示であり、その表示をした中古自動車を販売する行為は20号の不正競争に該当する。枝は正しい。不正の目的をもって行えば21条3項1号の刑事罰の対象にもなる。

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
正しい。信用毀損行為(2条1項21号)は競争関係にある他人の信用を害する行為であるから、信用を害される他人が特定されている必要があるが、名称の明示までは要らず、告知の内容と業界内周知の情報から告知を受けた取引先が誰を指すか理解できれば足りる。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争とする。営業上の信用とは、取引先や需要者から受ける営業に関する社会的評価であり、特定の誰かの評価が下がって初めて害されるから、虚偽の事実の告知によって信用を害される他人が特定されていることが要件になる。しかし特定とは、告知を受けた者がその事実を誰についてのものとして受け取るかの問題であり、名称を文字で明示したかどうかで決まるものではない。名称を伏せても、告知の内容や業界内で周知の情報とを合わせれば、告知を受けた取引先が誰を指すのか理解できるのであれば、その他人の信用は実際に害されるから、名称の明示がないことを理由に21号の適用を免れるわけではない。裁判例もこの考え方を採っている。したがって告知を受けた取引先において当該他人が誰を指すのか理解できれば足りるとする枝は正しい。

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
- 競争関係:双方の営業につき需要者又は取引者を共通にする可能性があれば足りる。無関係の相手への中傷は民法709条の不法行為である
- 虚偽の事実:客観的真実に反する事実である。真実や、証拠による証明になじまない意見・論評は含まれない
- 営業上の信用:営業活動に関する経済上の外部的評価で、商品・役務の社会的評価や支払能力・営業能力への社会的信頼を含む
- 告知・流布:他人以外の者に伝える行為である。相手方本人に直接告げるだけでは該当しない
- 目的:要件ではない
誤り。違うのは「当該告知の受け手が具体的にどのような者で、どの程度の予備知識を有していたか等の事情により影響を受けるものではない」の部分である。虚偽の事実かどうかは、告知の相手方の普通の注意と聞き方を基準に、相手方の属性や予備知識、告知の状況を踏まえて判断される。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争とする。ある告知が虚偽の事実に当たるかは、告知の文言を切り離して抽象的に決めるのではなく、告知を受けた者がその内容をどう理解するか、そしてその理解が真実に反するかによって決まる。信用毀損行為の規制は、第三者が誤った認識を持つことで他人の営業上の信用が害されることを防ぐものであるから、誤った認識を持つかどうかは実際の受け手を基準にしなければ判断できないからである。裁判例は、告知の相手方の普通の注意と読み方や聞き方を基準としつつ、相手方がどのような者でどの程度の予備知識を有していたか、告知がどのような状況で行われたかなどを踏まえて、相手方が真実に反する誤解をするかどうかで決するとしている。同じ文言でも、業界の事情を知る取引先と一般の消費者とでは受け取り方が異なり得る。したがって受け手の事情に影響されないとする枝は誤りである。

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
正しい。2条1項21号の告知又は流布は、競争関係にある他人についての虚偽の事実をその他人以外の者に伝える行為であり、相手方本人に直接告げるだけでは第三者の評価が左右されず営業上の信用は害されない。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争とする。営業上の信用は取引先や需要者などの第三者から受ける社会的評価であるから、それが害されるのは虚偽の事実が第三者に伝わって評価が下がる場合である。告知とは特定の者に伝えること、流布とは不特定又は多数の者に広めることをいうが、いずれもその他人以外の者に伝える行為を指す。競争関係にある相手方本人に対して、その相手方に関する虚偽の事実を直接告げても、相手方は自分のことであるから事実の真偽を知っており、第三者の評価にも変化が生じないので、営業上の信用を害することにならない。相手方への直接の告知が威迫や妨害に当たるかは別の法律の問題である。したがって相手方に対し直接告知することは信用毀損に係る不正競争には該当しないとする枝は正しい。相手方の取引先に同じ内容を告げれば告知に当たる。

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
正しい。権利範囲に属しない商品を自己の実用新案権の侵害品であると印象づける広告は虚偽の事実の流布として信用毀損行為に当たり得るし、損害賠償(4条)に要する過失は弁理士の鑑定を得ていたことだけで直ちに否定されるものではない。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争とする。競業者の商品が自己の実用新案権を侵害するとの印象を与える広告は、その商品が権利範囲に属しないと裁判所が認定した場合には、客観的真実に反する事実を不特定の者に広めたことになるから、信用毀損行為に該当することがある。4条は故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者に損害賠償責任を負わせるところ、過失の有無は、権利範囲の調査と検討をどの程度尽くしたかに即して判断される。実用新案権は無審査で登録されるため権利の有効性と範囲には不確かさが伴い、弁理士の鑑定を得ていても、鑑定の前提や内容が不十分であれば調査義務を尽くしたとはいえないから、鑑定の取得という事実だけで過失が否定されるとは限らない。したがって枝は正しい。実用新案法29条の3が技術評価書を提示して警告した権利者にも賠償責任を負わせるのと同じ考え方である。

故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、第十五条の規定により同条に規定する権利が消滅した後にその営業秘密又は限定提供データを使用する行為によって生じた損害については、この限りでない。
正しい。2条1項21号の対象は虚偽の事実の告知又は流布であり、証拠等による証明になじまない価値判断に基づく意見表明は事実の摘示ではないから、信用を害する内容でも信用毀損行為には当たらない。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争とする。条文が対象にするのは「虚偽の事実」であり、事実とは証拠等によって真実か虚偽かを判断できる客観的な事柄をいう。商品の優劣や善し悪しについての価値判断は、証拠によって真偽を決めることができず、虚偽かどうかを論じる前提を欠くから、虚偽の事実の告知又は流布には当たらない。競争の中で他人の商品を批評することは自由な競争と言論の一部であり、不正競争防止法が規制するのは真実でないことを真実のように伝えて信用を害する行為に限るという理屈である。したがって競争関係にある他人の営業上の信用を害する内容を流布しても、それが証拠等による証明になじまない価値判断に基づく意見表明であれば21号に該当しないとする枝は正しい。ただし意見の形をとっていても、その前提として虚偽の事実を摘示していれば事実の告知として21号の対象になる。

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
誤り。違うのは「商品等表示に係る不正競争に重ねて該当することはない」の部分である。2条1項19号と1号・2号は別々に並ぶ類型で、一方に当たれば他方に当たらないとする定めはない。
不正競争防止法2条1項は不正競争を1号から22号までに列挙し、1号は周知の商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用して混同を生じさせる行為、2号は著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを自己の商品等表示として使用する行為、19号は図利加害目的で他人の特定商品等表示と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、保有し、又は使用する行為を定める。各号はそれぞれ独立の要件を備えた類型であり、1つの行為が複数の号の要件を満たせば、それぞれの号の不正競争に該当する。ドメイン名はウェブサイトの所在を示す文字列であるが、他人の周知又は著名な表示と類似するドメイン名を自己の営業を表示するものとして使えば、商品等表示の使用にも当たるから、19号と1号又は2号に重ねて該当し得る。したがって重ねて該当することはないとする枝は誤りである。19号は目的の要件を課す代わりに周知・著名を要件としない点で、1号・2号と役割を分けている。

不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為
- 1号・2号:周知な商品等表示との混同惹起と、著名な商品等表示の冒用である
- 3号:他人の商品の形態を模倣した商品の譲渡等である
- 4号〜10号:営業秘密の不正取得・使用・開示と、技術上の秘密の不正使用により生じた物の譲渡等である
- 11号〜16号:限定提供データの不正取得・使用・開示である
- 17号・18号:技術的制限手段の効果を妨げる装置等の提供である
- 19号:図利加害目的でのドメイン名の取得・保有・使用である
- 20号・21号:原産地・品質等の誤認惹起表示と、競争関係にある他人の信用毀損である
- 22号:パリ条約の同盟国等の商標権者の代理人等による商標の冒用である
正しい。19号は不正の利益を得る目的又は他人に損害を加える目的を要件とするから、運用指針に違反した取得でも、いずれの目的もなければ不正競争に該当しない。
不正競争防止法2条1項19号は、不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為を不正競争とする。ドメイン名は原則として先に申請した者が登録を受ける仕組みであり、他人の表示と同一や類似のドメイン名を取得すること自体は正当な事業活動でも起こり得るため、19号は周知性や混同のおそれではなく、転売で利益を得る目的や他人の事業を妨げる目的といった主観的な要件で不正競争を切り分けている。ドメイン名の登録機関が定める運用指針への違反は、登録機関との関係で登録の取消しなどの問題を生じさせるが、それは19号の要件ではない。したがって、取得の過程で運用指針に係る違反があっても、不正の利益を得る目的も他人に損害を加える目的もなければ、その取得が19号の不正競争に該当することはなく、枝は正しい。目的の要件を欠くときは、3条の差止めも4条の損害賠償も19号を理由には請求できない。

不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為
誤り。違うのは「取得し、保有し、若しくは譲渡し、又はそのドメイン名を使用する行為」の部分である。19号が掲げる行為は、使用する権利の取得、保有、そのドメイン名の使用の3つで、譲渡は含まれていない。
不正競争防止法2条1項19号は、不正競争となる行為を、他人の特定商品等表示と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為と定める。取得、保有、使用の3つを別々の行為として並べているのは、ドメイン名を登録して持っているだけでも他人がそのドメイン名を使えなくなり、転売を持ちかけるといった図利加害の目的が実現するため、使用に至らない段階でも止められるようにするためである。他方、ドメイン名を使用する権利を他人に譲渡する行為は掲げられていない。譲渡の前提となる取得や保有が図利加害目的で行われていれば、その取得や保有の段階で既に不正競争に当たるので、譲渡を独立の行為として加える必要がないからである。したがって譲渡を含めて列挙する枝は、条文にない行為を加えており誤りである。1号や2号が譲渡や引渡しを行為として掲げているのは商品等表示を使用した商品についてであり、19号とは行為の並べ方が違う。

不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為
誤り。違うのは「その氏名が著名人と同一であっても、ドメイン名に係る不正競争に該当することはない」の部分である。特定商品等表示には人の業務に係る氏名が含まれ、自己の氏名の使用を除外する19条1項2号は19号に及ばない。
不正競争防止法2条1項19号は、他人の特定商品等表示と同一若しくは類似のドメイン名を図利加害目的で取得し、保有し、又は使用する行為を不正競争とし、特定商品等表示には人の業務に係る氏名が含まれる。著名人の氏名はその者の業務に係る氏名として特定商品等表示に当たり得るから、自己の氏名と同一であっても、著名人の名声を利用して転売する目的や著名人に損害を加える目的でそのドメイン名を取得すれば、19号の不正競争に該当する。19条1項2号は、自己の氏名を不正の目的でなく使用する行為について差止めや損害賠償の規定を適用しないと定めるが、その対象は2条1項1号、2号及び22号の不正競争に限られ、19号は掲げられていない。19号は目的の要件を備えているため、不正の目的でない自己の氏名の使用は初めから該当せず、適用除外を置く必要がないからである。したがって、自己の氏名からなるドメイン名であれば常に該当しないとする枝は誤りである。

第二条第一項第一号、第二号及び第二十二号に掲げる不正競争 自己の氏名を不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)でなく使用し、又は自己の氏名を不正の目的でなく使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為(同号に掲げる不正競争の場合にあっては、自己の氏名を不正の目的でなく使用して役務を提供する行為を含む。)
誤り。違うのは「周知性を要件としている」の部分である。19号の保護対象は他人の特定商品等表示であり、1号の周知や2号の著名のような限定は付されていない。
不正競争防止法2条1項19号は、不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為を不正競争とし、特定商品等表示を人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものと定義する。1号が需要者の間に広く認識されているもの、2号が著名なものと表示の側に限定を付けているのに対し、19号にはそのような限定がない。ドメイン名は早い者勝ちで登録されるため、表示が周知になる前に先回りして取得する行為が問題になるのであり、周知性を要件にすると保護が間に合わないからである。その代わりに、不正の利益を得る目的又は他人に損害を加える目的という主観的な要件で正当な取得と区別している。したがって保護対象に周知性を要件としているとする枝は誤りである。

不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為
- 目的:不正の利益を得る目的(転売目的など)又は他人に損害を加える目的(誹謗サイトの開設目的など)のどちらか一つである。20号の誤認惹起表示には目的の要件がない
- 対象:他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するもの)と同一又は類似のドメイン名である。周知・著名は要らない
- 行為:ドメイン名を使用する権利の取得、保有、そのドメイン名の使用である。譲渡は掲げられていない
誤り。違うのは「営業秘密に該当することはない」の部分である。断片が刊行物に載っていても、組み合わせた総体が保有者の管理下以外で一般に入手できなければ非公知性は失われない。
不正競争防止法2条6項は、営業秘密を、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものと定める。公然と知られていないという非公知性は、その情報が保有者の管理下以外では一般に入手できない状態にあることをいい、情報を構成する個々の要素が公知かどうかで決まるものではない。様々な刊行物に散らばった情報の断片を集めて一つの情報に構成した場合、どの断片を選び、どう組み合わせるかに事業上の価値があり、その組み合わせられた総体を第三者が容易に入手できないのであれば、その情報は公然と知られていないといえる。秘密管理性と有用性を備えていれば営業秘密に該当し得るのであり、刊行物に載った断片から構成されているというだけで営業秘密に該当することはないとする枝は誤りである。個々の断片そのものは公知であるから、断片ごとに保護されるわけではない点が、構成された情報との違いである。

この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
- 秘密管理性:秘密として管理されていることである。秘密管理意思が合理的な管理措置によって従業員等に示され、認識できる状態にあることが要る
- 有用性:事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であることである。法令違反や反社会的な行為に関する情報は除かれる
- 非公知性:公然と知られていないことである。保有者の管理下以外では一般に入手できない状態をいう
誤り。違うのは「その開示を受けた者がその営業秘密を取得する行為が不正競争に該当することはない」の部分である。営業秘密不正開示行為には秘密を守る法律上の義務に違反する開示も含まれ、それを知って取得すれば8号に当たる。
不正競争防止法2条1項8号は、その営業秘密について営業秘密不正開示行為であること若しくは営業秘密不正開示行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得する行為を不正競争とし、営業秘密不正開示行為を、7号の場合に同号の目的で開示する行為又は秘密を守る法律上の義務に違反してその営業秘密を開示する行為と定義する。すなわち不正開示行為は図利加害目的の開示に限られず、契約や法令で秘密保持義務を負う者がその義務に違反して開示すれば、目的がなくても不正開示行為になる。開示者に目的の要件を課す7号とは別に、義務違反の開示を受け取る側を捉えることで、保有者が契約で守ろうとした秘密の流出に対処する仕組みである。したがって、示された者が図利加害目的を持たずに開示した場合でも、その開示が秘密を守る法律上の義務に違反するものであれば、開示を受けた者がそれを知って又は重大な過失により知らないで取得する行為は8号の不正競争に該当し得るから、該当することはないとする枝は誤りである。

その営業秘密について営業秘密不正開示行為(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその営業秘密を開示する行為又は秘密を守る法律上の義務に違反してその営業秘密を開示する行為をいう。以下同じ。)であること若しくはその営業秘密について営業秘密不正開示行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
誤り。違うのは「第三者に不正の利益を得させる目的でその営業秘密を開示する行為は、不正競争に該当することはない」の部分である。7号の不正の利益を得る目的は、利益を得る主体を行為者自身に限っていない。
不正競争防止法2条1項7号は、営業秘密保有者からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為を不正競争と定める。従業員や取引先のように正当に営業秘密を示された者は、取得自体に不正はないので、使用や開示に図利加害目的があるときに限って不正競争とし、通常の業務での使用と区別している。この目的の要件は、保有者の意思に反して営業秘密を不正に利用する意図を捉えるものであり、条文は不正の利益を得る目的と書くだけで、利益を得るのが行為者自身か第三者かを区別していない。競合他社に利益を得させる目的で営業秘密を漏らす行為は、保有者の利益を害する点で自分が利益を得る場合と変わらないから、第三者に不正の利益を得させる目的も7号の目的に含まれる。したがって該当することはないとする枝は誤りである。19号のドメイン名でも同じく不正の利益を得る目的と書かれており、読み方は共通である。

営業秘密を保有する事業者(以下「営業秘密保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為
誤り。違うのは「それ以降その営業秘密を使用する行為は常に不正競争防止法上の規制の対象となる」の部分である。取引で善意無重過失で取得した者がその権原の範囲内で使用する行為は19条1項7号で適用が除外される。出題当時は19条1項6号であった(令和5年改正前)。
不正競争防止法2条1項6号は、その取得した後にその営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為を不正競争と定める。取得の時には善意無重過失であった者も、後から不正取得の介在を知れば、それ以降の使用や開示は6号に当たる。しかし19条1項7号は、取引によって営業秘密を取得した者で、取得した時に不正取得行為や不正開示行為の介在を知らず、かつ知らないことにつき重大な過失がない者が、その取引によって取得した権原の範囲内で営業秘密を使用し、又は開示する行為には、差止めや損害賠償などの規定を適用しないと定める。対価を払って正当に取引した者の取引の安全を守るためであり、権原の範囲内であれば後から事情を知っても使い続けることができる。したがって、不正取得の介在を知った後の使用が常に規制の対象になるとする枝は、この適用除外を見落としており誤りである。

第二条第一項第四号から第九号までに掲げる不正競争 取引によって営業秘密を取得した者(その取得した時にその営業秘密について営業秘密不正開示行為であること又はその営業秘密について営業秘密不正取得行為若しくは営業秘密不正開示行為が介在したことを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)がその取引によって取得した権原の範囲内においてその営業秘密を使用し、又は開示する行為
正しい。2条1項5号は、営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないで営業秘密を取得する行為を不正競争とし、直接の相手方が不正取得者であることを要しない。
不正競争防止法2条1項5号は、その営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為を不正競争と定める。4号が窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段による取得そのものを捉えるのに対し、5号はその後に営業秘密を受け取る転得者を捉える規定であり、介在したという文言は、自分に営業秘密を渡した直接の相手方に限らず、伝達の過程のどこかに不正取得行為があった場合を広く含む。不正に取得された営業秘密が人を経るたびに責任が切れるのでは保有者の保護にならず、他方で何も知らずに取得した者まで責任を負わせるのは酷なので、取得の時の悪意又は重大な過失を要件にして線を引いている。したがって、直接の相手方に不正取得行為がなくても、伝達の過程に不正取得行為が介在し、それを知って又は重大な過失により知らないで取得すれば不正競争に該当することがあり、枝は正しい。

