1この条約の締約国(以下「締約国」という。)は、発明の保護のための出願並びにその出願に係る調査及び審査における協力のため並びに特別の技術的業務の提供のための同盟を形成する。この同盟は、国際特許協力同盟という。
2この条約のいかなる規定も、工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国の国民又は居住者の同条約に基づく権利を縮減するものと解してはならない。
1この条約の締約国(以下「締約国」という。)は、発明の保護のための出願並びにその出願に係る調査及び審査における協力のため並びに特別の技術的業務の提供のための同盟を形成する。この同盟は、国際特許協力同盟という。
2この条約のいかなる規定も、工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国の国民又は居住者の同条約に基づく権利を縮減するものと解してはならない。
この条約及び規則の適用上、明示的に別段の定めがある場合を除くほか、 (i) 「出願」とは、発明の保護のための出願をいう。「出願」というときは、特許、発明者証、実用証、実用新案、追加特許、追加発明者証及び追加実用証の出願をいうものとする。 (ii) 「特許」というときは、特許、発明者証、実用証、実用新案、追加特許、追加発明者証及び追加実用証をいうものとする。 (iii) 「国内特許」とは、国内当局によつて与えられる特許をいう。 (iv) 「広域特許」とは、二以上の国において効力を有する特許を与える権限を有する国内当局又は政府間当局によつて与えられる特許をいう。 (v) 「広域出願」とは、広域特許の出願をいう。 (vi) 「国内出願」というときは、この条約に従つてされる出願以外の国内特許及び広域特許の出願をいうものとする。 (vii) 「国際出願」とは、この条約に従つてされる出願をいう。 (viii) 「出願」というときは、国際出願及び国内出願をいうものとする。 (ix) 「特許」というときは、国内特許及び広域特許をいうものとする。 (x) 「国内法令」というときは、締約国の国内法令又は、広域出願若しくは広域特許にあつては、広域出願をすること若しくは広域特許を与えることについて規定している条約をいうものとする。 (xi) 「優先日」とは、期間の計算上、次の日をいう。 (a) 国際出願が第八条の規定による優先権の主張を伴う場合には、その優先権の主張の基礎となる出願の日 (b) 国際出願が第八条の規定による二以上の優先権の主張を伴う場合には、それらの優先権の主張の基礎となる出願のうち最先のものの日 (c) 国際出願が第八条の規定による優先権の主張を伴わない場合には、その出願の国際出願日 (xii) 「国内官庁」とは、特許を与える任務を有する締約国の政府の当局をいう。「国内官庁」というときは、二以上の国から広域特許を与える任務を委任されている政府間当局をもいうものとする。ただし、これらの国のうち少なくとも一の国が締約国であり、かつ、この条約及び規則が国内官庁について定める義務及び権限を負い及び行使することをこれらの国が当該政府間当局に委任している場合に限る。 (xiii) 「指定官庁」とは、第一章の規定に従い出願人によつて指定された国の国内官庁又はその国のために行動する国内官庁をいう。 (xiv) 「選択官庁」とは、第二章の規定に従い出願人によつて選択された国の国内官庁又はその国のために行動する国内官庁をいう。 (xv) 「受理官庁」とは、国際出願がされた国内官庁又は政府間機関をいう。 (xvi) 「同盟」とは、国際特許協力同盟をいう。 (xvii) 「総会」とは、同盟の総会をいう。 (xviii) 「機関」とは、世界知的所有権機関をいう。 (xix) 「国際事務局」とは、機関の国際事務局及び、それが存続する限り、知的所有権保護合同国際事務局(BIRPI)をいう。 (xx) 「事務局長」とは、機関の事務局長及び、それが存続する限り、知的所有権保護合同国際事務局の事務局長をいう。
1締約国における発明の保護のための出願は、この条約による国際出願としてすることができる。
2国際出願は、この条約及び規則の定めるところにより、願書、明細書、請求の範囲、必要な図面及び要約を含むものとする。
3要約は、技術情報としてのみ用いるものとし、他の目的のため、特に、求められている保護の範囲を解釈するために考慮に入れてはならない。
4国際出願は、次の条件に従う。 (i) 所定の言語で作成すること。 (ii) 所定の様式上の要件を満たすこと。 (iii) 所定の発明の単一性の要件を満たすこと。 (iv) 所定の手数料を支払うこと。
誤り。違うのは「限定することなく行うことができる」の部分である。国際出願は所定の発明の単一性の要件を満たさなければならず、規則13.1は一の発明又は単一の一般的発明概念を形成するように連関している一群の発明についてのみ行うと定める。
3条(4)(iii)は、国際出願は所定の発明の単一性の要件を満たすことを条件とすると定め、規則13.1は、国際出願は一の発明又は単一の一般的発明概念を形成するように連関している一群の発明についてのみ行うと定める。一群の発明が単一の一般的発明概念を形成するとされるのは、それらが同一の又は対応する特別な技術的特徴を含む技術的関係にある場合である(規則13.2)。国際調査と国際予備審査は一件の出願ごとに一つの手数料で行われるから、関連のない複数の発明を一通に詰め込むと調査の負担と手数料が釣り合わなくなるという理屈である。単一性を欠くときは国際調査機関が追加手数料の支払を求め、支払がなければ主発明についてのみ国際調査報告を作成する(17条(3))。枝は単一性の要件そのものを否定しているので誤りである。

国際出願は、一の発明又は単一の一般的発明概念を形成するように連関している一群の発明についてのみ行う(「発明の単一性の要件」)。
正しい。3条(2)が国際出願は願書、明細書、請求の範囲、必要な図面及び要約を含むと定め、3条(3)が要約は技術情報としてのみ用い、求められている保護の範囲を解釈するために考慮に入れてはならないと定めている。
3条(2)は、国際出願は、この条約及び規則の定めるところにより、願書、明細書、請求の範囲、必要な図面及び要約を含むものとすると定める。図面に「必要な」と付くのは、7条(1)により図面が発明の理解に必要な場合に要求されるからである。3条(3)は、要約は、技術情報としてのみ用いるものとし、他の目的のため、特に、求められている保護の範囲を解釈するために考慮に入れてはならないと定める。要約は第三者が技術内容を素早く把握し、調査の手掛かりにするための文書であって、保護の範囲は請求の範囲に記載されているものである。要約の記述で権利の広狭が左右されると、出願人は要約を書くたびに権利への影響を気にしなければならず、要約が情報提供の役割を果たせなくなるので、保護の範囲の解釈から切り離したものである。枝は3条(2)と(3)をつないだ内容であり、いずれも条文のとおりである。日本の特許法70条3項も同じく要約書の記載を考慮してはならないとする。

要約は、技術情報としてのみ用いるものとし、他の目的のため、特に、求められている保護の範囲を解釈するために考慮に入れてはならない。
1願書には、次の事項を記載する。 (i) 国際出願がこの条約に従つて処理されることの申立て (ii) 国際出願に基づいて発明の保護が求められている一又は二以上の締約国の指定(このように指定される締約国を「指定国」という。)。指定国について広域特許を受けることが可能であり、かつ、出願人が国内特許ではなく広域特許を受けることを希望する場合には、願書にその旨を表示する。広域特許に関する条約により出願人がその条約の締約国のうち一部の国にその出願を限定することができない場合には、その条約の締約国のうち一の国の指定及び広域特許を受けることを希望する旨の表示は、その条約のすべての締約国の指定とみなす。指定国の国内法令に基づきその国の指定が広域特許の出願としての効果を有する場合には、その国の指定は、広域特許を受けることを希望する旨の表示とみなす。 (iii) 出願人及び、該当する場合には、代理人の氏名又は名称並びにこれらの者に関するその他の所定の事項 (iv) 発明の名称 (v) 指定国のうち少なくとも一の国の国内法令が国内出願をする時に発明者の氏名又は名称その他の発明者に関する所定の事項を表示することを定めている場合には、それらの事項。その他の場合には、それらの事項は、願書において又は、指定官庁の属する国の国内法令がそれらの事項を表示することを定めているが国内出願をする時よりも遅い時に表示することを認めているときは、当該指定官庁にあてた別個の届出において、表示することができる。
2各指定については、所定の期間内に所定の手数料を支払わなければならない。
3指定は、第四十三条に規定する他の種類の保護が出願人によつて求められている場合を除くほか、求められている発明の保護が指定国により又は指定国について与えられる特許であることを意味するものとする。第二条(ii)の規定は、この(3)の規定については、適用しない。
4発明者の氏名又は名称その他の発明者に関する所定の事項が願書に表示されていないことは、指定国の国内法令がそれらの事項を表示することを定めているが国内出願をする時よりも遅い時に表示することを認めている場合には、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない。別個の届出においてそれらの事項が表示されていないことも、指定国の国内法令がそれらの事項を表示することを定めていない場合には、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない。
誤り。違うのは「必ず発明者に関する表示を記載しなければならない」の部分である。発明者の表示が願書の必要的記載事項になるのは、指定国のうち少なくとも一の国の国内法令が国内出願をする時にその表示を定めている場合に限られる。
4条(1)(v)は、指定国のうち少なくとも一の国の国内法令が国内出願をする時に発明者の氏名等を表示することを定めている場合には願書にそれらの事項を記載し、その他の場合には、願書において又は指定官庁にあてた別個の届出において表示することができると定める。規則4.1も、発明者に関する表示を(a)の必要的記載事項に挙げるのはこの場合に限り、いずれの指定国もそれを定めていないときは(c)の任意的記載事項に落としている。国際出願は各指定国での国内出願の束であるから、願書の内容も指定国の国内法令が出願時に求めるものを集めれば足り、出願時より遅い表示を認める国については4条(4)により願書に無くても影響しない。したがって、必ず記載しなければならないとする枝は、場合によって任意となる仕組みを見落としている。

指定国のうち少なくとも一の国の国内法令が国内出願をする時に発明者の氏名又は名称その他の発明者に関する所定の事項を表示することを定めている場合には、それらの事項。その他の場合には、それらの事項は、願書において又は、指定官庁の属する国の国内法令がそれらの事項を表示することを定めているが国内出願をする時よりも遅い時に表示することを認めているときは、当該指定官庁にあてた別個の届出において、表示することができる。
正しい。4条(1)(ii)が、広域特許に関する条約により一部の国に出願を限定できない場合には、その条約の締約国のうち一の国の指定及び広域特許を希望する旨の表示をその条約のすべての締約国の指定とみなすと定めている。
4条(1)(ii)は、願書に記載する指定について、指定国について広域特許を受けることが可能で出願人が国内特許ではなく広域特許を希望する場合にはその旨を願書に表示するとし、続けて、広域特許に関する条約により出願人がその条約の締約国のうち一部の国にその出願を限定することができない場合には、その条約の締約国のうち一の国の指定及び広域特許を受けることを希望する旨の表示は、その条約のすべての締約国の指定とみなすと定める。広域特許は一つの出願で条約の全締約国を対象にする制度であり、条約が一部の国への限定を許さないのに国際出願で一国だけを指定したままにすると、広域特許の出願として成り立たなくなるから、条約全体の指定とみなして整合させる仕組みである。枝は条文のとおりであり正しい。同じ号の後段は、国内法令上その国の指定が広域特許の出願の効果を持つ場合には、その指定を広域特許の希望の表示とみなすと定める。

広域特許に関する条約により出願人がその条約の締約国のうち一部の国にその出願を限定することができない場合には、その条約の締約国のうち一の国の指定及び広域特許を受けることを希望する旨の表示は、その条約のすべての締約国の指定とみなす。
正しい。4条(4)は、発明者の表示が願書にないことは、指定国の国内法令が国内出願の時より遅い時の表示を認めている場合には、その指定国においていかなる影響も及ぼさないと定める。
4条(1)(v)は、指定国のうち少なくとも一の国の国内法令が国内出願をする時に発明者の氏名又は名称その他の所定の事項を表示することを定めている場合には、願書にそれらの事項を記載すると定める一方、その他の場合には願書において、又は指定官庁の属する国の国内法令が遅い時の表示を認めているときは当該指定官庁にあてた別個の届出において表示することができると定める。これを受けて4条(4)は、発明者に関する事項が願書に表示されていないことは、指定国の国内法令がそれらの事項の表示を定めているが国内出願をする時よりも遅い時に表示することを認めている場合には、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではないとする。願書の提出が全ての締約国の指定を構成する以上、発明者の表示を出願時に求める国とそうでない国が混在するため、国内出願の時に表示を要しない国については国内段階での届出に委ね、願書の不備を理由とする不利益を及ぼさない仕組みである。枝は4条(4)の文言どおりである。

発明者の氏名又は名称その他の発明者に関する所定の事項が願書に表示されていないことは、指定国の国内法令がそれらの事項を表示することを定めているが国内出願をする時よりも遅い時に表示することを認めている場合には、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない。
明細書には、当該技術分野の専門家が実施することができる程度に明確かつ十分に、発明を開示する。
請求の範囲には、保護が求められている事項を明示する。請求の範囲は、明確かつ簡潔に記載されていなければならない。請求の範囲は、明細書により十分な裏付けがされていなければならない。
1(2)(ii)の規定が適用される場合を除くほか、図面は、発明の理解に必要な場合に要求される。
2図面が発明の理解に必要でない場合であつても、発明の性質上図面によつて説明することができるときは、 (i) 出願人は、国際出願をする時に図面を国際出願に含めることができる。 (ii) 指定官庁は、出願人に対し、所定の期間内に図面を提出することを要求することができる。
正しい。規則7.2は、7条(2)(ii)の期間を事情に応じて相当の期間とし、いかなる場合にも図面又は追加の図面の提出を要求する書面の日付の日から2箇月未満であってはならないと定めている。
7条(2)は、図面が発明の理解に必要でない場合であっても、発明の性質上図面によって説明することができるときは、(i)出願人は国際出願をする時に図面を国際出願に含めることができ、(ii)指定官庁は出願人に対し所定の期間内に図面を提出することを要求することができると定める。この(ii)の「所定の期間」を受けて、規則7.2は、その期間は事情に応じて相当の期間とし、いかなる場合にも、図面又は追加の図面の提出を要求する書面の日付の日から二箇月未満であってはならないと定める。指定官庁は国内段階で国内出願と同じ水準の図面を求めることができるが、出願人は外国の官庁から要求を受けて図面を用意するのであるから、要求の書面の日付から最低2箇月を保障して、短すぎる期間で出願人を不利に扱えないようにしたものである。枝は規則7.2の文言のとおりである。

第七条(2)(ⅱ)に規定する期間は、事情に応じて相当の期間とし、いかなる場合にも、同条(2)(ⅱ)の規定に基づいて図面又は追加の図面の提出を要求する書面の日付の日から二箇月未満であつてはならない。
誤り。違うのは「図面を所定の期間内に提出することを要求してはならない」の部分である。7条(2)(ii)は、図面が発明の理解に必要でなくても発明の性質上図面によって説明することができるときは、指定官庁が所定の期間内の提出を要求することができると定める。
7条(1)は、図面は発明の理解に必要な場合に要求されると定め、同条(2)は、図面が発明の理解に必要でない場合であっても発明の性質上図面によって説明することができるときは、出願人は国際出願をする時に図面を国際出願に含めることができ、指定官庁は出願人に対し所定の期間内に図面を提出することを要求することができると定める。国際段階では理解に必要な図面だけを要求して出願人の負担を抑える一方、国内法令が図面の添付を求める国もあるので、国内段階の指定官庁には理解に必要でない図面であっても提出を要求する余地を残しているのである。27条(2)が、国内的要件を制限する27条(1)は7条(2)の適用を妨げないと断っているのも同じ趣旨である。枝は指定官庁が要求することができる場面を、要求してはならないと逆に書いている。

図面が発明の理解に必要でない場合であつても、発明の性質上図面によつて説明することができるときは、(ⅰ)出願人は、国際出願をする時に図面を国際出願に含めることができる。(ⅱ)指定官庁は、出願人に対し、所定の期間内に図面を提出することを要求することができる。
正しい。7条(2)(ii)は、図面が発明の理解に必要でなくても発明の性質上図面によって説明することができるときは、指定官庁が出願人に所定の期間内の図面の提出を要求することができると定める。
7条(1)は、(2)(ii)の規定が適用される場合を除くほか、図面は発明の理解に必要な場合に要求されると定める。そして同条(2)は、図面が発明の理解に必要でない場合であっても、発明の性質上図面によって説明することができるときは、出願人は国際出願をする時に図面を国際出願に含めることができ((i))、指定官庁は出願人に対し所定の期間内に図面を提出することを要求することができる((ii))と定める。国際段階では図面を必要な場合に限って要求し出願人の負担を抑える一方、国内段階では各指定国の国内法令が図面の添付を求める場合があるため、理解に必要でない図面でも説明に役立つものは指定官庁が後から求められるようにして、国際出願の要件と各国の国内要件の差を埋めている。枝は7条(2)(ii)の文言どおりであり正しい。27条(1)が国際出願の形式又は内容について条約と規則に定める要件と異なる要件を国内法令で課すことを禁じるのに対し、図面はこの条で指定官庁の要求を明文で認めた例である。

図面が発明の理解に必要でない場合であつても、発明の性質上図面によつて説明することができるときは、(ⅰ)出願人は、国際出願をする時に図面を国際出願に含めることができる。(ⅱ)指定官庁は、出願人に対し、所定の期間内に図面を提出することを要求することができる。
1国際出願は、規則の定めるところにより、工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国において又は同条約の締約国についてされた先の出願に基づく優先権を主張する申立てを伴うことができる。
2(a) (b)の規定が適用される場合を除くほか、(1)の規定に基づいて申し立てられた優先権の主張の条件及び効果は、工業所有権の保護に関するパリ条約のストックホルム改正条約第四条の定めるところによる。 (b) いずれかの締約国において又はいずれかの締約国についてされた先の出願に基づく優先権の主張を伴う国際出願には、当該締約国の指定を含めることができる。国際出願が、いずれかの指定国において若しくはいずれかの指定国についてされた国内出願に基づく優先権の主張を伴う場合又は一の国のみの指定を含む国際出願に基づく優先権の主張を伴う場合には、当該指定国における優先権の主張の条件及び効果は、当該指定国の国内法令の定めるところによる。
正しい。日本の特許出願Aを基礎に特許協力条約8条の優先権を主張した日本を指定国に含む国際出願Bは、出願Aを先の出願とする国内優先権の主張を伴う特許出願として扱われ、出願Aは42条1項により省令で定める期間を経過した時に取り下げたものとみなされる。
特許協力条約8条は国際出願で先の国内出願に基づく優先権を主張できると定め、同条(2)(b)は、指定国でされた国内出願に基づく優先権の主張の条件と効果はその指定国の国内法令によるとする。184条の3により日本を指定国に含む国際出願は国際出願日にされた特許出願とみなされるから、日本の出願Aを基礎とする出願Bの優先権の主張は、日本法の下では41条1項の国内優先権の主張として扱われ、42条1項により先の出願Aは出願の日から経済産業省令で定める期間を経過した時に取り下げたものとみなされる。184条の15第1項は、国際特許出願については41条1項ただし書及び4項並びに42条2項を適用しないと定めるが、先の出願の取下げ擬制を定める42条1項は外していない。国内移行まで日本での手続が動かない事情を踏まえて一部の規定だけを外したのであり、先の出願を消して後の出願に一本化する仕組みは変わらない。枝では出願Aの日から11月後の国際出願であるから1年以内の要件も満たし、出願Aは取り下げたものとみなされる。

国際特許出願については、第四十一条第一項ただし書及び第四項並びに第四十二条第二項の規定は、適用しない。
正しい。8条(2)(b)は、先の出願がされた締約国の指定を含めることができ、指定国の国内出願等に基づく優先権の主張の当該指定国における条件及び効果はその国内法令によると定める。
8条(1)は、国際出願はパリ条約の締約国において又は締約国についてされた先の出願に基づく優先権を主張する申立てを伴うことができると定め、同(2)(a)はその主張の条件及び効果を原則としてパリ条約4条によるものとする。同(2)(b)は、いずれかの締約国において又は締約国についてされた先の出願に基づく優先権の主張を伴う国際出願にはその締約国の指定を含めることができるとし、国際出願が指定国における国内出願に基づく優先権の主張を伴う場合又は一の国のみの指定を含む国際出願に基づく優先権の主張を伴う場合には、当該指定国における優先権の主張の条件及び効果は当該指定国の国内法令によると定める。パリ条約4条は他の同盟国での後の出願を対象とするので、同じ国での先の出願に基づく自国内の優先権は条約の優先権の外にあり、その国の国内優先の制度に委ねる必要があるからである。枝は8条(2)(b)の文言どおりである。

いずれかの締約国において又はいずれかの締約国についてされた先の出願に基づく優先権の主張を伴う国際出願には、当該締約国の指定を含めることができる。国際出願が、いずれかの指定国において若しくはいずれかの指定国についてされた国内出願に基づく優先権の主張を伴う場合又は一の国のみの指定を含む国際出願に基づく優先権の主張を伴う場合には、当該指定国における優先権の主張の条件及び効果は、当該指定国の国内法令の定めるところによる。
1締約国の居住者及び国民は、国際出願をすることができる。
2総会は、この条約の締約国ではないが工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国であるいずれかの国の居住者及び国民に国際出願をすることを認めることを決定することができる。
3住所及び国籍の概念並びに二人以上の出願人がある場合又は出願人がすべての指定国について同一でない場合におけるこれらの概念の適用については、規則に定める。
正しい。9条(1)は、締約国の居住者及び国民は国際出願をすることができると定めており、居住者であればパリ条約の締約国の国民であることは要件ではない。
9条(1)は、締約国の居住者及び国民は国際出願をすることができると定める。国際出願をする資格は、特許協力条約の締約国との居住又は国籍のつながりだけで決まり、居住と国籍のどちらか一方があれば足りる。締約国の居住者であれば、その者の国籍国がパリ条約の締約国であるかどうかは問われない。パリ条約の締約国の国民が出てくるのは9条(2)であり、総会は、特許協力条約の締約国ではないがパリ条約の締約国である国の居住者及び国民に国際出願をすることを認めることを決定することができる。これは資格を広げる方向の定めであって、締約国の居住者にパリ条約の国民であることを求めるものではない。なお、居住及び国籍の概念は規則18に定められ、締約国に現実かつ真正の工業上又は商業上の営業所を有することはその国の居住とみなされる(規則18.1(b)(i))。枝は9条(1)のとおりである。

(1)締約国の居住者及び国民は、国際出願をすることができる。(2)総会は、この条約の締約国ではないが工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国であるいずれかの国の居住者及び国民に国際出願をすることを認めることを決定することができる。
正しい。9条(2)は、総会が、この条約の締約国ではないがパリ条約の締約国であるいずれかの国の居住者及び国民に国際出願をすることを認めることを決定することができると定める。
9条(1)は、締約国の居住者及び国民は国際出願をすることができると定め、同条(2)は、総会は、この条約の締約国ではないが工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国であるいずれかの国の居住者及び国民に国際出願をすることを認めることを決定することができると定める。国際出願の資格は条約の締約国との結び付きで決まるのが原則であるが、特許協力条約はパリ条約19条の特別の取極として設けられ、締約国はパリ条約の締約国に限られる(62条(1))という関係にあるため、まだこの条約に加入していないパリ条約の締約国の居住者及び国民にも、同盟の総会の決定によって国際出願の道を開けるようにしたものである。枝は9条(2)の文言どおりであり正しい。資格があるのは締約国の居住者又は国民であり、パリ条約の同盟国の国民であることだけでは足りない点と、総会の決定でこれを広げられる点を分けて読む。

総会は、この条約の締約国ではないが工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国であるいずれかの国の居住者及び国民に国際出願をすることを認めることを決定することができる。
国際出願は、所定の受理官庁にするものとし、受理官庁は、この条約及び規則の定めるところにより、国際出願を点検し及び処理する。
誤り。違うのは「国際出願は、所定の指定官庁にするものとし、指定官庁は」の部分である。10条は、国際出願は所定の受理官庁にするものとし、受理官庁が条約及び規則の定めるところにより国際出願を点検し及び処理すると定める。
10条は、国際出願は所定の受理官庁にするものとし、受理官庁は、この条約及び規則の定めるところにより、国際出願を点検し及び処理すると定める。受理官庁は出願人の居住国又は国籍国の国内官庁か国際事務局であり(規則19.1)、国際出願日の認定(11条)、欠陥の補充の求め(14条)、記録原本の国際事務局への送付(12条)といった国際段階の入口の手続を担う。これに対し指定官庁は、願書の提出によって指定された締約国の国内官庁であり(2条(xiii))、優先日から30箇月を経過する時までに写しと翻訳文の提出と国内手数料の支払があってから国内段階の処理・審査を行う官庁である(22条・23条)。同じ日本国特許庁でも、日本人が国際出願をするときは受理官庁として、日本を指定国として国内移行するときは指定官庁として、別の資格で手続をする。枝は国際出願の提出先と点検・処理の主体を指定官庁としている点が違う。

国際出願は、所定の受理官庁にするものとし、受理官庁は、この条約及び規則の定めるところにより、国際出願を点検し及び処理する。
| 受理官庁 | 指定官庁 | |
|---|---|---|
| 役割 | 国際出願を受け付け、点検し及び処理する(10条) | 国際出願について国内段階の処理・審査をする(22条・23条) |
| どこか | 出願人の居住国又は国籍国の国内官庁、又は国際事務局(規則19.1) | 願書の提出で指定された締約国の国内官庁(2条(xiii)・規則4.9) |
| 主な手続 | 国際出願日の認定(11条)、欠陥の補充の求め(14条)、記録原本・調査用写しの送付(12条) | 写し・翻訳文・国内手数料の受領(22条)、補充の機会の付与(26条)、補正の機会の付与(28条) |
1受理官庁は、次の要件が受理の時に満たされていることを確認することを条件として、国際出願の受理の日を国際出願日として認める。 (i) 出願人が、当該受理官庁に国際出願をする資格を住所又は国籍上の理由により明らかに欠いている者でないこと。 (ii) 国際出願が所定の言語で作成されていること。 (iii) 国際出願に少なくとも次のものが含まれていること。 (a) 国際出願をする意思の表示 (b) 少なくとも一の締約国の指定 (c) 出願人の氏名又は名称の所定の表示 (d) 明細書であると外見上認められる部分 (e) 請求の範囲であると外見上認められる部分
2(a) 受理官庁は、国際出願が(1)に掲げる要件を受理の時に満たしていないと認める場合には、規則の定めるところにより、出願人に対し必要な補充をすることを求める。 (b) 受理官庁は、出願人が規則の定めるところにより(a)の求めに応ずる場合には、当該補充の受理の日を国際出願日として認める。
3第六十四条(4)の規定に従うことを条件として、(1)(i)から(iii)までに掲げる要件を満たし、かつ、国際出願日の認められる国際出願は、国際出願日から各指定国における正規の国内出願の効果を有するものとし、国際出願日は、各指定国における実際の出願日とみなす。
4(1)(i)から(iii)までに掲げる要件を満たす国際出願は、工業所有権の保護に関するパリ条約にいう正規の国内出願とする。
誤り。違うのは「国際出願日として認めることはない」の部分である。発明の名称は11条(1)の国際出願日の要件に含まれず、その欠落は14条(1)の補充の対象にすぎない。
PCT11条(1)は、受理官庁が受理の日を国際出願日として認めるための要件として、出願人が住所又は国籍上の理由により明らかに資格を欠く者でないこと、所定の言語で作成されていること、そして国際出願をする意思の表示、少なくとも一の締約国の指定、出願人の氏名又は名称の所定の表示、明細書であると外見上認められる部分、請求の範囲であると外見上認められる部分が含まれていることを挙げる。発明の名称はこの中にない。国際出願日は各指定国における実際の出願日とみなされる(11条(3))ので、認定の要件は出願の骨格に当たる最小限に絞られている。発明の名称の記載がないことは14条(1)(a)(iii)の欠陥として受理官庁が点検し、所定の期間内に補充を求め、補充がなければ取り下げられたものとみなす扱いになる。国際出願日はいったん認めたうえで補充を促す仕組みであり、「認めることはない」とする枝は11条と14条の役割を取り違えている。

受理官庁は、次の要件が受理の時に満たされていることを確認することを条件として、国際出願の受理の日を国際出願日として認める。(ⅰ)出願人が、当該受理官庁に国際出願をする資格を住所又は国籍上の理由により明らかに欠いている者でないこと。(ⅱ)国際出願が所定の言語で作成されていること。(ⅲ)国際出願に少なくとも次のものが含まれていること。(a)国際出願をする意思の表示(b)少なくとも一の締約国の指定(c)出願人の氏名又は名称の所定の表示(d)明細書であると外見上認められる部分(e)請求の範囲であると外見上認められる部分
| 欠けているもの | 扱い |
|---|---|
| 意思の表示・締約国の指定・出願人の氏名・明細書と認められる部分・請求の範囲と認められる部分 | 11条(1)の要件。欠けると国際出願日は認められず、補充の受理の日が国際出願日になる(11条(2)) |
| 署名・出願人の所定の記載・発明の名称・要約・様式上の要件 | 14条(1)の欠陥。国際出願日は認めたうえで補充を求め、補充がなければ取り下げられたものとみなす |
1規則の定めるところにより、国際出願の一通(「受理官庁用写し」)は受理官庁が保持し、一通(「記録原本」)は国際事務局に送付され、他の一通(「調査用写し」)は第十六条に規定する管轄国際調査機関に送付される。
2記録原本は、国際出願の正本とする。
3国際事務局が所定の期間内に記録原本を受理しなかつた場合には、国際出願は、取り下げられたものとみなす。
正しい。12条(3)は、国際事務局が所定の期間内に記録原本を受理しなかった場合には、国際出願は取り下げられたものとみなすと定める。
12条(1)は、国際出願の一通(受理官庁用写し)は受理官庁が保持し、一通(記録原本)は国際事務局に送付され、他の一通(調査用写し)は管轄国際調査機関に送付されると定め、同(2)は、記録原本を国際出願の正本とする。国際出願は受理官庁に提出されるが、国際公開や指定官庁への送達など国際段階の手続の中心は国際事務局が担うので、国際事務局の手元にある記録原本が正本とされる。そのため同(3)は、国際事務局が所定の期間内に記録原本を受理しなかった場合には、国際出願は取り下げられたものとみなすと定め、正本の無い国際出願が国際段階に残らないようにしている。この期間は、規則22.3により、規則22.1(c)又は(g)に従って国際事務局が出願人に通知した日から3月とされ、出願人にはその間に記録原本を届けさせる余地が残る。枝は12条(3)の文言どおりである。

国際事務局が所定の期間内に記録原本を受理しなかつた場合には、国際出願は、取り下げられたものとみなす。
1指定官庁は、第二十条の送達に先立つて国際出願の写しを送付することを国際事務局に要請することができるものとし、国際事務局は、優先日から一年を経過した後できる限り速やかにその写しをその指定官庁に送付する。
2(a) 出願人は、国際出願の写しをいつでも指定官庁に送付することができる。 (b) 出願人は、国際出願の写しを指定官庁に送付することをいつでも国際事務局に要請することができるものとし、国際事務局は、できる限り速やかにその写しをその指定官庁に送付する。 (c) いずれの国内官庁も、(b)の写しの受領を希望しない旨を国際事務局に通告することができる。この場合には、(b)の規定は、その国内官庁については、適用しない。
誤り。違うのは「指定官庁への国際出願に係る文書の送達をも含めて国際出願が知得されるようにしてはならない」の部分である。30条(1)(b)は、管轄国際調査機関への送付、13条の送付及び20条の送達については(a)の秘密保持を適用しないと定める。
30条(1)(a)は、国際事務局及び国際調査機関は、国際出願の国際公開が行われる前に、いかなる者又は当局に対しても国際出願が知得されるようにしてはならず、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合に限って例外とすると定める。しかし同(b)は、(a)の規定は管轄国際調査機関への送付、13条の送付及び20条の送達については適用しないと定める。調査用写しを国際調査機関へ送る送付、指定官庁の請求による13条の写しの送付、国際調査報告とともに各指定官庁へ送る20条の送達は、いずれも条約が定める国際出願の処理そのものであり、これを秘密保持の対象にすれば国際段階の手続が動かないからである。そのかわり、写しや送達を受けた国内官庁の側が、国際公開の日などの最も早い日前に第三者に知得されるようにしてはならない(30条(2)(a))。枝はこれらの送付・送達も含めて禁止とする点で30条(1)(b)とずれる。