その営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
| 号 | 誰が | 何をすると不正競争か |
|---|---|---|
| 4号 | 不正の手段で取得した者 | 取得すること。取得した営業秘密を使用・開示すること(目的は不要である) |
| 5号 | 不正取得の介在を知り、又は重大な過失で知らずに取得した転得者 | 取得すること。使用・開示すること |
| 6号 | 取得した後に不正取得の介在を知り、又は重大な過失で知らないでいる転得者 | 使用・開示すること |
| 7号 | 保有者から営業秘密を示された者 | 不正の利益を得る目的又は保有者に損害を加える目的で使用・開示すること |
| 8号 | 不正開示行為であること又はその介在を知り、又は重大な過失で知らずに取得した転得者 | 取得すること。使用・開示すること |
| 9号 | 取得した後に不正開示行為があったこと又はその介在を知り、又は重大な過失で知らないでいる転得者 | 使用・開示すること |
| 10号 | 技術上の秘密の不正使用により生じた物を扱う者 | その物を譲渡・引渡し・展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じて提供すること(譲受時に善意無重過失の譲受人を除く) |
誤り。違うのは「それらに当たらない情報を対象とするものは、技術的制限手段に該当することはない」の部分である。2条8項は記録の制限の対象を影像、音、プログラムその他の情報と定めている。
不正競争防止法2条8項は、技術的制限手段を、電磁的方法により影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録を制限する手段であって、視聴等機器が特定の反応をする信号を記録媒体に記録し若しくは送信する方式又は特定の変換を必要とするよう情報を変換して記録し若しくは送信する方式によるものと定める。記録を制限する手段の対象は影像、音、プログラムその他の情報であり、その他の情報という文言によって、影像、音、プログラムに当たらない情報の記録を制限する手段も含まれる。平成30年改正で、データの保護を強めるために、情報の処理の制限と影像、音、プログラム以外の情報の記録の制限が対象に加えられたものであり、改正前は影像、音、プログラムに限られていた。したがって、影像、音、プログラムに当たらない情報を対象とするものは技術的制限手段に該当することはないとする枝は、改正前の範囲で述べており誤りである。

この法律において「技術的制限手段」とは、電磁的方法により影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録を制限する手段であって、視聴等機器(影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録のために用いられる機器をいう。以下この項において同じ。)が特定の反応をする信号を記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とするよう影像、音、プログラムその他の情報を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。
- 制限の対象:影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理、影像、音、プログラムその他の情報の記録である(平成30年改正で情報の処理とその他の情報の記録が加わった)
- 方式:視聴等機器が特定の反応をする信号を記録媒体に記録し又は送信する方式と、視聴等機器が特定の変換を必要とするよう情報を変換して記録・送信する方式である
- 17号:営業上用いられている技術的制限手段のうち、特定の者以外の者に視聴等をさせないために用いているものを除いたものである
- 18号:他人が特定の者以外の者に視聴等をさせないために営業上用いている技術的制限手段で、譲渡等の相手は当該特定の者以外の者に限られる
正しい。17号・18号が不正競争として掲げる行為は、無効化機能を有する装置等の譲渡、引渡し、展示、輸出、輸入、電気通信回線を通じた提供と役務の提供であり、装置の製造は含まれていない。
不正競争防止法2条1項17号及び18号は、技術的制限手段の効果を妨げることにより影像の視聴等を可能とする機能を有する装置、プログラム又は指令符号を記録した記録媒体等について、譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくはプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為と、影像の視聴等を可能とする役務を提供する行為を不正競争と定める。いずれも無効化の手段を他人に提供する行為であり、技術的制限手段を営業上用いる者の利益が害されるのは無効化の手段が流通して用いられる段階であるため、流通の入口である提供行為を捉える仕組みになっている。装置を製造する行為は、それだけでは誰にも無効化の手段を提供していないので、17号・18号に掲げられていない。不正競争は2条1項に列挙された行為に限られるから、譲渡の目的で製造しても、製造の段階では不正競争に該当せず、その後に譲渡等をした時点で初めて該当する。したがって枝は正しい。

他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために営業上用いている技術的制限手段により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)、当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を当該特定の者以外の者に譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)又は影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為
- 対象物:無効化機能を有する装置(組み込んだ機器、容易に組み立てられる部品一式を含む)、プログラム(他のプログラムと組み合わされたものを含む)、指令符号を記録した記録媒体又は記憶した機器である
- 行為:譲渡、引渡し、譲渡若しくは引渡しのための展示、輸出、輸入と、プログラム・指令符号の電気通信回線を通じた提供である
- 役務:影像の視聴等を技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務の提供である
- 掲げられていない行為:装置の製造、無効化装置の購入、自分で無効化して視聴等をすることである
- 他の機能を併せ持つ装置・プログラム:無効化の用途に供するために行うものに限られる
誤り。違うのは「プログラムを記録した媒体の譲渡等と異なり、不正競争に該当することはない」の部分である。17号・18号は、無効化機能を有する指令符号を記録した記録媒体の譲渡も不正競争に掲げており、不正に生成されたシリアルコードは指令符号に当たる。
不正競争防止法2条1項17号及び18号は、技術的制限手段の効果を妨げることにより影像の視聴等を可能とする機能を有する装置、プログラム若しくは指令符号を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、展示し、輸出し、若しくは輸入し、又はプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為を不正競争と定め、指令符号を電子計算機に対する指令であって当該指令のみによって一の結果を得ることができるものと定義する。不正に生成されたシリアルコードは、入力するだけでプログラムの実行の制限が外れるものであるから、プログラムではないが指令符号に当たる。改正前は装置とプログラムだけが対象で、単なる文字列であるシリアルコードの提供を捉えきれなかったため、平成30年改正で指令符号が加えられたものである。したがって、無効化機能を有する不正に生成されたシリアルコードを記録した媒体を譲渡する行為は、プログラムを記録した媒体の譲渡と同じく不正競争に該当し、該当することはないとする枝は誤りである。

他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために営業上用いている技術的制限手段により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)、当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を当該特定の者以外の者に譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)又は影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為
誤り。違うのは「そのような機能を有する装置の輸入と異なり、不正競争に該当することはない」の部分である。17号・18号は「輸出し、若しくは輸入し」と並べて掲げ、輸出と輸入を同じに扱っている。
不正競争防止法2条1項17号及び18号は、技術的制限手段の効果を妨げることにより影像の視聴等を可能とする機能を有する装置等を、譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入する行為を不正競争と定める。輸出と輸入は同じ並びの中に掲げられており、国内で製造した無効化装置を国外に送り出す行為も、国外から国内に持ち込む行為も、無効化の手段を流通させる点で同じであるから、区別なく不正競争とされている。国外の利用者に無効化装置を渡せば、国外で営業上技術的制限手段を用いている者の利益が害されるだけでなく、装置が国内に還流するおそれもあるため、輸出を外す理由がない。したがって、輸出する行為は輸入と異なり不正競争に該当することはないとする枝は、条文の列挙と食い違っており誤りである。輸出を行為として掲げる点は、商品等表示に係る1号・2号や形態模倣の3号でも同じであり、不正競争防止法は一貫して輸出と輸入を並べて規定している。

営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録されたものに限る。以下この号、次号及び第八項において同じ。)の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)、当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号(電子計算機に対する指令であって、当該指令のみによって一の結果を得ることができるものをいう。次号において同じ。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)又は影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為
誤り。違うのは「技術的制限手段の無効化機能を有する装置の譲渡等と異なり、不正競争に該当することはない」の部分である。17号・18号は、影像の視聴等を技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為も不正競争に掲げている。
不正競争防止法2条1項17号及び18号は、技術的制限手段により制限されている影像の視聴等を、その効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置、プログラム又は指令符号を記録した記録媒体等を譲渡し、引き渡し、展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為と並べて、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為を不正競争と定める。装置やプログラムを渡すのではなく、業者が顧客の機器に手を加えて制限を外すといったサービスの形で無効化を提供する行為も、技術的制限手段を営業上用いる者の利益を同じように害するため、平成30年改正で役務の提供が加えられたものである。プログラムの実行は17号・18号の影像の視聴等に含まれるから、制限されているプログラムの実行を可能にする無効化サービスの提供は役務の提供として不正競争に該当し、該当することはないとする枝は誤りである。

営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録されたものに限る。以下この号、次号及び第八項において同じ。)の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)、当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号(電子計算機に対する指令であって、当該指令のみによって一の結果を得ることができるものをいう。次号において同じ。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)又は影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為
正しい。3条1項の差止請求権者は不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者であり、該当する者を1人に限る定めはないから、複数いればそれぞれが請求権者となる。
不正競争防止法3条1項は、不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができると定める。2条1項20号の品質誤認行為は、商品やその広告に原産地、品質、内容などについて誤認させるような表示をする行為であり、特定の他人の表示を冒用するのではなく市場全体の公正な競争を歪める行為であるから、営業上の利益を害されるのは、誤認表示をした者と競争関係にあって顧客を奪われる事業者である。3条1項は請求権者を営業上の利益を侵害され又はそのおそれがある者と定めるだけで、その数を1人に限ったり最も損害の大きい者に絞ったりする定めはなく、差止請求権は侵害を受ける者ごとに生じる。したがって、競争関係にあって営業上の利益を害される者が市場に複数いれば、それぞれが差止めの請求権者となるとする枝は正しい。誤認して商品を買った一般消費者は営業上の利益を害される者ではないので請求権者にならない。

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
- 請求権者になる:国・地方公共団体、非営利事業者、特定非営利活動法人、周知表示の使用許諾を受けた者など、不正競争によって営業上の利益を侵害され又はそのおそれがある者である
- 請求権者にならない:品質を誤認して買った一般消費者や適格消費者団体である。不正競争防止法に消費者団体訴訟の制度はない
- 相手方の主観:故意・過失も不正の目的も要らない。損害賠償(4条)には故意又は過失が要る
誤り。違うのは「模倣した爪切りを製造する行為は、不正競争に該当する」の部分である。2条1項3号が不正競争とするのは模倣した商品の譲渡、貸渡し、展示、輸出、輸入、電気通信回線を通じた提供であり、製造は掲げられていない。
2条1項3号は、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を不正競争とする。同号は先行者が資金と労力を投じて商品化した成果を、模倣品を市場に出して先行者の販売機会を奪う行為から守る規定であり、規制の対象は市場に模倣品を流通させる行為に絞られている。模倣した商品を作り出すこと自体は2条5項の模倣の定義に含まれるが、製造行為は3号の列挙にないから、製造しただけでは不正競争にならず、製造した商品を譲渡等して初めて不正競争になる。甲が製品開発のための試験研究の目的で乙の爪切りの形態を模倣した爪切りを製造する行為は、市場に出す行為を伴わないので不正競争に該当しない。製造する行為が不正競争に該当するとする点がずれている。特許法や意匠法が生産を実施に含めるのと異なる。

他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
- 商品の形態:通常の用法で知覚できる外部・内部の形状と、結合した模様・色彩・光沢・質感である。機能を確保するために不可欠な形態を除く(2条4項)
- 模倣:他人の商品の形態に依拠して実質的に同一の形態の商品を作り出すことである(2条5項)
- 行為:譲渡、貸渡し、譲渡・貸渡しのための展示、輸出、輸入、電気通信回線を通じた提供である。製造と使用は含まれない
- 適用除外:国内最初の販売から3年を経過した商品と、善意無重過失の譲受人の行為である(19条1項6号)
誤り。違うのは「乙が当該商品を販売することは、不正競争に該当する」の部分である。2条5項の模倣は他人の商品の形態に依拠することを要し、依拠せず独自に作り出した商品の販売は模倣品の譲渡にならない。
2条5項は、模倣するとは他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいうと定める。2条1項3号は意匠権のように形態そのものを独占させる制度ではなく、他人の開発成果にただ乗りして開発費用を負担せずに市場に参入する行為を不正競争として禁じるものであるから、模倣の要件として、他人の商品の形態を知ってそれを基に作り出したという依拠が要る。甲と乙が同一の商品について開発競争をし、互いの商品に依拠することなく実質的に同一の形態の商品を作り出すに至った場合、乙の商品は独自の開発の成果であって甲の商品の模倣品ではない。甲の販売が乙より先であっても、先に販売した者が形態を独占する仕組みではないので、乙が自らの商品を販売することは不正競争に該当しない。販売の先後だけで不正競争に該当するとする点がずれている。先に出願した者が権利を得る意匠法の先願主義とは異なる。

この法律において「模倣する」とは、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう。
正しい。着せ替え人形の着物はそれ自体が独立して取引される商品であり、その形態を模倣した人形用の着物を販売する行為は2条1項3号の不正競争に該当する。
2条1項3号は他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡する行為を不正競争とし、2条4項は商品の形態を需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感と定める。同号の商品は市場で独立して取引の対象となる物をいい、商品の一部分であっても、それ自体が独立の商品として取引されているならば、その形態が保護の対象になる。着せ替え人形の着物は人形から取り外して着せ替えることが用途であり、人形用の衣服として単独で販売される物であるから、甲の人形に着せた新たなデザインの着物は独立した商品の形態として保護される。人形用の衣服の業者である乙が、甲の着物の形態に依拠して実質的に同一の形態の人形用の着物を作り出して販売することは、他人の商品の形態を模倣した商品の譲渡に当たる。本枝は正しい。

この法律において「商品の形態」とは、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感をいう。
誤り。違うのは「商品Bを消費者向けにレンタルする営業を行うことは、不正競争に該当しない」の部分である。模倣品の貸渡しは2条1項3号の不正競争であり、模倣品と知って譲り受けた乙には19条1項6号ロの適用除外がない。出題当時は19条1項5号ロであった。
2条1項3号は、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡するだけでなく貸し渡す行為も不正競争とするから、商品Bを消費者向けにレンタルする営業は模倣品の貸渡しに当たる。ただし19条1項6号ロは、模倣した商品を譲り受けた者のうち、譲り受けた時にその商品が他人の商品の形態を模倣した商品であることを知らず、かつ知らないことにつき重大な過失がない者が、その商品を譲渡し、貸し渡すなどの行為について3条から15条までの規定を適用しないとする。模倣品かどうかは外見では分からないことが多いため、善意無重過失で仕入れた流通業者を保護して取引の安全を図る趣旨であり、この除外は譲受け時の善意無重過失を要件とする。乙は商品BがロボットAの模倣品であることを知りながら譲り受けているから除外を受けられず、乙のレンタル営業は不正競争に該当する。不正競争に該当しないとする点がずれている。

他人の商品の形態を模倣した商品を譲り受けた者(その譲り受けた時にその商品が他人の商品の形態を模倣した商品であることを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)がその商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
誤り。違うのは「甲との契約に反してその同意を得ずに当該商品を販売することは、不正競争に該当する」の部分である。共同で形態を開発した乙にとって当該商品は他人の商品ではなく、その販売は模倣した商品の譲渡でもない。
2条1項3号は、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡する行為などを不正競争とし、2条5項は模倣を他人の商品の形態に依拠してこれと実質的に同一の形態の商品を作り出すことと定める。同号が守るのは、資金と労力を投下して商品の形態を開発し商品化した者が先行者として得る利益であるから、他人の商品とは開発者以外の者から見た商品をいい、自ら開発に加わった者にとってその商品は他人の商品ではない。甲と乙が共同して商品の形態を開発した場合、乙は開発者の一人であり、乙が当該商品を販売しても他人の形態に依拠して作り出した模倣品を譲渡したことにならない。甲との契約に反して同意なく販売したことは契約違反として債務不履行の責任を生じさせるにとどまり、不正競争防止法の問題ではない。不正競争に該当するとする点がずれている。

この法律において「模倣する」とは、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう。
誤り。違うのは「商品等表示には含まれない」の部分である。2条1項1号は商品等表示の定義に商品の容器若しくは包装を明記している。
2条1項1号は、商品等表示を人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものと定義する。同号が守るのは、表示に化体した営業上の信用であり、需要者が表示を見てその商品や営業の出所を識別しているという事実である。商品の容器や包装は本来は商品を入れる物にすぎないが、特徴ある形や色が長く使われれば需要者がそれを見て特定の企業の商品だと分かるようになるため、条文はこれを商品等表示の例として明示している。商品の容器・包装が特定の企業の商品の出所を示す表示として機能する場合は、まさに条文が予定する商品等表示であり、周知性と混同のおそれを満たせば1号の保護を受ける。出所を示す表示として機能する場合であっても含まれないとする点がずれている。商品の形態自体も、出所表示として需要者に認識されるに至れば同じく商品等表示になり得る。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
- 条文の例示:氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装である
- その他の商品又は営業を表示するもの:商品の形態、店舗の外観、営業のシンボルなど、出所を識別する機能を持つに至ったものである
- 商標:商標法2条1項の商標をいい(2条2項)、登録の有無を問わない
- 営業:営利目的に限らず、経済上の収支計算の上に立って行われる事業を広く含む
誤り。違うのは「自己の商品等表示として不正競争防止法第2条第1項第1号により保護を受けることができる」の部分である。他人の商品等表示を無断で冒用している者は、その表示について商品等表示の主体になれない。
2条1項1号は、他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものと同一又は類似の商品等表示を使用して混同を生じさせる行為を不正競争とする。同号が保護するのは、表示を自己の業務に使用してそこに信用を化体させてきた主体であり、保護を受けるには、その表示が自己の商品又は営業を表示するものとして需要者に認識されていることが要る。甲は米国で周知である乙の商品等表示を日本国内で無断で事業に使用し、乙の信用に基づいて国内の信用を形成したにすぎない。日本国内で形成された信用は乙の表示が持つ信用の反映であり、需要者が甲の表示を乙のものと結び付けて認識している以上、甲はその表示の主体ではなく、乙の表示を冒用している者にとどまる。冒用者に1号の保護を与えると、同法が守るべき信用の帰属と逆の結果になる。したがって甲は自己の商品等表示として保護を受けることができず、本枝はこの点がずれている。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
誤り。違うのは「商品等表示には含まれない」の部分である。商品等表示の定義には商標が明記され、2条2項の商標は商標法2条1項の商標をいうので、登録商標であっても商品等表示に含まれる。
2条1項1号は、商品等表示の定義に商標を掲げ、2条2項はこの法律において商標とは商標法2条1項に規定する商標をいうと定める。商標法2条1項の商標は業として商品や役務に使用する文字、図形、記号などの標章をいい、登録を受けているかどうかで区別されていない。不正競争防止法1号の保護は、登録という手続ではなく、表示が需要者の間に広く認識されているという事実と混同のおそれを要件にするものであるから、商標登録の有無は商品等表示に当たるかどうかに影響しない。商標登録を受けている文字商標も、人の業務に係る商品や営業を表示するものである限り商品等表示に含まれ、商標権者は商標権に基づく請求と不正競争防止法に基づく請求のどちらも選べる。登録商標は含まれないとする点がずれている。登録商標の使用が不正競争に当たる場合は、商標権の行使の形をとっても不正競争防止法の適用を免れない。

この法律において「商標」とは、商標法第二条第一項に規定する商標をいう。
誤り。違うのは「商品等表示における商品には含まれない」の部分である。1号の商品は有体物に限られず、市場で取引の対象となるものであれば無体物のタイプフェイスも含まれる。
2条1項1号は、商品等表示を人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものと定義し、商品について有体物に限る定めを置いていない。同号は商品や営業の出所についての混同を防いで表示に化体した信用を守る規定であるから、ここでいう商品は、それ自体が独立して市場で取引の対象となり、表示によって出所が識別されるものであれば足り、物として形があるかどうかは問われない。タイプフェイスは印刷用書体という無体物であるが、書体名を付けて販売やライセンスの対象となり、需要者はその名称により出所を識別しているから、商品として商品等表示の保護の対象になる。モリサワタイプフェイス事件の東京高決も、書体のように無体物であっても商品となり得るとした。無体物であるタイプフェイスは商品には含まれないとする点がずれている。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
正しい。2条1項1号の営業は営利目的の事業に限られず、経済上の収支計算の上に立って行われる事業を広く含むので、病院の経営に使われる営業の表示も商品等表示に含まれる。
2条1項1号は、商品等表示を人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものと定義する。ここでいう営業は、商法上の商行為や営利目的の事業に限られない。同号は表示に化体した信用と需要者の出所識別を守る規定であり、信用の混同による不利益は営利目的かどうかに関係なく生じるから、経済上の収支計算の上に立って継続的に行われる事業であれば広く営業に含まれると解されている。病院の経営は医療法上の非営利性を伴うが、患者から診療報酬を受けて収支を立てながら継続する事業であり、その名称は患者や取引先にとって出所を識別する表示として働く。したがって病院の経営において使用される営業の表示は商品等表示に含まれ、周知であれば類似の名称による混同惹起行為に対して差止めを求められる。本枝は正しい。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
正しい。5条3項5号は、2条1項19号のドメイン名の不正取得等によって営業上の利益を侵害された者が、当該ドメイン名の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額を自己の損害の額として賠償請求できると定めている。
5条3項は、2条1項1号から9号まで、11号から16号まで、19号又は22号に掲げる不正競争によって営業上の利益を侵害された者は、故意又は過失により侵害した者に対し、各号に定める行為に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができると定め、5号で19号の不正競争について当該侵害に係るドメイン名の使用を挙げる。不正競争による損害の額は立証が難しいため、少なくとも使用許諾をしていれば得られたはずの金額を損害として請求できるようにした規定である。他人の特定商品等表示と同一又は類似のドメイン名を不正の利益を得る目的で使用する行為は19号の不正競争であるから、被害者はそのドメイン名の使用に対し受けるべき金銭に相当する額、いわゆるライセンス料相当額を損害額として賠償請求できる。本枝は正しい。19号には1項の譲渡数量による計算は使えず、2項の侵害者の利益の推定と3項の使用料相当額が使える。

第二条第一項第十九号に掲げる不正競争当該侵害に係るドメイン名の使用
| 1項(譲渡数量×単位利益) | 2項(侵害者の利益の推定) | 3項(使用料相当額) | |
|---|---|---|---|
| 対象の号 | 1号〜16号・22号 | 限定なし(全類型) | 1号〜9号・11号〜16号・19号・22号 |
| ドメイン名(19号) | 使えない | 使える | 使える |
| 誤認惹起(20号)・信用毀損(21号) | 使えない | 使える | 使えない |
誤り。違うのは「営業秘密に該当することはない」の部分である。2条6項の営業秘密は秘密として管理されている有用で非公知の情報であればよく、媒体に記録されていることは要件でない。
2条6項は、営業秘密を秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものと定義する。保護の対象は情報そのものであり、紙やデータに記録されていることは要件に含まれていない。2条1項4号以下が営業秘密の取得や使用、開示を規制するのも、情報が媒体を離れて人の頭の中を経由して流出することを前提にしており、保有者の会話を聞いて記憶する行為も取得に当たると解されている。従業員が頭の中に記憶している情報であっても、事業者が秘密管理措置を実施し、従業員がその情報を秘密と認識できる状態にあり、有用性と非公知性を満たせば営業秘密に該当し、その従業員が退職後に不正の利益を得る目的で使用すれば2条1項7号の不正競争になる。記憶している情報は該当することはないとする点がずれている。

この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
- 秘密管理性:秘密として管理されていることである。秘密管理意思が合理的な管理措置によって従業員等に示され、認識できる状態にあることが要る
- 有用性:事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であることである。法令違反や反社会的な行為に関する情報は除かれる
- 非公知性:公然と知られていないことである。保有者の管理下以外では一般に入手できない状態をいう
- 媒体への記録は要件でなく、記憶されている情報も営業秘密になり得る
正しい。営業秘密の取得とは営業秘密を自己の管理下に置くことをいい、記録媒体を手に入れる行為も、保有者の会話を聞いて記憶する行為も取得に当たる。
2条1項4号は、窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為を営業秘密不正取得行為と定め、5号以下は取得した営業秘密の使用や開示、転得者の取得を規制する。営業秘密は2条6項が情報そのものを対象とするので、取得も情報を自己の管理下に置くことを意味し、情報が記録された文書やUSBメモリなどの媒体を手に入れる形で行われる場合と、媒体の移動を伴わずに情報自体を頭の中に入れる形で行われる場合の両方を含む。営業秘密保有者の会話を聞いて記憶する行為は後者であり、情報を自己の管理下に置いた点で媒体を取得した場合と変わらない。そのため盗聴や詐欺により聞き出して記憶すれば4号の不正取得になり、記憶した情報を使用し開示すれば同号の不正競争になる。取得に媒体を自己の管理下に置く行為も会話を聞いて記憶する行為も含まれるとする本枝は正しい。

窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「営業秘密不正取得行為」という。)又は営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。次号から第九号まで、第十九条第一項第七号、第二十一条及び附則第四条第一号において同じ。)
正しい。公然と知られていないとは保有者の管理下以外では一般に入手できない状態をいい、過去に外国の刊行物に載った情報でも、その事実が知られておらず入手に相当のコストを要するなら非公知性は失われない。
2条6項は営業秘密の要件として公然と知られていないことを挙げる。非公知性とは、当該情報が刊行物に記載されていないなど、保有者の管理下以外では一般に入手することができない状態にあることをいう。特許法29条1項の新規性が世界のどこかの刊行物に一度でも載れば失われるのと異なり、営業秘密の保護は情報を秘密に保つ事実上の状態に対する保護であるから、形式的に公開された記録が存在するかではなく、現実にその情報が一般に入手できる状態かどうかで判断される。過去に外国の刊行物に掲載されていた情報であっても、その刊行物が日本の同業者に知られておらず、該当箇所を探し出すのに時間的にも資金的にも相当のコストを要するなら、なお一般に入手できる状態とはいえず、非公知性が認められる場合がある。本枝は正しい。逆に市販の製品を分解すれば容易に分かる情報は非公知とはいえない。

この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
正しい。転得者の取得が2条1項5号の不正競争になるのは、不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないで取得した場合に限られ、善意無重過失の譲受けは不正競争に当たらない。
2条1項4号は窃取などの不正の手段により営業秘密を取得する行為を営業秘密不正取得行為とし、5号は、その営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為を不正競争とする。窃取した者から営業秘密を受け取る転得者を規制するのが5号であるが、取引の安全との調整のため、転得者の主観を悪意又は重過失に限っている。製造工程に関する営業秘密が記録されたUSBメモリを、それが窃取されたものであることを知らず、知らなかったことに重大な過失もなく譲り受ける行為は、5号の要件を満たさないので不正競争に該当しない。本枝は正しい。ただし譲り受けた後に窃取の介在を知り、又は重大な過失により知らないで使用し開示すれば6号の不正競争になり、取引で取得した権原の範囲内の使用だけが19条1項7号で除かれる。

その営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
| 号 | 誰が | 何をすると不正競争か |
|---|---|---|
| 4号 | 不正の手段で取得した者 | 取得すること。取得した営業秘密を使用・開示すること |
| 5号 | 不正取得の介在を知り、又は重大な過失で知らずに取得した転得者 | 取得すること。使用・開示すること |
| 6号 | 取得した後に不正取得の介在を知り、又は重大な過失で知らないでいる転得者 | 使用・開示すること(取引で得た権原の範囲内は19条1項7号で除外) |
正しい。秘密として管理されているといえるには、保有者の秘密管理意思が管理措置によって示され、情報に接した従業員や外部者が秘密であると認識できる状態にあることが要る。
2条6項は営業秘密の第一の要件として秘密として管理されていることを挙げる。営業秘密は登録や公示の手続なしに保護され、取得や使用をした者が後から差止めや損害賠償、刑事罰の対象になる仕組みであるから、どの情報が保護されるのかを情報に接する側が予見できなければならない。そこで秘密管理性は、保有者が主観的に秘密にしたいと考えているだけでは足りず、その秘密管理意思が、施錠や閲覧者の限定、秘密であることの表示といった合理的な管理措置によって従業員や外部者に示され、彼らがその情報を秘密であると認識できる状態になっていることを要すると解されている。経済産業省の営業秘密管理指針もこの認識可能性を中心に秘密管理性を説明する。したがって秘密として管理されているかどうかの判断で、情報にアクセスした従業員や外部者に秘密であることが十分に認識できるようにされていることが考慮されるとする本枝は正しい。

この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
正しい。2条1項21号の競争関係は、現に顧客を奪い合っている関係に限られず、双方の営業につき需要者又は取引者を共通にする可能性があれば足りる。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争とする。競争関係が要件とされるのは、不正競争防止法が事業者間の公正な競争秩序を守る法律であり、競争とは無関係な中傷は民法709条の不法行為や名誉毀損で扱えば足りるからである。もっとも虚偽の事実による信用の毀損は、同じ商品を同じ市場で売る者の間だけで起きるわけではなく、将来市場で競合し得る者が相手の信用を落とせば競争秩序は害される。そこで競争関係は、行為者と他人の双方の営業につき、その需要者又は取引者を共通にする可能性があることで足りると解されており、現に同種の商品や役務を扱っていることや、現実に顧客を奪い合っていることまでは要らない。本枝はこの解釈のとおりであり正しい。特許権者が相手方の取引先に侵害品だと告げる行為もこの要件を満たす典型である。

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
- 競争関係:双方の営業につき需要者又は取引者を共通にする可能性があれば足りる。無関係の相手への中傷は民法709条の不法行為である
- 虚偽の事実:客観的真実に反する事実である。真実や、証拠による証明になじまない意見・論評は含まれない
- 営業上の信用:営業活動に関する経済上の外部的評価で、商品・役務の社会的評価や支払能力・営業能力への社会的信頼を含む
- 告知・流布:特定の者に知らせることが告知、不特定又は多数の者に広めることが流布である
誤り。違うのは「第三者が虚構したものである場合には、当該行為は不正競争に該当しない」の部分である。21号の虚偽の事実は客観的真実に反する事実をいい、誰がその事実を作り出したかを問わない。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争とする。虚偽の事実とは客観的真実に反する事実をいい、条文は告知し、又は流布する行為を規制の対象とするのみで、その事実を行為者自身が作り出したことを要件にしていない。同号が守るのは他人の営業上の信用であり、信用は虚偽の事実が伝えられることによって害されるのであって、その事実の出どころが行為者の創作か第三者の創作かで被害に違いはない。行為者が第三者の虚構した事実を真実と信じて伝えた場合も、虚偽であることについての故意や過失は3条の差止請求の要件ではないので差止めの対象になり、4条の損害賠償では過失の有無が問われるにとどまる。したがって告知又は流布された内容が第三者の虚構したものであっても、競争関係にある他人の信用を害する虚偽の事実を告知し流布すれば不正競争に該当する。該当しないとする点がずれている。

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
正しい。告知は一定の事実を特定の者に個別に知らせる行為、流布は一定の事実を不特定又は多数の者に知られるような形で広める行為をいう。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争とする。同号は信用を害する虚偽の事実が外部に伝えられる行為を広く対象にしており、その伝達の形を告知と流布に分けている。告知とは、自己の関知する事実を特定の者に対して個別に伝達する行為であり、取引先に対して相手方の商品は特許権を侵害していると書面で通知する行為や、来店した客に個別に説明する行為がこれに当たる。流布とは、事実を不特定の者又は多数の者に知られるような態様で広める行為であり、新聞広告への掲載やウェブサイトでの公開、不特定の者への宣伝文書の配布がこれに当たる。告知と流布のどちらであっても、虚偽の事実が競争関係にある他人の信用を害すれば不正競争になり、両者を区別する実益は行為の態様を整理する点にある。本枝は両者の意義をこのとおり述べており正しい。

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
正しい。商品形態模倣は不正の利益を得る目的で行えば21条3項3号の罰則の対象になるが、信用毀損行為は21条のどの項にも掲げられておらず、差止めと損害賠償などの民事上の救済だけが定められている。出題当時は21条2項3号であった。
不正競争防止法の民事上の救済は、3条の差止請求と4条の損害賠償、14条の信用回復措置が全類型の不正競争を対象とする。これに対し刑事罰は21条が号ごとに対象を限定しており、2条1項3号の商品形態模倣については、21条3項3号が不正の利益を得る目的で同号の不正競争を行ったときを5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金又はその併科の対象とする。2条1項21号の信用毀損行為は21条のいずれの項にも掲げられておらず、刑事罰の規定はない。虚偽の事実の告知や流布は表現活動に近く、真実かどうかの判断を刑罰で強制すると正当な批判や警告まで萎縮させるおそれがあるため、民事上の救済にとどめ、刑事的には刑法の信用毀損罪や名誉毀損罪に委ねている。商品形態模倣には民事上の救済と刑事罰の両方があり、信用毀損行為には民事上の救済のみが規定されているとする本枝は正しい。

不正の利益を得る目的で第二条第一項第三号に掲げる不正競争を行ったとき。
- 1号:不正の目的による周知表示の混同惹起(1号)と誤認惹起表示(20号)である
- 2号:著名表示に係る信用・名声を利用する目的等による著名表示の冒用(2号)である
- 3号:不正の利益を得る目的による商品形態模倣(3号)である
- 4号:不正の利益を得る目的等による技術的制限手段の無効化(17号・18号)である
- 信用毀損行為(21号)とドメイン名の不正取得等(19号)には罰則がない
正しい。21号の営業上の信用は営業活動に関する経済上の外部的評価をいい、商品や役務の社会的評価のほか、支払能力や営業能力に対する社会的信頼も含まれる。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争とする。営業上の信用とは、事業者がその営業活動について外部から受けている経済的な評価であり、事業者の人格的な名誉とは区別される。この評価には二つの側面があり、一つはその営業によって提供される商品や役務の品質、性能、安全性などについての社会的評価であり、もう一つは事業者自身の支払能力や営業能力、経営の健全さなど取引の相手方として信頼できるかについての社会的信頼である。他人の商品が特許権を侵害しているとか、品質に欠陥があるという虚偽の事実は前者を害し、他人の会社が倒産しそうだという虚偽の事実は後者を害する。いずれも営業上の信用を害する行為として21号の対象になる。本枝は営業上の信用の内容をこのとおり述べており正しい。

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
誤り。違うのは「和菓子以外の商品に使用している場合には、乙の行為が不正競争となることはない」の部分である。2条1項1号は商品の同一を要件としておらず、混同を生じさせれば不正競争になる。
2条1項1号は、他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為を不正競争とする。要件は表示の周知、同一・類似の表示の使用、混同の三つであり、使用する商品が他人の商品と同一であることは掲げられていない。周知は一地方で足りるから、神奈川県内で周知の表示Aを同県内で使えば周知の要件を満たす。混同は商品の出所を取り違える狭義の混同に限らず、系列や提携の関係があると誤認させる広義の混同を含むため、和菓子以外の商品であっても甲の営業と関係があると需要者に思わせれば混同は生じうる。商品が違えば不正競争となることはないとする枝は、混同の有無を問わずに結論を出している点でずれている。商品の異同を問わないことは、混同を要件としない2号ではなおさら明らかである。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
- 周知:需要者の間に広く認識されていることである。一地方で足り、取引業者も需要者に含む
- 同一・類似の商品等表示の使用、又は使用した商品の譲渡・引渡し・展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じた提供である
- 混同:需要者を基準に、広義の混同を含めて判断する。商品の同一も競争関係も要らない
- 適用除外:普通名称等(19条1項1号)、自己の氏名(2号)、先使用(4号)である
正しい。19条1項5号は、他人の表示が著名になる前から不正の目的でなく使用する者の行為に2条1項2号の差止め等の規定を適用しないと定め、先使用者自身の表示の周知性を要件としていない。出題当時は19条1項4号であった(令和5年改正前)。
19条1項5号は、2条1項2号の不正競争のうち、他人の商品等表示が著名になる前からその商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用する者がこれを不正の目的でなく使用する行為について、3条から15条までと21条・22条の規定を適用しないと定める。著名表示の保護は、表示が著名になった後にその名声にただ乗りする者を排除するものであり、著名になる前から正当に使っていた者の営業まで奪う理由がないからである。同号の要件は、著名になる前からの使用と不正の目的がないことの二つであり、先使用者自身の表示が需要者の間に広く認識されていることは掲げられていない。乙が表示Aの著名化より前から不正の目的なく使用していれば、表示Aが著名性を獲得した時点で乙の表示が周知でなくても2条1項2号の規定は適用されない。商標法32条の先使用権が先使用者の商標の周知性を求めるのと違う点である。