(a)(b)の規定が適用される場合を除くほか、国際事務局及び国際調査機関は、国際出願の国際公開が行われる前に、いかなる者又は当局に対しても国際出願が知得されるようにしてはならない。ただし、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合は、この限りでない。(b)(a)の規定は、管轄国際調査機関への送付、第十三条の送付及び第二十条の送達については、適用しない。
誤り。違うのは「出願人に対し、優先日から1年を経過した後できる限り速やかにその写しをその指定官庁に送付するよう要求しなければならない」の部分である。13条(1)で指定官庁が写しの送付を要請する相手は国際事務局であり、出願人は13条(2)(a)で写しをいつでも送付することができるにとどまる。
13条(1)は、指定官庁は20条の送達に先立って国際出願の写しを送付することを国際事務局に要請することができるものとし、国際事務局は優先日から1年を経過した後できる限り速やかにその写しをその指定官庁に送付すると定める。同条(2)(a)は出願人が国際出願の写しをいつでも指定官庁に送付することができるとし、(b)は出願人が国際事務局に送付を要請できるとする。国際出願の写しは原則として国際公開の後に20条で国際事務局から各指定官庁に送達されるが、指定官庁が早く内容を知りたい場合の道として、国際事務局への要請を認めたものである。送付の時期が優先日から1年を経過した後とされるのは、それまでは出願人が優先権を主張して指定国を選び直す期間であり、内容を各国に広めるのを避けるためである。要請の相手は国際事務局であり、指定官庁が出願人に送付を要求しなければならないとの定めはなく、出願人の送付は任意の権限にとどまる。

指定官庁は、第二十条の送達に先立つて国際出願の写しを送付することを国際事務局に要請することができるものとし、国際事務局は、優先日から一年を経過した後できる限り速やかにその写しをその指定官庁に送付する。
誤り。違うのは「所定の期間内に限り、国際出願の写しを指定官庁に送付することができる」の部分である。13条(2)(a)により、出願人は国際出願の写しをいつでも指定官庁に送付することができ、期間の限定はない。
13条は、20条の送達に先立って指定官庁が国際出願の写しを入手する途を定める。同(1)は、指定官庁が写しの送付を国際事務局に要請でき、国際事務局は優先日から1年を経過した後できる限り速やかに送付すると定め、同(2)(a)は、出願人は国際出願の写しをいつでも指定官庁に送付することができると定め、同(b)は、出願人が国際事務局に送付を要請することもいつでもできると定める。国際出願の内容を早く指定官庁に知らせることは出願人の利益になり、指定官庁の側も仮保護などのために早期の入手を望み得るので、出願人が自ら写しを届ける行為に期間の制限を設ける理由はない。期間の縛りがあるのは国際事務局の側で、指定官庁からの要請に応じて送付できるのが優先日から1年を経過した後と定められているにすぎない。枝は出願人による送付を所定の期間内に限るとする点で同(2)(a)の「いつでも」と食い違う。

出願人は、国際出願の写しをいつでも指定官庁に送付することができる。
1(a) 受理官庁は、国際出願に次のいずれかの欠陥が含まれていないかどうかを点検する。 (i) 規則の定めるところによる署名がないこと。 (ii) 出願人に関する所定の記載がないこと。 (iii) 発明の名称の記載がないこと。 (iv) 要約が含まれていないこと。 (v) 所定の様式上の要件が規則に定める程度にまで満たされていないこと。 (b) 受理官庁は、(a)のいずれかの欠陥を発見した場合には、出願人に対し所定の期間内に国際出願の補充をすることを求める。補充をしなかつた場合には、その国際出願は、取り下げられたものとみなし、受理官庁は、その旨を宣言する。
2国際出願が実際にはその国際出願に含まれていない図面に言及している場合には、受理官庁は、出願人にその旨を通知するものとし、出願人は、所定の期間内にその図面を提出することができる。出願人が所定の期間内にその図面を提出した場合には、受理官庁がその図面を受理した日を国際出願日とする。その他の場合には、その図面への言及は、ないものとみなす。
3(a) 第三条(4)(iv)にいう所定の手数料が所定の期間内に又はいずれの指定国についても第四条(2)にいう所定の手数料が所定の期間内に支払われていないと受理官庁が認めた場合には、国際出願は、取り下げられたものとみなし、受理官庁は、その旨を宣言する。 (b) 第四条(2)にいう所定の手数料が所定の期間内に一又は二以上の指定国について支払われているがすべての指定国については支払われていないと受理官庁が認めた場合には、その手数料が所定の期間内に支払われていない指定国の指定は、取り下げられたものとみなし、受理官庁は、その旨を宣言する。
4受理官庁が、国際出願日を認めた後所定の期間内に、当該国際出願が第十一条(1)(i)から(iii)までに掲げるいずれかの要件をその国際出願日において満たしていなかつたと認定した場合には、当該国際出願は、取り下げられたものとみなし、受理官庁は、その旨を宣言する。
誤り。違うのは「その図面への言及がないものとなるように補正することを命ずる旨を通知するものとする」の部分である。14条(2)では、出願人が所定の期間内に図面を提出しない場合、その図面への言及はないものとみなされる。
14条(2)は、国際出願が実際にはその国際出願に含まれていない図面に言及している場合には、受理官庁は出願人にその旨を通知するものとし、出願人は所定の期間内にその図面を提出することができると定める。期間内に提出された場合には受理官庁がその図面を受理した日が国際出願日となり、その他の場合にはその図面への言及はないものとみなす。欠けている図面を後から足せば出願の内容が増えるので出願日を提出の日まで繰り下げ、足さなければ言及だけを無かったことにして当初の国際出願日を守るという仕組みであり、出願人にどちらを取るかの選択を残しているのである。条約が定める受理官庁の役割は、その旨を通知することと、提出があれば出願日を認定し直すことまでであって、言及を削る補正を命ずる通知をする旨の定めはない。枝は14条(1)(b)の欠陥に対する補充の求めのような手続を図面の言及に持ち込んでいる点がずれている。

国際出願が実際にはその国際出願に含まれていない図面に言及している場合には、受理官庁は、出願人にその旨を通知するものとし、出願人は、所定の期間内にその図面を提出することができる。出願人が所定の期間内にその図面を提出した場合には、受理官庁がその図面を受理した日を国際出願日とする。その他の場合には、その図面への言及は、ないものとみなす。
正しい。規則26.5ただし書は、規則11の様式上の要件が国際公開が適度に均一なものであるために必要な程度にまで満たされていれば、その要件を満たさないことを理由に取り下げられたものとみなさないと定める。
14条(1)(a)は受理官庁が点検する欠陥の一つとして所定の様式上の要件が規則に定める程度にまで満たされていないこと((v))を挙げ、同(b)は欠陥を発見したときは所定の期間内に補充を求め、補充をしなかった場合には国際出願は取り下げられたものとみなすと定める。規則26.5は、受理官庁は補充が規則26.2の期間内に提出されたかどうかを決定し、提出された場合には補充された国際出願を取り下げられたものとみなすべきかどうかを決定するとした上で、ただし書で、規則11の様式上の要件が国際公開が適度に均一なものであるために必要な程度にまで満たされている場合には、当該様式上の要件を満たさないことを理由として取り下げられたものとみなさないと定める。様式の要件は国際公開を均一な体裁で行うための技術的な要件であるから、その目的を達する程度に整っていれば出願を失わせるまでの制裁を課さないという理屈である。枝は規則26.5ただし書の文言どおりである。

受理官庁は、出願人が補充を26.2の期間内に提出したかどうかを決定する。補充が当該期間内に提出された場合には、受理官庁は、そのように補充された国際出願は取り下げられたものとみなすべきであるかどうかを決定する。ただし、国際出願は、第十一規則に定める様式上の要件が国際公開が適度に均一なものであるために必要な程度にまで満たされている場合には、当該様式上の要件を満たさないことを理由として取り下げられたものとみなさない。
正しい。14条(1)(a)(iii)・(b)により、発明の名称の記載がないことは受理官庁が点検する欠陥であり、補充の求めに応じなければ国際出願は取り下げられたものとみなされ、受理官庁がその旨を宣言する。
14条(1)(a)は、受理官庁が点検する国際出願の欠陥として、(i)規則の定めるところによる署名がないこと、(ii)出願人に関する所定の記載がないこと、(iii)発明の名称の記載がないこと、(iv)要約が含まれていないこと、(v)所定の様式上の要件が規則に定める程度にまで満たされていないこと、を列挙する。同(b)は、受理官庁がこれらのいずれかの欠陥を発見した場合には出願人に所定の期間内に国際出願の補充を求め、補充をしなかった場合にはその国際出願を取り下げられたものとみなし、受理官庁がその旨を宣言すると定める。発明の名称は11条(1)の国際出願日の要件ではないので、記載が無くても国際出願日は認められるが、国際公開や国際調査に必要な記載であるから、補充が無ければ国際出願を手続に残さないという構造である。補充の期間は規則26.2が求めの日から2月とし、決定の前であればいつでも延長できる。枝は14条(1)(a)(iii)・(b)の文言どおりである。

受理官庁は、(a)のいずれかの欠陥を発見した場合には、出願人に対し所定の期間内に国際出願の補充をすることを求める。補充をしなかつた場合には、その国際出願は、取り下げられたものとみなし、受理官庁は、その旨を宣言する。
1各国際出願は、国際調査の対象とする。
2国際調査は、関連のある先行技術を発見することを目的とする。
3国際調査は、明細書及び図面に妥当な考慮を払つた上で、請求の範囲に基づいて行う。
4次条に規定する国際調査機関は、可能な限り多くの関連のある先行技術を発見するよう努めるものとし、いかなる場合にも、規則に定める資料を調査する。
5(a) 締約国の国内法令が認める場合には、当該締約国の国内官庁又は当該締約国のために行動する国内官庁に国内出願をした出願人は、国内法令に定める条件に従い、国際調査に類する調査(「国際型調査」)がその国内出願について行われることを請求することができる。 (b) 締約国の国内法令が認める場合には、当該締約国の国内官庁又は当該締約国のために行動する国内官庁は、当該国内官庁にされた国内出願を国際型調査に付することができる。 (c) 国際型調査は、次条に規定する国際調査機関であつて国内出願が国際出願として(a)及び(b)に規定する国内官庁にされたとしたならば国際調査を管轄したであろうとされるものが行う。国際調査機関が処理することができないと認める言語で国内出願がされている場合には、国際型調査は、国際出願のための所定の言語であつて当該国際調査機関が国際出願の言語として認めることを約束しているもので出願人が作成した翻訳文に基づいて行う。国内出願及び必要な翻訳文は、国際出願のための所定の形式で提出する。
誤り。出題当時の規則33.1(a)は、関連のある先行技術を書面による開示によって公衆が利用できるようにされたものに限っていた。違うのは「口頭により開示されているものを含む」の部分である。なお令和8年1月1日発効の改正で同規則は手段のいかんを問わないものに改められ、現行では口頭による開示も含まれ得る。
15条(2)は国際調査の目的を関連のある先行技術の発見と定め、その範囲は規則33.1に委ねられている。出題当時の規則33.1(a)は、世界のいずれかの場所において書面による開示(図面その他の図解を含む。)によって公衆が利用することができるようにされ、かつ新規性・進歩性の判断に役立ち得るすべてのものを関連のある先行技術とし、国際出願日前に利用可能になっていることを条件としていた。国際調査は各国の審査に先立って機関が文献資料を網羅的に調べる手続であるから、調査できる書面による開示に対象を限り、口頭による開示や使用は、書面による開示がそれに言及している場合に調査報告で指摘するにとどめていた(同(b))。枝は新規性・進歩性の判断に役立ち得るものという部分までは当時の文言どおりであるが、口頭による開示そのものを含むとする点が当時の規則と食い違う。令和8年1月1日発効の改正で同(a)は手段のいかんを問わないものと改められ、現行規則では口頭による開示も含まれ得る。

第十五条(2)の規定の適用上、関連のある先行技術とは、世界のいずれかの場所において書面による開示(図面その他の図解を含む。)によつて公衆が利用することができるようにされており、かつ、請求の範囲に記載されている発明が新規性を有するもの及び進歩性を有するもの(自明のものではないもの)と認められるかどうかを決定するに当たつて役立ち得るすべてのものをいう。ただし、公衆が利用することができるようにされたことが当該国際出願日前に生じていることを条件とする。
誤り。違うのは「非特許文献は含まれない」の部分である。規則34.1(b)は、15条(4)の最小限資料を、所定の特許文献と、国際調査機関が合意し国際事務局が一覧表において公表する公表された非特許文献とから成ると定める。
15条(4)は、国際調査機関は可能な限り多くの関連のある先行技術を発見するよう努めるものとし、いかなる場合にも規則に定める資料を調査すると定める。この資料が規則34.1(b)の最小限資料であり、同(b)は、(i)として公表された国際出願、広域特許、1920年以後の国内特許などの特許文献であって実施細則の技術的要件と利用可能性要件に従って利用できるようにされたものを、(ii)として公表された非特許文献のうち国際調査機関が合意するものであって国際事務局が一覧表において公表するものを挙げる。国際調査の結果は各指定国の審査の基礎になるため、どの機関が調査しても一定の範囲は必ず調べられているという保証が要り、特許文献だけでなく学術雑誌などの非特許文献も、機関が合意して一覧表に載せたものは必ず調査の対象にしたものである。したがって非特許文献も最小限資料に含まれ、枝はこれを除いている点が違う。

(c)の規定にかかわらず、第十五条(4)に規定する資料(「最小限資料」)は、次のものから成る。(ⅰ)(a)に掲げる「特許文献」であつて、実施細則に定める技術的要件及び利用可能性要件並びに該当する場合には36.1(ⅱ)の規定に従つて、該当する国内官庁若しくはその法的な承継官庁により若しくはその官庁に代わつて、又は国際事務局により、利用することができるようにされたもの(ⅱ)公表された非特許文献のうち国際調査機関が合意するものであつて最初の合意の際に及び変更の都度国際事務局によつて一覧表において公表されるもの
1国際調査は、国際調査機関が行うものとし、国内官庁又は出願の対象である発明に関する先行技術についての資料調査報告を作成する任務を有する政府間機関(例えば、国際特許協会)を国際調査機関とすることができる。
2単一の国際調査機関が設立されるまでの間に二以上の国際調査機関が存在する場合には、各受理官庁は、(3)(b)に規定する関係取決めに従い、国際出願についての国際調査を管轄することとなる一又は二以上の国際調査機関を特定する。
3(a) 国際調査機関は、総会が選定する。国内官庁及び政府間機関は、(c)に規定する要件を満たしている場合には、国際調査機関として選定されることができる。 (b) 選定は、選定される国内官庁又は政府間機関の同意を得ること及び総会の承認を得て当該国内官庁又は当該政府間機関と国際事務局との間に取決めが締結されることを条件とする。この取決めには、当事者の権利及び義務、特に、国際調査のすべての共通の準則を適用しかつ遵守する旨の当該国内官庁又は当該政府間機関の公式の約束を明記する。 (c) 国内官庁又は政府間機関が選定される前に及び選定されている間満たしていなければならない最小限の要件、特に人員及び資料に関する要件は、規則に定める。 (d) 選定は、一定の期間を付して行うものとし、選定期間は、更新することができる。 (e) 総会は、国内官庁若しくは政府間機関の選定若しくは選定期間の更新について決定する前又は選定期間の満了前に、当該国内官庁又は当該政府間機関の意見を聴取し及び、第五十六条に規定する技術協力委員会が設置されている場合には、同委員会の助言を求める。
正しい。16条(1)は、国際調査は国際調査機関が行い、国内官庁又は先行技術についての資料調査報告を作成する任務を有する政府間機関を国際調査機関とすることができると定め、16条(3)(a)は国際調査機関を総会が選定すると定める。
16条(1)は、国際調査は国際調査機関が行うものとし、国内官庁又は出願の対象である発明に関する先行技術についての資料調査報告を作成する任務を有する政府間機関を国際調査機関とすることができると定め、16条(3)(a)は、国際調査機関は総会が選定し、国内官庁及び政府間機関は(c)に規定する人員及び資料に関する最小限の要件を満たしている場合に国際調査機関として選定されることができると定める。国際調査報告は各指定国の審査に使われるから、調査の質を一定に保つ必要があり、そのために総会が最小限の要件を満たす機関だけを選定し、国際事務局との取決めで国際調査の共通の準則を遵守する約束をさせる仕組みになっている(16条(3)(b))。日本国特許庁も国際調査機関として選定されている国内官庁の一つである。枝は、総会による選定と、国内官庁又は政府間機関という機関の種類の両方を正しく述べている。

(1)国際調査は、国際調査機関が行うものとし、国内官庁又は出願の対象である発明に関する先行技術についての資料調査報告を作成する任務を有する政府間機関(例えば、国際特許協会)を国際調査機関とすることができる。(3)(a)国際調査機関は、総会が選定する。国内官庁及び政府間機関は、(c)に規定する要件を満たしている場合には、国際調査機関として選定されることができる。
1国際調査機関における手続は、この条約、規則並びに国際事務局がこの条約及び規則に従つて当該国際調査機関と締結する取決めの定めるところによる。
2(a) 国際調査機関は、国際出願について次のいずれかの事由がある場合には、その旨を宣言するものとし、出願人及び国際事務局に対し国際調査報告を作成しない旨を通知する。 (i) 当該国際調査機関が、当該国際出願の対象が規則により国際調査機関による調査を要しないとされているものであると認め、かつ、当該国際出願について調査を行わないことを決定したこと。 (ii) 当該国際調査機関が、明細書、請求の範囲又は図面が有意義な調査を行うことができる程度にまで所定の要件を満たしていないと認めたこと。 (b) (a)に規定するいずれかの事由が一部の請求の範囲のみとの関連においてある場合には、国際調査報告は、当該請求の範囲についてはその旨を表示するものとし、他の請求の範囲については次条の規定に従つて作成される。
3(a) 国際調査機関は、国際出願が規則に定める発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合には、出願人に対し追加手数料の支払を求める。国際調査機関は、国際出願のうち、請求の範囲に最初に記載されている発明(「主発明」)に係る部分及び、必要な追加手数料が所定の期間内に支払われた場合には、追加手数料が支払われた発明に係る部分について、国際調査報告を作成する。 (b) 指定国の国内法令は、当該指定国の国内官庁が国際調査機関による(a)の求めを正当であると認める場合に、出願人が追加手数料を支払わなかつたために調査が行われなかつた国際出願の部分は、当該指定国における効果に関する限り、出願人が当該指定国の国内官庁に特別手数料を支払つた場合を除くほか、取り下げられたものとみなすことを定めることができる。
正しい。17条(2)(a)(ii)が、明細書、請求の範囲又は図面が有意義な調査を行うことができる程度にまで所定の要件を満たしていないと認めた場合には、その旨を宣言し、出願人及び国際事務局に国際調査報告を作成しない旨を通知すると定めている。
17条(2)(a)は、国際調査機関は国際出願について次のいずれかの事由がある場合にはその旨を宣言し、出願人及び国際事務局に対し国際調査報告を作成しない旨を通知すると定め、その事由として、(i)対象が規則により調査を要しないとされているものであると認めて調査を行わないことを決定したこと、(ii)明細書、請求の範囲又は図面が有意義な調査を行うことができる程度にまで所定の要件を満たしていないと認めたことを挙げる。国際調査は請求の範囲に基づいて関連のある先行技術を発見する手続であるから(15条(3))、記載が不明確で何を調べればよいか定まらない出願に報告を作っても意味がなく、代わりに宣言をして国際公開に載せる(21条(3))仕組みである。事由が一部の請求の範囲だけにあるときは、その請求の範囲についてその旨を表示し、ほかの請求の範囲については報告を作成する(17条(2)(b))。枝は(ii)の事由のとおりであり正しい。

国際調査機関は、国際出願について次のいずれかの事由がある場合には、その旨を宣言するものとし、出願人及び国際事務局に対し国際調査報告を作成しない旨を通知する。
誤り。違うのは「全ての請求項について国際調査報告を作成しない」の部分である。17条(3)(a)により、追加手数料が支払われなくても、請求の範囲に最初に記載されている発明(主発明)に係る部分については国際調査報告を作成する。
17条(3)(a)は、国際調査機関は国際出願が規則に定める発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合には出願人に対し追加手数料の支払を求め、国際出願のうち請求の範囲に最初に記載されている発明(主発明)に係る部分及び、必要な追加手数料が所定の期間内に支払われた場合には追加手数料が支払われた発明に係る部分について国際調査報告を作成すると定める。調査手数料は一の発明を調査する対価として既に納められているから、単一性を欠く出願でも最初の発明の調査はその範囲に入っており、追加手数料は二つ目以降の発明の調査の対価として求められる。したがって追加手数料が支払われなくても主発明の調査報告は作成され、全ての請求項について作成しないという扱いにはならない。調査されなかった部分は、指定国の国内法令が特別手数料の支払を条件に取り下げられたものとみなすと定めることができるにとどまる(同(b))。枝は追加手数料を求める部分までは条文どおりであるが、不払の効果が条文と食い違う。

国際調査機関は、国際出願が規則に定める発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合には、出願人に対し追加手数料の支払を求める。国際調査機関は、国際出願のうち、請求の範囲に最初に記載されている発明(「主発明」)に係る部分及び、必要な追加手数料が所定の期間内に支払われた場合には、追加手数料が支払われた発明に係る部分について、国際調査報告を作成する。
| 国際調査機関(17条(3)・規則40) | 国際予備審査機関(34条(3)・規則68) | |
|---|---|---|
| 求めの内容 | 追加手数料の支払を求める | 請求の範囲の減縮か追加手数料の支払かを出願人の選択で求めることができる |
| 求めない選択 | ない | 求めずに全体を審査し、見解書と報告に理由を記載できる(規則68.1) |
| 期限 | 求めの日から1月(規則40.1) | 求めの日から1月(規則68.2) |
| 応じないとき | 主発明(請求の範囲に最初に記載された発明)と支払われた発明について報告を作成する | 主発明と認められる発明について報告を作成する。最初の発明を主発明とみなすのは疑わしい場合だけである(規則68.5) |
| 異議 | 陳述を添えて異議を申し立てて支払える(規則40.2(c)) | 陳述書を添えて異議を申し立てて支払える(規則68.3(c)) |
| 国内段階の扱い | 指定国の国内法令が取下げ擬制を定めることができる(17条(3)(b)) | 選択国の国内法令が取下げ擬制を定めることができる(34条(3)(b)(c)) |
誤り。違うのは「常にこの部分は取り下げられたものとみなす」の部分である。17条(3)(b)は、指定国の国内法令が、国内官庁が求めを正当と認める場合に、特別手数料の支払があった場合を除いて取り下げられたものとみなすことを定めることができるとするにとどまる。
17条(3)(a)は、国際調査機関は国際出願が発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合には出願人に追加手数料の支払を求め、主発明に係る部分と追加手数料が支払われた発明に係る部分について国際調査報告を作成すると定める。支払われなかった部分の扱いは17条(3)(b)が定め、指定国の国内法令は、当該指定国の国内官庁が国際調査機関の求めを正当であると認める場合に、出願人が追加手数料を支払わなかったために調査が行われなかった国際出願の部分は、その指定国における効果に関する限り、出願人が国内官庁に特別手数料を支払った場合を除くほか、取り下げられたものとみなすことを定めることができるとする。単一性の判断は国によって運用が違うため、条約が一律に取下げの効果を与えるのではなく、各国が国内法令で定めるかどうかを選び、定めるとしても国内官庁が求めを正当と認めることと特別手数料の不払を条件にしたものである。日本はこの定めを置いていない。枝は国内法令の選択に委ねられた効果を「常に」としている点が違う。

指定国の国内法令は、当該指定国の国内官庁が国際調査機関による(a)の求めを正当であると認める場合に、出願人が追加手数料を支払わなかつたために調査が行われなかつた国際出願の部分は、当該指定国における効果に関する限り、出願人が当該指定国の国内官庁に特別手数料を支払つた場合を除くほか、取り下げられたものとみなすことを定めることができる。
誤り。違うのは「受理された全ての国際出願に対して」の部分である。17条(2)(a)により、国際調査機関は、調査を要しない対象や有意義な調査ができない国際出願について国際調査報告を作成しない旨を宣言でき、全ての国際出願に報告が作成されるわけではない。
15条(1)は各国際出願を国際調査の対象とし、国際調査は原則として全ての国際出願について行われる。しかし17条(2)(a)は、国際調査機関が、(i)国際出願の対象が規則により国際調査機関による調査を要しないとされているものであると認め、かつ調査を行わないことを決定したこと、(ii)明細書、請求の範囲又は図面が有意義な調査を行うことができる程度にまで所定の要件を満たしていないと認めたこと、のいずれかの事由がある場合には、その旨を宣言し、出願人及び国際事務局に国際調査報告を作成しない旨を通知すると定める。規則39.1が列挙する科学・数学の理論や事業活動の方法のように各国で特許の対象から外れ得るものや、記載が不十分で先行技術と照合できないものに調査を強いる意味がないからである。同(b)により一部の請求の範囲だけに事由があるときは他の請求の範囲について報告が作成されるが、全体について宣言がされれば報告は作成されない。枝は全ての国際出願に報告が作成されるとする点で17条(2)(a)と食い違う。

国際調査機関は、国際出願について次のいずれかの事由がある場合には、その旨を宣言するものとし、出願人及び国際事務局に対し国際調査報告を作成しない旨を通知する。(ⅰ)当該国際調査機関が、当該国際出願の対象が規則により国際調査機関による調査を要しないとされているものであると認め、かつ、当該国際出願について調査を行わないことを決定したこと。(ⅱ)当該国際調査機関が、明細書、請求の範囲又は図面が有意義な調査を行うことができる程度にまで所定の要件を満たしていないと認めたこと。
正しい。17条(3)(a)により、国際調査機関は追加手数料が支払われなくても、請求の範囲に最初に記載されている発明である主発明に係る部分について国際調査報告を作成する。
17条(3)(a)は、国際調査機関は国際出願が規則に定める発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合には出願人に対し追加手数料の支払を求め、国際出願のうち請求の範囲に最初に記載されている発明である主発明に係る部分及び、必要な追加手数料が所定の期間内に支払われた場合には追加手数料が支払われた発明に係る部分について国際調査報告を作成すると定める。調査手数料は一の発明群を調べる対価であるから、単一性を欠く出願では追加の発明ごとに追加手数料を求めるが、国際調査報告を全く作らないのではなく、既に支払われた調査手数料に見合う主発明の部分については必ず報告を作成する。払われなかった発明の部分は調査されず、指定国は同(b)により取り下げられたものとみなす国内法令を置ける。枝は追加手数料が支払われないときに主発明に係る部分について報告を作成すると述べており、同(a)と一致する。

国際調査機関は、国際出願が規則に定める発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合には、出願人に対し追加手数料の支払を求める。国際調査機関は、国際出願のうち、請求の範囲に最初に記載されている発明(「主発明」)に係る部分及び、必要な追加手数料が所定の期間内に支払われた場合には、追加手数料が支払われた発明に係る部分について、国際調査報告を作成する。
| 部分 | 国際調査報告 |
|---|---|
| 主発明(請求の範囲に最初に記載された発明) | 追加手数料の支払の有無にかかわらず作成する |
| 追加手数料が所定の期間内に支払われた発明 | 作成する |
| 追加手数料が支払われなかった発明 | 作成しない。指定国は国内法令で取り下げられたものとみなすことができる((b)) |
1国際調査報告は、所定の期間内に、所定の形式で作成する。
2国際調査報告は、作成の後速やかに、国際調査機関が出願人及び国際事務局に送付する。
3国際調査報告又は前条(2)(a)の宣言は、規則の定めるところによつて翻訳する。翻訳文は、国際事務局により又はその責任において作成される。
誤り。違うのは「国際調査機関は英語の翻訳文を作成し、国際調査報告とともに」の部分である。18条(3)は、国際調査報告の翻訳文は国際事務局により又はその責任において作成されると定め、国際調査機関が作成して送付するものではない。
18条(2)は、国際調査報告は作成の後速やかに国際調査機関が出願人及び国際事務局に送付すると定め、規則44.1はこれを受けて、国際調査報告又は17条(2)(a)の宣言と見解書を国際事務局及び出願人に各一通同一の日に送付すると定める。一方、18条(3)は、国際調査報告又は17条(2)(a)の宣言は規則の定めるところによって翻訳し、その翻訳文は国際事務局により又はその責任において作成されると定め、規則45.1は英語で作成されていない場合に英語に翻訳するとする。英語の翻訳文は国際公開に調査報告を載せ、各指定官庁に送達するためのものであり、国際公開を行う国際事務局の仕事として整理されている。国際調査機関の役割は原語の報告を作成して送ることまでである。枝は、国際事務局の責任で作る翻訳文を国際調査機関が作成し報告とともに送付するとしている点が違う。同じ分担は国際予備審査報告の翻訳文でも採られている(36条(2)(b))。

(2)国際調査報告は、作成の後速やかに、国際調査機関が出願人及び国際事務局に送付する。(3)国際調査報告又は前条(2)(a)の宣言は、規則の定めるところによつて翻訳する。翻訳文は、国際事務局により又はその責任において作成される。
誤り。違うのは「国際事務局が出願人に送付する」の部分である。18条(2)により、国際調査報告は作成した国際調査機関が出願人及び国際事務局に送付する。
18条(2)は、国際調査報告は作成の後速やかに国際調査機関が出願人及び国際事務局に送付すると定める。国際調査は総会が選定した国際調査機関が請求の範囲に基づいて行い(15条・16条)、その結果を所定の期間内に所定の形式で作成したのが国際調査報告である(18条(1))から、報告を手元に持つ作成者が出願人と国際事務局の双方へ直接送る仕組みになっている。出願人は報告を受け取って19条の請求の範囲の補正や国際予備審査の請求を検討し、国際事務局は受け取った報告を国際公開に載せ、20条により各指定官庁へ送達する。つまり国際事務局は国際調査報告を送付する側ではなく、国際調査機関から送付を受け、それを指定官庁へ送達する側である。枝は出願人への送付の主体を国際事務局としている点で条文と食い違う。国際調査機関から出願人への送付は、規則42.1の期間、すなわち調査用写しの受領から3箇月又は優先日から9箇月のいずれか遅く満了する期間内に報告を作成した上で行われる。

国際調査報告は、作成の後速やかに、国際調査機関が出願人及び国際事務局に送付する。
1出願人は、国際調査報告を受け取つた後、所定の期間内に国際事務局に補正書を提出することにより、国際出願の請求の範囲について一回に限り補正をすることができる。出願人は、同時に、補正並びにその補正が明細書及び図面に与えることのある影響につき、規則の定めるところにより簡単な説明書を提出することができる。
2補正は、出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはならない。
3指定国の国内法令が(2)の開示の範囲を超えてする補正を認めている場合には、(2)の規定に従わないことは、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない。
正しい。規則48.2(f)が、請求の範囲について19条の補正がされた場合には、国際公開には出願時における請求の範囲の全文及び補正後の請求の範囲の全文を含めると定めている。
規則48.2(f)は、請求の範囲について19条の規定に基づく補正がされた場合には、国際出願の国際公開には出願時における請求の範囲の全文及び補正後の請求の範囲の全文を含め、19条(1)の説明書も規則46.4に従っていないと認める場合を除いて含め、補正書の受理の日付を表示すると定める。19条補正は国際調査報告を受け取った後に国際事務局に対して請求の範囲について1回だけする補正であり、国際公開の前にされるから公開に反映できる。それでも出願時の請求の範囲を併せて載せるのは、国際公開が各指定国で国内公開と同一の効果を持ち(29条)、補償金請求権などの範囲や先行技術としての内容を第三者が確かめるには出願時の記載が要るからである。これに対して34条補正は国際予備審査の一件書類として秘密に保たれ、国際公開には載らない。枝は条文のとおりであり正しい。

請求の範囲について第十九条の規定に基づく補正がされた場合には、国際出願の国際公開には、出願時における請求の範囲の全文及び補正後の請求の範囲の全文を含める。
正しい。19条(3)は、指定国の国内法令が出願時における国際出願の開示の範囲を超えてする補正を認めている場合には、19条(2)の規定に従わないことは当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではないと定める。
19条(1)は、出願人が国際調査報告を受け取った後、所定の期間内に国際事務局に補正書を提出して国際出願の請求の範囲を1回に限り補正できると定め、同(2)は、その補正は出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはならないと定める。そのうえで同(3)は、指定国の国内法令が(2)の開示の範囲を超えてする補正を認めている場合には、(2)の規定に従わないことは当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではないと定める。19条補正は国際段階でされるが、補正後の請求の範囲で特許を与えるかどうかは各指定国の国内段階で決まる。新規事項を含む補正の扱いは各国の特許要件の問題であるから、条約は国際段階の統一的な制限として(2)を置きつつ、それより緩い国内法令を持つ指定国にまで(2)違反の効果を押しつけないという理屈である。枝は19条(3)の文言どおりであり正しい。日本語特許出願では、19条補正の補正書の写しを提出すると17条の2第1項の補正がされたものとみなされる(特許法184条の7)。