第二条第一項第二号に掲げる不正競争他人の商品等表示が著名になる前からその商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用する者又はその商品等表示に係る業務を承継した者がその商品等表示を不正の目的でなく使用し、又はその商品等表示を不正の目的でなく使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
誤り。違うのは「乙の販売している菓子の普通名称である場合には、乙の行為が不正競争となることはない」の部分である。19条1項1号の適用除外は普通名称を普通に用いられる方法で使用する場合に限られ、特殊な独自のデザインを施した使用には及ばない。
19条1項1号は、2条1項1号・2号・20号・22号の不正競争のうち、商品若しくは営業の普通名称を普通に用いられる方法で使用し、又は表示をする行為について、3条から15条までと21条・22条の規定を適用しないと定める。普通名称は誰もが商品を呼ぶために使う語であって、特定の者に独占させると取引に支障が出るから除外されるのであり、その趣旨が及ぶのは、普通名称をその語として普通に書く態様に限られる。特殊な独自のデザインを施した表示は、語の意味ではなく表示の姿で需要者の注意を引くものであり、普通に用いられる方法での使用に当たらない。したがって表示Aが乙の菓子の普通名称であっても適用除外にはならず、周知の表示Aと類似し甲の商品と混同を生じさせれば2条1項1号の不正競争となりうる。普通名称であれば不正競争となることはないとする枝は、「普通に用いられる方法で」という限定を落としている点でずれている。

第二条第一項第一号、第二号、第二十号及び第二十二号に掲げる不正競争商品若しくは営業の普通名称(ぶどうを原料又は材料とする物の原産地の名称であって、普通名称となったものを除く。)若しくは同一若しくは類似の商品若しくは営業について慣用されている商品等表示(以下「普通名称等」と総称する。)を普通に用いられる方法で使用し、若しくは表示をし、又は普通名称等を普通に用いられる方法で使用し、若しくは表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為(同項第二十号及び第二十二号に掲げる不正競争の場合にあっては、普通名称等を普通に用いられる方法で表示をし、又は使用して役務を提供する行為を含む。)
誤り。違うのは「周知性を獲得していない場合には、乙の行為が不正競争となることはない」の部分である。2条1項19号のドメイン名の不正取得は特定商品等表示の周知性を要件とせず、加害目的での取得で足りる。出題当時は13号であった(平成30年改正前)。
2条1項19号は、不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為を不正競争とする。対象となる特定商品等表示は、人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものであれば足り、1号のように需要者の間に広く認識されていることも、2号のように著名であることも要件に掲げられていない。ドメイン名は同じ文字列を一人しか登録できないため、表示の知名度ではなく図利加害の目的で線を引いたものである。甲の事業を誹謗中傷する目的は他人に損害を加える目的に当たり、A.co.jpは役務表示Aと同一又は類似のドメイン名であるから、表示Aが周知でなくても19号に当たる。周知性がなければ不正競争とならないとする枝は、1号の要件を19号に持ち込んでいる点でずれている。

不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為
- 目的:不正の利益を得る目的(転売目的など)又は他人に損害を加える目的(誹謗サイトの開設目的など)のどちらか一つである
- 対象:他人の特定商品等表示と同一又は類似のドメイン名である。周知・著名は要らない
- 行為:ドメイン名を使用する権利の取得、保有、そのドメイン名の使用である。譲渡は掲げられていない
誤り。違うのは「注文があった場合にのみ、その家具を直接消費者に販売している場合には、乙の行為が不正競争となることはない」の部分である。2条1項2号は販売の形態を限定しておらず、著名な表示Aを付した家具の譲渡は同号に当たる。
2条1項2号は、自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為を不正競争とする。著名な表示は全国的な名声そのものが保護の対象であるから、混同の有無も商品の同一も要件になっておらず、和菓子の表示Aを家具に付しても2号に当たる。販売の形態についても、同号は譲渡や引渡しを掲げるだけで、店頭販売か受注販売か、流通業者を介するか消費者に直接売るかを区別していない。注文があった場合にのみ消費者に直接販売する行為も、表示Aを使用した家具の譲渡と引渡しそのものである。販売の形態を限れば不正競争とならないとする枝は、条文にない区別を持ち込んでいる点でずれている。

自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
| 1号 | 2号 | |
|---|---|---|
| 表示の知られ方 | 周知(需要者の間に広く認識。一地方で足りる) | 著名(全国的に知られていること) |
| 混同 | 要る(広義の混同を含む) | 要らない |
| 使用の態様 | 商品等表示の使用 | 「自己の商品等表示として」の使用に限る |
| 先使用の適用除外 | 19条1項4号。混同防止表示を請求できる(19条2項) | 19条1項5号。混同防止表示の請求はない |
誤り。違うのは「その外部のデザインが異なる場合であっても、不正競争となる」の部分である。内部の形状も商品の形態に含まれるが、模倣に当たるかは商品全体の形態が実質的に同一かで判断され、外部が異なれば模倣とは言えない。
2条1項3号は他人の商品の形態を模倣した商品の譲渡等を不正競争とし、2条4項は商品の形態を、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感と定め、2条5項は模倣を、他人の商品の形態に依拠してこれと実質的に同一の形態の商品を作り出すことと定める。内部の形状も商品の形態に含まれるから、ハンドバッグの内部デザインは保護の対象から外れない。しかし模倣に当たるかは、内部だけを切り出して比べるのではなく、商品全体の形態が実質的に同一かで判断される。3号は先行者が資金と労力を投じて商品化した成果の全体をそのまま持っていく行為を規制するものだからである。外部のデザインが異なれば、内部が同じでも全体として実質的に同一の形態とは言えず、模倣に当たらない。内部が同じであれば常に不正競争となるとする枝はずれている。

この法律において「模倣する」とは、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう。
- 商品の形態:通常の用法で知覚できる外部・内部の形状と、結合した模様・色彩・光沢・質感である。機能を確保するために不可欠な形態を除く
- 模倣:依拠して実質的に同一の形態の商品を作り出すことである。独自創作は当たらず、ありふれた形態は保護されない
- 行為:譲渡・貸渡し・展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じた提供である。製造は含まない
- 保護期間:日本国内で最初に販売された日から3年である(19条1項6号イ)
正しい。19条1項4号は、他人の表示が周知になる前から不正の目的でなく使用する者だけでなく、その表示に係る業務を承継した者の使用にも2条1項1号の差止め等の規定を適用しないと定める。出題当時は19条1項3号であった(令和5年改正前)。
19条1項4号は、2条1項1号の不正競争のうち、他人の商品等表示が需要者の間に広く認識される前からその商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用する者又はその商品等表示に係る業務を承継した者が、その商品等表示を不正の目的でなく使用する行為について、3条から15条までと21条・22条の規定を適用しないと定める。周知になる前から正当に使っていた者の営業を奪う理由はなく、その営業が承継されたときに承継人が表示を使えなければ先使用者の営業の価値が失われるため、同号は先使用者本人に加えて業務を承継した者を明文で掲げ、不正の目的でなく使用する限り同じ扱いとする。甲が表示Aの周知前から不正の目的なく表示Bを使用していれば、甲から業務を承継した乙も、不正の目的がない限り表示Bを使用できる。表示Aの主体は、甲や乙に対し混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求できる(19条2項)。

第二条第一項第一号に掲げる不正競争他人の商品等表示が需要者の間に広く認識される前からその商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用する者又はその商品等表示に係る業務を承継した者がその商品等表示を不正の目的でなく使用し、又はその商品等表示を不正の目的でなく使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
正しい。商品の形態も周知になれば商品等表示に当たりうるが、その種の商品の効用を発揮するために不可欠な形状を保護すると商品そのものの独占を許すことになるため、商品等表示として保護されない。
2条1項1号の商品等表示は、人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものであり、商品の形態そのものは掲げられていないが、特異な形状が長年の使用や宣伝によって出所を示すものとして需要者に広く認識されるに至れば、商品等表示に当たると解されている。しかし、その種の商品の効用を発揮するために不可欠な形状は、同種の商品を作る者が誰でも採用せざるを得ない形状であり、これを一人の商品等表示として保護すると、1号が表示の混同を防ぐ規定であるのに、商品や技術そのものの独占を許す結果になる。特許や意匠の登録を経ずに期限のない独占を与えることになるため、こうした形状は周知であっても商品等表示として保護されない。枝はこの判断の枠組みのとおりである。3号が当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を商品の形態から除くのと同じ理屈である。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
正しい。2条1項1号の周知性と混同は行為の相手方となる需要者を基準に判断するため、表示Aを知らない一般消費者向けの化粧品に使用しても、その需要者との関係では周知でなく混同も生じない。
2条1項1号は、他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為を不正競争とする。周知性は需要者を基準に判断され、需要者は最終消費者に限らず取引業者も含み、一地方や特定の取引分野で広く認識されていれば足りる。表示Aは美容関係者のみに販売される化粧品の表示であるから、美容関係者という需要者層の間で周知であれば、美容関係者向けの化粧品に類似の表示を使う行為は1号に当たりうる。しかし、一般消費者向けの化粧品に表示Aを使う行為は、表示Aを知らない一般消費者を需要者とするものであり、その需要者との関係では表示Aは広く認識されておらず、表示Aの主体の商品や営業との混同も生じない。美容関係者の間で周知であることだけでは1号の要件を満たさず、枝はこの理屈のとおりである。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
- 周知:需要者の間に広く認識されていることである。一地方で足り、取引業者も需要者に含む
- 混同:需要者を基準に、広義の混同を含めて判断する。商品の同一も競争関係も要らない
- 適用除外:普通名称等(19条1項1号)、自己の氏名(2号)、先使用(4号)である。先使用者等には混同防止表示を請求できる(19条2項)
正しい。2条1項3号は新規性や創作性を保護の要件とせず、既存のデザインの組合せであっても、同種の商品にありふれた形態でなければ他人の商品の形態として保護される。
2条1項3号は他人の商品の形態を模倣した商品の譲渡等を不正競争とし、かっこ書で当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除くだけで、意匠法のように新規性や創作非容易性を保護の要件としていない。同号は、先行者が資金と労力を投下して商品化した形態を、投下なしにそのまま持っていく行為を規制するものであり、形態が新しいかどうかではなく、他人の成果にただ乗りしたかどうかで線を引いているからである。もっとも、同種の商品にありふれた形態は、誰が商品化しても同じになる形態であって先行者の成果とは言えず、保護の対象にならないと解されている。既に販売されている二つの洋服のデザインを組み合わせた形態でも、その組合せがありふれたものでなければ、先行者の商品化の成果として他人の商品の形態に当たる。枝はこの線引きのとおりである。意匠法が登録の要件として新規性と創作非容易性を求めるのとは、要件の立て方が違う。

他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
誤り。違うのは「その後、甲が当該営業秘密を使用したとしても、不正競争とならない」の部分である。取得の時に善意でも、取得した後に不正取得行為の介在を知って使用する行為は2条1項6号の不正競争に当たる。
2条1項5号は、営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないで営業秘密を取得する行為とその使用・開示を不正競争とし、6号は、その取得した後に不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその営業秘密を使用し、又は開示する行為を不正競争とする。6号は取得の時には善意無重過失であった転得者でも、後から不正取得の介在を知れば、それ以後の使用と開示を不正競争とするものであり、奪われた営業秘密が善意の転得を一度はさむだけで自由に使えるようになることを防いでいる。甲は丙から取得した時には知らなかったが、報道で丙による不正取得行為の介在を知ったのであるから、その後の使用は6号に当たる。取引によって取得した権原の範囲内の使用であれば19条1項7号で適用除外になるが、枝はそうした限定なしに不正競争とならないと言い切っている点でずれている。

その取得した後にその営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為
誤り。違うのは「丙による丁への譲渡行為は、不正競争となる」の部分である。2条1項10号は、譲り受けた時に不正使用行為により生じた物であることを知らず、かつ知らないことに重大な過失がない者による譲渡を不正競争から除いている。
2条1項10号は、4号から9号までの行為のうち技術上の秘密を使用する行為により生じた物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を不正競争とし、かっこ書で、当該物を譲り受けた者がその譲り受けた時に不正使用行為により生じた物であることを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者である場合の譲渡等を除く。営業秘密の保護が物の流通を通じて骨抜きになるのを防ぐため物の譲渡等まで不正競争に取り込みつつ、物を見ただけでは侵害品かどうか分からないため、譲り受けた時に善意無重過失であった者の取引の安全を守るかっこ書を置いたものである。丙は営業秘密侵害品であることについて重過失なく知らないで甲から産業ロボットを購入しているから、丙による丁への譲渡は10号から除かれ、不正競争とならない。善意無重過失は譲り受けた時を基準に判断する。

第四号から前号までに掲げる行為(技術上の秘密(営業秘密のうち、技術上の情報であるものをいう。以下同じ。)を使用する行為に限る。以下この号において「不正使用行為」という。)により生じた物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為(当該物を譲り受けた者(その譲り受けた時に当該物が不正使用行為により生じた物であることを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)が当該物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を除く。)
正しい。守秘義務に違反する乙の開示は営業秘密不正開示行為であり、それを知りながら管理名簿を買い取って取得する丙の行為は2条1項8号の不正競争に当たる。
2条1項8号は、営業秘密について営業秘密不正開示行為であること若しくは不正開示行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為を不正競争とし、同号のかっこ書は、不正開示行為を、7号の目的で開示する行為又は秘密を守る法律上の義務に違反して開示する行為と定める。守秘義務を負う甲社の従業員乙が派遣スタッフの管理名簿を他社の従業員丙に開示する行為は、秘密を守る法律上の義務に違反する開示であるから不正開示行為に当たる。丙は乙の開示が守秘義務違反に該当することを知りながら対価を支払って管理名簿を買い取っており、不正開示行為であることを知って営業秘密を取得する行為そのものである。取得の時点で悪意であれば、取得するだけで8号の不正競争になる。枝はこの要件のとおりである。

その営業秘密について営業秘密不正開示行為(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその営業秘密を開示する行為又は秘密を守る法律上の義務に違反してその営業秘密を開示する行為をいう。以下同じ。)であること若しくはその営業秘密について営業秘密不正開示行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
| 号 | 誰が | 何をすると不正競争か |
|---|---|---|
| 4号 | 不正の手段で取得した者 | 取得すること。取得した営業秘密を使用・開示すること(目的は不要) |
| 5号 | 不正取得の介在を知り、又は重大な過失で知らずに取得した転得者 | 取得すること。使用・開示すること |
| 6号 | 取得した後に不正取得の介在を知り、又は重大な過失で知らないでいる転得者 | 使用・開示すること |
| 7号 | 保有者から営業秘密を示された者 | 不正の利益を得る目的又は保有者に損害を加える目的で使用・開示すること |
| 8号 | 不正開示行為であること又はその介在を知り、又は重大な過失で知らずに取得した転得者 | 取得すること。使用・開示すること |
| 9号 | 取得した後に不正開示行為があったこと又はその介在を知り、又は重大な過失で知らないでいる転得者 | 使用・開示すること |
| 10号 | 技術上の秘密の不正使用により生じた物を扱う者 | その物を譲渡・引渡し・展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じて提供すること(譲受時に善意無重過失の譲受人を除く) |
誤り。違うのは「重過失なく知らないまま当該顧客名簿を使用する行為は、不正競争となる」の部分である。不正開示行為に係る営業秘密の使用が不正競争となるのは、取得の時に悪意又は重過失があった場合(2条1項8号)か、取得後に知り又は重過失で知らないで使用する場合(9号)に限られる。
2条1項8号は、営業秘密不正開示行為であること又は不正開示行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得する行為と、その取得した営業秘密の使用・開示を不正競争とし、9号は、取得した後に不正開示行為があったこと又は介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその営業秘密を使用し、又は開示する行為を不正競争とする。守秘義務に違反する乙の開示は不正開示行為であるが、丙は乙の開示が守秘義務違反に該当したことについて重過失なく知らないまま顧客名簿を取得して使用しているから、取得の時に悪意・重過失のある8号にも、取得後に悪意・重過失となった9号にも当たらない。適法に受け取ったと信じた者の事業活動を守るため、法は転得者の主観で線を引いており、枝はこの線を越えている。

その取得した後にその営業秘密について営業秘密不正開示行為があったこと若しくはその営業秘密について営業秘密不正開示行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為
誤り。違うのは「丁社に営業秘密を開示したとしても、不正競争とならない」の部分である。保有者から営業秘密を示された者が不正の利益を得る目的又は保有者に損害を加える目的で開示する行為は2条1項7号の不正競争に当たる。
2条1項7号は、営業秘密保有者からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為を不正競争とする。同号は、保有者が業務のために従業者や下請企業、ライセンシーなどに正当に営業秘密を示した場面を対象とし、示された側の取得自体は適法であるから、使用や開示に図利加害の目的があるときに限って不正競争とする組立てである。甲社が下請企業の乙社に営業秘密を示せば、乙社の業務でそれに触れる従業員丙も保有者から示された者に当たり、甲社と競争関係にある事業を行う目的のある丁社への開示は、丁社から利益を得る目的や甲社に損害を加える目的によるものと評価されうる。したがって丙の行為は7号の不正競争となりうるのであり、不正競争とならないと言い切る枝はずれている。

営業秘密を保有する事業者(以下「営業秘密保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為
誤り。違うのは「乙の行為は、技術的制限手段に係る不正競争となる」の部分である。2条1項17号・18号は、営業上用いられる技術的制限手段の効果を妨げる装置・プログラム・指令符号の譲渡等と無効化の役務の提供を不正競争とするもので、社内で貸与されたUSBメモリのパスワードを漏らす行為はこれに当たらない。出題当時は11号・12号であった(平成30年改正前)。
2条1項17号は、営業上用いられている技術的制限手段の効果を妨げることにより影像の視聴等を可能とする機能を有する装置、プログラム、指令符号を記録した記録媒体等を譲渡し、引き渡し、展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為と、無効化の役務を提供する行為を不正競争とし、18号は、他人が特定の者以外の者に視聴等をさせないために営業上用いている技術的制限手段について同じ行為を掲げる。規制の対象は、有料放送のスクランブルやコピー防止を無効化する道具やサービスを市場に供給する行為である。甲社が従業員に貸し出すUSBメモリのパスワードは社内の情報管理の仕組みであり、乙が丙にパスワードを漏らす行為は、無効化の機能を有する装置やプログラム等を譲渡等する行為でも役務の提供でもない。営業秘密に係る不正競争や守秘義務違反として問われることはあっても、技術的制限手段に係る不正競争ではない。