(2)補正は、出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはならない。(3)指定国の国内法令が(2)の開示の範囲を超えてする補正を認めている場合には、(2)の規定に従わないことは、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない。
誤り。違うのは「国際調査機関に補正書を提出することにより」の部分である。19条(1)と規則46.2により、19条の補正書は直接国際事務局に提出する。
19条(1)は、出願人は国際調査報告を受け取った後、所定の期間内に国際事務局に補正書を提出することにより、国際出願の請求の範囲について1回に限り補正をすることができると定め、規則46.2はその補正書は直接国際事務局に提出すると定める。期間は規則46.1により、国際調査機関による国際事務局及び出願人への国際調査報告の送付の日から2月又は優先日から16月のいずれか遅く満了する期間である。19条の補正は、国際調査報告を見た出願人が国際公開の前に請求の範囲を整える機会であり、補正後の請求の範囲は国際公開に含まれ、指定官庁での国内段階の基礎にもなるので、国際公開を行う国際事務局に直接提出させている。国際調査機関は調査報告を作成した後の補正を扱わず、補正に対して審査をするのは国際予備審査機関である(34条)。枝は期間と回数については条文どおりであるが、提出先が条文と食い違う。

第十九条の規定に基づく補正書は、直接国際事務局に提出する。
| 19条補正 | 34条補正 | |
|---|---|---|
| 時期 | 国際調査報告の受領後、送付の日から2月か優先日から16月の遅い方まで(規則46.1) | 国際予備審査報告が作成されるまで(34条(2)(b)) |
| 対象 | 請求の範囲のみ | 明細書、請求の範囲及び図面 |
| 回数 | 1回に限る | 制限はない |
| 提出先 | 直接国際事務局(規則46.2) | 国際予備審査機関 |
| 範囲 | 出願時の国際出願の開示の範囲を超えてはならない(19条(2)) | 出願時の国際出願の開示の範囲を超えてはならない(34条(2)(b)) |
正しい。184条の7第1項は、日本語特許出願の出願人が条約19条(1)の補正をしたときは、国内処理基準時の属する日までに補正書の写しを特許庁長官に提出しなければならないと定める。
184条の7第1項は、日本語特許出願の出願人は、条約19条(1)の規定に基づく補正をしたときは、国内処理基準時の属する日までに、同条(1)の規定に基づき提出された補正書の写しを特許庁長官に提出しなければならないと定める。19条の補正は国際事務局に対してされるので、日本の特許庁はそのままでは補正の内容を知ることができず、国内段階の審査の基礎を確定するために出願人に写しを出させる仕組みである。写しが提出されると、願書に添付した特許請求の範囲について17条の2第1項の補正がされたものとみなされ(同条2項)、条約20条の送達により期間内に補正書が特許庁に届いたときも同様に補正とみなされる(同項ただし書)。期間内に写しの提出がなく送達もないときは、19条の補正はされなかったものとみなされる(同条3項)。国内処理基準時は国内書面提出期間が満了する時であり、期間内に出願審査の請求をするときはその請求の時である(184条の4第6項)。枝は1項の文言どおりである。

日本語特許出願の出願人は、条約第十九条(1)の規定に基づく補正をしたときは、国内処理基準時の属する日までに、同条(1)の規定に基づき提出された補正書の写しを特許庁長官に提出しなければならない。
| 日本語特許出願 | 外国語特許出願 | |
|---|---|---|
| 19条補正 | 国内処理基準時の属する日までに補正書の写しを提出する(184条の7第1項)。20条の送達でも足りる | 国内書面提出期間内に、出願時の請求の範囲の翻訳文に代えて補正後の請求の範囲の翻訳文を提出できる(184条の4第2項)。出願時の翻訳文を出した者は国内処理基準時の属する日までに補正後の翻訳文を更に提出できる(同条6項) |
| 34条補正 | 国内処理基準時の属する日までに補正書の写しを提出する(184条の8第1項)。36条(3)(a)の送達でも足りる | 国内処理基準時の属する日までに補正書の日本語による翻訳文を提出する(184条の8第1項)。送達では足りない |
| 出さなかったとき | 補正はされなかったものとみなす(184条の7第3項・184条の8第3項) | 19条補正は国内段階に取り込まれない。34条補正はされなかったものとみなす(184条の8第3項) |
誤り。違うのは「当該補正後の請求の範囲の日本語による翻訳文についても提出しなければならない」の部分である。184条の4第2項は、出願時の請求の範囲の翻訳文に代えて補正後の請求の範囲の翻訳文を提出することができると定めるにとどまる。
184条の4第1項は、外国語特許出願の出願人は国内書面提出期間内に国際出願日における明細書、請求の範囲、図面の中の説明及び要約の日本語による翻訳文を提出しなければならないと定め、同条2項は、出願人が条約19条(1)の補正をしたときは、同項の請求の範囲の翻訳文に代えて当該補正後の請求の範囲の翻訳文を提出することができると定める。同条6項は、1項の請求の範囲の翻訳文を提出した出願人が19条(1)の補正をしたときは、国内処理基準時の属する日までに限り、補正後の請求の範囲の翻訳文を更に提出することができるとする。外国語特許出願では翻訳文が願書に添付した書面とみなされるので(184条の6)、出願時と補正後のどちらの請求の範囲を国内段階の基礎にするかは出願人の選択に委ねられており、両方の翻訳文を出す義務はない。補正後の翻訳文を提出しなければ、19条の補正が国内段階に取り込まれないだけである。枝は代えて提出できるものを、加えて提出しなければならないとしている点で条文と食い違う。

前項の場合において、外国語特許出願の出願人が条約第十九条(1)の規定に基づく補正をしたときは、同項に規定する請求の範囲の翻訳文に代えて、当該補正後の請求の範囲の翻訳文を提出することができる。
正しい。規則46.2は、19条の規定に基づく補正書は直接国際事務局に提出すると定める。
19条(1)は、出願人は国際調査報告を受け取った後、所定の期間内に国際事務局に補正書を提出することにより、国際出願の請求の範囲について1回に限り補正をすることができると定め、規則46.2は、19条の規定に基づく補正書は直接国際事務局に提出すると定める。19条補正は国際調査報告を受けて請求の範囲を直し、補正後の請求の範囲を出願時の請求の範囲と併せて国際公開に載せるための補正であり、国際公開を行うのは国際事務局である(21条)から、提出先は受理官庁でも国際調査機関でもなく国際事務局とされている。枝は規則46.2の文言どおりである。期間は国際調査報告の送付の日から2月又は優先日から16月の遅い方までであり、期間後でも国際公開の技術的な準備の完了前に国際事務局に到達した補正書は期間の末日に受理したものとみなされる(規則46.1)。34条の補正の提出先は国際予備審査機関であり、提出先が異なる。

第十九条の規定に基づく補正書は、直接国際事務局に提出する。
正しい。実用新案法48条の4第6項により、条約19条の補正後の請求の範囲の翻訳文を更に提出できるのは国内処理基準時の属する日までに限られ、国内処理の請求をしたときはその請求の時が国内処理基準時になる。
実用新案法48条の4第6項は、1項に規定する請求の範囲の翻訳文を提出した出願人は、条約19条(1)の規定に基づく補正をしたときは、国内書面提出期間が満了する時、国内書面提出期間内に出願人が国内処理の請求をするときはその国内処理の請求の時、すなわち国内処理基準時の属する日までに限り、当該補正後の請求の範囲の日本語による翻訳文を更に提出することができると定める。国内処理基準時の後に請求の範囲の翻訳文が差し替わると国内処理の前提が動くので、提出の期限をこの時に揃えている。国内処理の請求は出願人が自ら国内処理の開始を早める手続であるから、請求をした以上、国内書面提出期間の満了を待たずにその請求の時が基準になる。したがって国内処理の請求をした外国語実用新案登録出願の出願人は、その国内処理基準時の属する日を経過した後に19条補正の翻訳文を提出することはできない。

第一項に規定する請求の範囲の翻訳文を提出した出願人は、条約第十九条(1)の規定に基づく補正をしたときは、国内書面提出期間が満了する時(国内書面提出期間内に出願人が条約第二十三条(2)又は第四十条(2)の規定による請求(以下「国内処理の請求」という。)をするときは、その国内処理の請求の時。以下「国内処理基準時」という。)の属する日までに限り、当該補正後の請求の範囲の日本語による翻訳文を更に提出することができる。
正しい。19条(1)により、出願人は国際調査報告を受け取った後、所定の期間内に国際事務局に補正書を提出して、請求の範囲について1回に限り補正をすることができる。
19条(1)は、出願人は国際調査報告を受け取った後、所定の期間内に国際事務局に補正書を提出することにより、国際出願の請求の範囲について一回に限り補正をすることができると定め、同時に補正と明細書及び図面への影響についての簡単な説明書を提出できるとする。所定の期間は規則46.1により、国際調査報告の送付の日から2月又は優先日から16月のいずれか遅く満了する期間であり、補正書は規則46.2により直接国際事務局に提出する。国際調査報告で引かれた先行技術を見て、国際公開の前に請求の範囲を整えておけば、公開後の各指定国での仮保護の範囲を補正後の請求の範囲で示すことができる。そのため対象は請求の範囲に限られ、回数も1回とされ、補正後の請求の範囲は国際公開に含められる。明細書や図面まで直したい場合は国際予備審査の手続で34条の補正をすることになる。枝は19条(1)の文言どおりである。

出願人は、国際調査報告を受け取った後、所定の期間内に国際事務局に補正書を提出することにより、国際出願の請求の範囲について1回に限り補正をすることができる。
| 19条補正 | 34条補正 | |
|---|---|---|
| 対象 | 請求の範囲のみ | 明細書・請求の範囲・図面 |
| 回数 | 1回に限る | 国際予備審査報告の作成前なら制限なし |
| 提出先 | 国際事務局(規則46.2) | 国際予備審査機関 |
| 期間 | 国際調査報告の送付の日から2月又は優先日から16月の遅い方(規則46.1) | 国際予備審査の請求時及び報告の作成前 |
| 国際公開 | 補正後の請求の範囲が含まれる | 含まれない |
1(a) 国際出願は、国際調査報告(第十七条(2)(b)の表示を含む。)又は第十七条(2)(a)の宣言とともに、規則の定めるところにより各指定官庁に送達される。ただし、当該指定官庁が送達の義務の全部又は一部を免除する場合は、この限りでない。 (b) 送達される文書には、(a)の国際調査報告又は宣言の所定の翻訳文を含める。
2請求の範囲について前条(1)の規定に基づく補正がされた場合には、送達される文書には、出願時における請求の範囲の全文及び補正後の請求の範囲の全文又は出願時における請求の範囲の全文及び補正を明記する記載を含めるものとし、また、同条(1)に規定する説明書がある場合には、その説明書を含める。
3国際調査機関は、指定官庁又は出願人の請求に応じ、規則の定めるところにより、当該指定官庁又は当該出願人に対し国際調査報告に列記された文献の写しを送付する。
正しい。36条(4)が準用する20条(3)により国際予備審査機関は出願人の請求に応じて文献の写しを送付し、規則71.2(a)によりその請求は国際出願日から7年の期間いつでも行うことができる。
20条(3)は、国際調査機関は指定官庁又は出願人の請求に応じ、規則の定めるところにより国際調査報告に列記された文献の写しを送付すると定め、36条(4)はこの規定を国際予備審査報告に列記された文献であって国際調査報告には列記されていないものの写しについて準用する。これを受けた規則71.2(a)は、36条(4)の請求は当該国際予備審査報告に係る国際出願の国際出願日から7年の期間いつでも行うことができると定め、同(b)は機関が請求を行った当事者(出願人又は選択官庁)に写しの作成及び郵便に係る費用の支払を要求することができるとする。国際調査報告の文献は既に調査の段階で入手できるので、国際予備審査の段階で新たに引かれた文献に限って同じ扱いを及ぼしたものであり、報告の内容を出願人と選択官庁が確かめられるようにするための規定である。枝は、送付の主体と対象の限定、請求の期間のいずれも条文と規則の文言どおりである。

第三十六条(4)の請求は、当該国際予備審査報告に係る国際出願の国際出願日から七年の期間いつでも行うことができる。
誤り。違うのは「出願人に対し、優先日から1年を経過した後できる限り速やかにその写しをその指定官庁に送付するよう要求しなければならない」の部分である。13条(1)で指定官庁が写しの送付を要請する相手は国際事務局であり、出願人は13条(2)(a)で写しをいつでも送付することができるにとどまる。
13条(1)は、指定官庁は20条の送達に先立って国際出願の写しを送付することを国際事務局に要請することができるものとし、国際事務局は優先日から1年を経過した後できる限り速やかにその写しをその指定官庁に送付すると定める。同条(2)(a)は出願人が国際出願の写しをいつでも指定官庁に送付することができるとし、(b)は出願人が国際事務局に送付を要請できるとする。国際出願の写しは原則として国際公開の後に20条で国際事務局から各指定官庁に送達されるが、指定官庁が早く内容を知りたい場合の道として、国際事務局への要請を認めたものである。送付の時期が優先日から1年を経過した後とされるのは、それまでは出願人が優先権を主張して指定国を選び直す期間であり、内容を各国に広めるのを避けるためである。要請の相手は国際事務局であり、指定官庁が出願人に送付を要求しなければならないとの定めはなく、出願人の送付は任意の権限にとどまる。

指定官庁は、第二十条の送達に先立つて国際出願の写しを送付することを国際事務局に要請することができるものとし、国際事務局は、優先日から一年を経過した後できる限り速やかにその写しをその指定官庁に送付する。
正しい。36条(4)は、国際調査報告に列記された文献の写しの送付を定める20条(3)を、国際予備審査報告に列記された文献で国際調査報告に列記されていないものの写しについて準用する。
20条(3)は、国際調査機関は指定官庁又は出願人の請求に応じ、規則の定めるところにより、当該指定官庁又は当該出願人に対し国際調査報告に列記された文献の写しを送付すると定める。36条(4)はこの規定を、国際予備審査報告に列記された文献であって国際調査報告には列記されていないものの写しについて準用するから、国際予備審査機関は選択官庁又は出願人の請求に応じて、そのような文献の写しを送付することになる。国際予備審査報告は規則70.7(a)により国際調査報告に無い文献も関連があれば列記するので、選択官庁や出願人が報告の結論を検討するにはその文献を手に入れる道が要り、国際調査報告の文献は国際調査機関が、国際予備審査報告で新たに列記された文献は国際予備審査機関が写しを提供する分担になっている。枝は36条(4)が準用する20条(3)を国際予備審査機関に読み替えたものであり、条約の定めどおりである。この請求は国際出願日から7年の期間いつでも行うことができる(規則71.2(a))。

第二十条(3)の規定は、国際予備審査報告に列記された文献であつて国際調査報告には列記されていないものの写しについて準用する。
誤り。違うのは「所定の期間内に限り、国際出願の写しを指定官庁に送付することができる」の部分である。13条(2)(a)により、出願人は国際出願の写しをいつでも指定官庁に送付することができ、期間の限定はない。
13条は、20条の送達に先立って指定官庁が国際出願の写しを入手する途を定める。同(1)は、指定官庁が写しの送付を国際事務局に要請でき、国際事務局は優先日から1年を経過した後できる限り速やかに送付すると定め、同(2)(a)は、出願人は国際出願の写しをいつでも指定官庁に送付することができると定め、同(b)は、出願人が国際事務局に送付を要請することもいつでもできると定める。国際出願の内容を早く指定官庁に知らせることは出願人の利益になり、指定官庁の側も仮保護などのために早期の入手を望み得るので、出願人が自ら写しを届ける行為に期間の制限を設ける理由はない。期間の縛りがあるのは国際事務局の側で、指定官庁からの要請に応じて送付できるのが優先日から1年を経過した後と定められているにすぎない。枝は出願人による送付を所定の期間内に限るとする点で同(2)(a)の「いつでも」と食い違う。

出願人は、国際出願の写しをいつでも指定官庁に送付することができる。
1国際事務局は、国際出願の国際公開を行う。
2(a) 国際出願の国際公開は、(b)及び第六十四条(3)に定める場合を除くほか、国際出願の優先日から十八箇月を経過した後速やかに行う。 (b) 出願人は、(a)に定める期間の満了前のいずれの時においても国際出願の国際公開を行うことを国際事務局に請求することができるものとし、国際事務局は、規則の定めるところにより手続をとる。
3国際調査報告又は第十七条(2)(a)の宣言は、規則の定めるところによつて公開する。
4国際公開の言語、形式その他の細目は、規則に定める。
5国際公開の技術的な準備が完了する前に国際出願が取り下げられ又は取り下げられたものとみなされる場合には、国際公開は、行わない。
6国際事務局は、国際出願に善良の風俗若しくは公の秩序に反する表現若しくは図面が含まれており又は規則に定める誹謗の記載が含まれていると認める場合には、その刊行物においてそのような表現、図面及び記載を省略することができる。この場合には、省略した語又は図面の箇所及び数を表示し並びに請求により個別に省略箇所の写しを交付する。
誤り。違うのは「国際事務局に請求する場合以外は、必ず」の部分である。21条(2)(a)は、出願人の早期公開の請求のほかに64条(3)に定める場合も除いており、国際公開を行わない旨を宣言した国のみを指定する国際出願は優先日から18月を経過しても公開されない。
21条(2)(a)は、国際出願の国際公開は(b)及び64条(3)に定める場合を除くほか国際出願の優先日から18月を経過した後速やかに行うと定める。(b)は出願人が期間の満了前のいずれの時においても国際公開を請求できるとする早期公開の例外であり、64条(3)は、自国に関する限り国際公開を行う必要がないことを宣言した国のみの指定が優先日から18月を経過した時に含まれている場合には21条(2)の国際公開を行わないとする留保の例外である。国際公開は指定国での国内公開と同一の効果を持たせるためのものであるから、公開制度を持たない国だけを目指す出願までを国際事務局が公開する理由はないという理屈である。もっとも、その場合でも出願人の請求があれば国際公開は行われる(64条(3)(c)(i))。枝は早期公開の請求だけを例外として挙げ、64条(3)の場合を落としているので誤りである。

国際出願の国際公開は、(b)及び第六十四条(3)に定める場合を除くほか、国際出願の優先日から十八箇月を経過した後速やかに行う。
正しい。21条(5)が、国際公開の技術的な準備が完了する前に国際出願が取り下げられ又は取り下げられたものとみなされる場合には国際公開は行わないと定めている。
21条(5)は、国際公開の技術的な準備が完了する前に国際出願が取り下げられ又は取り下げられたものとみなされる場合には、国際公開は行わないと定める。国際公開は国際出願を各指定国での国内公開と同一の効果をもって公衆に示す手続であり(29条)、公開の前に出願そのものが無くなれば公開する対象も理由も無くなるから、公開を止める区切りを技術的な準備の完了という国際事務局の実務上の時点に置いたものである。取り下げられたものとみなされる場合には、手数料の不払(14条(3))や受理官庁の点検で欠陥が補充されなかった場合(14条(1)(b))が含まれ、出願人の意思による取下げ(規則90の2.1)と同じ扱いになる。この仕組みがあるので、出願人は公開を避けたいときは技術的な準備の完了前に取り下げる必要がある。枝は条文のとおりであり正しい。

国際公開の技術的な準備が完了する前に国際出願が取り下げられ又は取り下げられたものとみなされる場合には、国際公開は、行わない。
正しい。21条(2)(a)により国際公開は優先日から18月を経過した後速やかに行い、同(b)により出願人はその期間の満了前のいずれの時においても国際公開を請求することができる。
21条(1)は国際事務局が国際出願の国際公開を行うと定め、同(2)(a)は、国際公開は同(b)及び64条(3)に定める場合を除くほか、国際出願の優先日から18月を経過した後速やかに行うと定める。同(b)は、出願人は(a)に定める期間の満了前のいずれの時においても国際出願の国際公開を行うことを国際事務局に請求することができるものとし、国際事務局は規則の定めるところにより手続をとると定める。優先日から18月は各国の出願公開と足並みをそろえた期間であり、出願人が早く公開を望むときに待たせる理由はないので、請求による早期の公開を認めている。例外の64条(3)は、自国に関する限り国際公開を行う必要がないことを宣言した国のみを指定している国際出願について18月経過時の国際公開を行わないとするもので、枝のいう所定の場合に当たる。国際公開の技術的な準備が完了する前に取り下げられた国際出願も公開されない(同(5))。枝は原則と早期公開の請求を条文どおりに述べている。

(a)国際出願の国際公開は、(b)及び第六十四条(3)に定める場合を除くほか、国際出願の優先日から十八箇月を経過した後速やかに行う。(b)出願人は、(a)に定める期間の満了前のいずれの時においても国際出願の国際公開を行うことを国際事務局に請求することができるものとし、国際事務局は、規則の定めるところにより手続をとる。
1出願人は、優先日から三十箇月を経過する時までに各指定官庁に対し、国際出願の写し(第二十条の送達が既にされている場合を除く。)及び所定の翻訳文を提出し並びに、該当する場合には、国内手数料を支払う。出願人は、指定国の国内法令が発明者の氏名又は名称その他の発明者に関する所定の事項を表示することを定めているが国内出願をする時よりも遅い時に表示することを認めている場合において、それらの事項が願書に記載されていないときは、当該指定国の国内官庁又は当該指定国のために行動する国内官庁に対し、優先日から三十箇月を経過する時までにそれらの事項を届け出る。
2国際調査機関が第十七条(2)(a)の規定に基づき国際調査報告を作成しない旨を宣言した場合には、(1)に規定する行為をすべき期間は、(1)に定める期間と同一とする。
3国内法令は、(1)又は(2)に規定する行為をすべき期間として、(1)又は(2)に定める期間よりも遅い時に満了する期間を定めることができる。
正しい。22条(1)第2文は、指定国の国内法令が発明者に関する事項の表示を求めつつ国内出願の時より遅い時の表示を認めている場合、願書に記載がなければ優先日から30月を経過する時までに届け出ると定める。
PCT4条(1)(v)は願書に発明者の氏名等を記載すると定めるが、規則4.1(a)(iv)によれば、発明者に関する表示が願書の必要的な記載となるのは、指定国のうち少なくとも一の国の国内法令が国内出願をする時に発明者の氏名又は名称を表示することを定めている場合に限られる。そこで指定国の国内法令が発明者の表示を求めてはいるが国内出願の時より遅い時の表示を認めている場合には、願書に発明者の事項を書かずに国際出願をすることができ、その代わりに22条(1)第2文が、出願人は当該指定国の国内官庁又は当該指定国のために行動する国内官庁に対し、優先日から30月を経過する時までにそれらの事項を届け出ると定める。写し・翻訳文の提出や国内手数料の支払と同じ期限までに発明者の事項を補わせ、国内移行の時点で指定国の国内出願に求められる内容をそろえる仕組みである。枝は22条(1)第2文の文言そのままであり正しい。

出願人は、優先日から三十箇月を経過する時までに各指定官庁に対し、国際出願の写し(第二十条の送達が既にされている場合を除く。)及び所定の翻訳文を提出し並びに、該当する場合には、国内手数料を支払う。出願人は、指定国の国内法令が発明者の氏名又は名称その他の発明者に関する所定の事項を表示することを定めているが国内出願をする時よりも遅い時に表示することを認めている場合において、それらの事項が願書に記載されていないときは、当該指定国の国内官庁又は当該指定国のために行動する国内官庁に対し、優先日から三十箇月を経過する時までにそれらの事項を届け出る。
正しい。22条(3)は、国内法令が、翻訳文の提出等の行為をすべき期間として、22条(1)の優先日から30箇月よりも遅い時に満了する期間を定めることができると認めている。
22条(1)は、出願人は優先日から30箇月を経過する時までに各指定官庁に対し国際出願の写し及び所定の翻訳文を提出し、該当する場合には国内手数料を支払うと定め、22条(3)は、国内法令は(1)又は(2)に規定する行為をすべき期間として、(1)又は(2)に定める期間よりも遅い時に満了する期間を定めることができると定める。条約が30箇月を定めているのは、出願人がどの指定国で手続を続けるか決めるまでの猶予を各国に共通に保障するためであり、指定国が出願人にさらに長い期間を与えることは条約の目的を損なわないから、国内法令で延ばす方向の定めは許される。これに対し、30箇月より早い期間を定めることはできない。日本の特許法184条の4第1項ただし書が、国内書面提出期間の満了前2月から満了の日までに国内書面を提出した外国語特許出願について、その提出の日から2月の翻訳文提出特例期間を認めているのは、この22条(3)を使った例である。枝は条約の定めのとおりである。

国内法令は、(1)又は(2)に規定する行為をすべき期間として、(1)又は(2)に定める期間よりも遅い時に満了する期間を定めることができる。
誤り。違うのは「常に、国際出願が取り下げられたとみなされる」の部分である。37条(4)(b)は、国際予備審査の請求又は選択の取下げが22条の期間の満了前に行われた場合には、国際出願の取下げとはみなさないと定める。
37条(1)は出願人がいずれかの又はすべての選択国の選択を取り下げることができると定め、同(2)はすべての選択が取り下げられた場合に国際予備審査の請求を取り下げられたものとみなす。その効果について37条(4)(a)は、請求又は選択の取下げは関係締約国に関する限り国際出願の取下げとみなすと定めるが、ただし書で国内法令の別段の定めを認め、さらに同(b)で、取下げが22条に規定する期間の満了前に行われた場合には国際出願の取下げとはみなさないと定める。22条の期間がまだ残っていれば出願人は指定官庁への国内移行を通常どおり行えるから、選択をやめただけで国際出願まで失わせる理由がないという理屈である。もっとも締約国は、国内官庁がその期間内に写し、翻訳文及び国内手数料を受け取った場合にのみ(b)を適用することを国内法令で定めることができる。枝は(b)の例外を無視して「常に」としている点が違う。

(a)(b)の規定が適用される場合を除くほか、国際予備審査の請求又は選択の取下げは、関係締約国に関する限り、国際出願の取下げとみなす。ただし、関係締約国の国内法令に別段の定めがある場合は、この限りでない。(b)国際予備審査の請求又は選択の取下げは、第二十二条に規定する当該期間の満了前に行われた場合には、国際出願の取下げとはみなさない。もつとも、締約国は、自国の国内官庁が当該期間内に国際出願の写し、所定の翻訳文及び国内手数料を受け取つた場合にのみこの(b)の規定が適用されることを国内法令で定めることができる。
1指定官庁は、前条に規定する当該期間の満了前に、国際出願の処理又は審査を行つてはならない。
2(1)の規定にかかわらず、指定官庁は、出願人の明示の請求により、国際出願の処理又は審査をいつでも行うことができる。
正しい。23条(1)は指定官庁が22条の期間の満了前に国際出願の処理又は審査を行うことを禁じるが、同条(2)は出願人の明示の請求があればいつでも行うことができると定める。
23条(1)は、指定官庁は22条に規定する期間の満了前に国際出願の処理又は審査を行ってはならないと定め、同条(2)は、(1)の規定にかかわらず、指定官庁は出願人の明示の請求により国際出願の処理又は審査をいつでも行うことができると定める。優先日から30箇月までの期間は、出願人が国際調査報告や見解書を見てどの国で手続を続けるかを決めるための時間であるから、指定官庁の側から先に審査を始めて出願人に費用や対応を強いることを禁じる一方、出願人自身が早く審査を受けたいと明示して請求するのであれば、繰延べの利益を出願人が放棄したことになり、妨げる理由がない。枝は23条(2)の文言どおりであり正しい。日本では184条の4の翻訳文と184条の5の国内書面を提出し、出願審査の請求をすれば国内処理基準時が前倒しになる形でこの請求に対応する。

(1)の規定にかかわらず、指定官庁は、出願人の明示の請求により、国際出願の処理又は審査をいつでも行うことができる。
1第十一条(3)に定める国際出願の効果は、次の場合には、(ii)にあつては次条の規定に従うことを条件として、指定国において、当該指定国における国内出願の取下げの効果と同一の効果をもつて消滅する。 (i) 出願人が国際出願又は当該指定国の指定を取り下げた場合 (ii) 国際出願が第十二条(3)若しくは第十四条(1)(b)、(3)(a)若しくは(4)の規定により取り下げられたものとみなされる場合又は当該指定国の指定が第十四条(3)(b)の規定により取り下げられたものとみなされる場合 (iii) 出願人が第二十二条に規定する行為を該当する期間内にしなかつた場合
2(1)の規定にかかわらず、指定官庁は、第十一条(3)に定める効果を、その効果の次条(2)の規定による維持が必要とされない場合を含め、維持することができる。
1(a) 受理官庁が国際出願日を認めることを拒否した場合若しくは国際出願は取り下げられたものとみなす旨を宣言した場合又は国際事務局が第十二条(3)の規定により所定の期間内に記録原本を受理しなかつたと認定した場合には、国際事務局は、出願人の請求に応じ、出願人が特定した指定官庁に対し当該出願に関する書類の写しを速やかに送付する。 (b) 受理官庁がいずれかの国の指定は取り下げられたものとみなす旨を宣言した場合には、国際事務局は、出願人の請求に応じ、当該国の国内官庁に対し当該出願に関する書類の写しを速やかに送付する。 (c) (a)又は(b)にいう請求は、所定の期間内に行う。
2(a) (b)の規定に従うことを条件として、各指定官庁は、必要な国内手数料の支払及び所定の適当な翻訳文の提出が所定の期間内にあつた場合には、(1)の拒否、宣言又は認定がこの条約及び規則に照らし正当であるかどうかを決定するものとし、その拒否若しくは宣言が受理官庁の過失の結果であり又はその認定が国際事務局の過失の結果であると認めた場合には、当該国際出願を、当該指定官庁に係る国における効果に関する限り、このような過失の結果が生じなかつたものとして取り扱う。 (b) (a)の規定は、記録原本が出願人の過失により第十二条(3)にいう所定の期間の満了の後に国際事務局に到達した場合について準用する。ただし、第四十八条(2)の規定が適用される場合に限る。
誤り。違うのは「受理官庁は、出願人の請求に応じ、出願人が特定した指定官庁に対し」の部分である。25条(1)(a)で書類の写しを指定官庁に送付するのは国際事務局である。
25条(1)(a)は、受理官庁が国際出願日を認めることを拒否した場合若しくは国際出願は取り下げられたものとみなす旨を宣言した場合又は国際事務局が12条(3)の規定により所定の期間内に記録原本を受理しなかったと認定した場合には、国際事務局は、出願人の請求に応じ、出願人が特定した指定官庁に対し当該出願に関する書類の写しを速やかに送付すると定める。25条は、受理官庁の拒否や宣言、国際事務局の認定が正当かどうかを各指定官庁に検査させ、受理官庁や国際事務局の過失の結果であれば、その指定国での効果に関する限り過失が無かったものとして取り扱う救済の仕組みである。検査の対象となる処分をした受理官庁自身ではなく、記録原本を保管する国際事務局が指定官庁へ書類を送る建前であり、受理官庁が国際出願日を拒否した場合も送付の主体は変わらない。枝は送付の主体を受理官庁としているので、条文と異なる。この請求は(c)により所定の期間内に行う。

受理官庁が国際出願日を認めることを拒否した場合若しくは国際出願は取り下げられたものとみなす旨を宣言した場合又は国際事務局が第十二条(3)の規定により所定の期間内に記録原本を受理しなかつたと認定した場合には、国際事務局は、出願人の請求に応じ、出願人が特定した指定官庁に対し当該出願に関する書類の写しを速やかに送付する。
指定官庁は、同一又は類似の場合における国内出願について国内法令に定める範囲内で及び手続に従い国際出願の補充をする機会をあらかじめ出願人に与えることなく、この条約及び規則に定める要件を満たしていないことを理由として国際出願を却下してはならない。
正しい。26条は、指定官庁は、同一又は類似の場合における国内出願について国内法令に定める範囲内で及び手続に従い国際出願の補充をする機会をあらかじめ出願人に与えることなく、条約及び規則の要件を満たしていないことを理由として国際出願を却下してはならないと定める。
26条は、指定官庁は、同一又は類似の場合における国内出願について国内法令に定める範囲内で及び手続に従い国際出願の補充をする機会をあらかじめ出願人に与えることなく、この条約及び規則に定める要件を満たしていないことを理由として国際出願を却下してはならないと定める。国際出願は受理官庁と国際事務局の点検を経て国内段階に入るが、翻訳文や様式など条約及び規則の要件に欠けるところが国内段階で見つかることはある。そのとき指定官庁が直ちに却下できるとすれば、国内出願であれば補正の機会が与えられる場面で国際出願だけが不利に扱われ、国内出願と同一の効果を認める11条(3)の趣旨に反する。そこで、国内出願なら補充の機会が与えられる範囲と手続のとおりに、国際出願にも補充の機会を先に与えることを指定官庁に義務付けている。日本では特許法184条の5第2項の補正命令を経てから却下するという形で、この定めに対応している。枝は26条のとおりである。