他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために営業上用いている技術的制限手段により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)、当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を当該特定の者以外の者に譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)又は影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為
- 制限の対象:影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理、影像、音、プログラムその他の情報の記録である
- 17号:営業上用いられている技術的制限手段のうち、特定の者以外の者に視聴等をさせないために用いているものを除いたものである
- 18号:他人が特定の者以外の者に視聴等をさせないために営業上用いている技術的制限手段で、譲渡等の相手は当該特定の者以外の者に限られる
- 行為:無効化の機能を有する装置・プログラム・指令符号の譲渡・引渡し・展示・輸出・輸入、電気通信回線を通じた提供、無効化の役務の提供である。製造は掲げられていない
誤り。違うのは「競争関係の存在しない丙社の営業上の信用を害する虚偽の事実を流布し」た行為が不正競争となるとする部分である。2条1項21号の信用毀損は競争関係にある他人の営業上の信用を害する場合に限られる。出題当時は15号であった(平成30年改正前)。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争とする。不正競争防止法は事業者間の公正な競争を確保する法律であり、虚偽の事実による信用毀損のうち競争上の手段として行われるものだけを取り込み、競争関係のない相手に対する中傷は民法の不法行為に委ねている。競争関係は、双方の営業について需要者又は取引者を共通にする可能性があれば足りると広く解されているが、枝は競争関係の存在しないことを前提としているから、この要件を満たさない。甲社の社長乙の個人的な恨みから丙社の営業上の信用を害する虚偽の事実を流布し、丙社が営業上の利益を侵害されたとしても、同号の不正競争にはならず、丙社は民法709条の不法行為として損害賠償を求めることになる。同号が目的を要件としない代わりに競争関係で範囲を画していることが、この枝の決め手である。

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
- 競争関係:双方の営業につき需要者又は取引者を共通にする可能性があれば足りる。無関係の相手への中傷は民法709条の不法行為である
- 虚偽の事実:客観的真実に反する事実である。真実や、証拠による証明になじまない意見・論評は含まれない
- 営業上の信用:営業活動に関する経済上の外部的評価で、商品・役務の社会的評価や支払能力・営業能力への社会的信頼を含む
- 告知・流布:他人以外の者に伝える行為である。相手方本人に直接告げるだけでは該当しない
- 目的:要件ではない
正しい。PSE表示は電気用品安全法の技術基準への適合が所定の検査で証明されたことを示す表示であり、検査を受けていない電子ブレーカに付して販売する行為は、商品の品質について誤認させるような表示をした商品の譲渡として2条1項20号の不正競争に当たる。出題当時は14号であった(平成30年改正前)。
2条1項20号は、商品にその品質、内容、製造方法などについて誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡する行為などを不正競争とする。品質の表示は、商品の性能や安全性について需要者が受け取る情報であり、公的な検査や基準への適合を示す表示は、その商品が一定の品質を備えていることを需要者に信じさせる力が強い。PSE表示は、電気用品安全法の規定する技術基準に適合している旨が同法所定の適合検査で証明されたことを示す表示であるから、商品の品質に関する表示に当たる。所定の検査を受けていない電子ブレーカにこの表示を付して販売すれば、検査で安全性が確認された製品であると需要者に誤認させることになり、品質について誤認させるような表示をした商品の譲渡として20号の不正競争となる。裁判例もこの表示を品質の誤認惹起表示と認めている。同号は目的を要件としないので、甲社の意図は問われない。

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
- 表示の場所:商品、役務、その広告、取引に用いる書類、通信である
- 商品について:原産地、品質、内容、製造方法、用途、数量である。価格は列挙されていない
- 役務について:質、内容、用途、数量である
- 行為:誤認させるような表示をすること、その表示をした商品の譲渡・引渡し・展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じた提供、その表示をしての役務の提供である
- 目的:要件ではない。19号のドメイン名との違いである
誤り。違うのは「客観的な事実に基づき」比較した広告が信用の毀損に係る不正競争となるとする部分である。2条1項21号は虚偽の事実の告知・流布を対象とし、客観的な事実に基づく比較広告は虚偽の事実に当たらない。出題当時は15号であった(平成30年改正前)。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争とする。虚偽の事実とは客観的真実に反する事実であり、同号は真実を伝えて相手の信用を下げる行為までは規制しない。競争とは本来、自社の商品が優れていることを需要者に示して相手から顧客を奪う営みであり、客観的な事実に基づく比較広告はその正当な手段であって、相手の売上が減ることはその当然の結果だからである。甲社と乙社はスマートフォンを製造販売する競合他社であり競争関係はあるが、甲社の比較広告は客観的な事実に基づいて性能や品質の優劣を示したものであるから、虚偽の事実の流布に当たらない。乙社のスマートフォンの売上げが減少したという結果があっても、同号の要件は満たされない。比較広告であっても、事実に反する内容で相手の商品を劣ると印象づければ同号に当たりうる点が、この枝との境目である。

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
誤り。違うのは「甲社の行為は、原産地の誤認の惹起に係る不正競争となる」の部分である。原産地について誤認させるような表示かどうかは商品全体から需要者がどう受け取るかで決まり、日本製であることを明確に示したタグがあれば国旗の柄だけで誤認は生じない。出題当時は14号であった(平成30年改正前)。
2条1項20号は、商品若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信に、その商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡する行為などを不正競争とする。国旗や外国語なども、商品全体の中で需要者が原産地を示すものと受け取るなら誤認させるような表示になりうる。反対に、外国を連想させる柄があっても、商品に日本製であることが明確に示されていれば、需要者は全体としてその商品を日本製と理解し、原産地について誤認することはない。イギリスの国旗を印刷したハンカチに日本製であることを明確に示したタグを付けて販売する甲社の行為は、国旗が装飾として使われていることが需要者に分かるから、原産地を誤認させるような表示に当たらない。誤認させるような表示に当たらない以上、目的を要件としない同号でも不正競争にはならない。

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
正しい。自己の氏名を不正の目的でなく使用する行為は19条1項2号により2条1項1号の適用が除外され、その氏名が他人の商品等表示として周知であることは除外の妨げにならない。
19条1項2号は、2条1項1号、2号及び22号に掲げる不正競争のうち、自己の氏名を不正の目的でなく使用し、又は自己の氏名を不正の目的でなく使用した商品を譲渡する等の行為について、3条から15条まで、21条及び22条の規定を適用しないと定める。不正の目的とは、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。自分の氏名を自分の商品や営業に使うことは人格に結びついた当然の利益であり、たまたま同じ氏名が他人の商品等表示として周知になったからといって、その使用を混同惹起行為として差し止められるのは酷だという理屈である。1号の混同惹起行為は他人の表示が周知であることを前提に成立するのだから、除外の場面はまさに氏名が他人の周知な商品等表示と重なる場合であり、周知であることは除外を妨げる事情にならない。要件は不正の目的がないことだけであるから、枝のとおり適用除外となる。周知表示の側に残るのは、19条2項の混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことの請求である。

自己の氏名を不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)でなく使用し、又は自己の氏名を不正の目的でなく使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為(同号に掲げる不正競争の場合にあっては、自己の氏名を不正の目的でなく使用して役務を提供する行為を含む。)
正しい。日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過した商品の形態を模倣した商品の譲渡は、19条1項6号イにより2条1項3号の不正競争に関する規定の適用が除外される。
19条1項6号イは、2条1項3号に掲げる不正競争のうち、日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過した商品について、その商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為に、3条から15条まで、21条及び22条の規定を適用しないと定める。形態模倣の規定は、商品化に投じた資金や労力を先行者が回収する機会を守るためのものであって、意匠登録のような審査を経ない代わりに、保護を投下資本の回収に通常必要な期間に限るという理屈である。起算点は日本国内で最初に販売された日であり、外国での販売日や模倣品の販売日ではない。枝はこの3年を経過した商品の形態を模倣した商品の譲渡であるから、6号イのとおり適用除外となる。出題当時は19条1項5号イに置かれていた(令和5年改正前)。

日本国内において最初に販売された日から起算して三年を経過した商品について、その商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
- イ:日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過した商品の形態模倣品の譲渡等である。起算点は外国での販売日でも模倣品の販売日でもない
- ロ:模倣品を譲り受けた時に模倣品であることを知らず、かつ知らないことに重大な過失がない者による譲渡等である。後から知っても責任を負わない
- 除外されるのは3条から15条までの民事の規定と21条・22条の罰則である
正しい。他人の商品等表示が需要者の間に広く認識される前から同一の商品等表示を使用する者が不正の目的でなく使用する行為は、19条1項4号により2条1項1号の不正競争に関する規定の適用が除外される。
19条1項4号は、2条1項1号に掲げる不正競争のうち、他人の商品等表示が需要者の間に広く認識される前からその商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用する者又はその業務を承継した者が、その商品等表示を不正の目的でなく使用する行為について、3条から15条まで、21条及び22条の規定を適用しないと定める。1号の混同惹起行為は他人の表示が周知になった時点で成立し得るが、周知になる前から自分の表示として使ってきた者まで差止めや損害賠償の対象にすると、先に使い始めた者の営業が後から周知になった他人の表示に追い出される結果になるので、不正の目的がない限り使用を続けられるようにした仕組みである。枝は周知性を獲得する以前からの同一の商品等表示の使用で、不正の目的がないから、4号の要件をすべて満たす。先使用者の側の表示が周知である必要はなく、商標法32条の先使用権のように自分の表示が周知であることまでは求められていない。出題当時は19条1項3号に置かれていた(令和5年改正前)。

他人の商品等表示が需要者の間に広く認識される前からその商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用する者又はその商品等表示に係る業務を承継した者がその商品等表示を不正の目的でなく使用し、又はその商品等表示を不正の目的でなく使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
- 1号(1号・2号・20号・22号):普通名称等を普通に用いられる方法で使用・表示する行為である。ぶどうを原料とする物の原産地の名称は除かれる
- 2号(1号・2号・22号):自己の氏名を不正の目的でなく使用する行為である
- 3号(1号・2号):商標法4条4項や8条のただし書で併存登録された類似の登録商標を不正の目的でなく使用する行為である(令和5年改正で追加)
- 4号(1号):他人の表示が需要者の間に広く認識される前からの使用者とその業務の承継者が、不正の目的でなく使用する行為である
- 5号(2号):他人の表示が著名になる前からの使用者とその業務の承継者が、不正の目的でなく使用する行為である
- 2号・3号・4号の除外を受ける者に対しては、19条2項の混同防止表示付加請求ができる
誤り。違うのは「営業秘密として保護されることはない」の部分である。出願公開前に取り下げられた出願の内容は公然と知られていないから、秘密管理性と有用性を備える限り2条6項の営業秘密として保護され得る。
2条6項は、営業秘密を、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものと定める。特許出願をした技術情報が営業秘密でなくなるのは、出願公開や特許掲載公報によって内容が公然と知られ、非公知性が失われるからであり、出願したという事実そのものが保護を奪うわけではない。出願公開前に取り下げられた出願は公開されず、内容は保有者の管理下以外では入手できない状態のままであるから、非公知性は保たれている。したがって、その情報を秘密として管理し続け、事業活動に有用であれば、三要件を満たして営業秘密として保護される。枝は、特許出願をした以上は取下げの有無を問わず営業秘密として保護されないとする点で、公然と知られたかどうかで非公知性を判断する2条6項とずれている。

この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
- 秘密管理性:秘密として管理されていることである。秘密管理の意思が合理的な管理措置によって従業員等に示され、認識できる状態にあることが要る
- 有用性:事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であることである。法令違反や反社会的な行為に関する情報は除かれる
- 非公知性:公然と知られていないことである。保有者の管理下以外では一般に入手できない状態をいう
正しい。アクセス権限を与えられた従業者は保有者から営業秘密を示された者であり、自宅で残業する意図で書面を持ち帰る行為は、2条1項4号の不正の手段による取得にも、7号の図利加害目的での使用・開示にも当たらない。
2条1項4号が不正競争とするのは窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段による営業秘密の取得であり、保有者からその営業秘密を示された者については、7号が、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で使用し、又は開示する行為に限って不正競争としている。営業秘密へのアクセス権限を与えられた従業者は、保有者の意思で営業秘密を示された者であるから、その者が書面を手元に置く行為は不正の手段による取得ではなく、4号には当たらない。示された者の行為が不正競争となるには7号の図利加害目的と使用又は開示が要るところ、自宅で残業をする意図は保有者の業務のためであって不正の利益を得る目的でも損害を加える目的でもなく、持ち帰るだけでは使用にも開示にも当たらない。会社の許可を得ていないことは社内規律の問題にとどまり、不正競争の成否とは別である。

営業秘密を保有する事業者(以下「営業秘密保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為
| 号 | 誰が | 何をすると不正競争か |
|---|---|---|
| 4号 | 不正の手段で取得した者 | 取得すること。取得した営業秘密を使用・開示すること(目的は不要である) |
| 5号 | 不正取得の介在を知り、又は重大な過失で知らずに取得した転得者 | 取得すること。使用・開示すること |
| 6号 | 取得した後に不正取得の介在を知り、又は重大な過失で知らないでいる転得者 | 使用・開示すること |
| 7号 | 保有者から営業秘密を示された者 | 不正の利益を得る目的又は保有者に損害を加える目的で使用・開示すること |
| 8号 | 不正開示行為であること又はその介在を知り、又は重大な過失で知らずに取得した転得者 | 取得すること。使用・開示すること |
| 9号 | 取得した後に不正開示行為があったこと又はその介在を知り、又は重大な過失で知らないでいる転得者 | 使用・開示すること |
| 10号 | 技術上の秘密の不正使用により生じた物を扱う者 | その物を譲渡・引渡し・展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じて提供すること(譲受時に善意無重過失の譲受人を除く) |
誤り。違うのは「外国の政府機関を利する目的で営業秘密を窃取する行為は、不正競争とならない」の部分である。2条1項4号の営業秘密不正取得行為は取得の目的を要件としておらず、誰を利する目的であっても窃取による取得は不正競争となる。
2条1項4号は、窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為を営業秘密不正取得行為として不正競争に掲げ、取得の目的や取得者の属性については何も定めていない。不正の手段で保有者の管理を破ること自体が営業秘密の価値を損なう行為であるから、国内の競業者のために行う場合も外国の政府機関を利するために行う場合も区別なく、取得の時点で4号の不正競争が成立する。外国の政府機関を利する目的は、21条の営業秘密侵害罪において日本国外で使用する目的と並べて刑を重くする事情として現れるが、民事上の不正競争の成否を左右する要件ではない。枝は、特定の目的があれば不正競争から外れるかのように述べる点で、目的を問わずに取得行為を不正競争とする4号とずれている。

窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「営業秘密不正取得行為」という。)又は営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。次号から第九号まで、第十九条第一項第七号、第二十一条及び附則第四条第一号において同じ。)
誤り。違うのは「当該従業者の行為は不正競争となる」の部分である。保有者から示された者の行為が不正競争となるのは図利加害目的で使用し又は開示した場合に限られ、管理上の不注意で知られたにすぎない場合は2条1項7号に当たらない。
2条1項7号は、営業秘密保有者からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為を不正競争とする。保有者が自ら示した相手については、取得の不正さを問えない代わりに、使用・開示の場面で図利加害目的という主観的要件を課して、正当な業務上の利用や過失による漏えいまで差止めや損害賠償の対象にしないようにした仕組みである。技術文書の開示を受けた従業者は示された者であるが、文書の管理上の不注意により第三者に内容を知られたにすぎない場合は、不正の利益を得る目的も保有者に損害を加える目的もなく、そもそも自ら開示したともいえないから、7号の不正競争にはならない。その従業者の責任は、雇用契約上の秘密保持義務や過失による債務不履行として問われることはあっても、不正競争防止法上の不正競争とは別である。

営業秘密を保有する事業者(以下「営業秘密保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為
誤り。違うのは「当該営業秘密を使用しない限り、不正競争とならない」の部分である。強迫により営業秘密を取得する行為は、それだけで2条1項4号の営業秘密不正取得行為として不正競争となる。
2条1項4号は、窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為を営業秘密不正取得行為と名付け、これを不正競争とした上で、営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為を並べて不正競争としている。取得と使用・開示は「又は」で結ばれた別個の行為類型であり、不正の手段で手に入れた時点で保有者の管理が破られ、流出の危険が生じているから、使用や開示を待たずに差止めや損害賠償の対象にする仕組みである。従業者を脅して営業秘密の開示を受ける行為は強迫による取得にほかならず、その後に使用したかどうかにかかわらず4号前段の不正競争となる。枝は、使用を不正競争の成立要件のように扱う点で、取得行為それ自体を独立の不正競争とする4号とずれている。

窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「営業秘密不正取得行為」という。)又は営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。次号から第九号まで、第十九条第一項第七号、第二十一条及び附則第四条第一号において同じ。)
正しい。営業上用いられている技術的制限手段の効果を妨げて影像の視聴等を可能とする機能を有する装置は、当該装置を組み込んだ機器を含めて、その譲渡が2条1項17号の不正競争となる。
2条1項17号は、営業上用いられている技術的制限手段により制限されている影像の視聴等を、当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入する行為を不正競争とし、かっこ書で、当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを装置に含めている。DVDの暗号は、視聴等機器が特定の変換を必要とするよう影像を変換して記録媒体に記録する方式であり、2条8項の技術的制限手段に当たる。これを解除する装置を単体で売る場合と、プレーヤーに組み込んで売る場合とで結論が変わると規制が空洞化するから、組み込んだ機器を明文で含めた仕組みである。したがって暗号解除装置を組み込んだDVDプレーヤーの販売は17号の不正競争となる。出題当時は2条1項11号に置かれていた(平成30年改正前)が、組み込んだ機器を含む点は同じである。

この法律において「技術的制限手段」とは、電磁的方法により影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録を制限する手段であって、視聴等機器(影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録のために用いられる機器をいう。以下この項において同じ。)が特定の反応をする信号を記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とするよう影像、音、プログラムその他の情報を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。
正しい。他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示と類似のドメイン名を使用する権利を取得する行為は2条1項19号の不正競争であり、登録者から使用許諾を受けることも使用する権利の取得に当たる。
2条1項19号は、不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為を不正競争とする。特定商品等表示は人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものであるから、著名企業の商号はこれに当たる。同号が「ドメイン名を使用する権利を取得」と書き、登録に限っていないのは、自ら登録する場合も登録者から使用許諾を受けて使える地位を得る場合も、他人の表示と結び付くドメイン名を手中にする点で同じだからである。企業を誹謗するウェブサイトを開設する目的は他人に損害を加える目的にほかならず、商号と類似するドメイン名の使用許諾を受ける行為は図利加害目的での使用する権利の取得として19号の不正競争となる。1号・2号と異なり、商号が周知・著名であることは要件ではない。出題当時は13号に置かれていた(平成30年改正前)。