指定官庁は、同一又は類似の場合における国内出願について国内法令に定める範囲内で及び手続に従い国際出願の補充をする機会をあらかじめ出願人に与えることなく、この条約及び規則に定める要件を満たしていないことを理由として国際出願を却下してはならない。
1国内法令は、国際出願が、その形式又は内容について、この条約及び規則に定める要件と異なる要件又はこれに追加する要件を満たすことを要求してはならない。
2(1)の規定は、第七条(2)の規定の適用を妨げるものではなく、また、国内法令が、指定官庁における国際出願の処理が開始された後に、 (i) 出願人が法人である場合にその法人を代表する権限を有する役員の氏名を届け出ること、又は (ii) 国際出願の一部をなす書類ではないが、国際出願においてされている主張若しくは記述の裏付けとなる書類(出願時に出願人の代表者又は代理人が国際出願に署名している場合に、出願人が自己の署名によつて国際出願を確認するものを含む。)を提出することを定めることを妨げるものでもない。
3出願人が発明者でないという理由で当該指定国の国内法令により国内出願をする資格を有しない場合には、当該指定官庁は、当該国際出願を却下することができる。
4指定国の国内法令が、国内出願の形式又は内容につき、この条約及び規則に国際出願について定める要件よりも出願人の立場からみて有利な要件を定めている場合には、当該指定国の国内官庁、裁判所その他の権限のある機関又は当該指定国のために行動するこれらの機関は、この条約及び規則に定める要件に代えて当該国内法令に定める要件を国際出願について適用することができる。ただし、出願人が、この条約及び規則に定める要件が国際出願について適用されることを要求するときは、この限りでない。
5この条約及び規則のいかなる規定も、各締約国が特許性の実体的な条件を定める自由を制限するものと解してはならない。特に先行技術の定義に関するこの条約及び規則の規定は、専ら国際的手続について適用されるものであり、したがつて、いずれの締約国も、国際出願に係る発明の特許性を判断するに当たつて、先行技術その他の特許性の条件(出願の形式及び内容に係るものを除く。)に関する国内法令上の基準を適用する自由を有する。
6国内法令は、その定める特許性の実体的な条件に関する証拠を出願人が提出することを要求することができる。
7受理官庁又は国際出願の処理を開始した指定官庁は、当該受理官庁若しくは当該指定官庁に対して出願人を代理する資格を有する代理人によつて出願人が代理され又は出願人が通知を受け取るためのあて名を指定国内に有するという要件に関する限り、国内法令を適用することができる。
8この条約及び規則のいかなる規定も、締約国が自国の安全を保持するために必要と認める措置をとる自由又は締約国が自国の一般的な経済的利益の保護のため自国の居住者若しくは国民の国際出願をする権利を制限する自由を制限するものと解してはならない。
正しい。27条(5)は、先行技術の定義に関する条約及び規則の規定は専ら国際的手続について適用されるものであり、各締約国は国際出願に係る発明の特許性を判断するに当たって先行技術その他の特許性の条件に関する国内法令上の基準を適用する自由を有すると定める。
27条(5)は、この条約及び規則のいかなる規定も各締約国が特許性の実体的な条件を定める自由を制限するものと解してはならないとし、特に先行技術の定義に関する条約及び規則の規定は専ら国際的手続について適用されるものであって、いずれの締約国も国際出願に係る発明の特許性を判断するに当たって先行技術その他の特許性の条件(出願の形式及び内容に係るものを除く。)に関する国内法令上の基準を適用する自由を有すると定める。条約は出願の形式及び内容を統一し、国際調査や国際予備審査で共通の先行技術の基準(33条、規則64)を使うが、特許を与えるかどうかの実体判断は各国の主権に属する事柄であり、条約は手続の条約であって特許要件を統一するものではないという整理である。同条(1)が形式又は内容について異なる要件や追加の要件を禁じるのと対になっており、枝はこの実体面の自由をそのまま述べている。

この条約及び規則のいかなる規定も、各締約国が特許性の実体的な条件を定める自由を制限するものと解してはならない。特に先行技術の定義に関するこの条約及び規則の規定は、専ら国際的手続について適用されるものであり、したがつて、いずれの締約国も、国際出願に係る発明の特許性を判断するに当たつて、先行技術その他の特許性の条件(出願の形式及び内容に係るものを除く。)に関する国内法令上の基準を適用する自由を有する。
1出願人は、各指定官庁において所定の期間内に請求の範囲、明細書及び図面について補正をする機会を与えられる。指定官庁は、出願人の明示の同意がない限り、その期間の満了前に特許を与えてはならず又は特許を拒絶してはならない。
2補正は、出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはならない。ただし、指定国の国内法令が認める場合は、この限りでない。
3補正は、この条約及び規則に定めのないすべての点については、指定国の国内法令の定めるところによる。
4補正書は、指定官庁が国際出願の翻訳文の提出を要求する場合には、その翻訳文の言語で作成する。
誤り。違うのは「明細書の補正をすることができる場合はない」の部分である。実用新案法48条の8第2項により、国際実用新案登録出願についてするPCT28条(1)又は41条(1)に基づく補正には、補正の時期を省令で定める期間に制限する2条の2第1項ただし書が適用されない。
実用新案法2条の2第1項は、手続の補正は事件が特許庁に係属している場合に限りできるとしたうえで、ただし書で、経済産業省令で定める期間を経過した後は願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲、図面又は要約書について補正をすることができないと定める。無審査で登録される実用新案では、出願から短い期間で内容を固めて早く登録する必要があるからである。しかし48条の8第2項は、国際実用新案登録出願についてするPCT28条(1)又は41条(1)の規定に基づく補正については、このただし書を適用しないと定める。PCT28条(1)・41条(1)は出願人が指定官庁・選択官庁において所定の期間内に明細書等を補正する機会を与えられると定めており、国際出願日から短い期間で補正を締め切ると条約が保障する機会を国内法で奪うことになるためである。そのため、枝のいう期間の経過後でも明細書を補正できる場合がある。48条の8第1項も、19条補正・34条補正が国内の補正とみなされる場合にただし書を外している。

国際実用新案登録出願についてする条約第二十八条(1)又は第四十一条(1)の規定に基づく補正については、第二条の二第一項ただし書の規定は、適用しない。
誤り。違うのは「出願時における国際出願の開示の範囲を超えた補正をすることを認める国内法令を定めてはならない」の部分である。28条(2)は開示の範囲を超える補正を原則として禁じつつ、指定国の国内法令が認める場合を除いている。
28条(1)は、出願人が各指定官庁において所定の期間内に請求の範囲、明細書及び図面について補正をする機会を与えられると定め、同条(2)は、補正は出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはならないとしたうえで、ただし書で指定国の国内法令が認める場合はこの限りでないと定める。条約は国際段階の手続を統一するが、国内段階に入った後の補正の許容範囲は各国の特許制度の実体に関わるので、条約が定めるのは出願人に補正の機会を保障する最低限の共通ルールにとどめ、開示の範囲を超える補正を認めるかどうかは指定国の判断に委ねているのである。したがって開示の範囲を超える補正を認める国内法令を指定国が定めることは禁じられておらず、定めてはならないとする枝は条約の原則とただし書の関係を逆にしている。なお日本の特許法17条の2第3項は新規事項の追加を認めないので、日本を指定国とする場合には開示の範囲を超える補正はできない。

補正は、出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはならない。ただし、指定国の国内法令が認める場合は、この限りでない。
正しい。28条(1)は、出願人が各指定官庁において所定の期間内に請求の範囲、明細書及び図面を補正する機会を与えられ、指定官庁は出願人の明示の同意がない限りその期間の満了前に特許を与えてはならないと定める。
28条(1)は、出願人は各指定官庁において所定の期間内に請求の範囲、明細書及び図面について補正をする機会を与えられ、指定官庁は、出願人の明示の同意がない限り、その期間の満了前に特許を与えてはならず又は特許を拒絶してはならないと定める。国際段階では19条による請求の範囲の補正しか認められず、明細書や図面は国際予備審査の請求をしない限り直せないため、国内段階に入った出願人に各指定官庁で一度は全部の書類を補正する機会を保障し、その機会が終わる前に指定官庁が結論を出すことを禁じたものである。枝は28条(1)の前段と後段の特許を与えてはならない部分を抜き出したもので、条文は特許の拒絶も同様に禁じているが、枝の記述はそのまま条文に含まれているから正しい。補正は出願時における国際出願の開示の範囲を超えてはならず、指定国の国内法令が認める場合に限り超えられる(28条(2))。選択官庁については41条が同じ内容を定める。

出願人は、各指定官庁において所定の期間内に請求の範囲、明細書及び図面について補正をする機会を与えられる。指定官庁は、出願人の明示の同意がない限り、その期間の満了前に特許を与えてはならず又は特許を拒絶してはならない。
1指定国における出願人の権利の保護に関する限り、国際出願の国際公開の指定国における効果は、(2)から(4)までの規定に従うことを条件として、審査を経ていない国内出願の強制的な国内公開について当該指定国の国内法令が定める効果と同一とする。
2指定国の国内法令は、当該指定国において国内法令に基づく公開に用いられる言語と異なる言語で国際公開が行われた場合に(1)に定める効果が次のいずれかの時からのみ生ずることを定めることができる。 (i) 当該公開に用いられる言語による翻訳文が、国内法令の定めるところにより公表された時 (ii) 当該公開に用いられる言語による翻訳文が、国内法令の定めるところにより公衆の閲覧に供されることによつて公衆が利用することができるようにされた時 (iii) 当該公開に用いられる言語による翻訳文が、国際出願に係る発明を許諾を得ないで現に実施しており又は実施すると予想される者に対し出願人によつて送付された時 (iv) (i)及び(iii)に規定する措置の双方がとられた時又は(ii)及び(iii)に規定する措置の双方がとられた時
3指定国の国内法令は、国際公開が出願人の請求により優先日から十八箇月を経過する前に行われた場合に(1)に定める効果が優先日から十八箇月を経過した時からのみ生ずることを定めることができる。
4指定国の国内法令は、(1)に定める効果が第二十一条の規定に従つて公開された国際出願を当該指定国の国内官庁又は当該指定国のために行動する国内官庁が受領した日からのみ生ずることを定めることができる。当該国内官庁は、その公報にその受領の日をできる限り速やかに掲載する。
1(a) (b)の規定が適用される場合を除くほか、国際事務局及び国際調査機関は、国際出願の国際公開が行われる前に、いかなる者又は当局に対しても国際出願が知得されるようにしてはならない。ただし、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合は、この限りでない。 (b) (a)の規定は、管轄国際調査機関への送付、第十三条の送付及び第二十条の送達については、適用しない。
2(a) 国内官庁は、次の日のうち最も早い日前に、第三者に対し国際出願が知得されるようにしてはならない。ただし、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合は、この限りでない。 (i) 国際出願の国際公開の日 (ii) 第二十条の規定に従つて送達される国際出願の受理の日 (iii) 第二十二条の規定に基づく国際出願の写しの受理の日 (b) (a)の規定は、国内官庁が自己が指定官庁とされた旨を第三者に通知すること又はその指定された事実を公表することを妨げるものではない。ただし、その通知又は公表には、受理官庁の名称、出願人の氏名又は名称、国際出願日、国際出願番号及び発明の名称以外の事項を含めることができない。 (c) (a)の規定は、指定官庁が司法当局に対し国際出願が知得されるようにすることを妨げるものではない。
3(2)(a)の規定は、第十二条(1)の送付の場合を除くほか、受理官庁について適用する。
4この条の規定の適用上、「知得されるようにする」とは、手段のいかんを問わず第三者が知ることができるようにすることをいい、個別に通報すること及び一般に公表することを含む。ただし、国内官庁が、国際公開前又は、国際公開が優先日から二十箇月を経過する時までに行われない場合には、優先日から二十箇月を経過する前に、国際出願又はその翻訳文を一般に公表してはならないことを条件とする。
誤り。違うのは「指定官庁への国際出願に係る文書の送達をも含めて国際出願が知得されるようにしてはならない」の部分である。30条(1)(b)は、管轄国際調査機関への送付、13条の送付及び20条の送達については(a)の秘密保持を適用しないと定める。
30条(1)(a)は、国際事務局及び国際調査機関は、国際出願の国際公開が行われる前に、いかなる者又は当局に対しても国際出願が知得されるようにしてはならず、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合に限って例外とすると定める。しかし同(b)は、(a)の規定は管轄国際調査機関への送付、13条の送付及び20条の送達については適用しないと定める。調査用写しを国際調査機関へ送る送付、指定官庁の請求による13条の写しの送付、国際調査報告とともに各指定官庁へ送る20条の送達は、いずれも条約が定める国際出願の処理そのものであり、これを秘密保持の対象にすれば国際段階の手続が動かないからである。そのかわり、写しや送達を受けた国内官庁の側が、国際公開の日などの最も早い日前に第三者に知得されるようにしてはならない(30条(2)(a))。枝はこれらの送付・送達も含めて禁止とする点で30条(1)(b)とずれる。

(a)(b)の規定が適用される場合を除くほか、国際事務局及び国際調査機関は、国際出願の国際公開が行われる前に、いかなる者又は当局に対しても国際出願が知得されるようにしてはならない。ただし、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合は、この限りでない。(b)(a)の規定は、管轄国際調査機関への送付、第十三条の送付及び第二十条の送達については、適用しない。
1国際出願は、出願人の国際予備審査の請求により、この条及び次の諸条並びに規則の定めるところにより国際予備審査の対象とする。
2(a) 出願人が、規則の定めるところによつて、この章の規定に拘束される締約国の居住者又は国民である場合において、そのような締約国の受理官庁又はそのような締約国のために行動する受理官庁に国際出願をしたときは、その出願人は、国際予備審査の請求をすることができる。 (b) 総会は、国際出願をする資格を有する者に対し、その者が非締約国又はこの章の規定に拘束されない締約国の居住者又は国民である場合においても、国際予備審査の請求をすることを認めることを決定することができる。
3国際予備審査の請求は、国際出願とは別個に行う。この請求書には、所定の事項を記載するものとし、この請求書は、所定の言語及び形式で作成する。
4(a) 国際予備審査の請求書には、国際予備審査の結果を利用することを出願人が意図する一又は二以上の締約国(「選択国」)を表示する。選択国は、後にする選択によつて追加することができる。選択の対象は、第四条の規定によつて既に指定された締約国に限る。 (b) (2)(a)の出願人は、この章の規定に拘束されるいずれの締約国をも選択することができる。(2)(b)の出願人は、この章の規定に拘束される締約国であつて(2)(b)の出願人によつて選択される用意があることを宣言しているもののみを選択することができる。
5国際予備審査の請求については、所定の期間内に所定の手数料を支払わなければならない。
6(a) 国際予備審査の請求は、次条に規定する管轄国際予備審査機関に対して行う。 (b) 後にする選択は、国際事務局に届け出る。
7各選択官庁は、自己が選択官庁とされた旨の通知を受ける。
誤り。違うのは「国際出願と別個の請求書によらず、国際出願に含めて請求できる」の部分である。国際予備審査の請求は国際出願とは別個に行う(31条(3))。
PCT31条(3)は、国際予備審査の請求は国際出願とは別個に行うと定め、請求書には所定の事項を記載し、所定の言語及び形式で作成すると続ける。国際予備審査は第2章の手続であり、出願人が国際調査報告と見解書を見たうえで利用するかどうかを決める任意の制度であるから、願書の提出が全ての締約国の指定を構成する第1章の国際出願とは切り離し、別の書面で請求する仕組みになっている。請求は管轄国際予備審査機関に対して行い(31条(6)(a))、所定の期間内に所定の手数料を支払う(31条(5))。請求できる時期も規則54の2.1で国際調査報告等の送付から3月又は優先日から22月のいずれか遅い方までと定められており、国際出願と同時に出すことが前提ではない。願書に含めて請求できるとする枝は、別個に行うという31条(3)の文言に反する。

国際予備審査の請求は、国際出願とは別個に行う。この請求書には、所定の事項を記載するものとし、この請求書は、所定の言語及び形式で作成する。
誤り。違うのは「後にする選択によって追加することができない」の部分である。31条(4)(a)は、選択国は後にする選択によって追加することができると定める。
31条(4)(a)は、国際予備審査の請求書には国際予備審査の結果を利用することを出願人が意図する一又は二以上の締約国(選択国)を表示するとし、続けて、選択国は後にする選択によって追加することができ、選択の対象は4条の規定によって既に指定された締約国に限ると定める。後にする選択は国際事務局に届け出る(31条(6)(b))。国際予備審査は第2章に拘束される締約国について報告を国内段階で利用するための手続であり、出願人がどの国で結果を使うかは手続の進行に応じて決めればよいから、追加の道を開いているのである。現在は規則53.7により請求書の提出が第2章に拘束される全指定国の選択を構成するので、後の選択が問題になる場面は限られるが、条約の規定は追加を認めたままである。枝は条文と逆のことを述べているので誤りである。

国際予備審査の請求書には、国際予備審査の結果を利用することを出願人が意図する一又は二以上の締約国(「選択国」)を表示する。選択国は、後にする選択によつて追加することができる。選択の対象は、第四条の規定によつて既に指定された締約国に限る。
正しい。31条(2)(a)は、第2章に拘束される締約国の居住者又は国民である出願人が、そのような締約国の受理官庁又はそのような締約国のために行動する受理官庁に国際出願をしたときは、国際予備審査の請求をすることができると定めている。
31条(2)(a)は、出願人が、規則の定めるところによって、この章の規定に拘束される締約国の居住者又は国民である場合において、そのような締約国の受理官庁又はそのような締約国のために行動する受理官庁に国際出願をしたときは、その出願人は国際予備審査の請求をすることができると定める。第2章の国際予備審査は、64条(1)により締約国が拘束されない旨を宣言できる任意の制度であるから、請求の資格も第2章に拘束される締約国とのつながりで決まり、出願人がそのような締約国の居住者又は国民であることと、そのような締約国の受理官庁に出願したことの両方が求められる。国際事務局を受理官庁とした場合は規則54.3により出願人の居住国又は国籍国のために行動するものとみなされ、二人以上の出願人があるときは規則54.2により少なくとも一人が資格を満たせば足りる。枝は31条(2)(a)の文言のとおりである。(b)は、総会が非締約国等の居住者又は国民に請求を認める決定ができることを定める。

出願人が、規則の定めるところによつて、この章の規定に拘束される締約国の居住者又は国民である場合において、そのような締約国の受理官庁又はそのような締約国のために行動する受理官庁に国際出願をしたときは、その出願人は、国際予備審査の請求をすることができる。
誤り。違うのは「出願人以外の国際予備審査の請求により」の部分である。31条(1)は、国際出願は出願人の国際予備審査の請求により国際予備審査の対象とすると定め、請求をすることができるのは31条(2)の資格を持つ出願人に限られる。
31条(1)は、国際出願は、出願人の国際予備審査の請求により、この条及び次の諸条並びに規則の定めるところにより国際予備審査の対象とすると定める。同(2)(a)は、第2章の規定に拘束される締約国の居住者又は国民である出願人が、そのような締約国の受理官庁又はそのために行動する受理官庁に国際出願をしたときに請求をすることができるとし、同(b)は総会がそれ以外の居住者又は国民にも請求を認めることを決定できるとするが、いずれも主語は国際出願をする資格を有する出願人である。国際予備審査は、出願人が国内段階に進む前に新規性・進歩性・産業上の利用可能性についての予備的な見解を得て判断の材料にするための任意の手続であり、手数料を払って請求するかどうかは出願人の選択に委ねられている。第三者や官庁が出願人に代わって国際出願を審査に付す仕組みは条約に無い。したがって、出願人以外の請求により国際予備審査の対象とされる場合があるとする枝は31条(1)とずれる。

国際出願は、出願人の国際予備審査の請求により、この条及び次の諸条並びに規則の定めるところにより国際予備審査の対象とする。
正しい。規則59.2は、31条(2)(b)に基づく国際予備審査の請求について、総会が管轄国際予備審査機関を特定するに当たり、国際出願がされた国内官庁が国際予備審査機関であればその国内官庁を、そうでなければその国内官庁が推薦する機関を優先させると定める。
32条(2)は、31条(2)(a)の出願人による国際予備審査の請求については受理官庁が、31条(2)(b)の総会の決定により認められた出願人による請求については総会が、国際予備審査機関と国際事務局との間の関係取決めに従い、管轄することとなる一又は二以上の国際予備審査機関を特定すると定める。31条(2)(b)の出願人は、非締約国又は第2章に拘束されない締約国の居住者又は国民であり、その国の受理官庁は第2章の手続に関する取決めを持たないから、受理官庁に代えて総会が管轄機関を特定する。規則59.2はその特定の基準として、国際出願がされた国内官庁が国際予備審査機関である場合には当該国内官庁を優先させ、国際予備審査機関でない場合には当該国内官庁が推薦する国際予備審査機関を優先させると定める。出願を受け取った官庁かその官庁が信頼する機関に審査を委ねるのが、言語や資料の面で最も合理的だからである。枝は規則59.2の文言どおりであり正しい。

第三十一条(2)(b)の規定に基づいて行われた国際予備審査の請求については、総会は、いずれかの国内官庁にされた国際出願について管轄する国際予備審査機関を特定するに当たり、当該国内官庁が国際予備審査機関である場合には当該国内官庁を優先させ、当該国内官庁が国際予備審査機関でない場合には当該国内官庁が推薦する国際予備審査機関を優先させる。
| 31条(2)(a)の請求 | 31条(2)(b)の請求 | |
|---|---|---|
| 請求できる出願人 | 第2章に拘束される締約国の居住者又は国民で、その締約国の受理官庁に出願した者である | 非締約国又は第2章に拘束されない締約国の居住者又は国民で、総会が認めた者である |
| 管轄機関を特定する者 | 受理官庁である(規則59.1) | 総会である(規則59.2) |
| 特定の基準 | 国際事務局との関係取決めに従う | 出願先の国内官庁が機関ならその官庁、そうでなければその官庁が推薦する機関を優先する |
正しい。規則61.2(c)は、選択官庁とされた旨の31条(7)の通知は20条に規定する送達とともに選択官庁に送付すると定める。
31条(7)は、各選択官庁は自己が選択官庁とされた旨の通知を受けると定め、規則61.2(a)はこの通知は国際事務局が行うとし、同(b)は通知に国際出願番号、国際出願日、出願人の氏名又は名称、優先権の主張の基礎となる出願の日及び請求書の受理の日を表示するとする。そして同(c)は、この通知は20条に規定する送達とともに選択官庁に送付し、その送達の後に行われた選択はその選択が行われた後速やかに通知すると定める。20条の送達は、国際出願を国際調査報告又は17条(2)(a)の宣言とともに国際事務局が各指定官庁に送るものであり、国際公開より前には行えない(規則47.1(a))。選択官庁はもともと指定官庁であるから、国際出願の送達と同じ機会に選択された旨を知らせれば足り、通知だけを先に送る必要がないので、送達と一緒に送る仕組みである。送達後に後の選択があった場合だけ、その都度速やかに通知する。枝は規則61.2(c)の前段の文言どおりである。

(a)の通知は、第二十条に規定する送達とともに選択官庁に送付する。その送達の後に行われた選択は、その選択が行われた後速やかに通知する。
誤り。違うのは「全ての出願人が、特許協力条約第2章の規定に拘束される締約国の居住者又は国民でなければ」の部分である。規則54.2は、二人以上の出願人がある場合にはそのうち少なくとも一人が資格を有すれば国際予備審査の請求をすることができると定める。
31条(2)(a)は、出願人が規則の定めるところによって第2章の規定に拘束される締約国の居住者又は国民である場合において、そのような締約国の受理官庁又はそのような締約国のために行動する受理官庁に国際出願をしたときは、国際予備審査の請求をすることができると定める。これを受けた規則54.2は、請求をする出願人又は二人以上の出願人がある場合にはそのうちの少なくとも一人の出願人が、第2章に拘束される締約国の居住者又は国民であり、かつ、そのような締約国の受理官庁に国際出願した場合に請求できるとする。国際出願の資格が複数の出願人のうち一人にあれば足りるとする規則18.3と同じ考え方で、共同出願の一人が資格を満たせば出願全体について手続を認めるものである。規則54.4は、いずれの出願人も資格を有しないときに限って請求を行われなかったものとみなす。枝は全ての出願人に資格を求めている点が違う。

国際予備審査の請求をする出願人又は、二人以上の出願人がある場合にはそのうちの少なくとも一人の出願人が、第二章の規定に拘束される締約国の居住者又は国民であり、かつ、第二章の規定に拘束される締約国の受理官庁又はその締約国のために行動する受理官庁に国際出願した場合には、第三十一条(2)の規定に基づく国際予備審査の請求をすることができる。
正しい。31条(2)(a)は、第2章に拘束される締約国の居住者又は国民である出願人が、その締約国の受理官庁又はその締約国のために行動する受理官庁に国際出願をしたときに国際予備審査の請求をすることができると定める。
31条(2)(a)は、出願人が規則の定めるところによって第2章の規定に拘束される締約国の居住者又は国民である場合において、そのような締約国の受理官庁又はそのような締約国のために行動する受理官庁に国際出願をしたときは、その出願人は国際予備審査の請求をすることができると定める。第2章は締約国が留保により拘束されないことを選べる部分であるから、請求の資格は第2章に拘束される国との結び付きで決まり、居住又は国籍の要件と、その国の受理官庁への出願という要件を二つとも満たす必要がある。国際事務局を受理官庁とした場合も、国際事務局は出願人の居住国又は国籍国のために行動する受理官庁であるから後者を満たす。二人以上の出願人があるときは少なくとも一人がこの資格を有すれば足りる(規則54.2)。枝は31条(2)(a)の文言どおりである。第2章に拘束されない締約国の居住者又は国民には、総会の決定で請求を認め得る(31条(2)(b))。

出願人が、規則の定めるところによつて、この章の規定に拘束される締約国の居住者又は国民である場合において、そのような締約国の受理官庁又はそのような締約国のために行動する受理官庁に国際出願をしたときは、その出願人は、国際予備審査の請求をすることができる。
誤り。違うのは「後にする選択は、管轄国際予備審査機関に届け出る」の部分である。31条(6)(b)により、後にする選択は国際事務局に届け出る。
31条(4)(a)は、国際予備審査の請求書に出願人が国際予備審査の結果を利用することを意図する締約国(選択国)を表示し、選択国は後にする選択によって追加することができ、選択の対象は既に指定された締約国に限ると定める。その届出先について31条(6)は、国際予備審査の請求は管轄国際予備審査機関に対して行う((a))が、後にする選択は国際事務局に届け出る((b))と書き分けている。請求書は審査を行う機関が受け取るべきものであるのに対し、どの国が選択国になったかは各選択官庁への通知(31条(7))や国内段階の期間の管理に関わる記録であり、国際出願の記録を一元的に管理する国際事務局に集める方が整うからである。枝は後にする選択の届出先を管轄国際予備審査機関としており、31条(6)(b)と食い違う。現行の規則53.7では請求書の提出が第2章に拘束される全ての指定国の選択を構成するが、条約上の後にする選択の届出先は国際事務局のままである。

(a)国際予備審査の請求は、次条に規定する管轄国際予備審査機関に対して行う。(b)後にする選択は、国際事務局に届け出る。
正しい。31条(6)(a)により国際予備審査の請求は管轄国際予備審査機関に対して行い、同(7)により各選択官庁は自己が選択官庁とされた旨の通知を受ける。その通知は規則61.2により国際事務局が行う。
31条(3)は国際予備審査の請求を国際出願とは別個に行うと定め、同(6)(a)は、国際予備審査の請求は32条に規定する管轄国際予備審査機関に対して行うと定める。国際予備審査の請求書は請求の範囲や補正の内容を踏まえて機関が審査を始める書類であるから、受付の窓口は審査を担う機関そのものとされ、受理官庁や国際事務局ではない。他方、国際予備審査の請求は選択国の表示を含み(同(4)(a))、選択官庁は39条により国内段階の期限が優先日から30箇月となるなど処理に影響を受けるので、同(7)は各選択官庁が自己が選択官庁とされた旨の通知を受けると定める。この通知は規則61.2(a)により国際事務局が速やかに行い、規則61.1により国際予備審査機関から国際事務局へ請求書の受理が通知される流れになっている。枝は請求先を管轄国際予備審査機関、通知の主体を国際事務局とする点で条約と規則のとおりである。

(6)(a)国際予備審査の請求は、次条に規定する管轄国際予備審査機関に対して行う。(7)各選択官庁は、自己が選択官庁とされた旨の通知を受ける。
正しい。規則54.2は、第2章に拘束される締約国の居住者又は国民であり、かつ、その締約国の受理官庁又はそのために行動する受理官庁に国際出願した場合に請求の資格を認め、規則54.4は資格を有しない出願人の請求を行われなかったものとみなす。
31条(2)(a)は、出願人が規則の定めるところによって第2章の規定に拘束される締約国の居住者又は国民である場合において、そのような締約国の受理官庁又はそのような締約国のために行動する受理官庁に国際出願をしたときは国際予備審査の請求をすることができると定め、規則54.2はこれを受けて、居住者又は国民であることと、第2章に拘束される締約国の受理官庁又はその締約国のために行動する受理官庁に国際出願したことの両方を要件とする。第2章は締約国が留保できる章であるから、第2章に加わっていない国の官庁にした出願にまで国際予備審査を開くことは留保と整合しない。規則54.4は、出願人のいずれも規則54.2の資格を有しない場合には当該請求は行われなかったものとみなすと定める。枝は後者の要件を欠く場合を述べており、資格を欠くから請求は行われなかったものとみなされる。

国際予備審査の請求をする出願人又は、二人以上の出願人がある場合にはそのうちの少なくとも一人の出願人が、第二章の規定に拘束される締約国の居住者又は国民であり、かつ、第二章の規定に拘束される締約国の受理官庁又はその締約国のために行動する受理官庁に国際出願した場合には、第三十一条(2)の規定に基づく国際予備審査の請求をすることができる。
1国際予備審査は、国際予備審査機関が行う。
2受理官庁は前条(2)(a)にいう国際予備審査の請求につき、総会は同条(2)(b)にいう国際予備審査の請求につき、国際予備審査機関と国際事務局との間の関係取決めに従い、国際予備審査を管轄することとなる一又は二以上の国際予備審査機関を特定する。
3第十六条(3)の規定は、国際予備審査機関について準用する。
正しい。32条(2)は、受理官庁又は総会が、国際予備審査機関と国際事務局との間の関係取決めに従い、国際予備審査を管轄することとなる1又は2以上の国際予備審査機関を特定すると定める。
PCT32条(1)は国際予備審査は国際予備審査機関が行うとし、同(2)は、受理官庁は31条(2)(a)にいう請求(第2章に拘束される締約国の居住者又は国民がその締約国の受理官庁にした国際出願についての請求)につき、総会は31条(2)(b)にいう請求(総会が非締約国等の居住者・国民に認めた請求)につき、国際予備審査機関と国際事務局との間の関係取決めに従い、国際予備審査を管轄することとなる一又は二以上の国際予備審査機関を特定すると定める。どの機関が予備審査を引き受けるかは、機関が国際事務局と結ぶ取決めの範囲内でしか決められないから、受理官庁や総会が勝手に割り当てるのではなく、関係取決めに従って特定する形になっている。国際調査機関について16条(2)が受理官庁は取決めに従って管轄国際調査機関を特定すると定めるのと同じ構造である。枝は32条(2)の文言のとおりであり正しい。

受理官庁は前条(2)(a)にいう国際予備審査の請求につき、総会は同条(2)(b)にいう国際予備審査の請求につき、国際予備審査機関と国際事務局との間の関係取決めに従い、国際予備審査を管轄することとなる一又は二以上の国際予備審査機関を特定する。
誤り。違うのは「最小限資料を所有していなければならない」の部分である。規則63.1(iii)が求めるのは、審査の目的のために適正に整備された第34規則の最小限資料を容易に利用することができるようにしておくことであり、所有ではない。
32条(3)は、国際予備審査機関の選定及び選定の条件について16条(3)を準用し、国際予備審査機関となる国内官庁又は政府間機関は規則に定める最小限の要件を満たしていなければならないとする。規則63.1はその最小限の要件を列挙し、(i)で技術的資格を備えた常勤の従業者を百人以上有すること、(ii)で自ら発行した特許等を最小限資料の部分として調査するために利用できるようにすること、(iii)で少なくとも審査の目的のために適正に整備された第34規則に定める最小限資料を容易に利用することができるようにしておくこと、(iv)で調査の質の管理制度及び内部における検討制度を設けることを求める。国際予備審査の質を各機関で揃えるための要件であるから、資料を手元に所有しているかではなく、審査のときに整備された資料を容易に利用できる状態にあるかが問われる。枝は「所有していなければならない」とするので、(iii)の求める内容と異なる。