不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為
- 目的:不正の利益を得る目的(転売目的など)又は他人に損害を加える目的(誹謗サイトの開設目的など)のどちらか一つである。20号の誤認惹起表示には目的の要件がない
- 対象:他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するもの)と同一又は類似のドメイン名である。周知・著名は要らない
- 行為:ドメイン名を使用する権利の取得、保有、そのドメイン名の使用である。譲渡は掲げられていない
誤り。違うのは「当該商標が日本の需要者に周知でなければ、不正競争とならない」の部分である。2条1項22号の代理人等による商標の冒用は、商標が日本で周知であることを要件としていない。
2条1項22号は、パリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国において商標に関する権利を有する者の代理人若しくは代表者又はその行為の日前一年以内に代理人若しくは代表者であった者が、正当な理由がないのに、その権利を有する者の承諾を得ないでその権利に係る商標と同一若しくは類似の商標をその権利に係る商品に使用し、又は当該商標を使用した商品を譲渡する行為などを不正競争とする。パリ条約6条の7が、代理人による商標の無断使用を本人が禁止できるよう求めているのを受けた規定であり、外国の権利者と代理人との信頼関係の濫用を正面から捉えるものであるから、1号のように需要者の間に広く認識されていることは求められていない。枝の輸入総代理店は代理人であり、契約終了後1年以内に正当な理由なく承諾を得ずに同一の商標を付した商品を日本で販売する行為は、日本での周知性を問わず22号の不正競争となる。出題当時は16号に置かれていた(平成30年改正前)。

パリ条約(商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第四条第一項第二号に規定するパリ条約をいう。)の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。以下この号において単に「権利」という。)を有する者の代理人若しくは代表者又はその行為の日前一年以内に代理人若しくは代表者であった者が、正当な理由がないのに、その権利を有する者の承諾を得ないでその権利に係る商標と同一若しくは類似の商標をその権利に係る商品若しくは役務と同一若しくは類似の商品若しくは役務に使用し、又は当該商標を使用したその権利に係る商品と同一若しくは類似の商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは当該商標を使用してその権利に係る役務と同一若しくは類似の役務を提供する行為
| 類型 | 平成27年改正前 | 平成27年改正後(平成30年改正前) | 現行(平成30年改正後) |
|---|---|---|---|
| 営業秘密の不正使用により生じた物の譲渡等 | 規定なし | 10号 | 10号 |
| 限定提供データ | 規定なし | 規定なし | 11号〜16号 |
| 技術的制限手段 | 10号・11号 | 11号・12号 | 17号・18号 |
| ドメイン名 | 12号 | 13号 | 19号 |
| 誤認惹起表示 | 13号 | 14号 | 20号 |
| 信用毀損 | 14号 | 15号 | 21号 |
| 代理人等の商標冒用 | 15号 | 16号 | 22号 |
正しい。2条1項17号・18号が対象とするのは営業上用いられている技術的制限手段に限られ、防衛省が国防上の理由で施すアクセス制限は営業上用いられているものではないから、これを解除するプログラムの提供は不正競争とならない。
2条1項17号は営業上用いられている技術的制限手段により制限されている影像の視聴等を可能とする装置やプログラムの提供を不正競争とし、18号も、他人が特定の者以外の者に視聴等をさせないために営業上用いている技術的制限手段を対象とする。不正競争防止法は事業者間の公正な競争を確保する法律であり、技術的制限手段の規定も、有料放送やソフトウェアのように制限手段を使って対価を得る事業者の営業上の利益を守るために置かれている。だから両号とも、営業上用いられていることを要件に掲げ、事業活動と関係なく施される制限は対象から外している。防衛省が国防上の理由からデータベースへのアクセスを制限するのは、対価を得て情報を提供する事業ではなく、営業上用いられている技術的制限手段ではないから、これを解除するプログラムを提供しても17号・18号の不正競争にならない。その行為の責任は不正アクセス禁止法など別の法律で問われることになる。出題当時は11号・12号に置かれていた(平成30年改正前)。

営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録されたものに限る。以下この号、次号及び第八項において同じ。)の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)、当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号(電子計算機に対する指令であって、当該指令のみによって一の結果を得ることができるものをいう。次号において同じ。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)又は影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為
- 対象は営業上用いられている技術的制限手段である。事業活動と関係のない制限は含まれない
- 17号は誰に対しても制限する手段、18号は特定の者以外の者に制限する手段(契約者だけが視聴できる方式など)を対象とする
- 行為は装置・プログラム・指令符号の譲渡、引渡し、展示、輸出、輸入、電気通信回線を通じた提供と、効果を妨げる役務の提供である。製造や自ら回避する行為は掲げられていない
- 装置には、当該装置を組み込んだ機器と、容易に組み立てられる部品一式を含む
正しい。特許を無効にすべき旨の審決が確定すれば特許権は初めから存在しなかったものとみなされるから、なお「特許発明の実施品」と記載したちらしの配布は、商品の品質・内容について誤認させるような表示として2条1項20号の不正競争となる。
2条1項20号は、商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信に、その商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量について誤認させるような表示をする行為を不正競争とする。特許法125条は、特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは特許権は初めから存在しなかったものとみなすと定めるから、無効審決の確定後は、その製法について特許発明と呼べるものは存在しない。需要者は特許発明の実施品という表示から、特許庁の審査を経た技術で作られた品質の高い商品だと受け取るので、存在しない特許を掲げる表示は商品の品質や内容、製造方法について誤認させるような表示に当たる。ちらしは商品の広告であり、20号には誤認させる目的や混同の要件はないから、配布する行為はそれだけで不正競争となる。出題当時は14号に置かれていた(平成30年改正前)。

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
誤り。違うのは「その製造した商品が販売されていなくても、不正競争となる」の部分である。2条1項3号が不正競争とするのは模倣した商品の譲渡・貸渡し・展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じた提供であり、製造する行為は掲げられていない。
2条1項3号は、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を不正競争とする。同号は、先行者が資金と労力を投下して開発した商品の形態にただ乗りして市場で競合することを防ぐ規定であるから、模倣品が市場に出る行為、すなわち譲渡や展示などの提供行為を列挙しており、模倣して製造する行為そのものは掲げていない。特許法や意匠法が実施の中に生産を含めて権利を及ぼすのと異なり、不正競争防止法は列挙された行為だけを不正競争とする仕組みなので、製造にとどまる段階では3号に当たらない。したがって、他人の商品の形態を模倣して商品を製造しただけで、販売も展示もされていなければ不正競争とはならず、販売のために展示した時点から差止めの対象になる。

他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
- 商品の形態:通常の用法で知覚できる外部・内部の形状と、結合した模様・色彩・光沢・質感である。機能を確保するために不可欠な形態を除く
- 模倣:依拠して実質的に同一の形態の商品を作り出すことである。独自創作は当たらず、ありふれた形態は保護されない
- 他人の商品:資金・労力を投下して商品化を完了した物である。展示会出展で足り、スケッチは不可で、共同開発者は他人にならない
- 行為:譲渡・貸渡し・展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じた提供である。製造は含まない
- 保護期間:日本国内で最初に販売された日から3年である(19条1項6号イ)
- 善意の譲受人:譲り受けた時に善意無重過失なら譲渡等は適用除外である(19条1項6号ロ)
誤り。違うのは「他人の著名な商品等表示と類似の商品等表示を使用する行為は、不正競争とならない」の部分である。自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一又は類似のものを使用する行為は、2条1項2号の不正競争である。
2条1項1号は、他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用して他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為を不正競争とし、2号は、自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用する行為を、混同を要件とせずに不正競争とする。著名な表示は、まったく異なる商品に使われて出所の混同が起きない場合でも、表示の持つ顧客吸引力にただ乗りされ、表示の独自性が薄まり、名声が傷つくおそれがあるから、2号は混同を外して保護を広げている。したがって周知な表示との類似表示の使用は1号で、著名な表示との類似表示の使用は2号で、いずれも不正競争となる。枝は、1号で保護されるより知られ方の程度が高い著名表示について保護を否定しており、1号と2号の関係を逆にしている。

自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
| 1号 | 2号 | |
|---|---|---|
| 表示の知られ方 | 周知(需要者の間に広く認識。一地方で足りる) | 著名(全国的に知られていること) |
| 混同 | 要る(広義の混同を含む) | 要らない |
| 使用の態様 | 商品等表示の使用(自己の出所を示す使用) | 「自己の商品等表示として」の使用に限る |
| 先使用の適用除外 | 19条1項4号。混同防止表示を請求できる(19条2項) | 19条1項5号。混同防止表示の請求はない |
| 刑事罰の目的要件 | 不正の目的(21条3項1号) | 信用・名声を利用して不正の利益を得る目的、又は信用・名声を害する目的(21条3項2号) |
誤り。違うのは「靴の製造業者が靴の販売業者の営業上の信用を害する虚偽の事実を流布する行為は、不正競争とならない」の部分である。競争関係は需要者又は取引者を共通にする可能性があれば足り、靴の製造業者と販売業者の間にも認められ得るから、2条1項21号の不正競争となる。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争とする。競争関係が要件とされているのは、競争とは無関係の相手に対する中傷は民法の不法行為に委ね、不正競争防止法は競争の手段として信用を害する行為を規律するためである。ここでいう競争関係は、同じ業態で同じ段階にあることを求めるものではなく、双方の営業について需要者又は取引者を共通にする可能性があれば足りる。靴の製造業者と靴の販売業者は、いずれも靴を需要者に届ける営業を行っており、製造業者が直販すれば販売業者と顧客を奪い合うし、取引先の小売店を共通にすることもあるから、競争関係が認められ得る。したがって製造業者が販売業者の営業上の信用を害する虚偽の事実を流布すれば21号の不正競争となり、枝のように製造と販売の違いだけで不正競争とならないとは言えない。出題当時は15号に置かれていた(平成30年改正前)。

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
- 競争関係:双方の営業につき需要者又は取引者を共通にする可能性があれば足りる。無関係の相手への中傷は民法709条の不法行為である
- 虚偽の事実:客観的真実に反する事実である。真実や、証拠による証明になじまない意見・論評は含まれない
- 営業上の信用:営業活動に関する経済上の外部的評価で、商品・役務の社会的評価や支払能力・営業能力への社会的信頼を含む
- 告知・流布:他人以外の者に伝える行為である。相手方本人に直接告げるだけでは該当しない
- 目的:要件ではない
誤り。違うのは「丙に秘密保持義務を課している限り、不正競争とならない」の部分である。2条1項4号の開示には秘密を保持しつつ特定の者に示すことが含まれ、不正取得した営業秘密の開示は秘密保持義務を課しても不正競争になる。
2条1項4号は、窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為を営業秘密不正取得行為とし、その行為により取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為も不正競争と定める。そしてかっこ書で、開示には秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含むと明記している。営業秘密は保有者が秘密として管理している情報であり、不正に取得した者がそれを誰かに示せば、相手が秘密を守るかどうかにかかわらず、保有者の管理の外に情報が広がる。相手に秘密保持義務を課せば開示にならないとすると、不正取得者が義務付きで次々に流す道が開いてしまう。甲社の従業員を強迫して製造方法Aを聞き出した乙の行為は不正取得行為であり、その情報を丙に示す行為は、丙に秘密保持義務を課していても4号の開示に当たり不正競争になる。

窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「営業秘密不正取得行為」という。)又は営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。次号から第九号まで、第十九条第一項第七号、第二十一条及び附則第四条第一号において同じ。)
誤り。違うのは「不正の利益を得る目的や、甲社に損害を加える目的がない場合であっても、乙の開示行為は不正競争となる」の部分である。保有者から示された者の開示が2条1項7号の不正競争になるのは、図利加害目的がある場合に限られる。
2条1項7号は、営業秘密保有者からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為を不正競争と定める。従業員や取引先のように正当に営業秘密を示された者は、業務の中で日常的にその情報を使い、必要に応じて人に伝えるのであり、その使用・開示をすべて不正競争にすると業務が成り立たない。そこで4号の不正取得者と違い、示された者については不正の利益を得る目的又は保有者に損害を加える目的という主観的要件を加えて、正当な業務上の使用・開示と線を引いている。秘密保持契約に基づいて製造方法Aを示された乙が丙に開示しても、図利加害目的がなければ7号の不正競争にはならない。秘密保持契約の違反として債務不履行の責任を負うかどうかは別の問題である。

営業秘密を保有する事業者(以下「営業秘密保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為
誤り。違うのは「甲社は、乙が当該スパイスを第三者に譲渡する行為を差し止めることができる」の部分である。2条1項10号で譲渡が不正競争になるのは不正使用行為により生じた物に限られ、甲社自身が製造したスパイスはこれに当たらない。
2条1項10号は、4号から9号までの行為のうち技術上の秘密を使用する行為(不正使用行為)により生じた物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を不正競争と定める。営業秘密の不正使用によって作られた製品が流通すれば、使用行為を止めても保有者の損害が広がるため、物の流通段階を対象にする規定として置かれたものである。しかし対象はあくまで不正使用行為により生じた物である。乙が窃取したスパイスは、保有者である甲社が自ら製造方法Aを使用して製造した物であり、誰かの不正使用行為により生じた物ではない。したがって乙がそのスパイスを第三者に譲渡しても10号の不正競争には当たらず、3条1項の差止めの対象にもならない。工場への侵入と窃取は刑法や民法で問われる問題であって、営業秘密に係る不正競争とは別である。

第四号から前号までに掲げる行為(技術上の秘密(営業秘密のうち、技術上の情報であるものをいう。以下同じ。)を使用する行為に限る。以下この号において「不正使用行為」という。)により生じた物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為(当該物を譲り受けた者(その譲り受けた時に当該物が不正使用行為により生じた物であることを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)が当該物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を除く。)
正しい。秘密を守る法律上の義務に違反して営業秘密を開示する行為は2条1項8号の営業秘密不正開示行為に当たり、それを知って営業秘密を取得する丙の行為は同号の不正競争になる。
2条1項8号は、その営業秘密について営業秘密不正開示行為であること若しくは営業秘密不正開示行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為を不正競争と定める。同号のかっこ書は営業秘密不正開示行為を、7号の図利加害目的での開示のほか、秘密を守る法律上の義務に違反してその営業秘密を開示する行為と定義する。秘密保持契約に基づいて製造方法Aを示された乙が丙に開示する行為は、契約上の秘密保持義務という法律上の義務に違反する開示であり、乙に図利加害目的がなくても不正開示行為に当たる。丙は乙が秘密保持義務に違反して開示していることを知って取得しているから、丙の取得行為は8号の不正競争になる。開示した乙の側が7号で不正競争にならない場合でも、受け取る丙の側は8号で不正競争になり得る点が、4号と5号の関係とは違うところである。

その営業秘密について営業秘密不正開示行為(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその営業秘密を開示する行為又は秘密を守る法律上の義務に違反してその営業秘密を開示する行為をいう。以下同じ。)であること若しくはその営業秘密について営業秘密不正開示行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
誤り。違うのは「そのスパイスを販売しない限り、不正競争とならない」の部分である。不正取得した営業秘密を使用する行為はそれ自体が2条1項4号の不正競争であり、製造した物を販売するかどうかは要件ではない。
2条1項4号は、営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用する行為を、開示する行為と並べて不正競争と定める。製造方法Aは秘密として管理された生産方法であり、2条6項の営業秘密に当たる。その方法を使ってスパイスを製造することは製造方法Aという情報を使用する行為そのものであり、使用した時点で4号の不正競争が成立する。製造した物の販売は、同項10号が技術上の秘密の不正使用行為により生じた物の譲渡等として別に不正競争に挙げる行為であって、使用行為の成立要件ではない。10号は、不正使用で生じた物が市場に流れることを止めるために使用行為とは別に設けられた規定であるから、10号の対象になる譲渡がなければ4号も成立しないという関係にはない。強迫で聞き出した製造方法Aを使ってスパイスを製造した乙の行為は、販売の有無を問わず不正競争になる。

この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
| 号 | 誰が | 何をすると不正競争か |
|---|---|---|
| 4号 | 不正の手段で取得した者 | 取得すること。取得した営業秘密を使用・開示すること(目的は要らない) |
| 5号 | 不正取得の介在を知り、又は重大な過失で知らずに取得した転得者 | 取得すること。使用・開示すること |
| 6号 | 取得した後に不正取得の介在を知り、又は重大な過失で知らないでいる転得者 | 使用・開示すること |
| 7号 | 保有者から営業秘密を示された者 | 不正の利益を得る目的又は保有者に損害を加える目的で使用・開示すること |
| 8号 | 不正開示行為であること又はその介在を知り、又は重大な過失で知らずに取得した転得者 | 取得すること。使用・開示すること |
| 9号 | 取得した後に不正開示行為があったこと又はその介在を知り、又は重大な過失で知らないでいる転得者 | 使用・開示すること |
| 10号 | 技術上の秘密の不正使用により生じた物を扱う者 | その物を譲渡・引渡し・展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じて提供すること(譲受時に善意無重過失の譲受人を除く) |
正しい。2条1項21号の信用毀損行為は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知する行為であり、行為者が真実と確信していたかどうかは不正競争の成否に関係しない。出題当時は2条1項15号であった(平成30年改正前)。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争と定める。虚偽の事実とは客観的真実に反する事実をいい、条文は行為者の認識を要件にしていない。不正競争の定義は行為の客観的な型を定めるものであって、主観的要件が必要な型(営業秘密の7号の図利加害目的など)には条文に明記されている。信用毀損行為にはそのような文言がないから、真実と確信していても、実際に虚偽であれば不正競争は成立し、3条の差止めや14条の信用回復の措置の対象になる。行為者の主観は4条の損害賠償において故意又は過失として問題になるにとどまる。乙社の脱税という情報は乙社の営業上の信用を害する事実であり、競争関係にある甲社がその顧客に告知した以上、虚偽であれば甲社の行為は不正競争になる。