国内官庁又は政府間機関は、少なくとも、審査の目的のために適正に整備された第三十四規則に定める最小限資料を容易に利用することができるようにしておかなければならない。
正しい。規則59.2は、31条(2)(b)に基づく国際予備審査の請求について、総会が管轄国際予備審査機関を特定するに当たり、国際出願がされた国内官庁が国際予備審査機関であればその国内官庁を、そうでなければその国内官庁が推薦する機関を優先させると定める。
32条(2)は、31条(2)(a)の出願人による国際予備審査の請求については受理官庁が、31条(2)(b)の総会の決定により認められた出願人による請求については総会が、国際予備審査機関と国際事務局との間の関係取決めに従い、管轄することとなる一又は二以上の国際予備審査機関を特定すると定める。31条(2)(b)の出願人は、非締約国又は第2章に拘束されない締約国の居住者又は国民であり、その国の受理官庁は第2章の手続に関する取決めを持たないから、受理官庁に代えて総会が管轄機関を特定する。規則59.2はその特定の基準として、国際出願がされた国内官庁が国際予備審査機関である場合には当該国内官庁を優先させ、国際予備審査機関でない場合には当該国内官庁が推薦する国際予備審査機関を優先させると定める。出願を受け取った官庁かその官庁が信頼する機関に審査を委ねるのが、言語や資料の面で最も合理的だからである。枝は規則59.2の文言どおりであり正しい。

第三十一条(2)(b)の規定に基づいて行われた国際予備審査の請求については、総会は、いずれかの国内官庁にされた国際出願について管轄する国際予備審査機関を特定するに当たり、当該国内官庁が国際予備審査機関である場合には当該国内官庁を優先させ、当該国内官庁が国際予備審査機関でない場合には当該国内官庁が推薦する国際予備審査機関を優先させる。
| 31条(2)(a)の請求 | 31条(2)(b)の請求 | |
|---|---|---|
| 請求できる出願人 | 第2章に拘束される締約国の居住者又は国民で、その締約国の受理官庁に出願した者である | 非締約国又は第2章に拘束されない締約国の居住者又は国民で、総会が認めた者である |
| 管轄機関を特定する者 | 受理官庁である(規則59.1) | 総会である(規則59.2) |
| 特定の基準 | 国際事務局との関係取決めに従う | 出願先の国内官庁が機関ならその官庁、そうでなければその官庁が推薦する機関を優先する |
正しい。32条(2)は、受理官庁は31条(2)(a)の国際予備審査の請求につき、国際予備審査機関と国際事務局との間の関係取決めに従い、国際予備審査を管轄することとなる一又は二以上の国際予備審査機関を特定すると定める。
32条(1)は国際予備審査は国際予備審査機関が行うと定め、同(2)は、受理官庁は31条(2)(a)にいう国際予備審査の請求につき、総会は同条(2)(b)にいう国際予備審査の請求につき、国際予備審査機関と国際事務局との間の関係取決めに従い、国際予備審査を管轄することとなる一又は二以上の国際予備審査機関を特定すると定める。31条(2)(a)の請求は第2章に拘束される締約国の居住者又は国民がその締約国の受理官庁にした国際出願についての請求であり、同(b)は総会の決定によりパリ条約の締約国等の居住者又は国民に認める請求である。どの国際予備審査機関が国際出願を扱うかは、国際調査機関の管轄と同様に、各機関が国際事務局と締結する取決めで受け入れる受理官庁と言語が決まるので、受理官庁ごとに管轄機関を特定する仕組みである。特定できる機関は一に限られず二以上でもよいので、二以上の機関を特定することができるとする枝は条文の文言どおりである。

受理官庁は前条(2)(a)にいう国際予備審査の請求につき、総会は同条(2)(b)にいう国際予備審査の請求につき、国際予備審査機関と国際事務局との間の関係取決めに従い、国際予備審査を管轄することとなる一又は二以上の国際予備審査機関を特定する。
誤り。違うのは「国際調査機関として選定されている必要はない」の部分である。32条(3)が準用する16条(3)の最小限の要件を定める規則63.1(v)は、国内官庁又は政府間機関は国際調査機関として選定されていなければならないとする。
32条(1)は国際予備審査を国際予備審査機関が行うと定め、32条(3)は国際調査機関の選定に関する16条(3)の規定を国際予備審査機関について準用する。16条(3)(a)により機関は総会が選定し、(c)により選定の前及び選定されている間に満たしていなければならない最小限の要件は規則に定める。これを受けた規則63.1は、十分な技術的資格を備えた常勤の従業者を100人以上有すること、自らの特許文献を調査に利用できるようにすること、規則34の最小限資料を容易に利用できること、質の管理制度を設けることと並べて、(v)で国内官庁又は政府間機関は国際調査機関として選定されていなければならないと定める。国際予備審査は国際調査報告と見解書を前提に新規性・進歩性等を判断する手続であり、調査の能力を持つ機関でなければ適切に行えないから、調査機関の地位を前提条件にしたものである。枝は規則63.1(v)の要件を否定している点が違う。

第三十二条(3)に規定する最小限の要件は、次のとおりとする。(ⅴ)国内官庁又は政府間機関は、国際調査機関として選定されていなければならない。
1国際予備審査は、請求の範囲に記載されている発明が新規性を有するもの、進歩性を有するもの(自明のものではないもの)及び産業上の利用可能性を有するものと認められるかどうかの問題についての予備的なかつ拘束力のない見解を示すことを目的とする。
2国際予備審査に当たつては、請求の範囲に記載されている発明は、規則に定義する先行技術のうちに該当するものがない場合には、新規性を有するものとする。
3国際予備審査に当たつては、請求の範囲に記載されている発明は、所定の基準日に当該技術分野の専門家にとつて規則に定義する先行技術からみて自明のものではない場合には、進歩性を有するものとする。
4国際予備審査に当たつては、請求の範囲に記載されている発明は、いずれかの産業の分野においてその発明の対象がその発明の性質に応じ技術的な意味において生産し又は使用することができるものである場合には、産業上の利用可能性を有するものとする。「産業」の語は、工業所有権の保護に関するパリ条約におけると同様に最も広義に解釈する。
5(1)から(4)までに規定する基準は、国際予備審査にのみ用いる。締約国は、請求の範囲に記載されている発明が自国において特許を受けることができる発明であるかどうかを決定するに当たつては、追加の又は異なる基準を適用することができる。
6国際予備審査に当たつては、国際調査報告に列記されたすべての文献を考慮に入れるものとし、更に、当該事案に関連があると認められる文献をも考慮に入れることができる。
正しい。規則64.3が、基準日前に出願され又は基準日前の先の出願に基づく優先権の主張を伴う出願又は特許で、基準日と同じ日又はその後に公表されたものは、33条(2)(3)の適用上先行技術の一部とはしないと定めている。
規則64.1(a)は、33条(2)(3)の新規性・進歩性の判断の先行技術を、基準日前に世界のいずれかの場所において公衆が利用することができるようにされているすべてのものと定め、規則64.3は、基準日前に出願されており又は基準日前の先の出願に基づく優先権の主張を伴っている出願又は特許であって基準日と同じ日又はその後に公表されたものは、基準日前に公表されたとしたならば先行技術を構成したであろうものであっても、33条(2)(3)の適用上先行技術の一部とはしないと定める。基準日の時点で公衆が知り得なかった未公開の先願は、新規性・進歩性の先行技術には当たらないという理屈であり、日本の29条の2のような拡大先願の扱いは各国の国内法に委ねられる。そのため同規則は、国際予備審査報告において当該出願又は特許につき規則70.10の方法で注意を喚起すると定める。枝は条文のとおりであり正しい。

64.1に定める基準日前に出願されており又はその基準日前にされた先の出願に基づく優先権の主張を伴つている出願又は特許であつて、その基準日と同じ日又はその後に公表されたものは、その基準日前に公表されたとしたならば第三十三条(2)及び(3)の規定の適用上先行技術を構成したであろうとされるものである場合においても、同条(2)及び(3)の規定の適用上、先行技術の一部とはしない。もつとも、国際予備審査報告においては、当該出願又は当該特許につき70.10に定める方法によつて注意を喚起する。
正しい。33条(1)が、国際予備審査は、請求の範囲に記載されている発明が新規性、進歩性(自明のものではないもの)及び産業上の利用可能性を有すると認められるかどうかの問題についての予備的なかつ拘束力のない見解を示すことを目的とすると定めている。
33条(1)は、国際予備審査は、請求の範囲に記載されている発明が新規性を有するもの、進歩性を有するもの(自明のものではないもの)及び産業上の利用可能性を有するものと認められるかどうかの問題についての予備的なかつ拘束力のない見解を示すことを目的とすると定める。国際予備審査は各国の審査に先立って一つの機関が特許性の見通しを示し、出願人が国内段階に進むかどうかを判断し、各国の官庁がその結果を参考にできるようにする手続であり、特許を与えるかどうかは各国の主権に属するから、見解は予備的で拘束力を持たないものとされる。そのため国際予備審査報告は各請求の範囲について基準に適合すると認められるかどうかを是・非で記述するだけで、いずれかの国内法令により特許を受けることができるかどうかの陳述を記載してはならない(35条(2))。枝は条文のとおりであり正しい。

国際予備審査は、請求の範囲に記載されている発明が新規性を有するもの、進歩性を有するもの(自明のものではないもの)及び産業上の利用可能性を有するものと認められるかどうかの問題についての予備的なかつ拘束力のない見解を示すことを目的とする。
正しい。33条(5)が、同条(1)から(4)までの基準は国際予備審査にのみ用い、締約国は自国で特許を受けることができる発明であるかどうかを決定するに当たっては追加の又は異なる基準を適用することができると定めている。
33条(5)は、(1)から(4)までに規定する基準は国際予備審査にのみ用いるとし、締約国は、請求の範囲に記載されている発明が自国において特許を受けることができる発明であるかどうかを決定するに当たっては、追加の又は異なる基準を適用することができると定める。33条(2)から(4)は新規性・進歩性・産業上の利用可能性の意味を国際予備審査のために定義しているが、国際予備審査は予備的なかつ拘束力のない見解を示すにとどまり(33条(1))、特許を与えるかどうかは各選択国の国内法令の判断であるという仕組みである。条約が国内法令の実体的な特許要件を統一するものではないことは27条(5)にも表れており、日本の特許庁も国際予備審査報告に拘束されずに特許法29条の要件で審査する。枝は条文のとおりであり正しい。

(1)から(4)までに規定する基準は、国際予備審査にのみ用いる。締約国は、請求の範囲に記載されている発明が自国において特許を受けることができる発明であるかどうかを決定するに当たつては、追加の又は異なる基準を適用することができる。
誤り。違うのは「すべての文献を考慮に入れる必要はない」の部分である。33条(6)は、国際予備審査に当たっては国際調査報告に列記されたすべての文献を考慮に入れるものとすると定める。
33条(6)は、国際予備審査に当たっては、国際調査報告に列記されたすべての文献を考慮に入れるものとし、更に、当該事案に関連があると認められる文献をも考慮に入れることができると定める。国際予備審査は、国際調査機関が請求の範囲に基づいて発見した関連のある先行技術を前提に、新規性・進歩性・産業上の利用可能性についての予備的な見解を示す手続であり、規則69.1も国際調査報告を受領した時に審査を開始するとしている。国際調査の成果である文献を国際予備審査機関が無視してよいとすれば、二つの段階を積み重ねた条約の仕組みが崩れ、各選択官庁が国際予備審査報告を参考にする意味も薄れる。そのため条約は、列記された文献をすべて考慮に入れることを義務とし、それ以外の関連文献の追加だけを機関の裁量にした。枝は、義務である前段の考慮を不要と言い換えている点で33条(6)とずれる。

国際予備審査に当たつては、国際調査報告に列記されたすべての文献を考慮に入れるものとし、更に、当該事案に関連があると認められる文献をも考慮に入れることができる。
正しい。33条(2)は、国際予備審査に当たっては、請求の範囲に記載されている発明は、規則に定義する先行技術のうちに該当するものがない場合には新規性を有するものとすると定める。
33条(1)は、国際予備審査の目的を、請求の範囲に記載されている発明が新規性、進歩性及び産業上の利用可能性を有すると認められるかどうかについて予備的なかつ拘束力のない見解を示すこととし、同条(2)は、国際予備審査に当たっては、請求の範囲に記載されている発明は規則に定義する先行技術のうちに該当するものがない場合には新規性を有するものとすると定める。先行技術の定義は規則64.1が置き、世界のいずれかの場所で書面による開示により公衆が利用することができるようにされているすべてのものを、基準日前に利用可能になっていたことを条件として先行技術とする。各国の特許要件は国ごとに異なるので、国際予備審査が共通の見解を出すには条約の側で基準を一つに決めておく必要があり、同条(5)がこれらの基準は国際予備審査にのみ用い、締約国は自国で特許を受けることができるかの決定に追加の又は異なる基準を適用することができると断っている。枝は(2)の文言をそのまま述べている。

国際予備審査に当たつては、請求の範囲に記載されている発明は、規則に定義する先行技術のうちに該当するものがない場合には、新規性を有するものとする。
正しい。33条(1)は国際予備審査の目的を新規性・進歩性・産業上の利用可能性についての予備的かつ拘束力のない見解を示すことと定め、同(5)はその基準を国際予備審査にのみ用い、締約国は追加の又は異なる基準を適用できると定める。
33条(1)は、国際予備審査が、請求の範囲に記載されている発明が新規性を有するもの、進歩性を有するもの(自明のものではないもの)及び産業上の利用可能性を有するものと認められるかどうかの問題についての予備的なかつ拘束力のない見解を示すことを目的とすると定め、同(2)から(4)までが国際予備審査における新規性・進歩性・産業上の利用可能性の意味を定める。そして同(5)は、これらの基準は国際予備審査にのみ用い、締約国は、請求の範囲に記載されている発明が自国において特許を受けることができる発明であるかどうかを決定するに当たっては、追加の又は異なる基準を適用することができると定める。条約は国際出願の手続を統一するものであって、特許要件の実体を各国に強いるものではなく(27条(5))、国際予備審査報告も選択官庁の審査の参考に供される資料にとどまるからである。枝は33条(1)と(5)の文言どおりである。

(1)から(4)までに規定する基準は、国際予備審査にのみ用いる。締約国は、請求の範囲に記載されている発明が自国において特許を受けることができる発明であるかどうかを決定するに当たつては、追加の又は異なる基準を適用することができる。
1国際予備審査機関における手続は、この条約、規則並びに国際事務局がこの条約及び規則に従つて当該国際予備審査機関と締結する取決めの定めるところによる。
2(a) 出願人は、国際予備審査機関と口頭及び書面で連絡する権利を有する。 (b) 出願人は、国際予備審査報告が作成される前に、所定の方法で及び所定の期間内に、請求の範囲、明細書及び図面について補正をする権利を有する。この補正は、出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはならない。 (c) 出願人は、国際予備審査機関が次のすべての条件が満たされていると認める場合を除くほか、少なくとも一回当該国際予備審査機関から書面による見解を示される。 (i) 発明が前条(1)に規定する基準に適合していること。 (ii) 国際出願が当該国際予備審査機関の点検した範囲内でこの条約及び規則に定める要件を満たしていること。 (iii) 当該国際予備審査機関が次条(2)の末文の意見を述べることを意図していないこと。 (d) 出願人は、書面による見解に対して答弁をすることができる。
3(a) 国際予備審査機関は、国際出願が規則に定める発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合には、出願人に対し、その選択によりその要件を満たすように請求の範囲を減縮し又は追加手数料を支払うことを求めることができる。 (b) 選択国の国内法令は、(a)の規定により出願人が請求の範囲を減縮することを選択する場合に、その減縮の結果国際予備審査の対象とならない国際出願の部分は、当該選択国における効果に関する限り、出願人が当該選択国の国内官庁に特別手数料を支払つた場合を除くほか、取り下げられたものとみなすことを定めることができる。 (c) 出願人が所定の期間内に(a)の求めに応じない場合には、国際予備審査機関は、国際出願のうち主発明であると認められる発明に係る部分について国際予備審査報告を作成し、この報告に関係事実を記載する。選択国の国内法令は、当該選択国の国内官庁が国際予備審査機関の求めを正当であると認める場合に、主発明に係る部分以外の国際出願の部分は、当該選択国における効果に関する限り、出願人が当該国内官庁に特別手数料を支払つた場合を除くほか、取り下げられたものとみなすことを定めることができる。
4(a) 国際予備審査機関は、国際出願について次のいずれかの事由がある場合には、前条(1)の問題を検討することなく、出願人に対しその旨の見解及びその根拠を通知する。 (i) 当該国際予備審査機関が、当該国際出願の対象が規則により国際予備審査機関による国際予備審査を要しないとされているものであると認め、かつ、当該国際出願について国際予備審査を行わないことを決定したこと。 (ii) 当該国際予備審査機関が、明細書、請求の範囲若しくは図面が明瞭でないため又は請求の範囲が明細書により十分な裏付けをされていないため、請求の範囲に記載されている発明の新規性、進歩性(自明のものではないこと)又は産業上の利用可能性について有意義な見解を示すことができないと認めたこと。 (b) (a)に規定するいずれかの事由が一部の請求の範囲のみについて又は一部の請求の範囲のみとの関連においてある場合には、(a)の規定は、当該請求の範囲のみについて適用する。
正しい。34条(2)(c)は、所定の条件が全て満たされていると機関が認める場合を除き、出願人は少なくとも1回書面による見解を示されると定め、同(d)はこれに答弁できると定める。
PCT34条(2)(c)は、出願人は、国際予備審査機関が、発明が33条(1)の基準に適合していること、国際出願が点検した範囲内で条約及び規則の要件を満たしていること、機関が35条(2)末文の意見を述べることを意図していないことの全てが満たされていると認める場合を除くほか、少なくとも一回当該機関から書面による見解を示されると定め、同(d)は出願人は書面による見解に対して答弁をすることができると定める。国際予備審査報告は選択官庁での審査の参考になる文書であるから、否定的な報告を出す前に出願人へ反論と補正の機会を与えることにしたのである。実際には国際調査機関の書面による見解が規則66.1の2により国際予備審査機関の書面による見解とみなされ、これに対する答弁書や34条補正が出願人の対応の中心になる。全ての条件が満たされ肯定的な報告が出る場合に見解が省かれるのが、枝のいう「所定の場合」である。

(c)出願人は、国際予備審査機関が次のすべての条件が満たされていると認める場合を除くほか、少なくとも一回当該国際予備審査機関から書面による見解を示される。(ⅰ)発明が前条(1)に規定する基準に適合していること。(ⅱ)国際出願が当該国際予備審査機関の点検した範囲内でこの条約及び規則に定める要件を満たしていること。(ⅲ)当該国際予備審査機関が次条(2)の末文の意見を述べることを意図していないこと。(d)出願人は、書面による見解に対して答弁をすることができる。
誤り。違うのは「その旨及びその理由を通知することなく、国際予備審査報告を作成することができる」の部分である。補正が出願時の範囲を超えているときは、審査官は報告の作成前にその旨と理由を通知し答弁書を提出する機会を与えなければならない(国際出願法13条2号・同施行規則61条1項2号)。
特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律13条は、審査官は国際出願が、請求の範囲の発明に新規性、進歩性又は産業上の利用可能性がないとき(1号)、又はPCT35条(2)の意見を述べる必要があるときその他経済産業省令で定めるとき(2号)に該当するときは、報告の作成前に出願人にその旨及び理由を通知し、相当の期間を指定して答弁書を提出する機会を与えなければならないと定める。同法施行規則61条1項2号は、2号の省令で定めるときとして、PCT19条(1)又は同法11条の規定による補正が出願時における明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲を超えてされているときを挙げる。PCT規則66.2(a)(iv)と34条(2)(d)を国内法で受けたものである。範囲を超える補正は規則70.2(c)により報告ではされなかったものとして扱われるが、その前に反論の機会を与えるのである。通知なく報告を作成できるとする枝は、13条の義務と逆である。

審査官は、国際予備審査の請求に係る国際出願が次の各号の一に該当するときは、国際予備審査報告の作成前に、出願人に対しその旨及びその理由を通知し、相当の期間を指定して、答弁書を提出する機会を与えなければならない。一 請求の範囲に記載されている発明に、条約第三十三条(2)、(3)又は(4)に規定する新規性、進歩性又は産業上の利用可能性がないとき。二 国際予備審査報告において条約第三十五条(2)に規定する意見を述べる必要があるときその他経済産業省令で定めるとき。
正しい。34条(3)(a)が、単一性の要件を満たしていないと認める場合には出願人の選択により請求の範囲の減縮又は追加手数料の支払を求めることができると定め、規則68.3(c)が、出願人は理由を示した陳述書を添付して異議を申し立てて追加手数料を支払うことができると定めている。
34条(3)(a)は、国際予備審査機関は国際出願が規則に定める発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合には、出願人に対し、その選択によりその要件を満たすように請求の範囲を減縮し又は追加手数料を支払うことを求めることができると定める。規則68.3(c)は、出願人は異議を申し立てて、すなわち、国際出願が発明の単一性の要件を満たしている旨又は要求された追加手数料の額が過大である旨の理由を示した陳述書を添付して、追加手数料を支払うことができると定め、異議は国際予備審査機関の枠組みにおいて設置される検査機関が審理し、正当と認める限度で追加手数料を払い戻す。国際調査機関の17条(3)(a)が追加手数料の支払だけを求めるのに対し、国際予備審査では請求の範囲の減縮という道を加え、求めずに全体を審査して報告に理由を記載する道も残している(規則68.1)。枝は条文のとおりであり正しい。

国際予備審査機関は、国際出願が規則に定める発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合には、出願人に対し、その選択によりその要件を満たすように請求の範囲を減縮し又は追加手数料を支払うことを求めることができる。
| 国際調査機関(17条(3)・規則40) | 国際予備審査機関(34条(3)・規則68) | |
|---|---|---|
| 求めの内容 | 追加手数料の支払を求める | 請求の範囲の減縮か追加手数料の支払かを出願人の選択で求めることができる |
| 求めない選択 | ない | 求めずに全体を審査し、見解書と報告に理由を記載できる(規則68.1) |
| 期限 | 求めの日から1月である(規則40.1) | 求めの日から1月である(規則68.2) |
| 応じないとき | 主発明と支払われた発明について報告を作成する | 主発明と認められる発明について報告を作成する(規則68.5) |
| 異議 | 陳述を添えて異議を申し立てて支払える(規則40.2(c)) | 陳述書を添えて異議を申し立てて支払える(規則68.3(c)) |
正しい。35条(3)(a)は、国際予備審査報告の作成の際現に34条(4)(a)のいずれかの事由があると認める場合には報告にその旨の見解及びその根拠を記述すると定め、枝の事由は34条(4)(a)(i)に当たる。
34条(4)(a)は、国際予備審査機関が、(i)国際出願の対象が規則により国際予備審査を要しないとされているものであると認め、かつ、その国際出願について国際予備審査を行わないことを決定したこと、(ii)明細書等が明瞭でないため又は請求の範囲が明細書により十分な裏付けをされていないため有意義な見解を示すことができないと認めたこと、のいずれかの事由がある場合には、33条(1)の問題を検討することなく出願人にその旨の見解及びその根拠を通知すると定める。35条(3)(a)は、報告の作成の際現にこれらの事由があると認める場合には、国際予備審査報告にその旨の見解及びその根拠を記述し、新規性等の基準への適合の記述はしないと定める。審査を要しない対象について新規性等の見解を書く意味はないので、代わりに審査しなかった理由を報告に残し、選択官庁がその事情を知れるようにしたものである。枝は(i)の事由を35条(3)(a)に当てはめた内容であり正しい。

国際予備審査機関は、国際予備審査報告の作成の際現に前条(4)(a)に規定するいずれかの事由があると認める場合には、国際予備審査報告にその旨の見解及びその根拠を記述する。国際予備審査報告には、(2)のいかなる記述もしてはならない。
正しい。規則66.3(a)は、補正をすることにより若しくは抗弁を提出することにより又はその双方を行うことにより規則66.2(c)の求めに対して答弁できると定め、(b)は答弁を国際予備審査機関に直接に提出すると定めている。
34条(2)(c)は、出願人は、国際予備審査機関が発明が基準に適合する等の全ての条件が満たされていると認める場合を除き、少なくとも一回は書面による見解を示されると定め、(d)は出願人がこれに答弁できると定める。規則66.2(c)は、書面による見解の通知において答弁書及び適当な場合には補正書を提出することを出願人に求めるとし、規則66.3(a)は、出願人は、補正をすることにより若しくは、国際予備審査機関の見解に同意しない場合には、抗弁を提出することにより又はその双方を行うことにより、この求めに対して答弁をすることができると定め、(b)はその答弁を国際予備審査機関に直接に提出するとする。見解に従って請求の範囲を直すか、見解に反論するか、その両方かを出願人が選べるようにし、国際予備審査は国際事務局を介さず機関と出願人の間で直接やり取りする仕組みであるから、提出先も機関としたものである。枝は規則66.3(a)と(b)のとおりである。

(a) 出願人は、補正をすることにより若しくは、国際予備審査機関の見解に同意しない場合には、抗弁を提出することにより又はその双方を行うことにより、66.2(c)に規定する国際予備審査機関の求めに対して答弁をすることができる。(b) (a)の答弁は、国際予備審査機関に直接に提出する。
正しい。規則66.1(e)は、国際調査報告が作成されていない発明に関する請求の範囲は国際予備審査の対象とすることを必要としないと定め、規則70.2(d)は、そのため国際予備審査の対象とならないときは報告にその旨を表示すると定める。
規則66.1(e)は、国際調査報告が作成されていない発明に関する請求の範囲は、国際予備審査の対象とすることを必要としないと定める。発明の単一性を欠く国際出願で追加手数料が支払われなかった発明や、17条(2)の宣言により調査がされなかった対象がこれに当たる。33条(6)のとおり国際予備審査は国際調査報告に列記された文献を考慮して行われるから、調査の結果が無い発明について予備的な見解を示すことを機関に求めない仕組みである。そのうえで規則70.2(d)は、請求の範囲が国際調査報告の作成されていない発明に関する場合であって、そのため国際予備審査の対象とならないときは、報告にその旨を表示すると定める。選択官庁は報告のどの請求の範囲について見解が示されていないかを知る必要があるため、対象外の旨を報告自体に記載させる。枝は規則66.1(e)と規則70.2(d)の文言どおりであり正しい。34条(4)(a)の事由があるときも、その見解と根拠を報告に記述する(35条(3))。

請求の範囲が国際調査報告の作成されていない発明に関する場合であつて、そのため国際予備審査の対象とならないときは、報告にその旨を表示する。
正しい。規則67.1(iv)は、国際出願の対象が人体又は動物の体の診断方法である場合には国際予備審査を行うことを要しないと定めるにとどまり、行うことを禁じていないから、国際予備審査機関は国際予備審査を行うことができる。
34条(4)(a)(i)は、国際予備審査機関が、国際出願の対象が規則により国際予備審査を要しないとされているものであると認め、かつ、その国際出願について国際予備審査を行わないことを決定した場合には、33条(1)の問題を検討することなく出願人にその旨の見解と根拠を通知すると定める。規則67.1は、国際出願の対象の全部又は一部が科学及び数学の理論、植物及び動物の品種、事業活動の方法、手術又は治療による人体又は動物の体の処置方法及び人体又は動物の体の診断方法、情報の単なる提示などである場合には、機関はその全部又は一部について国際予備審査を行うことを要しないと定める。要しないという書き方は機関の義務を外すだけで、審査する権限を奪うものではない。各国で特許の対象になるかどうかは国内法令によって異なるから、機関の態勢に応じて見解を示す余地を残している。したがって、動物の体の診断方法でも国際予備審査を行うことができるとする枝は正しい。

国際予備審査機関は、国際出願の対象の全部又は一部が次のいずれかである場合には、当該国際出願の全部又は一部について国際予備審査を行うことを要しない。(ⅰ)科学及び数学の理論 (ⅱ)植物及び動物の品種又は植物及び動物の生産の本質的に生物学的な方法。ただし、微生物学的方法及び微生物学的方法による生産物については、この限りでない。(ⅲ)事業活動、純粋に精神的な行為の遂行又は遊戯に関する計画、法則又は方法 (ⅳ)手術又は治療による人体又は動物の体の処置方法及び人体又は動物の体の診断方法 (ⅴ)情報の単なる提示 (ⅵ)コンピューター・プログラムのうち国際予備審査機関が当該プログラムについて国際予備審査を行う態勢にある範囲外のもの
正しい。34条(2)(a)は、出願人は国際予備審査機関と口頭及び書面で連絡する権利を有すると定める。
34条(2)(a)は、出願人は、国際予備審査機関と口頭及び書面で連絡する権利を有すると定める。国際予備審査は、国際調査と違って出願人と機関とのやり取りを前提にした手続であり、機関は少なくとも1回書面による見解を示し(34条(2)(c))、出願人はそれに答弁し(同(d))、報告が作成される前に請求の範囲・明細書・図面を補正する権利を持つ(同(b))。書面のやり取りだけでは誤解が残る場合もあるため、条約は書面に加えて口頭での連絡の権利を出願人に認め、規則66.6は、国際予備審査機関がいつでも出願人と非公式に口頭又は書面で連絡できるとして機関の側からの連絡にも道を開いている。枝は34条(2)(a)の文言どおりであり正しい。国際調査の段階には同様の規定はなく、国際調査機関の書面による見解に対して出願人が国際調査機関に答弁する手続は無い。

出願人は、国際予備審査機関と口頭及び書面で連絡する権利を有する。
正しい。184条の8第1項は、外国語特許出願に係る条約34条(2)(b)の補正については、国内処理基準時の属する日までに補正書の日本語による翻訳文を特許庁長官に提出しなければならないと定める。
184条の8第1項は、国際特許出願の出願人が条約34条(2)(b)の規定に基づく補正をしたときは、国内処理基準時の属する日までに、外国語特許出願に係る補正にあっては当該補正書の日本語による翻訳文を特許庁長官に提出しなければならないと定める。外国語特許出願では翻訳文が願書に添付した書面とみなされ、審査は日本語の翻訳文を基礎に行われるので、国際予備審査の段階でされた補正を国内段階に反映させるには、原語の補正書ではなくその日本語訳が要る。そのため日本語特許出願では補正書の写しで足りるのに対し、外国語特許出願では補正書の翻訳文の提出を求めている。翻訳文が提出されると17条の2第1項の補正がされたものとみなされ(同条2項)、その補正は誤訳訂正書を提出してされたものとみなされる(同条4項)。日本語特許出願と異なり、36条(3)(a)の送達は翻訳文の提出に代わらない(2項ただし書)。期間内に提出がなければ34条の補正はされなかったものとみなされる(同条3項)。枝は1項の文言どおりである。

第一項に規定する期間内に国際特許出願の出願人により同項に規定する手続がされなかつたときは、条約第三十四条(2)(b)の規定に基づく補正は、されなかつたものとみなす。ただし、前項ただし書に規定するときは、この限りでない。
正しい。184条の8第1項は、条約34条(2)(b)の補正をした国際特許出願の出願人は、国内処理基準時の属する日までに、日本語特許出願に係る補正にあっては補正書の写しを特許庁長官に提出しなければならないと定める。
184条の8第1項は、国際特許出願の出願人は、条約34条(2)(b)の規定に基づく補正をしたときは、国内処理基準時の属する日までに、日本語特許出願に係る補正にあっては同条(2)(b)の規定に基づき提出された補正書の写しを、外国語特許出願に係る補正にあっては当該補正書の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならないと定める。34条の補正は国際予備審査機関に対してされ、その内容は国際予備審査報告の附属書類として条約36条(3)(a)により選択官庁に送達されるが、送達を待たずに国内段階の審査の基礎を確定できるよう、出願人に写しの提出を義務づけたものである。写しが提出されると17条の2第1項の補正がされたものとみなされ、日本語特許出願については期間内に36条(3)(a)の送達があったときも同じである(同条2項)。期間内に手続がなければ34条の補正はされなかったものとみなされる(同条3項)。枝は1項の日本語特許出願の部分の文言どおりである。