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
- 競争関係:告知・流布する者と信用を害される他人との間に競争関係があることである
- 虚偽の事実:客観的真実に反する事実である。真実なら信用を落とす目的があっても当たらず、意見・論評は事実の摘示ではない
- 告知又は流布:特定の者に伝えることが告知、不特定又は多数に広めることが流布である
- 主観:不正競争の成立に故意・過失は要らない。損害賠償(4条)では故意又は過失が要る
正しい。回避機能を有するプログラムを記録した記録媒体の譲渡は2条1項17号の不正競争であり、無償であることも相手が少数の友人であることも要件に挙がっていない。出題当時は2条1項11号であった(平成30年改正前)。
2条1項17号は、技術的制限手段の効果を妨げることにより影像の視聴等を可能とする機能を有するプログラムを記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡す行為や、当該プログラムを電気通信回線を通じて提供する行為を不正競争と定める。映画の DVD のコピープロテクションの回避のみを可能とするプログラムは、まさにこの機能を有するプログラムである。条文は譲渡について有償か無償かを区別しておらず、相手方が公衆や多数であること、行為者に営利の目的があることも要件にしていない。回避手段が一人でも外に出れば、そこから複製が広がり技術的制限手段の効果が失われるため、流通の規模や対価の有無で線を引かなかったのである。したがって甲がそのプログラムを無料で少数の友人のみに譲渡した場合でも、17号の不正競争になる。商品等表示の譲渡が無償でも1号の不正競争になるのと同じ考え方である。

当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号(電子計算機に対する指令であって、当該指令のみによって一の結果を得ることができるものをいう。次号において同じ。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為
正しい。他人の周知な商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡して他人の商品と混同を生じさせる行為は2条1項1号の不正競争であり、譲渡・引渡しが無償であっても変わらない。
2条1項1号は、他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為を不正競争と定める。乙社の周知なロゴマークは商品等表示であり、それを付したボールペンを顧客に提供する行為は商品等表示を使用した商品の譲渡又は引渡しに当たる。条文は譲渡・引渡しについて対価の有無を区別しておらず、無償で配っても混同が生じれば周知表示に化体した信用が害されることに変わりはない。甲社のボールペンが乙社の商品であるとの誤認を生じさせる以上、甲社の行為は1号の不正競争になる。商標法でも2条3項2号の譲渡・引渡しに有償無償の区別がなく、同じ考え方である。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
- 周知:需要者の間に広く認識されていることである。一地方で足り、取引業者も需要者に含む
- 同一・類似の商品等表示:使用、又は使用した商品の譲渡・引渡し・展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じた提供である。無償でも該当する
- 混同:需要者を基準に、広義の混同を含めて判断する。商品の同一も競争関係も要らない
- 適用除外:普通名称等(19条1項1号)、自己の氏名(2号)、先使用(4号)である
誤り。違うのは「それ以外の機能も有している場合には、甲の当該装置の販売行為は、不正競争とならない」の部分である。2条1項17号のかっこ書により、他の機能を併せ持つ装置でも、回避の用途に供するために譲渡すれば不正競争になる。出題当時は2条1項11号であった(平成30年改正前)。
2条1項17号は、技術的制限手段の効果を妨げることにより影像の視聴等を可能とする機能を有する装置を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入する行為を不正競争と定め、かっこ書で、当該装置が当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限ると定める。平成23年改正前は回避の機能のみを有する装置に限られていたため、無関係な機能を一つ加えるだけで規制を逃れることができた。そこで「のみ」の要件を外し、多機能の装置については回避の用途に供するために譲渡等するものを対象にした。したがって甲の装置がコピープロテクションの回避以外の機能も有していても、回避の用途に供するために販売するなら不正競争になる。他の機能があれば一律に不正競争とならないとする枝は、このかっこ書に反している。

(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)
- 17号:誰に対しても視聴等を制限する手段(コピープロテクションなど)の回避装置・プログラム・指令符号の譲渡等、役務の提供
- 18号:特定の者以外に視聴等をさせない手段(スクランブル放送など)の回避装置等を、特定の者以外に譲渡等、役務の提供
- 多機能の装置・プログラム:回避の用途に供するために行う譲渡等に限る(平成23年改正で「のみ」要件を廃止)
- 適用除外:試験又は研究のために用いられる装置等の譲渡等(19条1項10号)
- 出題当時の号:平成30年改正前は11号・12号、適用除外は19条1項8号
正しい。消費電力の減少率はエアコンの品質・内容に関する事項であり、実際は約20%なのに約50%減少と表示して販売する行為は、2条1項20号の誤認惹起行為に当たる。出題当時は2条1項14号であった(平成30年改正前)。
2条1項20号は、商品若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信に、その商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡す行為などを不正競争と定める。需要者は表示を信頼して商品を選ぶのであり、品質等を実際より良く見せる表示は、需要者を誤らせるだけでなく、正しい表示で競争する他の事業者の利益を害するからである。表示の内容が全くの虚偽である必要はなく、誤認させるような表示であれば足りる。消費電力の減少率は省エネ性能というエアコンの品質・内容そのものに関わる事項であり、減少の事実はあっても約20%にとどまるのに約50%減少と表示すれば、需要者に実際より高い性能を誤認させる。したがってその表示を付したエアコンを販売する甲社の行為は不正競争になる。

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
- 対象:商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途、数量と、役務の質、内容、用途、数量である
- 表示の場所:商品・役務そのもの、その広告、取引に用いる書類・通信である
- 行為:誤認させるような表示をすること、その表示をした商品の譲渡等、その表示をして役務を提供することである
- 罰則:不正の目的をもって行えば21条3項1号、虚偽の表示をすれば目的を問わず21条3項5号の対象になる
誤り。違うのは「商品の品質に関する表示ではないため、不正競争とならない」の部分である。著名な音楽評論家が長年愛用しているという虚偽の記載は、スピーカーの音質が優れていると需要者に誤認させる表示であり、2条1項20号の品質・内容について誤認させるような表示に当たる。
2条1項20号は、商品若しくはその広告に、その商品の品質、内容等について誤認させるような表示をする行為を不正競争と定める。同号の対象は品質を数値や成分で直接示す表示に限られない。需要者が表示から商品の品質や内容について受け取る認識が実際と食い違うなら、間接的な表現であっても誤認させるような表示に当たる。需要者を誤らせて取引を歪めるという弊害は、表示の形式ではなく需要者が抱く認識によって生じるからである。著名な音楽評論家が長年愛用しているという広告は、音の専門家が選び続けるほど音質が優れているという認識を需要者に与えるものであり、それが虚偽であれば、スピーカーの品質・内容について誤認させる表示になる。したがって甲社の記載行為は不正競争になり得る。枝は表示の形式だけを見て品質に関する表示ではないとしている点で誤っている。

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし
正しい。21条3項が刑事罰の対象とする不正競争に、競争者の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知・流布(2条1項21号)は挙げられておらず、損害を与える目的があっても罰則の対象にならない。出題当時は21条2項・2条1項15号であった(平成30年改正前)。
21条3項は、不正の目的をもって2条1項1号又は20号の不正競争を行ったとき(1号)、著名表示冒用(2号)、形態模倣(3号)、技術的制限手段に係る不正競争(4号)、誤認させるような虚偽の表示(5号)、秘密保持命令違反(6号)、16条・17条違反(7号)を列挙して刑事罰を定める。営業秘密侵害罪は同条1項・2項に別に置かれている。罪刑法定主義のもとで処罰されるのは法律が明示した行為に限られ、2条1項の不正競争のすべてに罰則が対応しているわけではない。信用毀損行為(21号)はこの列挙に含まれておらず、限定提供データに係る不正競争やドメイン名に係る不正競争と同じく、民事上の差止め・損害賠償・信用回復の措置の対象にとどまる。乙社の無添加化粧品に着色料・保存料が使用されているという虚偽の事実をパンフレットで頒布した甲社の行為は、乙社に損害を与える目的があっても、不正競争防止法上の刑事罰の対象にならない。

不正の目的をもって第二条第一項第一号又は第二十号に掲げる不正競争を行ったとき。
| 不正競争 | 罰則 | 目的の要件 |
|---|---|---|
| 周知表示混同惹起(1号)・誤認惹起(20号) | 3項1号 | 不正の目的 |
| 著名表示冒用(2号) | 3項2号 | 信用若しくは名声を利用して不正の利益を得る目的、又は害する目的 |
| 形態模倣(3号) | 3項3号 | 不正の利益を得る目的 |
| 営業秘密(4号〜10号) | 1項・2項(未遂も) | 不正の利益を得る目的又は保有者に損害を加える目的 |
| 限定提供データ(11号〜16号) | なし | |
| 技術的制限手段(17号・18号) | 3項4号 | 不正の利益を得る目的又は技術的制限手段を用いている者に損害を加える目的 |
| ドメイン名(19号) | なし | |
| 信用毀損(21号) | なし |
誤り。違うのは「消費者ではなく、競業事業者が混同するかどうかを基準として判断される」の部分である。2条1項1号の混同は、商品等表示に接して取引をする需要者を基準に判断される。
2条1項1号は、他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為を不正競争と定める。同号が守ろうとしているのは、周知な表示に化体した信用が、表示を手掛かりに商品や営業を選ぶ取引の場で害されないことである。表示を見て出所を判断し、その判断に基づいて取引するのは、商品を買い役務を受ける需要者であって、競業事業者ではない。したがって混同を生じさせるかどうかは、取引の相手方である需要者(商品の性質に応じて最終消費者のほか取引業者を含む)を基準に、表示の使用の態様や取引の実情から判断される。競業事業者は互いの表示を識別できるのが通常であり、その認識を基準にしたのでは混同がほとんど認められず、1号の目的が果たせない。枝は基準を取り違えている点で誤っている。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
- 周知:需要者の間に広く認識されていることである。一地方で足り、取引業者も需要者に含む
- 同一・類似の商品等表示:使用、又は使用した商品の譲渡・引渡し・展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じた提供である。無償でも該当する
- 混同:需要者を基準に、広義の混同を含めて判断する。商品の同一も競争関係も要らない
- 適用除外:普通名称等(19条1項1号)、自己の氏名(2号)、先使用(4号)である
正しい。商品等表示は人の業務に係る商品又は営業を表示するものをいい、ここでの営業は営利事業に限られないから、非営利事業を行う者の周知な表示を使用してその役務提供との混同を生じさせる行為も2条1項1号の不正競争になる。
2条1項1号は、他人の商品等表示を、人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものと定義し、需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の表示を使用して他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為を不正競争とする。条文は主体を事業者や営利目的の者に限定しておらず、「人の業務」と「営業」という語を用いているにすぎない。1号が守るのは表示に化体した信用と、需要者が表示を頼りに相手を選ぶ取引秩序であり、その必要は営利を目的とするかどうかで変わらない。そこで営業は、営利事業に限らず、広く経済収支上の計算の上に立って行われる事業を含むと解されており、病院や学校、宗教法人などの名称も周知であれば商品等表示として保護される。したがって非営利事業を行う他人の周知な表示を使用して、その役務提供との混同を生じさせる行為は不正競争になる。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し
誤り。違うのは「まだその商品を販売していない場合は、不正競争とならない」の部分である。2条1項2号は著名な商品等表示を自己の商品等表示として使用する行為自体を不正競争としており、商品に付した段階で販売前でも成立する。
2条1項2号は、自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用する行為と、その商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為を並べて不正競争と定める。表示の使用と、表示を使用した商品の譲渡等とは別個の行為類型であり、使用には商品そのものに表示を付すことが含まれる。著名表示の冒用は、混同を生じさせなくても表示の持つ顧客吸引力にただ乗りし、その識別力や名声を薄める行為として規制されるから、商品が市場に出る前の段階でも、他人の著名な表示を自己の商品等表示として商品に付した時点で2号の使用に当たる。販売はその後の譲渡として別に捉えられる行為であり、販売していないことは使用の成立を妨げない。したがって商品に著名な表示を付した甲の行為は、販売前であっても不正競争になり、3条1項の差止めの対象になる。

自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
誤り。違うのは「実際に使用していない場合には、不正競争とならない」の部分である。2条1項19号は、図利加害目的でドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有する行為も、使用する行為と並べて不正競争としている。出題当時は2条1項13号であった(平成30年改正前)。
2条1項19号は、不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為を不正競争と定める。ドメイン名は先に登録した者が使用する権利を得る仕組みであるため、他人の商号や商標と同じドメイン名を先に登録して高値で買い取らせたり、本来の主体がそのドメイン名を使えないようにしたりする行為が問題になる。こうした行為の弊害は、ドメイン名を実際にウェブサイトで使うかどうかにかかわらず、権利を取得した時点で生じる。そこで同号は、使用のほかに、使用する権利の取得と保有をそれぞれ独立の行為類型として挙げた。不正の利益を得る目的で他人の商品等表示と同一又は類似のドメイン名を使用する権利を保有している以上、実際に使用していなくても不正競争になる。目的の要件がある代わりに、表示の周知・著名は要件にされていない。

不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為
- 目的:不正の利益を得る目的(転売目的など)又は他人に損害を加える目的(誹謗サイトの開設目的など)のどちらか一つである
- 対象:他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するもの)と同一又は類似のドメイン名である。周知・著名は要らない
- 行為:ドメイン名を使用する権利の取得、保有、そのドメイン名の使用である。譲渡は掲げられていない
- 出題当時の号:平成30年改正前は13号
誤り。違うのは「全国的に広く認識されている必要がある」の部分である。2条1項1号の「需要者の間に広く認識されている」は一地方で広く認識されていれば足り、全国的な認識を要するのは2号の著名な表示である。
2条1項1号は、他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているもの、すなわち周知な商品等表示を保護する。周知は、その表示が需要者の間でその者の商品や営業を示すものとして知られていることを要件とするものであり、判例は、全国的に知られていることを要する趣旨ではなく、一地方において広く認識されていれば足りるとしている。周知表示の保護は、混同による誤認から需要者と表示の主体を守る制度であり、混同が生じ得るのは表示が知られている地域であるから、その地域で広く認識されていれば足りるのである。これに対し2号の著名な商品等表示は、混同を要件とせずに使用自体を規制する強い保護を与えるため、全国的に知られていることが求められる。枝は1号の周知に2号の著名と同じ程度の認識を要求している点で誤っている。

自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
| 1号 | 2号 | |
|---|---|---|
| 表示の知られ方 | 周知(需要者の間に広く認識。一地方で足りる) | 著名(全国的に知られていること) |
| 混同 | 要る(広義の混同を含む) | 要らない |
| 使用の態様 | 商品等表示の使用(自己の出所を示す使用) | 「自己の商品等表示として」の使用に限る |
| 先使用の適用除外 | 19条1項4号。混同防止表示を請求できる(19条2項) | 19条1項5号。混同防止表示の請求はない |
| 刑事罰の目的要件 | 不正の目的(21条3項1号) | 信用・名声を利用して不正の利益を得る目的、又は信用・名声を害する目的(21条3項2号) |
正しい。著名な商品等表示を使用した商品の譲渡は2条1項2号の不正競争であり、営業上の利益を侵害された者は3条1項の差止めに際し、3条2項により侵害の行為を組成した物の廃棄を請求できる。
2条1項2号は、自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用した商品を譲渡し、引き渡す行為などを不正競争と定める。3条1項は、不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者が、侵害の停止又は予防を請求できると定め、同条2項は、その請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求できると定める。販売の停止だけを命じても、著名な表示を付した商品が手元に残っていれば再び市場に出るおそれがあるため、差止めの実効性を保つ手段として廃棄等の請求を認めたものである。廃棄の請求は差止請求をするに際して行う付随的なものであり、単独では請求できない。著名な商品表示を付した商品はまさに侵害の行為を組成した物であるから、販売の差止めとともにその廃棄を請求することができる。