国際特許出願の出願人は、条約第三十四条(2)(b)の規定に基づく補正をしたときは、国内処理基準時の属する日までに、日本語特許出願に係る補正にあつては同条(2)(b)の規定に基づき提出された補正書の写しを、外国語特許出願に係る補正にあつては当該補正書の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。
誤り。違うのは「請求の範囲が明細書により十分な裏付けをされていないと認めた場合に限り」の部分である。34条(4)(a)は、明瞭性や裏付けの欠如のほか、対象が国際予備審査を要しないものであると認めて審査を行わないことを決定した場合にも、33条(1)の問題を検討することなく見解と根拠を通知すると定める。
34条(4)(a)は、国際予備審査機関が33条(1)の新規性、進歩性及び産業上の利用可能性の問題を検討することなく出願人にその旨の見解及びその根拠を通知する事由として二つを並べている。一つは、国際出願の対象が規則により国際予備審査を要しないとされているもの(規則67.1の科学及び数学の理論、治療方法、事業活動の方法など)であると認め、かつ、その国際出願について国際予備審査を行わないことを決定したことである((i))。もう一つは、明細書、請求の範囲若しくは図面が明瞭でないため、又は請求の範囲が明細書により十分な裏付けをされていないため、特許性について有意義な見解を示すことができないと認めたことである((ii))。どちらも、実質的な判断に入る前提を欠く点で共通し、無理に是非を述べるより理由を示して出願人に知らせる方が指定国の審査にも役立つという理屈である。枝は(ii)だけを挙げて「に限り」としている点で、(i)の事由を落としている。

国際予備審査機関は、国際出願について次のいずれかの事由がある場合には、前条(1)の問題を検討することなく、出願人に対しその旨の見解及びその根拠を通知する。(ⅰ)当該国際予備審査機関が、当該国際出願の対象が規則により国際予備審査機関による国際予備審査を要しないとされているものであると認め、かつ、当該国際出願について国際予備審査を行わないことを決定したこと。(ⅱ)当該国際予備審査機関が、明細書、請求の範囲若しくは図面が明瞭でないため又は請求の範囲が明細書により十分な裏付けをされていないため、請求の範囲に記載されている発明の新規性、進歩性(自明のものではないこと)又は産業上の利用可能性について有意義な見解を示すことができないと認めたこと。
正しい。規則67.1(vi)は、国際出願の対象の全部又は一部が、コンピューター・プログラムのうち国際予備審査機関がそのプログラムについて国際予備審査を行う態勢にある範囲外のものである場合には、その全部又は一部について国際予備審査を行うことを要しないと定める。
34条(4)(a)(i)は、国際出願の対象が規則により国際予備審査を要しないとされているものである場合を定め、これを受けた規則67.1が要しない対象を列挙している。科学及び数学の理論、植物及び動物の品種又はその生産の本質的に生物学的な方法(微生物学的方法とその生産物を除く)、事業活動・純粋に精神的な行為の遂行・遊戯に関する計画や方法、手術又は治療による処置方法と診断方法、情報の単なる提示に続き、(vi)としてコンピューター・プログラムのうち国際予備審査機関がそのプログラムについて国際予備審査を行う態勢にある範囲外のものを挙げる。各国でコンピューター・プログラムの保護の扱いが分かれ、機関によって審査の体制も違うため、態勢の範囲外であれば審査を義務付けないという定めである。要しないのであって禁じられてはいないから、態勢があれば行ってよい。枝は規則67.1(vi)の対象と効果をそのまま述べている。

国際予備審査機関は、国際出願の対象の全部又は一部が次のいずれかである場合には、当該国際出願の全部又は一部について国際予備審査を行うことを要しない。(ⅵ)コンピューター・プログラムのうち国際予備審査機関が当該プログラムについて国際予備審査を行う態勢にある範囲外のもの
正しい。規則66.1(b)は、出願人が国際予備審査の請求書の提出の時又は国際予備審査報告が作成されるまでの間、34条の規定に基づく補正書を提出することができると定める。
34条(2)(b)は、出願人が国際予備審査報告が作成される前に、所定の方法で及び所定の期間内に請求の範囲、明細書及び図面について補正をする権利を有すると定め、この補正は出願時における国際出願の開示の範囲を超えてはならないとする。規則66.1(a)は国際予備審査を出願時における国際出願に基づき行うことを原則としつつ、同条(b)で、出願人は国際予備審査の請求書の提出の時又は規則66.4の2に従うことを条件として国際予備審査報告が作成されるまでの間、34条の規定に基づく補正書を提出することができると定める。国際予備審査は書面による見解と答弁を繰り返して特許性の見解を固める手続であるから、請求書と同時に出す補正に限らず、報告の作成までは補正の機会を開いておく必要があるのである。ただし規則66.4の2により、報告の作成を開始した後に受理した補正書は考慮に入れることを必要としない。枝は規則66.1(b)の内容をそのまま述べている。

出願人は、国際予備審査の請求書の提出の時又は66.4の2の規定に従うことを条件として国際予備審査報告が作成されるまでの間、第三十四条の規定に基づく補正書を提出することができる。
誤り。違うのは「出願人は、異議を申し立てることができない」の部分である。規則68.3(c)により、出願人は単一性を満たしている旨又は追加手数料の額が過大である旨の陳述書を添えて異議を申し立てて追加手数料を支払うことができる。
34条(3)(a)は、国際予備審査機関は国際出願が規則に定める発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合には、出願人に対しその選択によりその要件を満たすように請求の範囲を減縮し又は追加手数料を支払うことを求めることができると定める。規則68.3(c)は、出願人は異議を申し立てて、すなわち国際出願が発明の単一性の要件を満たしている旨又は要求された追加手数料の額が過大である旨の理由を示した陳述書を添付して、追加手数料を支払うことができるとし、異議は国際予備審査機関の枠組みにおいて設置される検査機関が審理して、正当と認める限度で追加手数料の全部又は一部の払戻しを命ずると定める。単一性の判断は機関の一応の見解にすぎず、出願人がこれを争う手段を持たなければ手数料の支払を強いられるだけになるから、支払の上で争う道を置いたものである。枝は異議を申し立てることができないとしており、規則68.3(c)と食い違う。

出願人は、異議を申し立てて、すなわち、国際出願が発明の単一性の要件を満たしている旨又は要求された追加手数料の額が過大である旨の理由を示した陳述書を添付して、追加手数料を支払うことができる。異議は、国際予備審査機関の枠組みにおいて設置される検査機関が審理するものとし、この機関は、異議を正当と認める限度において追加手数料の全部又は一部を出願人に払い戻すことを命ずる。異議及び当該異議についての決定の書面は、出願人の請求により、国際予備審査報告の附属書類として選択官庁に通知する。
| 国際調査機関(17条(3)・規則40) | 国際予備審査機関(34条(3)・規則68) | |
|---|---|---|
| 求めの内容 | 追加手数料の支払を求める | 請求の範囲の減縮か追加手数料の支払かを出願人の選択で求めることができる |
| 期限 | 求めの日から1月である(規則40.1) | 求めの日から1月である(規則68.2) |
| 応じないとき | 主発明と支払われた発明について報告を作成する | 主発明と認められる発明について報告を作成する(34条(3)(c)) |
| 異議 | 陳述を添えて異議を申し立てて支払える(規則40.2(c)) | 陳述書を添えて異議を申し立てて支払える(規則68.3(c)) |
誤り。違うのは「国際予備審査機関は、出願人と面談しなければならない」の部分である。規則66.6により、出願人が請求する場合に二回以上の面談を認めるかどうかは国際予備審査機関がその裁量により決定する。
34条(2)(a)は、出願人は国際予備審査機関と口頭及び書面で連絡する権利を有すると定める。その具体的な扱いを定める規則66.6は、国際予備審査機関は電話、書面又は面談により随時出願人と非公式の連絡をすることができるとした上で、国際予備審査機関はその裁量により、出願人が請求する場合に二回以上の面談を認めるかどうか又は出願人からの書面による非公式の連絡に対して回答するかどうかを決定すると定める。出願人に保障されているのは書面による見解に対して補正書又は抗弁で答弁する機会(34条(2)(d)・規則66.3)であり、面談はそれを補う非公式の連絡にとどまるから、繰り返しの面談まで機関に義務づけると報告の期限(規則69.2)の中で審査が回らなくなる。枝は所定の期間内の請求であれば二回以上の面談に応じなければならないとしており、裁量とする規則66.6と食い違う。前半の口頭及び書面で連絡する権利の部分は34条(2)(a)のとおりである。

国際予備審査機関は、電話、書面又は面談により、随時、出願人と非公式の連絡をすることができる。国際予備審査機関は、その裁量により、出願人が請求する場合に二回以上の面談を認めるかどうか又は出願人からの書面による非公式の連絡に対して回答するかどうかを決定する。
誤り。違うのは「常に、請求の範囲に最初に記載されている発明について国際予備審査報告を作成する」の部分である。34条(3)(c)により報告は主発明と認められる発明について作成し、規則68.5により最初に記載された発明を主発明とみなすのはいずれが主発明か疑わしい場合に限られる。
34条(3)(a)は、国際予備審査機関は国際出願が発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合には、出願人に対しその選択により請求の範囲を減縮し又は追加手数料を支払うことを求めることができると定め、同(c)は、出願人が所定の期間内にその求めに応じない場合には、国際出願のうち主発明であると認められる発明に係る部分について国際予備審査報告を作成すると定める。規則68.5は、34条(3)(c)の適用上、いずれの発明が主発明であるか疑わしい場合には、請求の範囲に最初に記載されている発明を主発明とみなすとする。主発明は本来、出願の中心となる発明を機関が認定するものであり、最初の発明を主発明とするのは認定が付かないときの補助的な決め方にすぎない。枝は常に最初に記載されている発明について報告を作成するとしており、規則68.5の「疑わしい場合」の限定を落としている。国際調査機関の側では17条(3)(a)により、請求の範囲に最初に記載されている発明を主発明として国際調査報告を作成する点が異なる。

第三十四条(3)(c)の規定の適用上、いずれの発明が主発明であるか疑わしい場合には、請求の範囲に最初に記載されている発明を主発明とみなす。
| 国際調査機関(17条(3)) | 国際予備審査機関(34条(3)(c)・規則68.5) | |
|---|---|---|
| 報告の対象 | 請求の範囲に最初に記載されている発明(主発明)と追加手数料が支払われた発明である | 主発明であると認められる発明である |
| 最初の発明の扱い | 常に主発明として調査する | いずれが主発明か疑わしい場合に限り主発明とみなす |
正しい。34条(3)(a)は単一性を欠く場合に減縮又は追加手数料の支払を求めることができると定め、減縮しても単一性が満たされないときは規則68.4により34条(3)(c)の手続、すなわち主発明に係る部分のみの報告作成となる。
34条(3)(a)は、国際予備審査機関は、国際出願が規則に定める発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合には、出願人に対し、その選択によりその要件を満たすように請求の範囲を減縮し又は追加手数料を支払うことを求めることができると定める。出願人が減縮を選んでも、規則68.4は、減縮した結果なお発明の単一性の要件が満たされるに至らないときは、国際予備審査機関は34条(3)(c)の定めるところにより手続をとると定める。34条(3)(c)は、所定の期間内に求めに応じない場合に主発明であると認められる発明に係る部分について国際予備審査報告を作成するという規定であるから、不十分な減縮の場合も主発明以外の発明に係る部分については報告が作成されないことになる。単一性を回復できない減縮を求めに応じたものとして扱えば制度の意味がなくなるため、応じなかった場合と同じ扱いにしたものである。枝は34条(3)(a)と規則68.4の内容のとおりであり正しい。

出願人が請求の範囲を減縮した場合において、発明の単一性の要件が満たされるに至らないときは、国際予備審査機関は、第三十四条(3)(c)の定めるところにより手続をとる。
| 国際調査機関(17条(3)・規則40) | 国際予備審査機関(34条(3)・規則68) | |
|---|---|---|
| 求めの内容 | 追加手数料の支払を求める | 請求の範囲の減縮か追加手数料の支払かを出願人の選択で求めることができる |
| 求めない選択 | ない | 求めずに全体を審査し、見解書と報告に理由を記載できる(規則68.1) |
| 期限 | 求めの日から1月(規則40.1) | 求めの日から1月(規則68.2) |
| 応じないとき | 主発明と支払われた発明について報告を作成する | 主発明と認められる発明について報告を作成する。不十分な減縮も同じ(規則68.4) |
| 主発明の決め方 | 請求の範囲に最初に記載された発明 | 疑わしい場合だけ最初の発明を主発明とみなす(規則68.5) |
誤り。違うのは「補正を伴わない抗弁の提出のみによる答弁はすることができない」の部分である。34条(2)(d)・規則66.3(a)により、出願人は補正をすることにより、抗弁を提出することにより、又はその双方を行うことにより書面による見解に答弁でき、抗弁のみの答弁も認められる。
34条(2)(c)は、出願人が、発明が33条(1)の基準に適合しているなど所定の条件が全て満たされていると国際予備審査機関が認める場合を除き、少なくとも1回は書面による見解を示されると定め、同(d)は、出願人は書面による見解に対して答弁をすることができると定める。その答弁の方法を規則66.3(a)が、出願人は、補正をすることにより若しくは、国際予備審査機関の見解に同意しない場合には、抗弁を提出することにより又はその双方を行うことにより、規則66.2(c)の求めに対して答弁をすることができる、と具体化している。国際予備審査は33条(1)の予備的かつ拘束力のない見解を示す手続であるから、新規性がないという機関の判断に出願人が同意しないときに、請求の範囲を直さずに反論だけで争う途を閉ざす理由はない。むしろ見解の誤りを正すための意見の交換が34条(2)(a)の口頭及び書面で連絡する権利の中心である。枝は抗弁のみによる答弁を認めない点で規則66.3(a)と食い違う。

出願人は、補正をすることにより若しくは、国際予備審査機関の見解に同意しない場合には、抗弁を提出することにより又はその双方を行うことにより、66.2(c)に規定する国際予備審査機関の求めに対して答弁をすることができる。
正しい。規則66.1(b)は請求書の提出の時又は国際予備審査報告が作成されるまでの間に34条補正書を提出できると定め、規則66.4の2は報告の作成を開始した後に受理した補正書を考慮に入れることを必要としないとする。
34条(2)(b)は、出願人は国際予備審査報告が作成される前に、所定の方法で及び所定の期間内に請求の範囲、明細書及び図面について補正をする権利を有すると定め、規則66.1(b)はこれを受けて、出願人は国際予備審査の請求書の提出の時又は規則66.4の2に従うことを条件として国際予備審査報告が作成されるまでの間、34条の補正書を提出することができると定める。そして規則66.4の2は、国際予備審査機関が書面による見解又は国際予備審査報告の作成を開始した後に補正書、抗弁又は明白な誤記の訂正を受理した場合には、見解又は報告のためにそれらを考慮に入れることを必要としないと定める。作成に着手した後の補正まで取り込ませると報告の期限を守れなくなるため、機関の裁量に委ねたものである。枝は提出できる期間と考慮されない場合があることの両方を述べており、規則と一致する。

国際予備審査機関は、書面による見解又は国際予備審査報告の作成を開始した後に補正書、抗弁、又は明白な誤記の訂正を受理し、許可し、又は当該機関に対して通知された場合には、書面による見解又は国際予備審査報告のために当該補正書、抗弁、又は明白な誤記の訂正を考慮に入れることを必要としない。
正しい。35条(3)(a)により、報告の作成の際現に34条(4)(a)の事由があると認める場合には、報告にその旨の見解と根拠を記述し、35条(2)の新規性・進歩性・産業上の利用可能性についての記述はしてはならない。
34条(4)(a)は、国際出願の対象が国際予備審査を要しないものである場合((i))、又は明細書、請求の範囲若しくは図面が明瞭でないため又は請求の範囲が明細書により十分な裏付けをされていないため有意義な見解を示すことができないと認めた場合((ii))には、33条(1)の問題を検討することなく出願人にその旨の見解と根拠を通知すると定める。35条(3)(a)はこれを報告の段階に置き直し、報告の作成の際現にその事由があると認める場合には報告にその旨の見解及びその根拠を記述し、報告には(2)のいかなる記述もしてはならないとする。請求の範囲が何を指すか定まらないのに特許性の見解を示しても意味がなく、選択官庁を誤らせるからである。枝は(ii)の事由がある場合について35条(3)(a)の内容を述べており、条約と一致する。

国際予備審査機関は、国際予備審査報告の作成の際現に前条(4)(a)に規定するいずれかの事由があると認める場合には、国際予備審査報告にその旨の見解及びその根拠を記述する。国際予備審査報告には、(2)のいかなる記述もしてはならない。
1国際予備審査報告は、所定の期間内に、所定の形式で作成する。
2国際予備審査報告には、請求の範囲に記載されている発明がいずれかの国内法令により特許を受けることができる発明であるかどうか又は特許を受けることができる発明であると思われるかどうかの問題についてのいかなる陳述をも記載してはならない。国際予備審査報告には、(3)の規定が適用される場合を除くほか、請求の範囲が国際予備審査に当たつての第三十三条(1)から(4)までに規定する新規性、進歩性(自明のものではないこと)及び産業上の利用可能性の基準に適合していると認められるかどうかを各請求の範囲について記述する。その記述には、その記述の結論を裏付けると認められる文献を列記するものとし、場合により必要な説明を付する。また、その記述には、規則に定める他の意見を付する。
3(a) 国際予備審査機関は、国際予備審査報告の作成の際現に前条(4)(a)に規定するいずれかの事由があると認める場合には、国際予備審査報告にその旨の見解及びその根拠を記述する。国際予備審査報告には、(2)のいかなる記述もしてはならない。 (b) 前条(4)(b)に規定する事情があると認められる場合には、国際予備審査報告には、同条(4)(b)にいう一部の請求の範囲については(a)の記述をするものとし、他の請求の範囲については(2)の記述をする。
誤り。違うのは「意見が付されることはない」の部分である。35条(2)末文は記述に規則に定める他の意見を付するとし、規則70.12(ii)が明瞭性や裏付けについての見解を報告に記載できると定める。
PCT35条(2)は、国際予備審査報告には、請求の範囲が33条(1)から(4)までの新規性、進歩性(自明のものではないこと)及び産業上の利用可能性の基準に適合していると認められるかどうかを各請求の範囲について記述し、結論を裏付ける文献を列記し、さらにその記述には規則に定める他の意見を付すると定める。規則70.12(ii)は、国際出願が規則66.2(a)(v)の意見を要すると認める場合には報告にその旨の見解を記載することができるとし、66.2(a)(v)が挙げるのが、請求の範囲、明細書及び図面の明瞭性又は請求の範囲が明細書により十分な裏付けをされているかいないかの問題についての意見である。選択官庁には記載の明瞭さや裏付けの不足も有用な情報だからである。35条(2)前段が禁じるのは、国内法令により特許を受けることができるかどうかの陳述であって、明瞭性や裏付けの意見ではない。意見が付されることはないとする枝は、35条(2)末文と規則70.12を落としている。

国際出願が66.2(a)(ⅴ)の意見を要すると認める場合には、報告にその旨の見解を記載することができるものとし、この場合においては、報告にその見解の根拠をも記載する。
正しい。35条(3)(a)は、国際予備審査報告の作成の際現に34条(4)(a)のいずれかの事由があると認める場合には報告にその旨の見解及びその根拠を記述すると定め、枝の事由は34条(4)(a)(i)に当たる。
34条(4)(a)は、国際予備審査機関が、(i)国際出願の対象が規則により国際予備審査を要しないとされているものであると認め、かつ、その国際出願について国際予備審査を行わないことを決定したこと、(ii)明細書等が明瞭でないため又は請求の範囲が明細書により十分な裏付けをされていないため有意義な見解を示すことができないと認めたこと、のいずれかの事由がある場合には、33条(1)の問題を検討することなく出願人にその旨の見解及びその根拠を通知すると定める。35条(3)(a)は、報告の作成の際現にこれらの事由があると認める場合には、国際予備審査報告にその旨の見解及びその根拠を記述し、新規性等の基準への適合の記述はしないと定める。審査を要しない対象について新規性等の見解を書く意味はないので、代わりに審査しなかった理由を報告に残し、選択官庁がその事情を知れるようにしたものである。枝は(i)の事由を35条(3)(a)に当てはめた内容であり正しい。

国際予備審査機関は、国際予備審査報告の作成の際現に前条(4)(a)に規定するいずれかの事由があると認める場合には、国際予備審査報告にその旨の見解及びその根拠を記述する。国際予備審査報告には、(2)のいかなる記述もしてはならない。
誤り。違うのは「関連があると認められる文献であっても、国際予備審査報告に列記する必要はない」の部分である。規則70.7(a)は、国際調査報告で引用されている文献も国際予備審査機関が関連があると認めた場合には報告に列記する必要があるとする。
35条(2)は、国際予備審査報告には請求の範囲が33条(1)から(4)までの新規性、進歩性及び産業上の利用可能性の基準に適合していると認められるかどうかを各請求の範囲について記述し、その記述には結論を裏付けると認められる文献を列記すると定める。規則70.7(a)はこれを受けて、報告には記述を裏付けるため関連のあると認められる文献を、当該文献が国際調査報告で引用されているか否かを問わず列記するとし、国際調査報告で引用されている文献は、国際予備審査機関により関連があると認められた場合にのみ列記する必要があるとする。国際予備審査報告は選択官庁が国内段階で参照する文書であるから、結論の根拠となる文献は国際調査報告に載っているものでも改めて報告に示す必要があり、国際調査報告で引用済みであることを理由に省けるのは関連がないと判断した文献だけである。枝は関連があると認められる文献でも列記する必要がないとするので、規則70.7(a)と逆である。

報告には、第三十五条(2)の規定に従つて行われる記述を裏付けるため関連のあると認められる文献を、当該文献が国際調査報告で引用されているか否かを問わず、列記する。国際調査報告で引用されている文献は、国際予備審査機関により関連があると認められた場合にのみ国際予備審査報告に列記する必要がある。
正しい。規則66.1(e)は、国際調査報告が作成されていない発明に関する請求の範囲は国際予備審査の対象とすることを必要としないと定め、規則70.2(d)は、そのため国際予備審査の対象とならないときは報告にその旨を表示すると定める。
規則66.1(e)は、国際調査報告が作成されていない発明に関する請求の範囲は、国際予備審査の対象とすることを必要としないと定める。発明の単一性を欠く国際出願で追加手数料が支払われなかった発明や、17条(2)の宣言により調査がされなかった対象がこれに当たる。33条(6)のとおり国際予備審査は国際調査報告に列記された文献を考慮して行われるから、調査の結果が無い発明について予備的な見解を示すことを機関に求めない仕組みである。そのうえで規則70.2(d)は、請求の範囲が国際調査報告の作成されていない発明に関する場合であって、そのため国際予備審査の対象とならないときは、報告にその旨を表示すると定める。選択官庁は報告のどの請求の範囲について見解が示されていないかを知る必要があるため、対象外の旨を報告自体に記載させる。枝は規則66.1(e)と規則70.2(d)の文言どおりであり正しい。34条(4)(a)の事由があるときも、その見解と根拠を報告に記述する(35条(3))。

請求の範囲が国際調査報告の作成されていない発明に関する場合であつて、そのため国際予備審査の対象とならないときは、報告にその旨を表示する。
正しい。35条(2)は、国際予備審査報告には、請求の範囲に記載されている発明がいずれかの国内法令により特許を受けることができる発明であるかどうか又はそう思われるかどうかの問題についてのいかなる陳述をも記載してはならないと定める。
35条(2)は、国際予備審査報告には、請求の範囲に記載されている発明がいずれかの国内法令により特許を受けることができる発明であるかどうか又は特許を受けることができる発明であると思われるかどうかの問題についてのいかなる陳述をも記載してはならないと定め、その代わりに、各請求の範囲について33条(1)から(4)までの新規性、進歩性及び産業上の利用可能性の基準に適合していると認められるかどうかを記述し、結論を裏付ける文献を列記すると定める。33条(1)のとおり国際予備審査は予備的なかつ拘束力のない見解を示す手続であり、33条(5)は締約国が自国で特許を受けることができる発明かどうかの決定に追加の又は異なる基準を適用できるとする。各国の特許要件は各国が判断するのであって、機関が特定の国の国内法令に照らした結論を報告に書けば、各国の審査を先取りして条約が意図しない拘束力を生むからである。枝は35条(2)の文言どおりであり正しい。

国際予備審査報告には、請求の範囲に記載されている発明がいずれかの国内法令により特許を受けることができる発明であるかどうか又は特許を受けることができる発明であると思われるかどうかの問題についてのいかなる陳述をも記載してはならない。国際予備審査報告には、(3)の規定が適用される場合を除くほか、請求の範囲が国際予備審査に当たつての第三十三条(1)から(4)までに規定する新規性、進歩性(自明のものではないこと)及び産業上の利用可能性の基準に適合していると認められるかどうかを各請求の範囲について記述する。その記述には、その記述の結論を裏付けると認められる文献を列記するものとし、場合により必要な説明を付する。また、その記述には、規則に定める他の意見を付する。
正しい。規則70.6(a)は、35条(2)の記述に説明を付すのは該当する場合に限るとし、規則70.8(ii)は、肯定的な記述で列記した文献からその理由を容易に推測できる場合には説明を付さないとする。
35条(2)は、国際予備審査報告には発明が新規性、進歩性及び産業上の利用可能性の基準に適合していると認められるかどうかを各請求の範囲について記述し、その結論を裏付けると認められる文献を列記するものとし、場合により必要な説明を付すると定める。規則70.6(a)は、この記述は「是」若しくは「非」の語、報告の言語におけるこれらの同義語又は実施細則で定める適当な記号から成るものとし、その記述には該当する場合には列記、説明及び35条(2)末文の意見を付すると定める。規則70.8は、記述が否定的なものである場合には説明を付す((i))が、記述が肯定的なものである場合には、列記された文献を調査することによりその文献を列記した理由を容易に推測できる場合を除くほか説明を付す((ii))とする。否定的な結論には出願人が答弁や国内段階で対応できるよう理由が要るのに対し、肯定的な結論で文献から理由が読み取れるときまで説明を強いる必要はないからである。枝のとおり、説明を付さない場合がある。

実施細則には、第三十五条(2)の説明を付し又は付さない場合及びその説明の形式についての指針を含める。この指針は、次の原則に基づくものとする。(ⅰ)いずれかの請求の範囲についての記述が否定的なものである場合には、説明を付する。(ⅱ)記述が肯定的なものである場合には、列記された文献を調査することによりその文献を列記した理由を容易に推測することができる場合を除くほか、説明を付する。(ⅲ)一般に、70.6(b)の末文の場合には、説明を付する。
誤り。違うのは「国際調査報告で引用されている文献はすべて列挙される」の部分である。規則70.7(a)により、国際調査報告で引用されている文献は国際予備審査機関が関連があると認めた場合にのみ列記すれば足りる。
35条(2)は、国際予備審査報告には請求の範囲に記載されている発明が新規性、進歩性及び産業上の利用可能性の基準に適合していると認められるかどうかを各請求の範囲について記述し、その記述にはその結論を裏付けると認められる文献を列記すると定める。規則70.7(a)はこれを受けて、報告には35条(2)の記述を裏付けるため関連のあると認められる文献を、国際調査報告で引用されているか否かを問わず列記するとした上で、国際調査報告で引用されている文献は国際予備審査機関により関連があると認められた場合にのみ列記する必要があると定める。国際予備審査は国際調査の結果を出発点にしつつ、補正や答弁を経た請求の範囲について機関自身の見解を示す手続であるから、列記すべきは見解の結論を支える文献であって、調査報告の文献を機械的に写すものではない。枝は国際調査報告の引用文献がすべて列挙されるとしており、規則70.7(a)と食い違う。

報告には、第三十五条(2)の規定に従つて行われる記述を裏付けるため関連のあると認められる文献を、当該文献が国際調査報告で引用されているか否かを問わず、列記する。国際調査報告で引用されている文献は、国際予備審査機関により関連があると認められた場合にのみ国際予備審査報告に列記する必要がある。
正しい。35条(3)(a)により、報告の作成の際現に34条(4)(a)の事由があると認める場合には、報告にその旨の見解と根拠を記述し、35条(2)の新規性・進歩性・産業上の利用可能性についての記述はしてはならない。
34条(4)(a)は、国際出願の対象が国際予備審査を要しないものである場合((i))、又は明細書、請求の範囲若しくは図面が明瞭でないため又は請求の範囲が明細書により十分な裏付けをされていないため有意義な見解を示すことができないと認めた場合((ii))には、33条(1)の問題を検討することなく出願人にその旨の見解と根拠を通知すると定める。35条(3)(a)はこれを報告の段階に置き直し、報告の作成の際現にその事由があると認める場合には報告にその旨の見解及びその根拠を記述し、報告には(2)のいかなる記述もしてはならないとする。請求の範囲が何を指すか定まらないのに特許性の見解を示しても意味がなく、選択官庁を誤らせるからである。枝は(ii)の事由がある場合について35条(3)(a)の内容を述べており、条約と一致する。

国際予備審査機関は、国際予備審査報告の作成の際現に前条(4)(a)に規定するいずれかの事由があると認める場合には、国際予備審査報告にその旨の見解及びその根拠を記述する。国際予備審査報告には、(2)のいかなる記述もしてはならない。
1国際予備審査報告は、所定の附属書類とともに出願人及び国際事務局に送付する。
2(a) 国際予備審査報告及び附属書類は、所定の言語に翻訳する。 (b) 国際予備審査報告の翻訳文は、国際事務局により又はその責任において作成されるものとし、附属書類の翻訳文は、出願人が作成する。
3(a) 国際予備審査報告は、所定の翻訳文及び原語の附属書類とともに、国際事務局が各選択官庁に送達する。 (b) 附属書類の所定の翻訳文は、出願人が所定の期間内に選択官庁に送付する。
4第二十条(3)の規定は、国際予備審査報告に列記された文献であつて国際調査報告には列記されていないものの写しについて準用する。
正しい。36条(4)が準用する20条(3)により国際予備審査機関は出願人の請求に応じて文献の写しを送付し、規則71.2(a)によりその請求は国際出願日から7年の期間いつでも行うことができる。
20条(3)は、国際調査機関は指定官庁又は出願人の請求に応じ、規則の定めるところにより国際調査報告に列記された文献の写しを送付すると定め、36条(4)はこの規定を国際予備審査報告に列記された文献であって国際調査報告には列記されていないものの写しについて準用する。これを受けた規則71.2(a)は、36条(4)の請求は当該国際予備審査報告に係る国際出願の国際出願日から7年の期間いつでも行うことができると定め、同(b)は機関が請求を行った当事者(出願人又は選択官庁)に写しの作成及び郵便に係る費用の支払を要求することができるとする。国際調査報告の文献は既に調査の段階で入手できるので、国際予備審査の段階で新たに引かれた文献に限って同じ扱いを及ぼしたものであり、報告の内容を出願人と選択官庁が確かめられるようにするための規定である。枝は、送付の主体と対象の限定、請求の期間のいずれも条文と規則の文言どおりである。

第三十六条(4)の請求は、当該国際予備審査報告に係る国際出願の国際出願日から七年の期間いつでも行うことができる。
正しい。36条(3)(a)は、国際予備審査報告は所定の翻訳文及び原語の附属書類とともに国際事務局が各選択官庁に送達すると定め、36条(2)(b)はその報告の翻訳文を国際事務局により又はその責任において作成すると定める。
36条(1)は、国際予備審査報告を所定の附属書類とともに出願人及び国際事務局に送付すると定め、36条(2)は報告及び附属書類を所定の言語に翻訳するものとし、報告の翻訳文は国際事務局により又はその責任において作成され、附属書類の翻訳文は出願人が作成すると定める。そして36条(3)(a)は、国際予備審査報告を所定の翻訳文及び原語の附属書類とともに国際事務局が各選択官庁に送達するとし、同(b)で附属書類の所定の翻訳文は出願人が所定の期間内に選択官庁に送付するとする。報告は機関が作成した定型の文書であるから国際事務局が翻訳を引き受け、附属書類である34条補正後の明細書等は出願人の権利範囲そのものであるから出願人に翻訳させ、国内段階で出させるという分担である。選択官庁が国際事務局から受け取るのは、報告とその翻訳文、そして原語のままの附属書類であり、枝はこの36条(2)(b)・(3)(a)の内容をそのまま述べている。

国際予備審査報告は、所定の翻訳文及び原語の附属書類とともに、国際事務局が各選択官庁に送達する。
誤り。違うのは「国際予備審査機関が国際事務局に送付し、国際事務局が出願人及び各選択官庁に送達する」の部分である。36条(1)により国際予備審査報告は国際予備審査機関が出願人及び国際事務局に送付し、同条(3)(a)により国際事務局が各選択官庁に送達する。
36条(1)は、国際予備審査報告は所定の附属書類とともに出願人及び国際事務局に送付すると定め、同条(3)(a)は、国際予備審査報告は所定の翻訳文及び原語の附属書類とともに国際事務局が各選択官庁に送達すると定める。規則71.1も、国際予備審査機関が報告を国際事務局及び出願人に送付すると定める。報告を作成した国際予備審査機関から出願人へ直接届けるのは、出願人が国内段階に進むかどうかを優先日から30箇月までに判断する材料であり、国際事務局を経由させて遅らせる理由がないからである。一方で選択官庁への送達は、国際事務局が翻訳文を付けて行う仕組みとし、各選択官庁が出願人からの提出を待たずに共通の経路で報告を受け取れるようにしている。国際調査報告が18条(2)で国際調査機関から出願人及び国際事務局に送付され、20条で国際事務局から指定官庁に送達されるのと同じ組み立てである。枝は出願人への送付を国際事務局の役割に置き換えている。

(1) 国際予備審査報告は、所定の附属書類とともに出願人及び国際事務局に送付する。(3)(a) 国際予備審査報告は、所定の翻訳文及び原語の附属書類とともに、国際事務局が各選択官庁に送達する。
誤り。違うのは「国際公開される」の部分である。国際予備審査報告は36条により出願人と国際事務局に送付され、国際事務局から選択官庁に送達されるだけで、38条により一件書類は秘密に保持される。
21条の国際公開は国際出願について国際事務局が行うものであり、規則48.2が定める公開の内容は願書の事項、明細書、請求の範囲、図面、要約、国際調査報告又は17条(2)(a)の宣言、19条補正後の請求の範囲などであって、国際予備審査報告は含まれない。国際予備審査報告は36条(1)により出願人及び国際事務局に送付され、同(3)(a)により国際事務局が各選択官庁に送達する。さらに38条(1)は、国際事務局及び国際予備審査機関は、いかなる時においても、報告の作成の後の選択官庁を除くいかなる者又は当局に対しても国際予備審査の一件書類を知得されるようにしてはならないと定め、出願人の請求又は承諾がある場合だけを例外とする。国際予備審査は選択官庁の審査の参考に供する予備的な見解であり、出願人が第三者に見せずに国内段階へ進むかどうかを決められるよう秘密にされている。枝は国際予備審査報告が国際公開されるとしており、国際公開の内容とも38条の秘密保持とも食い違う。

国際事務局及び国際予備審査機関は、いかなる時においても、いかなる者又は当局(国際予備審査報告の作成の後は、選択官庁を除く。)に対しても国際予備審査の一件書類につき第三十条(4)(ただし書を含む)に定義する意味において知得されるようにしてはならない。ただし、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合は、この限りでない。
正しい。36条(4)は、国際調査報告に列記された文献の写しの送付を定める20条(3)を、国際予備審査報告に列記された文献で国際調査報告に列記されていないものの写しについて準用する。
20条(3)は、国際調査機関は指定官庁又は出願人の請求に応じ、規則の定めるところにより、当該指定官庁又は当該出願人に対し国際調査報告に列記された文献の写しを送付すると定める。36条(4)はこの規定を、国際予備審査報告に列記された文献であって国際調査報告には列記されていないものの写しについて準用するから、国際予備審査機関は選択官庁又は出願人の請求に応じて、そのような文献の写しを送付することになる。国際予備審査報告は規則70.7(a)により国際調査報告に無い文献も関連があれば列記するので、選択官庁や出願人が報告の結論を検討するにはその文献を手に入れる道が要り、国際調査報告の文献は国際調査機関が、国際予備審査報告で新たに列記された文献は国際予備審査機関が写しを提供する分担になっている。枝は36条(4)が準用する20条(3)を国際予備審査機関に読み替えたものであり、条約の定めどおりである。この請求は国際出願日から7年の期間いつでも行うことができる(規則71.2(a))。

第二十条(3)の規定は、国際予備審査報告に列記された文献であつて国際調査報告には列記されていないものの写しについて準用する。
誤り。違うのは「自国の公用語に翻訳することを出願人に要求することができる」の部分である。規則72.1(a)により選択国が要求できるのは英語への翻訳であり、36条(2)(b)により報告の翻訳文は国際事務局により又はその責任において作成される。
36条(2)(a)は国際予備審査報告及び附属書類を所定の言語に翻訳すると定め、同(b)は、国際予備審査報告の翻訳文は国際事務局により又はその責任において作成されるものとし、附属書類の翻訳文は出願人が作成すると定める。所定の言語について規則72.1(a)は、選択国は自国の国内官庁の公用語以外の言語で作成された国際予備審査報告を英語に翻訳することを要求することができると定め、その要求は国際事務局に通知して公報に掲載される(同(b))。報告は国際予備審査機関が作成する文書であって出願人の手を離れており、どの選択国からも読める共通語として英語への翻訳を国際事務局の責任で用意する仕組みである。出願人が自ら翻訳するのは補正書など出願人が作成した附属書類に限られ、その翻訳文を所定の期間内に選択官庁に送付する(36条(3)(b))。枝は翻訳する言語を自国の公用語とし、翻訳の主体を出願人としており、どちらも36条(2)(b)と規則72.1(a)に食い違う。

(a)国際予備審査報告及び附属書類は、所定の言語に翻訳する。(b)国際予備審査報告の翻訳文は、国際事務局により又はその責任において作成されるものとし、附属書類の翻訳文は、出願人が作成する。
| 国際予備審査報告 | 附属書類(補正書など) | |
|---|---|---|
| 翻訳する言語 | 選択国が要求できるのは英語である(規則72.1(a)) | 所定の翻訳文を選択官庁が要求する |
| 翻訳の主体 | 国際事務局により又はその責任において作成する(36条(2)(b)) | 出願人が作成する(36条(2)(b)) |
| 選択官庁への送付 | 国際事務局が翻訳文とともに送達する(36条(3)(a)) | 出願人が所定の期間内に選択官庁に送付する(36条(3)(b)) |
誤り。違うのは「いずれも、国際事務局により又はその責任において作成される」の部分である。36条(2)(b)により、国際予備審査報告の翻訳文は国際事務局が作成するが、附属書類の翻訳文は出願人が作成する。
36条(2)(a)は、国際予備審査報告及び附属書類は所定の言語に翻訳すると定め、同(b)は、国際予備審査報告の翻訳文は国際事務局により又はその責任において作成されるものとし、附属書類の翻訳文は出願人が作成すると定める。附属書類とは、34条の補正や19条の補正を含む差替え用紙とこれに伴う書簡など(規則70.16)であり、出願人自身が作成した書類であるから、その翻訳は出願人が負担するのが筋であり、一方で報告そのものは国際予備審査機関が作成した公的な文書であるから国際事務局の責任で翻訳する、という切り分けである。この切り分けは送達にも及び、国際事務局が各選択官庁に送達するのは報告の所定の翻訳文と原語の附属書類であり(同条(3)(a))、附属書類の所定の翻訳文は出願人が所定の期間内に選択官庁に送付する(同(3)(b))。枝は附属書類の翻訳文まで国際事務局が作成するとしている点で条文と食い違う。日本では184条の4第1項で出願人が翻訳文を提出するのはこの附属書類ではなく国際出願そのものである。

国際予備審査報告の翻訳文は、国際事務局により又はその責任において作成されるものとし、附属書類の翻訳文は、出願人が作成する。
| 国際予備審査報告 | 附属書類 | |
|---|---|---|
| 送付((1)) | 出願人及び国際事務局へ(附属書類とともに) | 同左 |
| 翻訳文の作成((2)(b)) | 国際事務局により又はその責任において | 出願人 |
| 選択官庁への送達・送付((3)) | 国際事務局が所定の翻訳文を送達 | 原語は国際事務局が送達。翻訳文は出願人が所定の期間内に送付 |
1出願人は、いずれかの又はすべての選択国の選択を取り下げることができる。
2すべての選択国の選択が取り下げられた場合には、国際予備審査の請求は、取り下げられたものとみなす。
3(a) 取下げは、国際事務局に届け出る。 (b) (a)の届出があつた場合には、国際事務局は、関係選択官庁及び関係国際予備審査機関にその旨を通告する。
4(a) (b)の規定が適用される場合を除くほか、国際予備審査の請求又は選択の取下げは、関係締約国に関する限り、国際出願の取下げとみなす。ただし、関係締約国の国内法令に別段の定めがある場合は、この限りでない。 (b) 国際予備審査の請求又は選択の取下げは、第二十二条に規定する当該期間の満了前に行われた場合には、国際出願の取下げとはみなさない。もつとも、締約国は、自国の国内官庁が当該期間内に国際出願の写し、所定の翻訳文及び国内手数料を受け取つた場合にのみこの(b)の規定が適用されることを国内法令で定めることができる。
正しい。37条(1)は出願人がいずれかの又はすべての選択国の選択を取り下げることができると定め、37条(2)はすべての選択国の選択が取り下げられた場合には国際予備審査の請求は取り下げられたものとみなすと定めている。
37条(1)は、出願人は、いずれかの又はすべての選択国の選択を取り下げることができると定め、(2)は、すべての選択国の選択が取り下げられた場合には、国際予備審査の請求は取り下げられたものとみなすと定める。選択とは国際予備審査の結果を利用する意図を有する国を表示することであり、規則53.7により請求書の提出が第2章に拘束される全ての指定国の選択を構成する。国際予備審査は選択国で結果を使うために行うものであるから、選択国が一つも残らなければ審査を続ける意味がなく、請求自体が取り下げられたものとみなされる。(3)により取下げは国際事務局に届け出て、国際事務局が関係選択官庁と関係国際予備審査機関に通告する。(4)(a)は、請求又は選択の取下げを関係締約国に関する限り国際出願の取下げとみなすが、22条の期間の満了前の取下げについては(b)が例外を置く。枝は37条(1)と(2)のとおりである。

(1) 出願人は、いずれかの又はすべての選択国の選択を取り下げることができる。(2) すべての選択国の選択が取り下げられた場合には、国際予備審査の請求は、取り下げられたものとみなす。
正しい。規則90の2.4(a)は、出願人は国際予備審査の請求又は選択のいずれか若しくはすべてを優先日から30月を経過する前にいつでも取り下げることができると定める。
37条(1)は出願人はいずれかの又はすべての選択国の選択を取り下げることができると定め、同(2)はすべての選択国の選択が取り下げられた場合には国際予備審査の請求は取り下げられたものとみなすとし、同(3)(a)は取下げは国際事務局に届け出ると定める。これを受けた規則90の2.4(a)は、出願人は国際予備審査の請求又は選択のいずれか若しくはすべてを優先日から30月を経過する前にいつでも取り下げることができると定め、同(b)は取下げが国際事務局に対する出願人からの通告の受領の時に効力を生ずるとする。優先日から30月は選択官庁への国内段階の移行の期限であり(39条(1)(a))、それまでは国際予備審査を利用するかどうかを出願人の判断に委ねているので、その前であれば時期を問わず取下げを認めている。取下げの通告を国際予備審査機関に提出した場合には、機関が受理の日付を付して国際事務局に送付し、その日付に提出されたものとみなされる(同(c))。枝は規則の文言どおりである。

出願人は、国際予備審査の請求又は選択のいずれか若しくはすべてを優先日から三十箇月を経過する前にいつでも、取り下げることができる。
誤り。違うのは「常に、国際出願が取り下げられたとみなされる」の部分である。37条(4)(b)は、国際予備審査の請求又は選択の取下げが22条の期間の満了前に行われた場合には、国際出願の取下げとはみなさないと定める。
37条(1)は出願人がいずれかの又はすべての選択国の選択を取り下げることができると定め、同(2)はすべての選択が取り下げられた場合に国際予備審査の請求を取り下げられたものとみなす。その効果について37条(4)(a)は、請求又は選択の取下げは関係締約国に関する限り国際出願の取下げとみなすと定めるが、ただし書で国内法令の別段の定めを認め、さらに同(b)で、取下げが22条に規定する期間の満了前に行われた場合には国際出願の取下げとはみなさないと定める。22条の期間がまだ残っていれば出願人は指定官庁への国内移行を通常どおり行えるから、選択をやめただけで国際出願まで失わせる理由がないという理屈である。もっとも締約国は、国内官庁がその期間内に写し、翻訳文及び国内手数料を受け取った場合にのみ(b)を適用することを国内法令で定めることができる。枝は(b)の例外を無視して「常に」としている点が違う。

(a)(b)の規定が適用される場合を除くほか、国際予備審査の請求又は選択の取下げは、関係締約国に関する限り、国際出願の取下げとみなす。ただし、関係締約国の国内法令に別段の定めがある場合は、この限りでない。(b)国際予備審査の請求又は選択の取下げは、第二十二条に規定する当該期間の満了前に行われた場合には、国際出願の取下げとはみなさない。もつとも、締約国は、自国の国内官庁が当該期間内に国際出願の写し、所定の翻訳文及び国内手数料を受け取つた場合にのみこの(b)の規定が適用されることを国内法令で定めることができる。
1国際事務局及び国際予備審査機関は、いかなる時においても、いかなる者又は当局(国際予備審査報告の作成の後は、選択官庁を除く。)に対しても国際予備審査の一件書類につき第三十条(4)(ただし書を含む)に定義する意味において知得されるようにしてはならない。ただし、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合は、この限りでない。
2(1)、第三十六条(1)及び(3)並びに前条(3)(b)の規定に従うことを条件として、国際事務局及び国際予備審査機関は、国際予備審査報告の作成の有無及び国際予備審査の請求又は選択の取下げの有無について情報を提供してはならない。ただし、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合は、この限りでない。
誤り。違うのは「出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合であっても情報を提供してはならない」の部分である。38条(2)ただし書により、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合はこの限りでない。
PCT38条(2)は、国際事務局及び国際予備審査機関は、国際予備審査報告の作成の有無及び国際予備審査の請求又は選択の取下げの有無について情報を提供してはならないと定めたうえで、ただし書で、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合はこの限りでないとする。同条(1)が国際予備審査の一件書類そのものについて、報告の作成後の選択官庁を除きいかなる者にも知得されるようにしてはならないと定めるのと同じく、ただし書で出願人の請求・承諾を例外にしている。国際予備審査は出願人が任意に請求する第2章の手続で、その結果は国際公開されず、選択官庁での審査の参考にされるにとどまるから、秘密保持は出願人の利益のために置かれている。秘密を守られる本人が開示を望むなら禁じる理由がないので、出願人の請求や承諾があれば情報を提供できるのである。請求・承諾があっても提供してはならないとする枝は、ただし書を落としている。

(1)、第三十六条(1)及び(3)並びに前条(3)(b)の規定に従うことを条件として、国際事務局及び国際予備審査機関は、国際予備審査報告の作成の有無及び国際予備審査の請求又は選択の取下げの有無について情報を提供してはならない。ただし、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合は、この限りでない。
誤り。違うのは「国際公開される」の部分である。国際予備審査報告は36条により出願人と国際事務局に送付され、国際事務局から選択官庁に送達されるだけで、38条により一件書類は秘密に保持される。
21条の国際公開は国際出願について国際事務局が行うものであり、規則48.2が定める公開の内容は願書の事項、明細書、請求の範囲、図面、要約、国際調査報告又は17条(2)(a)の宣言、19条補正後の請求の範囲などであって、国際予備審査報告は含まれない。国際予備審査報告は36条(1)により出願人及び国際事務局に送付され、同(3)(a)により国際事務局が各選択官庁に送達する。さらに38条(1)は、国際事務局及び国際予備審査機関は、いかなる時においても、報告の作成の後の選択官庁を除くいかなる者又は当局に対しても国際予備審査の一件書類を知得されるようにしてはならないと定め、出願人の請求又は承諾がある場合だけを例外とする。国際予備審査は選択官庁の審査の参考に供する予備的な見解であり、出願人が第三者に見せずに国内段階へ進むかどうかを決められるよう秘密にされている。枝は国際予備審査報告が国際公開されるとしており、国際公開の内容とも38条の秘密保持とも食い違う。

国際事務局及び国際予備審査機関は、いかなる時においても、いかなる者又は当局(国際予備審査報告の作成の後は、選択官庁を除く。)に対しても国際予備審査の一件書類につき第三十条(4)(ただし書を含む)に定義する意味において知得されるようにしてはならない。ただし、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合は、この限りでない。
誤り。違うのは「出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合を除き、いかなる時においても、いかなる者又は当局に対しても」の部分である。38条(1)は、国際予備審査報告の作成の後は選択官庁を例外とする。
38条(1)は、国際事務局及び国際予備審査機関は、いかなる時においても、いかなる者又は当局に対しても、国際予備審査の一件書類につき30条(4)に定義する意味において知得されるようにしてはならないと定め、ただし書で出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合を除くとともに、括弧書で、国際予備審査報告の作成の後は選択官庁を除くとする。国際予備審査の一件書類は国際公開の対象にならず、30条の国際出願の秘密保持と違って公開の後も秘密のままであるが、選択官庁は国際予備審査報告を利用して国内審査を行う官庁であるから、報告ができた後は報告とその一件書類を見られる必要がある。36条(1)・(3)で報告が選択官庁に送達されるのもこの流れである。枝は出願人の請求・承諾の例外だけを書き、報告の作成の後の選択官庁という例外を落としている。

国際事務局及び国際予備審査機関は、いかなる時においても、いかなる者又は当局(国際予備審査報告の作成の後は、選択官庁を除く。)に対しても国際予備審査の一件書類につき第三十条(4)(ただし書を含む)に定義する意味において知得されるようにしてはならない。ただし、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合は、この限りでない。
| 国際出願(30条) | 国際予備審査の一件書類(38条) | |
|---|---|---|
| 誰が守る | 国際事務局・国際調査機関である | 国際事務局・国際予備審査機関である |
| いつまで | 国際公開の前までである | いかなる時においてもである |
| 例外 | 出願人の請求・承諾、指定官庁等への送達である | 出願人の請求・承諾、国際予備審査報告の作成の後の選択官庁である |
1(a) 締約国の選択が優先日から十九箇月を経過する前に行われた場合には、第二十二条の規定は、当該締約国については適用しないものとし、出願人は、優先日から三十箇月を経過する時までに各選択官庁に対し、国際出願の写し(第二十条の送達が既にされている場合を除く。)及び所定の翻訳文を提出し並びに、該当する場合には、国内手数料を支払う。 (b) 国内法令は、(a)に規定する行為をするため、(a)に定める期間よりも遅い時に満了する期間を定めることができる。
2第十一条(3)に定める効果は、出願人が(1)(a)に規定する行為を(1)(a)又は(b)に規定する当該期間内にしなかつた場合には、選択国において、当該選択国における国内出願の取下げの効果と同一の効果をもつて消滅する。
3選択官庁は、出願人が(1)(a)又は(b)の要件を満たしていない場合においても、第十一条(3)に定める効果を維持することができる。
誤り。違うのは「例外なく国際出願の写し及び所定の翻訳文を提出し」の部分である。39条(1)(a)は、20条の送達が既にされている場合には国際出願の写しの提出を要しないとしており、同(b)により国内法令はより遅い期間を定めることもできる。
39条(1)(a)は、締約国の選択が優先日から19月を経過する前に行われた場合には22条の規定は当該締約国については適用しないものとし、出願人は優先日から30月を経過する時までに各選択官庁に対し、国際出願の写し(20条の送達が既にされている場合を除く。)及び所定の翻訳文を提出し、該当する場合には国内手数料を支払うと定める。国際出願は国際公開の後に国際事務局が20条により各指定官庁に送達するので、既に送達された官庁に出願人が重ねて写しを出す意味はなく、かっこ書で除かれている。また同(b)は、国内法令が(a)の行為をするため(a)に定める期間よりも遅い時に満了する期間を定めることができるとする。30月という期間と、翻訳文の提出及び国内手数料の支払の部分は条文どおりであるが、写しの提出に例外がないとする点が条文と食い違う。指定官庁に対する22条も同じ構造であり、写しの提出は20条の送達が済んでいれば要らない。

(a)締約国の選択が優先日から十九箇月を経過する前に行われた場合には、第二十二条の規定は、当該締約国については適用しないものとし、出願人は、優先日から三十箇月を経過する時までに各選択官庁に対し、国際出願の写し(第二十条の送達が既にされている場合を除く。)及び所定の翻訳文を提出し並びに、該当する場合には、国内手数料を支払う。(b)国内法令は、(a)に規定する行為をするため、(a)に定める期間よりも遅い時に満了する期間を定めることができる。
1締約国の選択が優先日から十九箇月を経過する前に行われた場合には、第二十三条の規定は、当該締約国については適用しないものとし、当該締約国の国内官庁又は当該締約国のために行動する国内官庁は、(2)の規定が適用される場合を除くほか、前条に規定する当該期間の満了前に、国際出願の審査及び他の処理を開始してはならない。
2(1)の規定にかかわらず、選択官庁は、出願人の明示の請求により、国際出願の審査及び他の処理をいつでも開始することができる。
誤り。違うのは「国際出願の審査及び他の処理を開始できる場合はない」の部分である。40条(2)は、選択官庁は出願人の明示の請求により国際出願の審査及び他の処理をいつでも開始することができると定める。
40条(1)は、締約国の選択が優先日から19箇月を経過する前に行われた場合には、23条の規定は当該締約国については適用しないものとし、当該締約国の国内官庁又はそのために行動する国内官庁は、(2)の規定が適用される場合を除くほか、39条に規定する期間の満了前に国際出願の審査及び他の処理を開始してはならないと定める。そして同(2)は、(1)の規定にかかわらず、選択官庁は出願人の明示の請求により国際出願の審査及び他の処理をいつでも開始することができると定める。国内手続の繰延べは、出願人が国際段階の結果を見てから各国で手続を進めるかを決められるようにする出願人のための保護であるから、出願人自身が早く審査を受けたいと明示的に求めるときまで官庁を縛る理由はない。指定官庁についての23条(2)も同じ構造である。枝は前段の繰延べまでは40条(1)のとおりであるが、開始できる場合はないとする点で40条(2)の例外を落としている。

(1)締約国の選択が優先日から十九箇月を経過する前に行われた場合には、第二十三条の規定は、当該締約国については適用しないものとし、当該締約国の国内官庁又は当該締約国のために行動する国内官庁は、(2)の規定が適用される場合を除くほか、前条に規定する当該期間の満了前に、国際出願の審査及び他の処理を開始してはならない。(2)(1)の規定にかかわらず、選択官庁は、出願人の明示の請求により、国際出願の審査及び他の処理をいつでも開始することができる。
| 指定官庁(22条・23条) | 選択官庁(39条・40条) | |
|---|---|---|
| 写し・翻訳文・手数料の期限 | 優先日から30箇月を経過する時まで(22条(1)) | 優先日から30箇月を経過する時まで(39条(1)(a)) |
| 繰延べ | 期間の満了前に処理又は審査を行ってはならない(23条(1)) | 期間の満了前に審査及び他の処理を開始してはならない(40条(1)) |
| 例外 | 出願人の明示の請求によりいつでも行える(23条(2)) | 出願人の明示の請求によりいつでも開始できる(40条(2)) |
1出願人は、各選択官庁において所定の期間内に請求の範囲、明細書及び図面について補正をする機会を与えられる。選択官庁は、出願人の明示の同意がない限り、その期間の満了前に特許を与えてはならず又は特許を拒絶してはならない。
2補正は、出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはならない。ただし、選択国の国内法令が認める場合は、この限りでない。
3補正は、この条約及び規則に定めのないすべての点については、選択国の国内法令の定めるところによる。
4補正書は、選択官庁が国際出願の翻訳文の提出を要求する場合には、その翻訳文の言語で作成する。
正しい。41条(1)が、出願人は各選択官庁において所定の期間内に請求の範囲、明細書及び図面について補正をする機会を与えられ、選択官庁は出願人の明示の同意がない限りその期間の満了前に特許を与えてはならず又は特許を拒絶してはならないと定めている。
41条(1)は、出願人は各選択官庁において所定の期間内に請求の範囲、明細書及び図面について補正をする機会を与えられ、選択官庁は、出願人の明示の同意がない限り、その期間の満了前に特許を与えてはならず又は特許を拒絶してはならないと定める。国際予備審査報告は拘束力のない見解であり、出願人はその内容を見て各国の国内段階で請求の範囲などを整えてから審査を受けるのが筋であるから、補正の機会を保障し、その前に結論を出さないよう選択官庁を拘束する仕組みである。補正は出願時における国際出願の開示の範囲を超えてはならないが、選択国の国内法令が認める場合はこの限りでない(41条(2))。指定官庁については28条が同じ内容を定めており、日本では特許法184条の12がこれを受けて国内処理基準時の経過後に補正を認めている。枝は条文のとおりであり正しい。

出願人は、各選択官庁において所定の期間内に請求の範囲、明細書及び図面について補正をする機会を与えられる。選択官庁は、出願人の明示の同意がない限り、その期間の満了前に特許を与えてはならず又は特許を拒絶してはならない。
正しい。41条(1)が各選択官庁で所定の期間内に補正の機会を与えると定め、規則78.1(a)がその期間を39条(1)(a)の要件を満たした時から1箇月以内と定めている。
41条(1)は、出願人は、各選択官庁において所定の期間内に請求の範囲、明細書及び図面について補正をする機会を与えられ、選択官庁は出願人の明示の同意がない限りその期間の満了前に特許を与えてはならず又は特許を拒絶してはならないと定める。規則78.1(a)は、この所定の期間を、出願人が希望するときは39条(1)(a)の規定に基づく要件を満たした時から一箇月以内とし、国際予備審査報告の送付が39条の期間の満了までにされない場合には当該期間の末日の後四箇月以内とし、いずれの場合も国内法令が認めるときはその後に行使できるとする。国際予備審査の結果を踏まえて各選択国の国内段階に入る前に請求の範囲等を整える機会を保障する趣旨であり、起点を国内段階に入る39条(1)(a)の行為に置いたものである。枝は「原則として」1月以内としており、報告の送付が遅れた場合等の例外を含めて規則78.1(a)のとおりである。指定官庁での補正の機会は28条と規則52が同じ構造で定める。

出願人は、希望するときは、第三十九条(1)(a)の規定に基づく要件を満たした時から一箇月以内に、当該選択官庁に対して第四十一条の規定に基づき請求の範囲、明細書及び図面の補正をする権利を行使する。ただし、第三十六条(1)に規定する国際予備審査報告の送付が第三十九条に規定する期間の満了する時までにされない場合には、当該期間の末日の後四箇月以内に行使する。もつとも、いずれの場合においても、締約国の国内法令が認めるときは、その後に行使することができる。
誤り。違うのは「いかなる場合も、出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはならない」の部分である。41条(2)ただし書により、選択国の国内法令が認める場合は開示の範囲を超える補正もできる。
41条(1)は、出願人は各選択官庁において所定の期間内に請求の範囲、明細書及び図面について補正をする機会を与えられ、選択官庁は出願人の明示の同意がない限りその期間の満了前に特許を与えてはならず又は拒絶してはならないと定める。そして同条(2)は、補正は出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはならないとしつつ、ただし書で、選択国の国内法令が認める場合はこの限りでないと定める。国内段階に入った後の補正は各国の審査手続の一部であり、条約は出願人に補正の機会を保障する最低線を置くだけで、どこまで広い補正を許すかは各国の国内法令に委ねている。開示の範囲を超える補正を認める国内法令があれば条約がそれを妨げる理由はなく、補正の制限は国内法令より厳しい方向には働かないという構造である。枝の第1文は41条(1)の文言どおりであるが、第2文がただし書を落として例外のない禁止にしている点で条文と食い違う。指定官庁についての28条(2)も同じ構造である。

補正は、出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはならない。ただし、選択国の国内法令が認める場合は、この限りでない。
| 場面 | 条文 | 開示の範囲を超える補正 |
|---|---|---|
| 指定官庁 | 28条 | 原則不可。指定国の国内法令が認める場合は可(28条(2)) |
| 選択官庁 | 41条 | 原則不可。選択国の国内法令が認める場合は可(41条(2)) |
| 国際予備審査機関 | 34条(2)(b) | 不可。例外なし |
| 国際事務局への19条補正 | 19条(2) | 不可。ただし指定国の国内法令が認めるときは、超えても当該指定国での効果に影響しない(19条(3)) |
国際予備審査報告を受領した選択官庁は、出願人に対し、他の選択官庁における当該国際出願に関する審査に係る書類の写しの提出又はその書類の内容に関する情報の提供を要求することができない。
誤り。違うのは「その書類の内容に関する情報の提供を要求することができる」の部分である。42条は、国際予備審査報告を受領した選択官庁は、他の選択官庁における審査に係る書類の写しの提出又は情報の提供を要求することができないと定める。
42条は、国際予備審査報告を受領した選択官庁は、出願人に対し、他の選択官庁における当該国際出願に関する審査に係る書類の写しの提出又はその書類の内容に関する情報の提供を要求することができないと定める。国際予備審査は、請求の範囲に記載されている発明の新規性、進歩性及び産業上の利用可能性について国際予備審査機関が予備的なかつ拘束力のない見解を示す手続であり(33条(1))、その報告は国際事務局を通じて各選択官庁に送達される(36条(3))。各選択官庁が共通の国際予備審査報告を受け取る以上、ほかの国の審査の経過をさらに出願人に提出させる負担を課すべきではなく、条約は国際予備審査を利用した出願人の負担軽減を保障するためにこれを禁じている。枝は条文の主体と対象を正しく述べながら、できないものをできると書いている点で条文と食い違う。なお選択官庁は国際予備審査報告に拘束されず、自国の審査を行うことは妨げられない。

国際予備審査報告を受領した選択官庁は、出願人に対し、他の選択官庁における当該国際出願に関する審査に係る書類の写しの提出又はその書類の内容に関する情報の提供を要求することができない。
指定国又は選択国が発明者証、実用証、実用新案、追加特許、追加発明者証又は追加実用証を与えることを国内法令に定めている場合には、出願人は、当該指定国又は当該選択国に関する限り、国際出願が特許ではなく発明者証、実用証若しくは実用新案を求める出願であること又は国際出願が追加特許、追加発明者証若しくは追加実用証を求める出願であることを規則の定めるところによつて表示することができるものとし、その国際出願は、出願人のこのような選択に従つて取り扱われる。第二条(ii)の規定は、この条及びこの条の規定に基づく規則の規定については、適用しない。
指定国又は選択国が、特許又は前条に規定する他の種類の保護のうち、一の種類の保護を求める出願が他の一の種類の保護をも求める出願であることを国内法令で認める場合には、出願人は、当該指定国又は当該選択国については、その求める二の種類の保護を規則の定めるところによつて表示することができるものとし、当該国際出願は、出願人のこのような表示に従つて取り扱われる。第二条(ii)の規定は、この条の規定については、適用しない。
1広域特許を与えることを定める条約(「広域特許条約」)であつて、第九条の規定に基づいて国際出願をする資格を有するすべての者に対し広域特許の出願をする資格を与えるものは、広域特許条約の締約国でありかつこの条約の締約国である国の指定又は選択を含む国際出願を広域特許の出願としてすることができることを定めることができる。
2(1)に規定する指定国又は選択国の国内法令は、国際出願における当該指定国又は当該選択国の指定又は選択を広域特許条約に基づく広域特許を受けることを希望する旨の表示とみなすことを定めることができる。
国際出願が正確に翻訳されなかつたため、当該国際出願に基づいて与えられた特許の範囲が原語の国際出願の範囲を超えることとなる場合には、当該締約国の権限のある当局は、それに応じて特許の範囲を遡及して限定することができるものとし、特許の範囲が原語の国際出願の範囲を超えることとなる限りにおいて特許が無効であることを宣言することができる。
誤り。違うのは「国際事務局は、それに応じて特許の範囲を遡及して限定することができる」の部分である。46条で特許の範囲を遡及して限定し無効を宣言できるのは、当該締約国の権限のある当局である。
PCT46条は、国際出願が正確に翻訳されなかったため、当該国際出願に基づいて与えられた特許の範囲が原語の国際出願の範囲を超えることとなる場合には、当該締約国の権限のある当局は、それに応じて特許の範囲を遡及して限定することができ、超えることとなる限りにおいて特許が無効であることを宣言することができると定める。特許を与えるかどうかの実体判断と、与えた特許の効力を限定し又は無効とする権限は、PCTのもとでも各指定国の国内法令と国内当局に委ねられている。国際事務局は国際出願の記録原本を保管し国際公開や送達を行う事務機関であって、各国で成立した特許の範囲に手を入れる立場にない。日本では特許法184条の18が翻訳文の範囲を超える特許に拒絶理由・無効理由を用意して46条を受けている。主体を国際事務局とする枝は、46条が「当該締約国の権限のある当局」と定める点を取り違えている。