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。
正しい。題号は本来内容を示すものであるが、シリーズとして継続して販売され、需要者が特定の出所を示すものと認識するに至れば、商品等表示に当たりうる。
2条1項1号は商品等表示を、人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものと定義する。列挙は例示であり、出所識別機能を持つものであれば形式を問わない。書籍や映画のように一つの作品の題号は、その作品の内容を特定するものにとどまり、誰の商品かを示す機能を持たないのが通常であるから、商品等表示とは認められにくい。しかしシリーズ作品として同じ題号のゲームソフトが継続して販売され、宣伝も重ねられると、需要者はその題号を見て特定の事業者から出た商品だと認識するようになる。東京高判平16.11.24(ファイアーエムブレム事件)も、シリーズ化されたゲームソフトの題号について、特定の出所を示す商品表示としての機能を獲得したものとして商品等表示性を認めた。したがってシリーズ作品の題号は商品表示となりうる。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
正しい。2条1項1号の営業は営利を直接の目的とする事業に限られず、対価を得て継続的に行われる事業を広く含むから、特許事務所の名称は営業表示となりうる。
2条1項1号は商品等表示を、人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は営業を表示するものと定義する。ここでいう営業は、営利を直接の目的とする事業に限られず、経済的な対価を得ることを目的として反復継続して行われる事業を広く指すと解されており、医師の病院経営や学校法人の教育事業なども含まれる。不正競争防止法が守ろうとするのは事業者間の公正な競争秩序であり、対価を得て役務を提供する者である限り、営利法人であるかどうかや業種によって保護の有無を分ける理由がないという理屈である。弁理士が営む特許事務所の業務は、依頼者から報酬を得て出願や審判の代理などを継続的に行う事業であるから営業に当たり、その名称は営業を表示するものとして営業表示となりうる。本来的な宗教活動が営業に当たらないとされるのは、対価を目的とする事業でないからであって、特許事務所とは区別される。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
正しい。店舗の外観も、他の同種店舗と異なる顕著な特徴を持ち、継続的な使用や宣伝により特定の事業者の営業を示すものとして認識されるに至れば、営業表示となりうる。
2条1項1号の商品等表示は、氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装を例示したうえで、その他の商品又は営業を表示するものと定めており、営業を表示する機能を持つものであれば形態を限定していない。店舗の外観は本来、機能や美感の観点から設計されるもので、出所を示すことを目的とはしていない。しかし、他の同種の店舗と異なる顕著な特徴を備えた外観を、特定の事業者が長期間にわたって継続的かつ独占的に使用し、宣伝を重ねることで、需要者がその外観を見ただけでその事業者の営業だと認識するようになれば、外観自体が営業を表示する機能を獲得する。フランチャイズ方式の飲食店は、各店舗に統一された外観を用いて一つの営業主体の店であることを示すことが事業の仕組みそのものであるから、その店舗外観は営業表示となりうる。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
正しい。他人の商品等表示はその者が自ら使用するものに限られず、取引者や需要者が特定の企業の営業を示す略称として用い広く認識するに至ったものを含む。
2条1項1号は他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものを保護の対象とし、その表示を他人自身が使用していることを要件の文言に含めていない。最判平5.12.16(アメックス事件)は、企業の名称の略称について、その企業自身が使用していなくても、取引者や需要者の間で特定の企業の営業を示すものとして広く認識されていれば、同号の商品等表示に当たるとした。同号が防ごうとしているのは、周知の表示を使って需要者に出所の混同を生じさせる行為であり、混同が生じるかどうかは需要者がその表示をどう認識しているかで決まる。企業が正式名称しか使っていなくても、報道や取引の場で略称が定着していれば、第三者がその略称を使えば混同は現に生じる。したがって保護の必要性は企業自身の使用の有無とは無関係であり、企業自身が使用していない略称も営業表示となりうる。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
- 当たる:登録の有無を問わない商標、商号、企業の略称、商品の容器包装、店舗外観、シリーズ作品の題号など、出所を示し自他を識別する機能を持つもの
- 当たらない:成分や品質の記載、一つの作品の内容を特定するだけの題号など、出所を示す機能を持たないもの
- 営業の範囲:経済的な対価を得ることを目的とする事業を広く含む。病院・学校・特許事務所の名称は営業表示になるが、本来的な宗教活動でのみ使う名称はならない
- 他人自身の使用:要件ではない。取引者・需要者が特定の企業を示すものとして用いる略称も表示に当たる
誤り。違うのは「本来的な宗教活動でのみ使用される場合でも、営業表示となりうる」の部分である。2条1項1号の営業は本来的な宗教活動を含まず、その活動でのみ使われる名称は営業を表示するものにならない。
2条1項1号の商品等表示は、商品又は営業を表示するものである。ここでいう営業は営利を直接の目的とする事業に限られず、経済的な対価を得ることを目的として行われる事業を広く含むと解されており、病院や学校の名称も営業表示になりうる。しかし最判平18.1.20(天理教豊文教会事件)は、宗教儀礼の執行や教義の普及伝道活動といった本来的な宗教活動と、これと密接不可分の関係にある事業は、同号及び2号にいう営業に当たらないとした。不正競争防止法は事業者間の公正な競争を確保する法律であり、信仰に基づく宗教活動は経済上の競争の場に置かれていないため、その活動を営業として保護すると法律の目的を超えるという理屈である。したがって宗教法人の名称が本来的な宗教活動でのみ使用される場合、その名称は営業を表示するものとはいえず、営業表示とならない。収益事業でも名称を使っていればその限りで営業表示となりうるが、枝はその場合を除いている。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
正しい。2条1項3号の不正競争は模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為であり、製造する行為そのものは列挙されていない。出題当時の3号には電気通信回線を通じて提供する行為がなかったが(令和5年改正前)、製造が含まれない点は同じである。
2条1項3号は、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を不正競争と定める。2条5項が模倣を他人の商品の形態に依拠して実質的に同一の形態の商品を作り出すことと定義しているので、乙が財布Aの形態をそっくりまねて財布Bを製造する行為は模倣に当たるが、3号が不正競争として捉えるのは模倣した商品を市場に置く行為であって、模倣して作り出す行為そのものではない。3号は先行者が資金と労力を投じて商品化した成果を、他人がただ乗りして市場で競合する行為を規制するものであり、商品が流通に乗る前の製造段階では先行者の営業上の利益はまだ侵害されていないという理屈である。したがって乙がBを製造する行為自体は不正競争とならず、製造したBを販売や展示に供した時点で初めて3号の不正競争になる。製造も実施に含める特許や意匠とは異なる。

他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
- 商品の形態:通常の用法で知覚できる外部・内部の形状と、結合した模様・色彩・光沢・質感である(2条4項)。機能を確保するために不可欠な形態を除く
- 模倣:依拠して実質的に同一の形態の商品を作り出すことである(2条5項)。独自創作は当たらず、ありふれた形態は保護されない
- 規制される行為:模倣した商品の譲渡・貸渡し・展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じた提供である。製造そのものは含まれない
- 保護期間:日本国内において最初に販売された日から3年である(19条1項6号イ)
誤り。違うのは「甲からAの販売について許諾を受けた丙は、乙に対し、Bの販売の差止めを請求できる」の部分である。3条1項の差止めを請求できるのは不正競争によって営業上の利益を侵害される者であり、3号では商品を自ら開発し商品化した者がこれに当たり、販売の許諾を受けただけの丙は原則として含まれない。
3条1項は、不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者が、侵害の停止又は予防を請求することができると定める。2条1項3号の形態模倣は、資金と労力を投下して商品を開発し商品化した先行者の成果が、開発の負担を免れた模倣者によって奪われることを防ぐ規定であるから、営業上の利益を侵害される者は商品を自ら開発・商品化して市場に置いた者である。財布Aを商品化した甲がこれに当たり、甲から販売の許諾を受けただけの丙は、商品化の成果を自らの営業上の利益として保有しているわけではないので、原則として請求主体にならない。独占的な販売権を与えられ、模倣品の流通によって自らの営業上の利益が直接害される者については請求を認めた裁判例があるが、枝は単に販売について許諾を受けた丙としており、独占的な地位は示されていない。したがって丙は乙に対して財布Bの販売の差止めを請求できない。

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
誤り。違うのは「乙がBを輸出する行為は、刑事罰の対象とならない」の部分である。模倣した商品を輸出する行為は2条1項3号に明記された不正競争であり、不正の利益を得る目的があれば21条3項3号で処罰される。
2条1項3号は、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を不正競争と定めており、輸出は譲渡や輸入と並んで明文で列挙されている。模倣品を国外に送り出す行為も先行者の成果にただ乗りする行為であり、国内での販売と区別する理由がない。そして21条3項3号は、不正の利益を得る目的で2条1項3号に掲げる不正競争を行ったときを処罰の対象とし、3号に列挙された行為のうち一部を処罰の対象から外す定めは置いていない。したがって乙が財布Bを輸出する行為は、乙に不正の利益を得る目的があれば刑事罰の対象となる。処罰されないのは目的要件を欠く場合や、19条1項6号で適用除外となる場合であって、輸出という行為態様であることを理由に処罰を免れるわけではない。

不正の利益を得る目的で第二条第一項第三号に掲げる不正競争を行ったとき。
誤り。違うのは「秘密として管理するためにとっていた措置のいかんを問わず、当該資料は、甲社の営業秘密として保護される」の部分である。秘密管理性は保有者が秘密と認識しているだけでは足りず、合理的な管理措置によって秘密管理意思が従業員等に示されていることを要する。
2条6項は営業秘密を、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものと定義する。最初の要件である秘密管理性は、情報が客観的に秘密として管理されている状態を求めるものであり、保有者が心の中で秘密だと認識しているだけでは満たされない。従業員や取引先がどの情報を秘密として扱うべきかを認識できなければ、何を使えば不正競争になるのか予測できないという理屈である。そのため秘密管理性は、アクセス制限やマル秘の表示といった合理的な管理措置によって保有者の秘密管理意思が従業員等に示され、従業員等がそれを認識できる状態にあることを要すると解されている。仕入先の情報をまとめた資料を社外秘と認識していても、誰でも見られる棚に置いていたのでは秘密管理性を欠き、営業秘密として保護されない。

この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
- 秘密管理性:秘密として管理されていることである。秘密管理意思が合理的な管理措置によって従業員等に示され、認識できる状態にあることが要る
- 有用性:事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であることである。法令違反や反社会的な行為に関する情報は除かれる
- 非公知性:公然と知られていないことである。保有者の管理下以外では一般に入手できない状態をいう
正しい。実際に注文した者とその注文内容を記録した顧客カードは、公開情報から出発していても甲社しか持たない非公知の営業上の情報であり、有用性と秘密管理性も備えるから営業秘密として保護される。
2条6項の営業秘密は技術上の情報に限られず、販売方法その他の事業活動に有用な営業上の情報を含み、顧客名簿や取引記録はその代表である。送付先のリスト自体は公開情報であり非公知性がない。しかし商品カタログを送付した相手のうち誰が実際に商品を注文し、何をどれだけ注文したかという情報は、甲社の販売活動の結果として初めて生まれるもので、甲社の管理下以外では一般に入手できないから、公然と知られていない情報である。非公知性は情報の素材が公開されているかではなく、その情報のまとまりを保有者の外で入手できるかで判断するという理屈である。注文内容を記録した顧客カードは、再度の販売の見込みのある相手を示す点で販売活動に有用であり、甲社が秘密として管理していたのであるから秘密管理性も備える。したがって当該顧客カードは三要件をすべて満たし、甲社の営業秘密として保護される。

この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
誤り。違うのは「当該契約に基づき開示されたすべての情報は、乙社の営業秘密として保護される」の部分である。営業秘密に当たるかは情報ごとに2条6項の三要件を満たすかで決まり、秘密保持契約の対象であることとは別の問題である。
2条6項は営業秘密を、秘密として管理されている事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって公然と知られていないものと定義しており、ある情報が営業秘密に当たるかは、この秘密管理性、有用性、非公知性の三つを個々の情報について満たすかどうかで決まる。秘密保持契約は、開示を受ける側に契約上の守秘義務を負わせる当事者間の合意であり、契約で秘密と定めたからといって、その情報が法律上の営業秘密になるわけではない。開示されるすべての情報を対象とする包括的な契約であれば、その中には業界で広く知られている公知の情報や、事業活動に役立たない情報も含まれうるが、それらは非公知性や有用性を欠くので営業秘密ではない。営業秘密の保護は第三者にも及ぶから、当事者の合意だけで範囲を広げられないという理屈である。契約に基づいて開示された情報のうち三要件を満たすものだけが乙社の営業秘密として保護され、それ以外の情報について甲社が負うのは契約上の義務にとどまる。

この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
誤り。違うのは「甲社が秘密として管理していれば甲社の営業秘密として保護される」の部分である。市販品をごく簡単に解析すれば容易に知ることができる情報は、製品の販売によって公然と知られたものと評価され、非公知性を欠く。
2条6項は営業秘密の要件として公然と知られていないことを求める。非公知性は、その情報が保有者の管理下以外では一般に入手できない状態にあることをいう。市販品に含まれる技術上の情報は、製品を買った者が解析すれば知ることができるが、解析に専門家による多額の費用と長い時間を要する場合には、なお一般に入手できる状態とはいえず非公知性が認められる。これに対して、市場に出た製品をごく簡単に解析するだけで容易に知ることができる情報は、製品を販売した時点で誰でも入手できる状態に置かれたのと同じであり、公然と知られたものと評価される。保有者が自ら製品を市場に置いて情報を知り得る状態にした以上、法が秘密として守る理由がないという理屈である。したがって甲社が社内でその情報を秘密として管理していても、非公知性を欠く以上、営業秘密として保護されない。

この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
誤り。違うのは「秘密として厳重に管理されている場合には、甲社の営業秘密として保護される」の部分である。外国公務員への不正な利益供与の事実は事業活動に有用な情報ではなく、どれほど厳重に管理しても有用性を欠く。
2条6項は営業秘密の要件として、秘密管理性と非公知性に加え、生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であることを求める。有用性の要件は、失敗した実験のデータでも広く満たされる一方で、脱税や有害物質の垂れ流しといった反社会的な行為に関する情報を保護の対象から外す役割を持つ。不正競争防止法が営業秘密を保護するのは公正な競争秩序を維持するためであり、法令に反する行為の隠蔽を助けるような情報まで法の力で守るのは制度の目的に反するという理屈である。18条1項は何人も外国公務員等に対して国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るために金銭その他の利益を供与してはならないと定めており、甲社がこれに反して不正の利益を供与したという情報は、まさに法が禁じる行為の事実であって、事業活動に有用な情報とはいえない。したがって秘密として厳重に管理されていても営業秘密として保護されない。

この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
正しい。原産地について誤認させるような表示かどうかは商品全体を観察して需要者の認識で判断し、日本製である旨が明確に表示されていれば「U.S.A.」の刺繍は原産地を誤認させる表示に当たらない。出題当時は2条1項14号であった(平成30年改正前)。
2条1項20号は、商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信に、その商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡等する行為を不正競争と定める。需要者の誤認による競争の歪みを防ぐ規定であるから、ある表示が誤認させるような表示に当たるかは、その文字だけを取り出すのではなく、表示の態様や商品に付された他の表示を含めて商品全体を観察し、需要者がどう受け取るかを基準に判断する。日本製のタオルに「U.S.A.」の刺繍があっても、同じタオルに日本製である旨が明確に表示されていれば、需要者は刺繍を米国製という原産地の表示ではなく装飾や図柄と受け取るので、原産地について誤認は生じない。したがって原産地について誤認させる不正競争には該当しない。同号に目的の要件はなく、誤認させる表示かどうかだけで決まる。

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
- 表示の場所:商品、役務、その広告、取引に用いる書類、通信である
- 商品について:原産地、品質、内容、製造方法、用途、数量である。価格は列挙されていない
- 役務について:質、内容、用途、数量である
- 行為:誤認させるような表示をすること、その表示をした商品の譲渡・引渡し・展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じた提供、その表示をしての役務の提供である
- 目的:要件ではない。19号のドメイン名との違いである
正しい。2条1項19号の目的要件は不正の利益を得る目的又は他人に損害を加える目的のいずれかで足り、高値で転売する目的は不正の利益を得る目的に当たるから、中傷する意図がなくても不正競争に該当する。出題当時は2条1項13号であった(平成30年改正前)。
2条1項19号は、不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為を不正競争と定める。他人の商標と同じ文字列を先に押さえて高値で買い取らせる行為と、誹謗のサイトを開く行為の両方を捉えるために目的要件が二つ並べられている。条文は「又は」で結んでおり、どちらか一方の目的があれば足りる。他人の商標と類似するドメイン名を使用する権利を取得してウェブサイトを開設する行為は、取得と使用の両方に当たり、その他人にドメイン名を高値で転売する目的は、本来の権利者から不当な対価を得ようとするものとして不正の利益を得る目的に該当する。したがって当該他人を中傷する意図、すなわち損害を加える目的がなくても、同号の不正競争に該当する。

不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為
- 目的:不正の利益を得る目的(転売目的など)又は他人に損害を加える目的(誹謗サイトの開設目的など)のどちらか一つである。20号の誤認惹起表示には目的の要件がない
- 対象:他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するもの)と同一又は類似のドメイン名である。周知・著名は要らない
- 行為:ドメイン名を使用する権利の取得、保有、そのドメイン名の使用である。譲渡は掲げられていない
誤り。違うのは「当該送付に先立ち弁理士に相談していたのであれば、不正競争には該当しない」の部分である。侵害の事実がなかったと判明した以上、取引先への警告は虚偽の事実の告知に当たり、2条1項21号に故意・過失の要件はないから、事前の相談は該当性を左右しない。出題当時は2条1項15号であった(平成30年改正前)。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争と定める。取引先各社への特許権侵害の警告書の送付は、競争関係にある他人の商品が侵害品であるという事実を第三者に告知するもので、後日侵害の事実がなかったと判明すれば、告知した内容は客観的真実に反していたことになり、虚偽の事実の告知に当たる。同号は行為の客観的な該当性を定めた規定であり、告知者が虚偽であることを知っていたか、知らないことに過失があったかを要件にしていない。不正競争に当たるかどうかと、損害賠償責任を負うかどうかは別の段階の問題で、4条が故意又は過失を損害賠償の要件として別に置いているのはそのためである。したがって送付に先立って弁理士に相談していたことは、過失の有無の判断で考慮されうるにとどまり、不正競争への該当性を否定する理由にはならない。

故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、第十五条の規定により同条に規定する権利が消滅した後にその営業秘密又は限定提供データを使用する行為によって生じた損害については、この限りでない。
正しい。2条1項17号・18号の装置には、当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものが含まれるから、その部品一式を販売する行為は不正競争に該当する。出題当時は2条1項11号・12号であった(平成30年改正前)。
2条1項17号は、営業上用いられている技術的制限手段の効果を妨げることにより影像の視聴等を可能とする機能を有する装置を譲渡し、引き渡し、展示し、輸出し、又は輸入する行為を不正競争と定め、18号は特定の者以外の者に視聴等をさせないための技術的制限手段について同じ行為を定める。両号はかっこ書で、この装置に当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含むとしている。完成した装置の販売だけを規制すると、組み立てる直前の部品の組合せとして売れば規制を免れてしまい、技術的制限手段を保護する目的が達せられないため、平成23年改正でこの部分が加えられた。したがって技術的制限手段の効果を妨げる機能を有する装置の部品一式を販売する行為は、その部品一式から装置を容易に組み立てることができる場合には、装置そのものの譲渡と同じく不正競争に該当する。

他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために営業上用いている技術的制限手段により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)、当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を当該特定の者以外の者に譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)又は影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為
正しい。2条1項21号の信用毀損行為は虚偽の事実の告知又は流布に限られ、信用を低下させる目的があっても流布した内容が真実であれば該当しない。出題当時は2条1項15号であった(平成30年改正前)。
2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を不正競争と定める。要件は競争関係、営業上の信用を害すること、虚偽の事実、告知又は流布の四つであり、虚偽の事実とは客観的真実に反する事実をいう。同号は競争者が事実に反する情報で相手の信用を落として競争上の優位を得る行為を規制するものであって、真実の情報が流通して需要者が正しい判断をすることまで妨げる趣旨ではないという理屈で、真実の事実の流布は、たとえ相手の営業上の信用を低下させても同号の外に置かれている。他人の法令違反行為という真実を、その信用を低下させる目的で流布した場合、目的は同号の要件に含まれておらず、流布した内容が真実である以上、虚偽の事実の流布に当たらない。したがって不正競争には該当しない。真実であっても態様によっては民法709条の不法行為になりうるが、それは不正競争防止法の枠外である。

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
- 競争関係:双方の営業につき需要者又は取引者を共通にする可能性があれば足りる。無関係の相手への中傷は民法709条の不法行為である
- 虚偽の事実:客観的真実に反する事実である。真実や、証拠による証明になじまない意見・論評は含まれない
- 営業上の信用:営業活動に関する経済上の外部的評価で、商品・役務の社会的評価や支払能力・営業能力への社会的信頼を含む
- 告知・流布:他人以外の者に伝える行為である。相手方本人に直接告げるだけでは該当しない
- 目的:要件ではない