国際出願が正確に翻訳されなかつたため、当該国際出願に基づいて与えられた特許の範囲が原語の国際出願の範囲を超えることとなる場合には、当該締約国の権限のある当局は、それに応じて特許の範囲を遡及して限定することができるものとし、特許の範囲が原語の国際出願の範囲を超えることとなる限りにおいて特許が無効であることを宣言することができる。
1この条約に規定する期間の計算については、規則に定める。
2(a) 前二章に定めるすべての期間は、第六十条の規定による改正のほか、締約国の決定によつても変更することができる。 (b) (a)の決定は、総会において又は通信による投票によつて行うものとし、全会一致によらなければならない。 (c) (a)の変更のための手続の細目は、規則に定める。
正しい。47条(2)(a)は、第1章及び第2章に定めるすべての期間は、60条の規定による改正のほか、締約国の決定によっても変更することができると定める。
47条(2)(a)は、前二章、すなわち第1章(国際出願及び国際調査)と第2章(国際予備審査)に定めるすべての期間は、60条の規定による改正のほか、締約国の決定によっても変更することができると定める。同(b)は、その決定は総会において又は通信による投票によって行い、全会一致によらなければならないとし、同(c)は手続の細目を規則に委ねる。60条の改正は改正会議を開いて条約本文を改める重い手続であるが、優先日から何月という期間は実務の進み方に合わせて動かす必要が生じやすいので、締約国の全会一致の決定で変えられる軽い途を別に用意したものである。これに対し規則の修正は58条(2)(a)により総会が行うもので、条約本文の期間の変更とは別の仕組みである。枝は、60条の改正によらずに変更できる場合があると述べており、47条(2)(a)のとおりである。

(a) 前二章に定めるすべての期間は、第六十条の規定による改正のほか、締約国の決定によつても変更することができる。(b) (a)の決定は、総会において又は通信による投票によつて行うものとし、全会一致によらなければならない。(c) (a)の変更のための手続の細目は、規則に定める。
1この条約又は規則に定める期間が郵便業務の中断又は避けることのできない郵便物の亡失若しくは郵便の遅延によつて遵守されなかつた場合において、規則に定める場合に該当し、かつ、規則に定める立証その他の条件が満たされているときは、期間は、遵守されたものとみなす。
2(a) 締約国は、期間が遵守されていないことが国内法令で認められている遅滞の事由と同一の事由による場合には、自国に関する限り、遅滞を許すものとする。 (b) 締約国は、期間が遵守されていないことが(a)の事由以外の事由による場合であつても、自国に関する限り、遅滞を許すことができる。
弁護士、弁理士その他の者であつて当該国際出願がされた国内官庁に対し業として手続をとる権能を有するものは、当該国際出願について、国際事務局、管轄国際調査機関及び管轄国際予備審査機関に対し業として手続をとる権能を有する。
1国際事務局は、公表された文書、主として特許及び公表された出願に基づいてその有する技術情報その他の適切な情報を提供する業務(この条において「情報提供業務」という。)を行うことができる。
2国際事務局は、直接に又は取決めを締結した国際調査機関その他の国内的若しくは国際的な専門的組織を通じて、情報提供業務を行うことができる。
3情報提供業務は、特に、技術的知識及び技術(入手可能な公開のノウ・ハウを含む。)の開発途上にある締約国による取得を容易にするように行う。
4情報提供業務は、締約国の政府並びにその国民及び居住者の利用に供する。総会は、情報提供業務を他の者の利用にも供することを決定することができる。
5(a) 締約国の政府に対する業務は、実費で提供する。ただし、開発途上にある締約国の政府に対する業務については、実費との差額を締約国の政府以外の者に提供する業務から生ずる利益又は次条(4)に規定する財源で賄うことができる場合に限り、実費に満たない額で提供する。 (b) (a)の実費は、国内官庁又は国際調査機関の任務の遂行に伴つて通常生ずる費用を超える部分とする。
6この条の規定の実施に関する細目は、総会の決定により及び総会が設置することのある作業部会が総会の定める範囲内で行う決定によつて定める。
7総会は、必要と認めるときは、(5)に規定する財政措置を補足するための財政措置を勧告する。
1総会は、技術援助委員会(この条において「委員会」という。)を設置する。
2(a) 委員会の構成国は、開発途上にある国が代表されるように妥当な考慮を払つた上で、締約国の中から選出する。 (b) 事務局長は、その発意又は委員会の要請により、開発途上にある国に対する技術援助に関与する政府間機関の代表者が委員会の作業に参加するよう招請する。
3(a) 委員会は、開発途上にある締約国に対し各国別の又は広域的な特許制度の発展を目的として供与される技術援助を組織し及び監督することを任務とする。 (b) 技術援助は、特に、専門家の養成及び派遣並びに教習用及び実務用の設備の供与を含むものとする。
4国際事務局は、この条の規定に基づく事業計画のための資金を調達することを目的として、一方において国際金融機関及び政府間機関、特に、国際連合、国際連合の諸機関及び技術援助に関与する国際連合の専門機関と、他方において技術援助を受ける国の政府と取決めを締結するよう努める。
5この条の規定の実施に関する細目は、総会の決定により及び総会が設置することのある作業部会が総会の定める範囲内で行う決定によつて定める。
この章のいかなる規定も、他の章の財政に関する規定に影響を及ぼすものではない。それらの規定は、この章の規定及びこの章の規定の実施については、適用しない。
1(a) 総会は、第五十七条(8)の規定に従うことを条件として、締約国で構成する。 (b) 各締約国の政府は、一人の代表によつて代表されるものとし、代表は、代表代理、顧問及び専門家の補佐を受けることができる。
2(a) 総会は、次のことを行う。 (i) 同盟の維持及び発展並びにこの条約の実施に関するすべての問題を取り扱うこと。 (ii) この条約の他の規定によつて明示的に総会に与えられた任務を遂行すること。 (iii) 国際事務局に対し改正会議の準備に関する指示を与えること。 (iv) 事務局長の同盟に関する報告及び活動を検討し及び承認し、並びに事務局長に対し同盟の権限内の事項についてすべての必要な指示を与えること。 (v) (9)の規定に従つて設置される執行委員会の報告及び活動を検討し及び承認し、並びに執行委員会に対し指示を与えること。 (vi) 同盟の事業計画を決定し及び三年予算を採択し、並びに決算を承認すること。 (vii) 同盟の財政規則を採択すること。 (viii) 同盟の目的を達成するために必要と認める委員会及び作業部会を設置すること。 (ix) 非締約国並びに、(8)の規定に従うことを条件として、政府間機関及び国際的な非政府機関であつて総会の会合にオブザーバーとして出席することを認められるものを決定すること。 (x) 同盟の目的を達成するため他の適当な措置をとり、及びその他この条約に基づく必要な任務を遂行すること。 (b) 総会は、機関が管理業務を行つている他の同盟にも利害関係のある事項については、機関の調整委員会の助言を受けた上で決定を行う。
3代表は、一の国のみを代表し及びその国の名においてのみ投票することができる。
4各締約国は、一の票を有する。
5(a) 締約国の二分の一をもつて定足数とする。 (b) 総会は、定足数に満たない場合においても、決定を行うことができる。ただし、その決定は、総会の手続に関する決定を除くほか、規則に定める通信による投票で定足数が満たされかつ必要な多数が得られた場合にのみ効力を生ずる。
6(a) 第四十七条(2)(b)、第五十八条(2)(b)及び(3)並びに第六十一条(2)(b)の規定が適用される場合を除くほか、総会の決定は、投じられた票の三分の二以上の多数による議決で行う。 (b) 棄権は、投票とみなさない。
7第二章の規定に拘束される締約国にのみ利害関係のある事項については、(4)から(6)までに規定する締約国とは、同章の規定に拘束される締約国のみをいう。
8国際調査機関として又は国際予備審査機関として選定された政府間機関は、総会にオブザーバーとして出席することを認められる。
9総会は、締約国の数が四十を超える場合には、執行委員会を設置する。この条約及び規則において執行委員会というときは、設置された後の執行委員会をいうものとする。
10総会は、執行委員会が設置されるまでの間は、事務局長が作成した年次事業計画及び年次予算を事業計画及び三年予算の範囲内で承認する。
11(a) 総会は、事務局長の招集により、二年ごとに通常会期として会合するものとし、例外的な場合を除くほか、機関の一般総会と同一期間中に同一の場所において会合する。 (b) 総会は、執行委員会の要請又は締約国の四分の一以上の要請があつたときは、事務局長の招集により、臨時会期として会合する。
12総会は、その手続規則を採択する。
1総会が執行委員会を設置したときは、執行委員会は、(2)から(10)までの規定に従うものとする。
2(a) 執行委員会は、第五十七条(8)の規定に従うことを条件として、総会の構成国の中から総会によつて選出された国で構成する。 (b) 執行委員会の各構成国の政府は、一人の代表によつて代表されるものとし、代表は、代表代理、顧問及び専門家の補佐を受けることができる。
3執行委員会の構成国の数は、総会の構成国の数の四分の一とする。議席の数の決定に当たつては、四で除した余りの数は、考慮に入れない。
4総会は、執行委員会の構成国の選出に当たり、衡平な地理的配分に妥当な考慮を払う。
5(a) 執行委員会の構成国の任期は、その選出が行われた総会の会期の終了時から総会の次の通常会期の終了時までとする。 (b) 執行委員会の構成国は、最大限その構成国の三分の二まで再選されることができる。 (c) 総会は、執行委員会の構成国の選出及び再選に関する細目を定める。
6(a) 執行委員会は、次のことを行う。 (i) 総会の議事日程案を作成すること。 (ii) 事務局長が作成した同盟の事業計画案及び二年予算案について総会に提案をすること。 (iii) 削除 (iv) 事務局長の定期報告及び年次会計検査報告を、適当な意見を付して、総会に提出すること。 (v) 総会の決定に従い、また、総会の通常会期から通常会期までの間に生ずる事態を考慮して、事務局長による同盟の事業計画の実施を確保するためすべての必要な措置をとること。 (vi) その他この条約に基づいて執行委員会に与えられる任務を遂行すること。 (b) 執行委員会は、機関が管理業務を行つている他の同盟にも利害関係のある事項については、機関の調整委員会の助言を受けた上で決定を行う。
7(a) 執行委員会は、事務局長の招集により、毎年一回、通常会期として会合するものとし、できる限り機関の調整委員会と同一期間中に同一の場所において会合する。 (b) 執行委員会は、事務局長の発意により又は執行委員会の議長若しくはその構成国の四分の一以上の要請に基づき、事務局長の招集により、臨時会期として会合する。
8(a) 執行委員会の各構成国は、一の票を有する。 (b) 執行委員会の構成国の二分の一をもつて定足数とする。 (c) 決定は、投じられた票の単純多数による議決で行う。 (d) 棄権は、投票とみなさない。 (e) 代表は、一の国のみを代表し及びその国の名においてのみ投票することができる。
9執行委員会の構成国でない締約国及び国際調査機関として又は国際予備審査機関として選定された政府間機関は、執行委員会の会合にオブザーバーとして出席することを認められる。
10執行委員会は、その手続規則を採択する。
1同盟の管理業務は、国際事務局が行う。
2国際事務局は、同盟の諸機関の事務局の職務を行う。
3事務局長は、同盟の首席の管理職員とし、同盟を代表する。
4国際事務局は、公報その他規則又は総会の定める刊行物を発行する。
5国際事務局、国際調査機関及び国際予備審査機関がこの条約に基づく任務を遂行するに当たつて国内官庁が与える援助については、規則に定める。
6事務局長及びその指名する職員は、総会、執行委員会その他この条約又は規則に基づいて設置される委員会又は作業部会のすべての会合に投票権なしで参加する。事務局長又はその指名する職員一人は、当然にこれらの機関の事務局の長としての職務を行う。
7(a) 国際事務局は、総会の指示に従い、かつ、執行委員会と協力して、改正会議の準備を行う。 (b) 国際事務局は、改正会議の準備に関し政府間機関及び国際的な非政府機関と協議することができる。 (c) 事務局長及びその指名する者は、改正会議における審議に投票権なしで参加する。
8国際事務局は、その他国際事務局に与えられる任務を遂行する。
1総会は、技術協力委員会(この条において「委員会」という。)を設置する。
2(a) 総会は、開発途上にある国が衡平に代表されるように妥当な考慮を払つた上で、委員会の構成を決定し及びその構成員を任命する。 (b) 国際調査機関及び国際予備審査機関は、当然に委員会の構成員となる。国際調査機関又は国際予備審査機関が締約国の国内官庁である場合には、当該締約国は、委員会において重複して代表を出すことができない。 (c) 委員会の構成員の総数は、締約国の数に照らして可能な場合には、当然に委員会の構成員となるものの数の二倍を超える数とする。 (d) 事務局長は、その発意又は委員会の要請により、関係機関に利害関係のある討議に当該関係機関の代表者が参加するよう招請する。
3委員会は、助言又は勧告を行うことによつて次のことに寄与することを目的とする。 (i) この条約に基づく業務を絶えず改善すること。 (ii) 二以上の国際調査機関又は二以上の国際予備審査機関が存在する限り、その資料及び作業方法についてできる限りの統一性を確保すること並びにその報告の質ができる限り高くかつ均一であることを確保すること。 (iii) 総会又は執行委員会の発意に基づき、特に単一の国際調査機関の設立に関する技術的問題を解決すること。
4締約国及び関係国際機関は、委員会に対し、委員会の権限内にある問題につき書面によつて意見を述べることができる。
5委員会は、事務局長に対し又は、事務局長を通じて、総会、執行委員会、すべての若しくは一部の国際調査機関及び国際予備審査機関並びにすべての若しくは一部の受理官庁に対し、助言及び勧告を行うことができる。
6(a) 事務局長は、いかなる場合においても、執行委員会に対し委員会のすべての助言及び勧告を送付する。事務局長は、その助言及び勧告について意見を付することができる。 (b) 執行委員会は、委員会の助言、勧告又は他の活動について見解を表明することができるものとし、委員会に対し、委員会の権限内にある問題について研究し及び報告することを求めることができる。執行委員会は、総会に対し、適当な意見を付して委員会の助言、勧告及び報告を提出することができる。
7執行委員会が設置されるまでの間は、(6)にいう執行委員会とは、総会をいうものとする。
8委員会の手続の細目は、総会の決定によつて定める。
1(a) 同盟は、予算を有する。 (b) 同盟の予算は、収入並びに同盟に固有の支出及び機関が管理業務を行つている諸同盟の共通経費の予算に対する同盟の分担金から成る。 (c) 諸同盟の共通経費とは、同盟にのみでなく機関が管理業務を行つている他の同盟にも帰すべき経費をいう。共通経費についての同盟の分担の割合は、共通経費が同盟にもたらす利益に比例する。
2同盟の予算は、機関が管理業務を行つている他の同盟の予算との調整の必要性を考慮した上で決定する。
3(5)の規定が適用される場合を除くほか、同盟の予算は、次のものを財源とする。 (i) 国際事務局が同盟の名において提供する役務について支払われる手数料及び料金 (ii) 同盟に関する国際事務局の刊行物の販売代金及びこれらの刊行物に係る権利の使用料 (iii) 贈与、遺贈及び補助金 (iv) 賃貸料、利子その他の雑収入
4国際事務局に支払われる手数料及び料金の額並びに国際事務局の刊行物の価格は、この条約の管理業務に係る国際事務局のすべての経費を通常の状態において賄うことができるように定める。
5(a) 会計年度が欠損を伴つて終了する場合には、締約国は、(b)及び(c)の規定に従うことを条件として、その欠損を填補するため分担金を支払う。 (b) 各締約国の分担金の額は、当該年度における各締約国からの国際出願の数に妥当な考慮を払つた上で総会が定める。 (c) 総会は、欠損の全部又は一部を他の方法によつて暫定的に填補することができる場合には、その欠損を繰り越すこと及び締約国に分担金の支払を求めないことを決定することができる。 (d) 総会は、同盟の財政状態が許す場合には、(a)の規定に従つて支払われた分担金をこれを支払つた締約国に払い戻すことを決定することができる。 (e) (b)の規定に基づく分担金を総会が定める支払期日から二年以内に支払わなかつた締約国は、同盟のいずれの機関においても、投票権を行使することができない。ただし、同盟のいずれの機関も、支払の延滞が例外的なかつ避けることのできない事情によるものであると認める限り、当該締約国が当該機関において引き続き投票権を行使することを許すことができる。
6予算が新会計年度の開始前に採択されなかつた場合には、財政規則の定めるところにより、前年度の予算をもつて予算とする。
7(a) 同盟は、各締約国の一回限りの支払金から成る運転資金を有する。運転資金が十分でなくなつた場合には、総会は、その増額のための措置をとる。運転資金の一部が必要でなくなつた場合には、その運転資金の一部は、払い戻す。 (b) 運転資金に対する各締約国の当初の支払金の額及び運転資金の増額の部分に対する各締約国の分担額は、(5)(b)に定める原則と同様の原則に基づいて総会が定める。 (c) 支払の条件は、事務局長の提案に基づき、かつ、機関の調整委員会の助言を受けた上で、総会が定める。 (d) 払戻しは、各締約国の支払つた額に比例して行うものとし、各締約国の支払つた日を考慮に入れる。
8(a) その領域内に機関の本部が所在する国との間で締結される本部協定には、運転資金が十分でない場合にその国が立替えをすることを定める。立替えの額及び条件は、その国と機関との間の別個の取極によつてその都度定める。その国は、立替えの義務を有する限り、当然に総会及び執行委員会に議席を有する。 (b) (a)の国及び機関は、それぞれ、書面による通告により立替えの約束を廃棄する権利を有する。廃棄は、通告が行われた年の終わりから三年を経過した時に効力を生ずる。
9会計検査は、財政規則の定めるところにより、一若しくは二以上の締約国又は外部の会計検査専門家が行う。これらの締約国又は会計検査専門家は、総会がこれらの締約国又は会計検査専門家の同意を得て指定する。
1この条約に附属する規則には、次の事項に関する規定を設ける。 (i) この条約において、規則に明示的にゆだねられている事項又は所定の事項であることが明示的に定められている事項 (ii) 業務の運用上の要件、事項又は手続 (iii) この条約の規定を実施するために有用な細目
2(a) 総会は、規則を修正することができる。 (b) 修正は、(3)の規定に従うことを条件として、投じられた票の四分の三以上の多数による議決で行う。
3(a) 規則は、次のいずれかの場合に限つて修正することができる規定を特定する。 (i) 全会一致の合意がある場合 (ii) 自国の国内官庁を国際調査機関又は国際予備審査機関とする締約国及び、政府間機関が国際調査機関又は国際予備審査機関である場合には、当該政府間機関の権限のある機関において他の構成国から委任を受けた当該政府間機関の構成国である締約国のいずれも異なる意見を表明しない場合 (b) 将来において、当該規定につき付されている条件を解除するためには、場合に応じ、(a)(i)又は(ii)に定める条件が満たされなければならない。 (c) 将来において、いずれかの規定につき(a)に定めるいずれかの条件を付するためには、全会一致の合意がなければならない。
4規則は、総会の監督の下において事務局長が実施細則を作成することについて定める。
5この条約の規定と規則の規定とが抵触する場合には、この条約の規定が優先する。
第六十四条(5)の規定が適用される場合を除くほか、この条約又は規則の解釈又は適用に関する二以上の締約国の間の紛争で交渉によつて解決されないものは、紛争当事国が他の解決方法について合意しない限り、いずれかの紛争当事国が、国際司法裁判所規程に合致した請求を行うことにより、国際司法裁判所に付託することができる。紛争を国際司法裁判所に付託する締約国は、その旨を国際事務局に通報するものとし、国際事務局は、それを他の締約国に通報する。
1この条約は、締約国の特別の会議により随時改正することができる。
2改正会議の招集は、総会が決定する。
3国際調査機関として又は国際予備審査機関として選定された政府間機関は、改正会議にオブザーバーとして出席することを認められる。
4第五十三条(5)、(9)及び(11)、第五十四条、第五十五条(4)から(8)まで、第五十六条並びに第五十七条の規定は、改正会議により又は次条の規定に従つて修正することができる。
正しい。47条(2)(a)は、第1章及び第2章に定めるすべての期間は、60条の規定による改正のほか、締約国の決定によっても変更することができると定める。
47条(2)(a)は、前二章、すなわち第1章(国際出願及び国際調査)と第2章(国際予備審査)に定めるすべての期間は、60条の規定による改正のほか、締約国の決定によっても変更することができると定める。同(b)は、その決定は総会において又は通信による投票によって行い、全会一致によらなければならないとし、同(c)は手続の細目を規則に委ねる。60条の改正は改正会議を開いて条約本文を改める重い手続であるが、優先日から何月という期間は実務の進み方に合わせて動かす必要が生じやすいので、締約国の全会一致の決定で変えられる軽い途を別に用意したものである。これに対し規則の修正は58条(2)(a)により総会が行うもので、条約本文の期間の変更とは別の仕組みである。枝は、60条の改正によらずに変更できる場合があると述べており、47条(2)(a)のとおりである。

(a) 前二章に定めるすべての期間は、第六十条の規定による改正のほか、締約国の決定によつても変更することができる。(b) (a)の決定は、総会において又は通信による投票によつて行うものとし、全会一致によらなければならない。(c) (a)の変更のための手続の細目は、規則に定める。
1(a) 第五十三条(5)、(9)及び(11)、第五十四条、第五十五条(4)から(8)まで、第五十六条並びに第五十七条の規定の修正の提案は、総会の構成国、執行委員会又は事務局長が行うことができる。 (b) (a)の提案は、遅くとも総会による審議の六箇月前までに、事務局長が締約国に送付する。
2(a) (1)に規定する規定の修正は、総会が採択する。 (b) 採択は、投じられた票の四分の三以上の多数による議決で行う。
3(a) (1)に規定する規定の修正は、その修正が採択された時に総会の構成国であつた国の四分の三から、それぞれの憲法上の手続に従つて行われた受諾についての書面による通告を事務局長が受領した後一箇月で効力を生ずる。 (b) (a)の規定に従つて受諾された(1)に規定する規定の修正は、その修正が効力を生ずる時に総会の構成国であるすべての国を拘束する。ただし、締約国の財政上の義務を増大する修正は、その修正の受諾を通告した締約国のみを拘束する。 (c) (a)の規定に従つて受諾された修正は、その修正が(a)の規定に従つて効力を生じた日の後に総会の構成国となるすべての国を拘束する。
1工業所有権の保護に関する国際同盟の構成国は、次のいずれかの手続により、締約国となることができる。 (i) 署名し、その後に批准書を寄託すること。 (ii) 加入書を寄託すること。
2批准書又は加入書は、事務局長に寄託する。
3工業所有権の保護に関するパリ条約のストックホルム改正条約第二十四条の規定は、この条約の適用について準用する。
4(3)の規定は、いずれかの締約国が(3)の規定に基づいてこの条約を適用する領域の事実上の状態を、他の締約国が承認し又は黙示的に容認することを意味するものと解してはならない。
1(a) この条約は、(3)の規定に従うことを条件として、八の国が批准書又は加入書を寄託した後三箇月で効力を生ずる。ただし、それらの国のうち少なくとも四の国がそれぞれ、次のいずれかの条件を満たしていなければならない。 (i) 当該国でされた出願の数が、国際事務局によつて公表された最新の年次統計において四万を超えていること。 (ii) 当該国の国民又は居住者が一の外国にした出願の数が、国際事務局によつて公表された最新の年次統計において千以上であること。 (iii) 当該国の国内官庁が外国の国民又は居住者から受理した出願の数が、国際事務局によつて公表された最新の年次統計において一万以上であること。 (b) この(1)の規定の適用上、「出願」には、実用新案の出願を含めない。
2(3)の規定に従うことを条件として、この条約が(1)の規定に従つて効力を生じた時に締約国とならない国は、批准書又は加入書を寄託した日の後三箇月でこの条約に拘束される。
3第二章の規定及びこの条約に附属する規則中同章の規定に対応する規定は、(1)に定める三の条件のうち少なくとも一の条件を満たす三の国が同章の規定に拘束される意思を有しないことを次条(1)の規定に基づいて宣言することなく締約国となつた日から、適用する。もつとも、その日は、(1)の規定に基づく当初の効力発生の日前ではないものとする。
1(a) いずれの国も、第二章の規定に拘束されないことを宣言することができる。 (b) (a)の宣言を行つた国は、第二章の規定及び規則中同章の規定に対応する規定に拘束されない。
2(a) (1)(a)の宣言を行わない国は、次のことを宣言することができる。 (i) 国際出願の写し及び所定の翻訳文の提出については第三十九条(1)の規定に拘束されないこと。 (ii) 第四十条に規定する国内処理の繰延べの義務によつて、自国の国内官庁による又はこれに通ずる国際出願又はその翻訳文の公表が妨げられることのないこと。もつとも、当該国内官庁に対し第三十条及び第三十八条の義務を免除するものと解してはならない。 (b) (a)の宣言を行つた国は、その限度において当該規定に拘束されない。
3(a) いずれの国も、自国に関する限り、国際出願の国際公開を行う必要がないことを宣言することができる。 (b) 優先日から十八箇月を経過した時に、国際出願に(a)の宣言を行つている国のみの指定が含まれている場合には、その国際出願の第二十一条(2)の規定に基づく国際公開は、行わない。 (c) (b)の規定が適用される場合であつても、国際事務局は、 (i) 出願人から請求があつたときは、規則の定めるところにより当該国際出願の国際公開を行う。 (ii) 国際出願に基づく国内出願又は特許が(a)の宣言を行つているいずれかの指定国の国内官庁により又はその国内官庁のために公表されたときは、その公表の後速やかに当該国際出願の国際公開を行う。ただし、優先日から十八箇月を経過する前であつてはならない。
4(a) 自国の特許が公表の日前の日から先行技術としての効果を有することを定めているが工業所有権の保護に関するパリ条約に基づいて主張される優先日を先行技術の問題については自国における実際の出願日と同等に取り扱わないこととする国内法令を有する国は、自国の指定を含む国際出願であつて他国においてしたものを先行技術の問題については自国における実際の出願と同等に取り扱わないことを宣言することができる。 (b) (a)の宣言を行つた国は、その限度において第十一条(3)の規定に拘束されない。 (c) (a)の宣言を行う国は、同時に、自国の指定を含む国際出願が自国において先行技術としての効果を有することとなる日及びそのための条件を書面で通知する。その通知は、事務局長にあてた通知により、いつでも変更することができる。
5いずれの国も、第五十九条の規定に拘束されないことを宣言することができる。同条の規定は、その宣言を行つた締約国と他の締約国との間の紛争については、適用しない。
6(a) この条の規定に基づく宣言は、書面で行う。その宣言は、この条約の署名若しくは批准書若しくは加入書の寄託の際に又は、(5)の宣言を除くほか、事務局長にあてた通告によりその後いつでも、行うことができる。その通告による宣言は、事務局長がその通告を受領した日の後六箇月で効力を生ずるものとし、その六箇月の期間の満了前にされた国際出願には影響を及ぼさない。 (b) この条の規定に基づく宣言は、事務局長にあてた通告により、いつでも撤回することができる。その撤回は、事務局長がその通告を受領した日の後三箇月で効力を生ずるものとし、(3)の宣言の撤回にあつては、その三箇月の期間の満了前にされた国際出願には影響を及ぼさない。
7留保は、(1)から(5)までの規定に基づく留保を除くほか、この条約のいかなる規定についても行うことができない。
誤り。違うのは「国際事務局に請求する場合以外は、必ず」の部分である。21条(2)(a)は、出願人の早期公開の請求のほかに64条(3)に定める場合も除いており、国際公開を行わない旨を宣言した国のみを指定する国際出願は優先日から18月を経過しても公開されない。
21条(2)(a)は、国際出願の国際公開は(b)及び64条(3)に定める場合を除くほか国際出願の優先日から18月を経過した後速やかに行うと定める。(b)は出願人が期間の満了前のいずれの時においても国際公開を請求できるとする早期公開の例外であり、64条(3)は、自国に関する限り国際公開を行う必要がないことを宣言した国のみの指定が優先日から18月を経過した時に含まれている場合には21条(2)の国際公開を行わないとする留保の例外である。国際公開は指定国での国内公開と同一の効果を持たせるためのものであるから、公開制度を持たない国だけを目指す出願までを国際事務局が公開する理由はないという理屈である。もっとも、その場合でも出願人の請求があれば国際公開は行われる(64条(3)(c)(i))。枝は早期公開の請求だけを例外として挙げ、64条(3)の場合を落としているので誤りである。

国際出願の国際公開は、(b)及び第六十四条(3)に定める場合を除くほか、国際出願の優先日から十八箇月を経過した後速やかに行う。
正しい。21条(2)(a)により国際公開は優先日から18月を経過した後速やかに行い、同(b)により出願人はその期間の満了前のいずれの時においても国際公開を請求することができる。
21条(1)は国際事務局が国際出願の国際公開を行うと定め、同(2)(a)は、国際公開は同(b)及び64条(3)に定める場合を除くほか、国際出願の優先日から18月を経過した後速やかに行うと定める。同(b)は、出願人は(a)に定める期間の満了前のいずれの時においても国際出願の国際公開を行うことを国際事務局に請求することができるものとし、国際事務局は規則の定めるところにより手続をとると定める。優先日から18月は各国の出願公開と足並みをそろえた期間であり、出願人が早く公開を望むときに待たせる理由はないので、請求による早期の公開を認めている。例外の64条(3)は、自国に関する限り国際公開を行う必要がないことを宣言した国のみを指定している国際出願について18月経過時の国際公開を行わないとするもので、枝のいう所定の場合に当たる。国際公開の技術的な準備が完了する前に取り下げられた国際出願も公開されない(同(5))。枝は原則と早期公開の請求を条文どおりに述べている。

(a)国際出願の国際公開は、(b)及び第六十四条(3)に定める場合を除くほか、国際出願の優先日から十八箇月を経過した後速やかに行う。(b)出願人は、(a)に定める期間の満了前のいずれの時においても国際出願の国際公開を行うことを国際事務局に請求することができるものとし、国際事務局は、規則の定めるところにより手続をとる。
1国際調査機関又は国際予備審査機関との間の取決めが当該国際調査機関又は当該国際予備審査機関が処理を引き受ける国際出願の数又は種類について経過的に制限を定める場合には、総会は、特定の範囲の国際出願についてのこの条約及び規則の漸進的適用に必要な措置を採択する。この(1)の規定は、第十五条(5)の規定に基づく国際型調査の請求について準用する。
2総会は、(1)に規定する条件の下で国際出願をすることができることとなる日及び国際予備審査の請求をすることができることとなる日を定める。これらの日は、それぞれ、第六十三条(1)の規定に従つてこの条約が効力を生じた後六箇月以内の日及び同条(3)の規定に従つて第二章の規定が適用されることとなつた後六箇月以内の日とする。
1いずれの締約国も、事務局長にあてた通告により、この条約を廃棄することができる。
2廃棄は、その通告の事務局長による受領の後六箇月で効力を生ずる。廃棄は、国際出願がその六箇月の期間の満了前にされている場合には及び、廃棄を行う国が選択されている場合にあつてはその選択がその六箇月の期間の満了前に行われているときに限り、廃棄を行う国における当該国際出願の効果に影響を及ぼさない。
1(a) この条約は、ひとしく正文である英語及びフランス語による原本一通について署名する。 (b) 事務局長は、関係政府との協議の上、スペイン語、ドイツ語、日本語、ポルトガル語、ロシア語その他総会が指定する言語による公定訳文を作成する。
2この条約は、千九百七十年十二月三十一日まで、ワシントンにおいて署名のために開放しておく。
1この条約の原本は、署名のための開放が終了したときは、事務局長に寄託する。
2事務局長は、工業所有権の保護に関するパリ条約のすべての締約国の政府及び、要請があつたときは、他の国の政府に対し、この条約及びこの条約に附属する規則の謄本二通を認証して送付する。
3事務局長は、この条約を国際連合事務局に登録する。
4事務局長は、すべての締約国の政府及び、要請があつたときは、他の国の政府に対し、この条約及び規則の修正の謄本二通を認証して送付する。
事務局長は、工業所有権の保護に関するパリ条約のすべての締約国の政府に対し、次の事項を通報する。 (i) 第六十二条の署名 (ii) 第六十二条に規定する批准書又は加入書の寄託 (iii) この条約の効力発生の日及び第六十三条(3)の規定に従つて第二章の規定が適用されることとなる日 (iv) 第六十四条(1)から(5)までの規定に基づく宣言 (v) 第六十四条(6)(b)の規定に基づく撤回 (vi) 第六十六条の規定によつて受領した廃棄通告 (vii) 第三十一条(4)の宣言